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真の Web 2.0: ユーザー生成型コンテンツの代表格、ウィキペディア

ウィキペディアがユーザーにコンテンツの投稿を促す仕組み

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レベル: 中級

Uche Ogbuji (uche@ogbuji.net), Consultant, Fourthought, Inc.

2007年 9月 04日

ウィキペディアを手本にして、皆さんの Web サイトにユーザーが投稿するように促してください。オープン・ソースをベースに作成されたウィキペディアは、ユーザーの地理的多様性や潜在するユーザー補助のニーズを考慮したサイトです。また、ユーザーの投稿を支援するツールを提供するだけでなく、その投稿が検証され、幅広いコミュニティーで議論されるという雰囲気を作り出しています。

ウィキペディアは広く知れ渡っているとともに、よく話題に上る Web 2.0 の Web サイトです。ウィキペディアは、データを公開してユーザーが無料で使用、再利用、そして投稿できるようにすることによって社会と文明が成長すると信じている人たちからは支持されています。一方で、このような開放されたデータが信頼性にも統一性にも欠けた知識の混乱を招くと信じている人たちからは、非常に嫌われており、あからさまな悪意を持つ人やスパムの送信者にとっては格好の餌食でもあります。このように情報の共有あるいは一元管理の有効性を信じているか否かに関わらず、ウィキペディアに関する論争は溢れています (この記事は例外です)。誰も疑いようのないウィキペディアの成果の 1 つは、膨大な数にのぼるユーザーの投稿です。オープン・データの革命 (Web 2.0 の決まり文句) によるメリットを得ようとする組織のために Web サイトを開発している場合、何よりも当てにすることになるのはユーザーからの投稿です。ネットワーク効果 (マーケティングの専門家がそう呼ぶ効果) をもたらすには、人々の投稿によってサービスの価値を高めなければなりません。ネットワーク効果においては、ユーザーからの投稿が多ければその分サイトの価値も高くなり、それによってさらに多くのユーザーを引き付けることになります。ウィキペディアはそのような効果を生み出すことに成功した有数のサイトです。この記事で説明するウィキペディアのアーキテクチャー要素を手本に、ユーザー生成型のコンテンツで皆さんのサイトを拡張してください。

ウィキペディアの概要

ウィキペディアに関して説明しているウィキペディア自身の記事では、最初の 2 つのパラグラフでその主旨が適切に述べられています。以下はその要約です。

ウィキペディアは Web をベースとした無料のコンテンツを提供する多言語百科事典プロジェクトで、世界中の有志が協力して作成している。多少の例外を除き、インターネットにアクセスできれば誰でも [編集] リンクをクリックするだけで記事を編集することができる。ウィキペディアという名前は、ウィキ (協調 Web サイトのタイプ) とエンサイクロペディア (百科事典) という言葉を組み合わせた新語である。2001年に作成されて以来、ウィキペディアは急速な成長を遂げ、今や最大の参照用 Web サイトの 1 つとなっている。
すべての記事にはユーザーを関連記事に案内するリンクがあり、多くの場合、付加情報も記載されている。ウィキペディアの編集方針に外れることなく、該当する標準に準拠している限り、誰でも自由に参加して情報や相互参照あるいは引用を追加することができる。情報を追加または改善することによってウィキペディアを誤って壊してしまう心配はない。他の編集者が明らかなエラーに対するアドバイスや修正を行えるよう常に控えているためである。さらに、MediaWiki というウィキペディアのソフトウェアは、簡単に編集上の誤りを元に戻すことができるように設計されている。

この説明に書かれているいくつかのコンセプトは、ユーザー生成型コンテンツ・サイトの開発者にとって、直接学ぶことができる教訓になります (下記)。

  • 「多言語」— ウィキペディアは極めて国際化されたプロジェクトで、世界各地の人々が気軽に投稿できるよう、あらゆる努力を払っています。ウィキペディアで行われているほどにまで徹底する必要はありませんが、プロジェクトに対する意欲が欠けていれば、それだけユーザーの多様性も損なうことになりがちです。そのため、さまざまな投稿者に対して門戸を閉ざすことのないようにする方法を検討しなければなりません。また国際化を進めるうえでの問題については、周知の問題として解決策を記録に残して参照できるようにしておくことで、サイトが拡大したときにもこうした問題に迅速に対処できるようにしてください。ユーザー補助についても同じことです。ユーザーに投稿してもらいたいと思ったら、ユーザー側のニーズを考慮していることを示す必要があります。このニーズには障害者のニーズ、そしてモバイル機器のブラウザーなどの制約された Web 技術を使用しているユーザーのニーズも含まれます。
  • 「協調」— ウィキペディアの成功は、「ここにあなたの投稿を追加してください」というフォームを公開して後は期待して待つだけの話ではありません。そこには、コンテンツ作成に向けて人々の協力を促す全体的な仕組みがあります。この仕組みで大きな部分を占めるのは、各記事に追加されている「ノート」ページです。ここでは編集タグ付けシステムを使用して、コンテンツの一部を改善するのに役立ちたいと思っている他の人たちの注意を引くことができます。
  • 「自由参加型の編集」— ウィキペディアは投稿者のアカウント作成を奨励している一方、アカウントを作成しなくても参加できるようにしています。不正利用は深刻な問題なので、このような形は行き過ぎに思えるかもしれませんが、ウィキペディアのネットワーク効果においてはこの自由参加型が大きな役割を果たしています。みなさんのサイトがウィキペディアほど不正利用の対象として興味を引くことはないとは思いますが、ウィキペディアの人気は不正な更新の除去に取り組む多くの投稿者がいるということも意味します。
  • 「編集方針」— 熟慮された方針の公開とその順守は重要です。不正利用に対して措置を講じるには、その措置を支持する利用規約の条項に言及できなければなりません。ユーザーが自分たちの投稿が規約もなく扱われるという印象を持ってしまったら、参加する気も失せてしまいます。最初に決定する方針はおそらくプライバシー・ポリシーでしょう。これは、ユーザーの要望があるというだけでなく、たいていは法的必要条件となっているからです。
  • 「MediaWiki」— ウィキペディアの基盤として使用されているソフトウェアは、他のプロジェクトでも使用できるオープン・ソースです。サイトで使用しているソフトウェアを少なくとも一部でも公開することを検討してください。サイトに投稿することが情報共有への貢献になると意識するユーザーにとって、善意の意思表示となるはずです。

正しいエンジンの選択

長年世間に出回っているウィキは、ソフトウェア開発チームが大まかなプロジェクト管理および通信ツールとして使用することがよくあります。MediaWiki は、ウィキペディア・プロジェクトを想定した大規模な共同作業によって開発された PHP プログラムで、MySQL または PostgreSQL を使用してデータの保管を行っています。最も強力な機能の 1 つは MediaWiki がテンプレートと呼ぶもので、これは他の協調 Web システムでのタグに似ており、オブジェクト指向設計でのステレオタイプとは異なります。テンプレートでは、ページのコンテンツの真偽が問われている、あるいはソースが正しく引用されていないなどのフラグを立てることができます。ウィキはそれほど簡単にセットアップして管理できるプロジェクトではありませんが、該当する協調ソフトウェアのニーズがウィキの手法に合致するのであれば、この十分にテストされたソフトウェアの導入を検討してみてください。




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投稿する際の障壁の軽減

Web サイトにユーザーが投稿するのは、たいていは自然に起こる行為です。例えば、ユーザーが映画のレビュー・サイトにアクセスして、そこに投稿されているレビューにまったく同意できないとします。そこで意見のバランスを取るために自分のレビューを書こうと思い立つわけです。このとき、長々とした登録フォームに入力したり、投稿する前に他の一連のページにジャンプしなければならないとしたら、投稿しようという意欲は失せてしまいます。投稿する人の情報が絶対的に必要という場合もありますが、その情報は控えめに集めることが重要です。初期登録に必要な情報としては、おそらく名前、パスワード、E メール・アドレスだけで十分でしょう。住所と職業に関する情報を提供したユーザーに対しては高度な機能を有効にするという方法もあれば、調査に協力したユーザーに謝礼を渡すという特典を用意するという方法も考えられます。このような情報提供を体系的に管理するための最善の方法としては、まず、ユーザーに対して収集できる可能性のあるすべての情報のマップを作成して、このマップを作業の程度、想定されるプライバシーの度合い、そしてそれぞれの情報に関するリスク (例えば、クレジット・カードの番号には高いリスクが伴います) を基準に整理します。そして、このユーザー情報マップに応じて、謝礼を扱い、セキュリティーに対処するシステムを設計することです。

編集支援

編集を手軽にするツールがあれば、その分ユーザーから豊富な情報を引き出すことができます。そのような有力な編集ツールとしてウィキペディアがユーザーに提供しているのは、wikEd です。単純なテンプレート {{subst:wikEd}} をユーザー・プロファイルに追加するとエディターが有効になり、このエディターによって優れたウィキ・マークアップを簡単に入力できるようになります。図 1 に示すのは私のウィキペディア・アカウントでの編集セッションで、ここでは IBM developerWorks エントリーを編集しています。追加されているボタンや強調表示機能はすべて wikEd によって有効になる機能です。これらの機能がなければ、ユーザーにはプレーン・テキストのエントリーしか表示されないので、関連するウィキ・マークアップやその他の機能をすべて記憶しなければなりません。wikEd は、他の MediaWiki システムでも使用できます。


図 1. ウィキペディアでの wikEd を使用した編集セッション
ウィキペディアでの wikEd を使用した編集セッション

信用しながらも検証は欠かさないこと

ツールと賢い設計によって投稿しやすくすることは、ユーザーが貴重なコンテンツを提供してくれると信じているという意思表示です。しかしインターネットの共有は、多くのユーザーがその信頼を悪用することにもつながるので、すぐに対策を計画しなければなりません。不正利用の多くはロボットによって生成されたコンテンツが原因なので、一部のサイトではビジュアル・パズルなどの手法を使っています。このパズルによって、ロボットが直接 Web 要求を送信するのではなく、人間がフォームを入力していることを確実にしようとしています。このような手法を検討するときには、必ず Web のユーザー補助を考慮してください。視覚障害者にはビジュアル・パズルは見えません。またポータブル機器のユーザーの場合、表示が崩れて見にくくなる可能性も考えられます。最善の策は、スパムで送られてくることがわかっている URL に対するテストを含めた検証システムのレイヤーを組み込むこと、あるいは編集チームを配置して投稿を監視し、検証することです。編集チームのメンバー自身も時折コメントを投稿すれば、話し合いをさらに進める有益なきっかけとなり、人間的な接触によって信頼の雰囲気が強まることになります。成功したほとんどのサイトでは、コミュニティー全体が編集チームとなっています。ウィキペディアはこの交流を促すために、各ページにバック・チャネルを用意しています。この並行して議論を行えるページでは、エントリーのコンテンツを取り決めたり、タグ付けやその他の編集活動について説明したりすることができます。




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統合技術

最近のWeb サイトには、ユーザーから全般的に期待されていることがいくつかありますが、これらの期待に応えることが、協調の文化を育む鍵です。一例を挙げると、ユーザーは興味のあるサイトのあらゆる情報に対して Web フィードを期待します。ウィキペディアと MediaWiki ソフトウェアは、更新を追跡する Web フィードに関してはことさら充実しています。このように、ユーザーが記事に極めて高い関心を持っている場合には、関連する技術の動向をしっかりと追い続けることができるようにします。リスト 1 は、IBM developerWorks の記事に関する実際のウィキペディアのフィードの例です。このフィードには最新の変更を表すエントリーが 1 つだけあり、フォーマット上のマイナーな調整が多数記載されています。


リスト 1. ウィキペディアの IBM developerWorks 記事に関する更新フィードからの抜粋
                
    <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom" xml:lang="en">
 <id>http://en.wikipedia.org//w/index.php?title=IBM_DeveloperWorks&amp;action=history</id>
 <title>IBM DeveloperWorks - Revision history</title>
 <link rel="self" type="application/atom+xml"
href="http://en.wikipedia.org//w/index.php?title=IBM_DeveloperWorks&amp;action=history"/>
 <link rel="alternate" type="text/html"
href="http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=IBM_DeveloperWorks&amp;action=history"/>
 <updated>2007-08-09T22:55:35Z</updated>
 <subtitle>Revision history for this page on the wiki</subtitle>
 <generator>MediaWiki 1.11alpha</generator>
  <entry>
   <id>
http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=IBM_DeveloperWorks&amp;diff=138026693
&amp;oldid=prev</id>
   <title>Chris Chittleborough: Undid revision 137942824 by 76.21.123.38 (talk) -
    old URL works, no need for query string</title>
   <link rel="alternate" type="text/html"
    href="http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=IBM_DeveloperWorks&amp;diff=138026693
&amp;oldid=prev"/>
   <updated>2007-06-14T00:18:33Z</updated>
   <summary type="html">
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;/wiki/WP:UNDO&quot; 
title=&quot;WP:UNDO&quot;&gt;Undid&lt;/a&gt; 
revision 137942824 by &lt;a
href=&quot;/wiki/Special:Contributions/76.21.123.38&quot; 
title=&quot;Special:Contributions/76.21.123.38&quot;&gt;76.21.123.38&lt;/a&gt;
(&lt;a href=&quot;/w/index.php?title=User_talk:76.21.123.38&amp;amp;action=edit&quot;
class=&quot;new&quot; title=&quot;User talk:76.21.123.38&quot;&gt;talk&lt;/a&gt;)
 - old URL works, no need for query string&lt;/p&gt;
   </summary>
   <author><name>Chris Chittleborough</name></author>
 </entry>
</feed>

    

このフィードは Atom フォーマットになっており、ご覧のようにタイトルが変更の概要を説明し、サマリーが詳細を説明しています (実際のフィードは非常に長いものなので、上記はサマリーを省略してあります)。サマリーのコンテンツが自動生成される場合は、HTML テキスト形式ではなく XHTML を使用したほうが、他のコードがこの詳細情報にアクセスしやすくなるので便利です。サイトの改良案として検討してみてください。




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まとめ

ユーザーが投稿するコンテンツにシステムを開放するのは恐ろしいことだと言えるでしょう。この場合、ユーザビリティー、法律、方針、そしてデータ品質という新しい問題に対処しなければなりません。しかもそれはユーザーが誠意を持ってアクセスする場合の話に限ります。それとは別に、あらゆる類の大損害をもたらす可能性のある悪意を持ったエージェントにも立ち向かわなければなりません。後者の問題について大勢の人々が指摘しているのは、不正利用の対象となるということは、参加型経済において価値の高いサービスを提供する際には避けられないということです。Rafe の法則と呼ばれる的を射た引用によると、「インターネット・サービスはスパム送信者の攻撃を受けるまでは、本当の意味で成功したとは言えない」と述べています。Cory Doctorow をはじめとするインターネット評論家の意見も同様です。一般に、構造的基盤を使用し、ウィキペディアなどの成功したプロジェクトで使われているコードおよびツールを再利用すれば、ユーザーが貢献できるように門戸を開く際の懸念を軽減できます。

最新の Web サイトのツール一式をユーザーに提供し、ユーザーが独自のコードとマッシュアップを作成できるようにしてください。その方法については、連載「真の Web 2.0」のこれまでの記事でいくつか例を説明しています。実際、前回の記事で紹介した IBM developerWorks ブックマークレットに非常によく似たウィキペディア検索ブックマークレットを作成した仲間もいます。サイトを利用する方法が増えれば増えるほど、ユーザーが投稿する機会もその意欲も増すことになります。ユーザーは、他人のサーバーで作成したデータを含め、自分のデータに対しては何らかの所有意識を持ちたいものです。ユーザーのデータを別の場所でも再利用できるようにすることで、特定のサイトに自分たちの情報が永久に閉じ込められてしまうことにはならないかというユーザーの不安を和らげてください。このような信頼が、ユーザーに Web サイトのネットワーク効果を後押しする気にさせるのです。



参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために
  • ウィキペディアのエンジン、MediaWiki を試してみてください。

  • wikEd はウィキペディアの編集に役立つツールで、他の MediaWiki システムにも使用できます。


議論するために


著者について

Uche Ogbuji 的照片

Uche Ogbuji氏は、Fourthought, Inc. のコンサルタント兼共同設立者です。この会社は、企業のナレッジ・マネジメントのためのXMLソリューションを専門とするソフトウェア・ベンダー兼コンサルタント会社です。Fourthoughtでは、XML、RDF、およびナレッジ・マネジメント・アプリケーション用のオープン・ソース・プラットフォームである4Suiteを開発しています。Ogbuji氏は、ナイジェリア出身のコンピューター・エンジニア兼ライターで、現在は、米国コロラド州ボールダーに住み、そこで働いています。Ogbuji氏の連絡先はuche.ogbuji@fourthought.com です。




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