レベル: 中級 Abdelilah Lali (abdelilah.lali@fr.ibm.com), Solution Architect, IBM
2008年 04月 03日 あなたに与えられるミッションは、ビジネス・プロセス・マネージメント (BPM) の基礎を学ぶことです。BPM アクティビティーを中心にストーリーが展開する戦略的 IBM® BPM シミュレーション・ゲーム、Innov8 では、他の仮想従業員に交わって、After, Inc. という架空の会社での日々のアクティビティーに参加します。このゲームを通して企業のビジネス・プロセスを理解し、研究し、そして最適化するなかで、BPM のすべてについて学んでください。
概要
雷が轟き、稲妻が光るなか、あなたは After, Inc. の社内に足を踏み入れます。すると、非現実的な未来の雰囲気に包まれたグレーと黒のオフィスに声が響き渡ります。
「これから言うことをよく聞くように。経歴からして、君はビジネス・プロセス・マネージメントに鋭い直観を持っているようだが、それを今からテストすることにする。君に与えられるミッションは、重要なプロセスを内部から調査することである。心の準備ができたら早速、IT 担当部長の Sam Archer から、調査に使用するビジネス・マネージメント・ソフトウェア・ツールを取得すること。その後の指示については追って連絡する」。
ゲームに参加するかどうかはあなた次第ですが、After, Inc. はビジネス・パフォーマンスに関する問題を抱えています。そこで、この会社の CEO である Mike は、ビジネス・プロセスにおける問題点を調査して発見し、最適化するために、あなたを選んだということを忘れないでください。会社の救世主となるあなたには、このミッションを達成できるようにすべての文書と指標を調べる権限が CEO によって与えられています。CEO と BPM エキスパートであるあなたの他、この会社で協力する従業員として以下の登場人物がいます (図 1 を参照)。
- ビジネス・アナリスト、Stavros
- 営業部長、Sharon
- IT 担当部長、Sam
- コール・センターの経験豊富な担当者、Stella
図 1. 主要な登場人物
このゲームに出てくる BPM アクティビティーには、以下の 3 つのタイプがあります。
- プロセスの検出およびプロセス・モデリング
- コラボレーション駆動型シミュレーションおよび繰り返しのプロセス改善
- リアルタイムのビジネス・マネージメント
このゲームで採用する BPM の概念
このゲームを理解してもらうため、まずはビジネス・プロセス・モデリングとビジネス・パフォーマンス・マネージメントに関する、いくつかの概念を定義します。
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ビジネス・モデリングおよびシミュレーション。プロセスを視覚化して、プロセスのボトルネックや、プロセスが切断されている箇所、そしてプロセスの非効率性を見極められるようにします。シミュレーションにより、デプロイメントの前に仮定のシナリオを作成してテストし、ビジネスへの影響を特定することができます。モニタリング環境で使用する測定基準、すなわち KPI (Key Performance Indicator) はプレイヤーが定義します。
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コラボレーション。複数のクライアントがビジネス・プロセスの管理責任を共有し、場所と時を選ばずに一層効率的になるよう参加します。さらに、関係者がどこにいようとも、規定プロセスと規定を変更する際のチームワーク、処理能力、そしてチームの創造力を促進します。
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ビジネス・アクティビティー・モニタリング (BAM)。プロセスのパフォーマンスをモニタリングし、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性のあるイベントを検出します。プロセスの効率性と有効性を分析し、プロセス改善を企業の目標および目的に一致させるには、ソフトウェア・エージェントを使って重要なビジネス・イベントをリッスンし、イベント・データを相関付けて KPI を更新するという作業が必要になってきます。これらの作業を KPI 用に設計されたダッシュボードと組み合わせることで、オペレーション・マネージャーは個々の作業項目を視覚的にモニタリングできるようになり、その結果、各作業項目の進捗状況についてのリアルタイムでの管理が改善されます。この手法では、マネージャーが必要に応じて作業をインターセプトし、目的の結果になるよう作業項目やプロセス・フローを変更することが可能になります。
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分析および最適化。継続的にプロセスの実行内容とその結果を評価し、分析に基づいた洞察、傾向の把握、そして先を見越したアクション・ベースの提案などを行うことで、処理中のモデルを最適化します。最終的には、モデルへのフィードバックによってモデルの継続的な改善および最適化を図ることを目指しています。
ゲームの最中は、ノート・パソコンを使って作業中ファイルの保存、ToDo リストの表示、製品文書へのアクセスを行うことが可能です。もちろん、以下に示すビジネス・プロセス・マネージメント・ソフトウェア・ツールを実行するのにもノート・パソコンを使用します。
- ビジネス・モデリング・ツールでは、ビジネス・モデルを把握する人々が、ドラッグ・アンド・ドロップ機能を使ってプロセスの重要な側面をモデル化することができます (この記事では以降、このツールをビジネス・モデラーと呼びます)。
- ビジネス・モニタリング・ツールは、強力な分析技術とリアルタイムのモニタリング機能を利用して実行中のプロセスを管理し、それらのプロセスを操作するために設計されています (このツールのことは以降、ビジネス・モニターと呼びます)。
プロセスの検出およびプロセス・モデリング
CEO により、プレイヤーには最初の足掛かりとなるビジネス・アーキテクチャー・ヒート・マップが提供されます。このマップは企業のコンポーネントをベースとしたモデルです (図 2 を参照)。このマップを見れば、ビジネス変革の最初の焦点として選ばれたコンポーネントがわかります。
図 2. ビジネス・アーキテクチャー・ヒート・マップ
3 つの行は、実行されるマネージメント・アクティビティーのタイプごとに分けられています。
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Directing (指示決定) アクティビティーは、方針、計画、目標、編成、予算などの定義と、全体的なパフォーマンスの評価に関連するアクティビティーです。
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Controlling (調整管理) アクティビティーは、タスクとリソースの割り当て、許可、決定、ならびに監視とトラブルシューティングに関連するアクティビティーです。
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Executing (実行) アクティビティーは、管理、保守、運営に関連するアクティビティーです。
図 2 の各列が表すのは、関連ビジネス・アクティビティーのグループです。これらのグループは、機能一式を区分することによって分類されています。例えば Business Administration (ビジネス管理) には、他のすべての機能 (ビジネスのサポート方法とビジネス自体の実現方法など) を可能にし、サポートするための決定とアクティビティーが含まれます。
図 2 で強調表示されたコンポーネントを優先させると、変革の対象となる主要なコンポーネントとしては必然的にカスタマー・サービス/コール・センターを (Customer Service/Call Center) 選択することになります。
プロセスの検出およびプロセス・モデリングで次に完了させなければならないステップには、以下のものがあります。
- IT 部門の Sam Archer からソフトウェア・モデリング・ツールを入手する。
- ビジネス・アナリストの Stavros からコール・センターのビジネス・プロセス・モデルを入手する。
- 選択されたビジネス・プロセスをツールでモデル化するために、コール・センターの経験豊富な担当者を見つけてくる。
- このビジネス・プロセスに評価指標を追加するすべての項目を洗い出す。
ビジネス・プロセス・モデリングの最初のステップは、まさに現状 (as-is) のビジネス・プロセスをモデル化することですが、現在、モデル化はどのようにして行われるのでしょうか。あなたのクライアントはおそらく今現在、Microsoft® Visio や PowerPoint のスライドなどを使ったデスクトップの手法でプロセス情報を表現していることでしょう。プロセスを紙上で表現できるようになることが最初のステップであることは確かですが、このミッションを達成するには単に図があるだけでは事足りません。あなたに必要なのは、ビジネスの評価指標とデータ、ビジネス・ルール、営業実績、そして依存関係を把握する能力です。
このゲームでは、図 3 に示すモデリング・ツールを使用します。
図 3. ビジネス・モデリング・ツール
このツールがあなたに代わって、現状 (as-is) のビジネス・プロセスを分析するというステップ 2 の準備をします。このステップではシミュレーションを通してモデルを現実に適用します。プロセスを本番環境にデプロイする前にシミュレーションによって運用状態のプロセスを表示することで、プロセスのコスト、効率性、そして有効性を最適化できるだけでなく、ボトルネックやキューが形成されることがないかどうかも確認することができます。シミュレーションではさまざまなオプションや仮定のシナリオなどを考慮できるため、ビジネスのベスト・プラクティスに基づいて、十分な情報に裏づけされた決定が可能となります。ここで、技術によってルーチン・ステップを自動化する代わりに、単に雇用者を増やすだけだとしたらどうなるか考えてみてください。
ビジネス・プロセスのシミュレーションに必要なすべてのデータを収集した結果、図 4 に示すプロセスのボトルネックが見つかりました。
図 4. ビジネス・プロセスのボトルネック
ビジネス・モデラーの機能を使用することによって、配置済みのプロセス、そしてこれらのプロセスを改善する可能性のある手段について After, Inc. の理解が深まったことが示されました。このように既存のプロセスをモデル化してシミュレーションすることで、大抵の場合はプロセス間の複雑な関係と振る舞いが明らかになり、評価されることになります。
コラボレーション駆動型シミュレーションおよび繰り返しのプロセス改善
このゲームの次の段階では、ビジネス会議に出席し、プロセスの強化に関与します。会議のテーブルでは、図 5 に示す経営陣が、リソース問題、コストの高い分野や利益の少ない分野、そして合理化の検討に値するプロセスの部分、などについて重点的に議論をしています。左から右の順に経営陣のメンバーを紹介します。
- 人事担当部長、Ashok
- カスタマー・サービスおよびコール・センター業務の担当部長、Liang
- シニア IT アーキテクト、Thomas
- 営業部長、Sharon
- After, Inc. の CEO、Mike
図 5. 経営陣
ビジネス・モデラーの中で特に強力な機能の 1 つは、プロセス・モデルに財務属性を含められることです。そのため、プロセスの変更案に伴うコストの意味合いを検討することが可能になります。さらに、モデルには収益属性も含められるので、採算性を評価できるだけでなく、プロセスのバージョンを新しくすることによってもたらされる影響を検討する際に損益分岐点を評価することさえできます。
プロセス強化のモデル化が完了したら、比較と分析を目的とした仮定のシナリオをいくつか使ってプロセス強化に伴う変更をシミュレートし、その妥当性を検証してください。これらのシナリオでは、モデルに対する入力の量およびそのタイミング、利用可能なリソースとコスト、そしてモデル内でのパスをさまざまに変えることができます。
新しいバージョンのプロセスがかなり完全な段階に達した時点で、ビジネス測定を行う項目を定めてモデルに追加します。すると、これらの要素は、この新しいプロセスがデプロイされるときに、このプロセスのビジネス・パフォーマンスを測定するための構造を形成することができるのです。
リアルタイムのビジネス・マネージメント
このゲームで最も面白い部分は、自動プロセスのモニタリングです。
モニターという言葉には、さまざま意味があり、人によって受け取る意味が違うため、非常によく使われますが、このゲームでのモニターの意味は取り違えないでください。ここで使用するモニターはビジネスごと (LOB) のモニターを意味し、IT スタッフにサーバーの使用状況とスループットを確認させるためのものではなく、LOB 幹部およびマネージャーがビジネス・プロセスをモニタリングする手段として使うものです。
ビジネス・モデラーの主要な機能の 1 つは、デプロイメント後のモニタリング対象に対してのビジネス基準を作成できる機能です。ビジネス・モデラーは、作成したビジネス基準 (ビジネス指標) をビジネス指標モデルという形でエクスポートします。このモデルはビジネス・モニターにインポートされ、ポータル・インターフェースを使用したビジネス・ビューアとオペレーション・ビューアの両方に対するダッシュボード・データの表示基盤として使用されます。
プレイヤーが操作するのは、図 6 のようなダッシュボードです。
図 6. ビジネス・モニター・ダッシュボード
モニタリングにより、プロセスを管理する側では以下のことを実行できます。
- 作業の進行状況の表示
- 作業を行う担当者の把握
- 確立されたビジネス・ガイドラインまたは重要な指標には属さない項目の測定
- タスクとリソースを割り当て直してプロセスを軌道に戻すという手段による、問題の是正措置の実施
ここで大きな利点となるのは、手遅れにならないうちに LOB 管理側に対してアラートを出せるため、問題の是正措置を取れるということです。モニターのオペレーション・ダッシュボートを使って、マネージャーは作業を確認し、その場で作業項目を直接開始、停止、変更することができます。
このゲームの最終ステップは、是正措置の実施です。ビジネス環境は絶えず変化していますが (規定の変更、競争の変化、顧客要求の変更)、いまやクライアントがビジネス・プロセスをモニタリングし、是正措置を取り、そして改善することが可能になっています。
このゲームを早速試して、最高得点 (KPI) を獲得してください。ビジネス・ルールと人的資源の割り当ては動的に変更しなければなりません。また、実行中のプロセスを分析し、アラートを調べて新しい要件に適応する必要もあります。ご健闘を祈ります!
ミッションに成功すれば賞賛を受けます。失敗したとしたら、図 7 のように他の進むべき道を選んでください。
図 7. エピローグ
まとめ
Innov8 は、BPM の基本を教えることを目的とした対話型の 3D ビジネス・シミュレーターです。SOA が実現する BPM は、継続的なライフサイクルの改善をもたらし、ビジネス・プロセスとビジネス・モデルのイノベーションを促進します。そしてソフトウェアと専門知識の両方による機能が、論理的ライフサイクルの手法に準拠してビジネス・プロセスのモデル化、最適化、設計、デプロイメント、そして管理を行います。
BPM によって、組織では以下のことが可能になります。
- ボトルネックやリソース問題、そしてプロセスで改善や潜在的な価値が見込まれるその他の分野を明らかにすること
- シミュレーションと分析により、リソースを確保する前に提案されたプロセスをテストし、その結果を調査すること
- 既存のプロセスおよび提案されたプロセスが与える財務上の影響を評価すること
- ビジネス領域と技術領域の間にある隔たりを埋め、より迅速かつ正確なコミュニケーションを実現すること
- 実装の時間を短縮し、よりアジャイルなビジネスを実現すること
- プロセスのビジネス価値を測定するための構造化された体制を確立すること
ビジネス・アクティビティーをモニタリングする目的は、各種のオペレーション、プロセス、トランザクションの状況と結果に関するリアルタイムの情報を提供することです。BAM の主な利点には次のようなものがあります。
- 企業がより充実した情報に基づいてビジネス決定を行えるようになります。
- 問題のある領域に素早く対処することができます。
- 新しく出現しつつある機会を十分に活用できるように組織の再配置を行えます。
参考文献 学ぶために
製品や技術を入手するために
- 今すぐ Innov8 をダウンロードしてください (IBM Academic Initiative のメンバーとして登録してください)。
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IBM ソフトウェアの試用版を使用して、次の開発プロジェクトを革新してください。ダウンロード、あるいは DVD で入手できます。
議論するために
著者について  | 
|  | Abdelilah Lali は、フランス La Gaude にある IBM Advanced Technical Support, European Business Solutions Center のソリューション・アーキテクトです。ソフトウェアの開発には、開発者およびアーキテクトとして 12 年の経験を持ちます。彼が現在専念している分野は、SOA、そして WebSphere Business Integration 製品に関連する設計、構成、開発問題のコンサルティングです。パートナーおよびカスタマーと協力して、コンサルティング、指導、コード作成、教育に取り組んでいます。 |
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