HATS によるモバイル機器サポートの紹介

Rational Host Access Transformation Services を使用して、グリーン・スクリーン・アプリケーションをモバイル機器にまで拡張する

この記事では、文字ベースの 3270/5250 ホスト・アプリケーションに携帯電話やデータ収集端末、そして携帯情報端末 (PDA) などのモバイル機器からアクセス可能にする、IBM® Rational® Host Access Transformation Services (HATS) のサポートについて要約します。この記事では、読者に HATS の機能とアプリケーション開発タスクについて実用的な知識があることを前提とします。

Rick Hardison, Consultant, Systems Documentation, Inc. (SDI)

Rick HardisonRick Hardison は 1970年、ジュニア・プログラマーとしてノースカロライナ州ローリーの IBM に入社しました。1992年にはテクニカル・マーケティング部に異動し、IBM Communications のクライアントとサーバー、Host On-Demand、および Host Access Transformation Services のサポートに従事しました。2005年に IBM を退社してからは、Systems Documentation, Inc. (SDI) を通じて技術文書の作成を含めたコンサルティング・サービスを行っています。



2011年 1月 25日

概要

IBM® Rational® Host Access Transformation Services (HATS) では、実績のある既存のホスト・アプリケーションにまったく影響を及ぼすことなく、ホスト・アプリケーションへのアクセス手段として今風のインターフェースをユーザーに提供することができます。その方法は、IBM® System z® プラットフォーム上で実行される 3270 アプリケーションと IBM® i® プラットフォーム上で実行される 5250 アプリケーションを動的に変換して、Web、ポータル、あるいはリッチ・クライアントのユーザーが利用できるようにしたり、主要なビジネス・プロセスとデータを Web サービスとして公開するというものです。

HATS を使用することで、使いやすいグラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) を提供する Web アプリケーションやリッチ・クライアント・アプリケーションを作成し、3270/5250 ホスト・アプリケーションのユーザビリティーを向上させ、再利用性を高めることができます。

HATSポートレットを含め HATS Web アプリケーションは、企業の Web またはポータルの GUI 標準に適合したインターフェースを持つように開発することができ、ユーザーは各自の Web ブラウザーからこれらのアプリケーションにアクセスすることができます。HATS Web アプリケーションは、携帯電話やデータ収集端末、そして PDA などのモバイル機器からホスト・アプリケーションにアクセスできるように開発することも可能です。

モバイル機器のサポート

ユーザーは、モバイル・ブラウザーを使って Web アプリケーションにアクセスすることができます。ただし、モバイル機器には従来のワークステーション・クライアント機器とは異なる特性があります。モバイル機器ならではの以下の特性により、Web アプリケーションには従来とは異なる要件が課せられます。

  • 従来のクライアント機器の画面は、例えば 1024 x 768 ピクセルなどの比較的大きいサイズとなっています。一方、標準的なモバイル機器の画面サイズは、例えば 320 x 240 ピクセルほどの小ささです。
  • また、従来のクライアント機器は、一般にマウスやキーボードによるユーザー操作をサポートしますが、モバイル機器の場合、例えば携帯電話であれば、その携帯電話で提供されているキーしか使えません。
  • もう 1 つの違いとして、従来の機器はモバイル機器に比べ、処理能力、メモリー量、そしてインターネットへの接続速度に優れているのが通常です。

Rational HATS では、モバイル機器から 3270/5250 ホスト・アプリケーションにアクセスするための Web アプリケーショションを開発することができます。その開発プロセスは、HATS Web アプリケーションを開発する場合と同じですが、モバイル機器およびモバイル Web ブラウザーならではの特性を考慮する必要があります。

HATS には、上記の要件を満たす Web アプリケーションを開発する際に役立つ新機能がいくつも組み込まれています。この記事では、これらの新機能ならびに他の HATS 機能について、モバイル機器から 3270/5250 ホスト・アプリケーションへのアクセスを可能にするために HATS で使用できる以下の 2 つの手法を紹介します。

  • 1 番目の手法では、HATS を使用して Web アプリケーションを開発します。このアプリケーションは、ホスト画面を動的に変換し、モバイル機器の要件を満たす今風のグラフィカルな Web ページにします。
  • 2 番目の手法では HATS の統合オブジェクトを使用し、ホスト・アプリケーションにアクセスして、モバイル機器からアクセスできるようにカスタマイズした Web ページを作成します。

画面変換を使用したモバイル機器のサポート

HATSの画面変換機能は、モバイル機器をサポートするHATS Web アプリケーションの開発を可能にします。バージョン 7.1 では Microsoft Internet Explorer Mobile ブラウザーをサポートします。さらにバージョン 7.5.1 は iPhone OS Safari もサポートするように拡張されているので、Apple iPhone または Apple iPod touch を使って HATS アプリケーションにアクセスすることができます。

開発の最初のステップは、あらゆる HATS アプリケーションの例に洩れず、HATS プロジェクトを作成することです。

プロジェクトを作成する

「Create a Project (プロジェクトの作成)」ウィザードの最初のページで、「Optimize options for mobile devices (モバイル装置用にオプションを最適化)」チェック・ボックスを選択します。

図 1. モバイル機器を対象としたプロジェクトの作成
プロジェクトの作成ウィザード

このオプションを選択すると、プロジェクトがモバイル機器に最適なオプションで初期化されます。一部のオプション (印刷、キーボード、非同期更新など) は、モバイル機器の場合はサポートされません。したがって、これらのオプションは無効に設定されます。

モバイル機器用にプロジェクトを最適化した場合、プロジェクトのテーマを選択するオプションは提供されません。この場合には、モバイル機器オプションがテーマそのものであると見なすことができます。

また、モバイル機器で使用するために最適化されたテンプレートのみが、プロジェクトで使用可能になっています。

図 2. デフォルト・テンプレート
デフォルト・テンプレート・パネル

デフォルト・プロジェクト設定

デフォルト・レンダリング

モバイル機器用に最適化されたプロジェクトを作成すると、通常の Web アプリケーション用のプロジェクトとは異なる点がいくつかあることに気付くはずです。例えばプロジェクト設定には、「compact」という2 つ目のレンダリング・セットが作成されます。このレンダリング・セットがデフォルトとして設定され (図 3 を参照)、「Use compact rendering (コンパクト・レンダリングの使用)」オプションが選択された状態になっています。

図 3. デフォルト・レンダリング
プロジェクト設定のデフォルト・レンダリング・パネル

一般に、デフォルト・レンダリング・セットは元のホスト画面の構造を維持するように努めると同時に、ユーザーの生産性を向上させるための GUI コントロールを自動的に追加して機能性を拡張します。その一方、ホスト画面のデフォルト・レンダリングをモバイル機器に表示できるように、ある程度の縮小表示を許可する「Use compact rendering (コンパクト・レンダリングの使用)」オプションが提供されています。これは、HTML と余白の量を減らすことを意味するため、このオプションによって元のホスト画面とは異なる構造が表示される場合もあります。

compact」レンダリング・セットでは、選択リストのデフォルト・レンダリングとして、リンク・ウィジェットではなく、ドロップダウン (選択) ウィジェットが使用されることに注目してください。これはモバイル機器の小さな画面を前提に、スペースを確保するためです。例えば、図 4 のホスト画面での選択リストは、デフォルトでドロップダウン・リストに変換されます。

図 4. ホスト画面での選択リスト
ホスト画面での i5/OS メイン・メニュー

図 5 では、選択リストにドロップダウン・ウィジェットが使用されています。

図 5. デフォルトでドロップダウン・ウィジェットとしてレンダリングされた選択リスト
iPhone 画面でのドロップダウン・ウィジェット

ドロップダウン・ウィジェットを選択すると、ドロップダウン・リストに選択リスト内の項目が表示されます (図 6 を参照)。

図 6. ドロップダウン・メニュー選択項目のデフォルト・レンダリング
iPhone 画面でのドロップダウン・リスト選択項目

さらに、「compact」レンダリング・セットでは、ダイアログが認識されて変換されることにも注目してください。図 7 に示すホスト画面では、四角で囲まれた領域がダイアログとして認識されます。

図 7. ホスト画面でのダイアログ
i5/OS ホスト画面でのコレクションまたはライブラリーの指定

デフォルトでは、画面のダイアログの領域だけが、モバイル機器での表示用に変換されます。

図 8. デフォルトのダイアログ変換
iPhone 画面でのデフォルトのダイアログ変換

アプリケーション・キーパッド

「Application Keypad (アプリケーション・キーパッド)」設定と「Host Keypad (ホスト・キーパッド)」設定の両方には、モバイル機器用のオプションが追加されています。モバイル機器用に最適化されたプロジェクトでは、アプリケーション・キーパッドはデフォルトで、アイコンのセットとして表示されます (図 9 のドロップダウン・メニューを参照)。

図 9. アプリケーション・キーパッドの設定
プロジェクト設定のアプリケーション・キーパッド・パネル

図 10 に、画面の右上端にアイコンのセットとして表示されたデフォルトのアプリケーション・キーパッドを示します。

図 10. アイコンとして表示されたデフォルトのアプリケーション・キーパッド
iPhone 画面に表示されたデフォルトのアプリケーション・キーパッド

ホスト・キーパッド

デフォルトでは、ホスト・キーパッドはドロップダウン・リストとして表示されます。表示するキーは選択することができますが、少なくともデフォルト変換とすべてのカスタム変換用の Enter キーは含めてください。これは、モバイル用プロジェクトでは、キーボード・サポートが無効になるためです。

図 11. ホスト・キーパッドの設定
プロジェクト設定のホスト・キーパッド・パネル

図 12 に、「Submit (送信)」ボタン付きのドロップダウン・リストとして表示されたデフォルトのホスト・キーパッドを示します。

図 12. 「Submit (送信)」ボタン付きのドロップダウン・リストとして表示されたデフォルトのホスト・キーパッド
iPhone 画面に表示されたホスト・キーパッド・ドロップダウン・ウィジェット

ホスト・キーパッド・ドロップダウン・リスト・ウィジェットを選択すると、デフォルト変換に定義したホストのキーが、以下のようにドロップダウン・リストに表示されます。

図 13. ホスト・キーパッドのドロップダウン・メニュー
iPhone 画面に表示されたホスト・キーパッドのキー

ウィジェットの設定

次に、フィールド・ウィジェットのプロジェクト設定に目を向けてください (図 14 を参照)。新たなレイアウト設定では、「Table (テーブル)」または「Separated (分離)」のいずれかのオプションを選択することができます。

  • 元のホスト画面のレイアウトを維持できるように、出力をテーブル形式でレンダリングするには、「Table (テーブル)」を選択します。このオプションは、モバイル機器用に最適化されていない Web アプリケーションの場合のデフォルトです。
  • HTML および余白の量を削減するために、各フィールドをインライン・スパン・タグで区切って出力をレンダリングするには、「Separated (分離)」を選択します。このオプションは、モバイル機器用に最適化された Web アプリケーションの場合のデフォルトです。
図 14. フィールド・ウィジェット
プロジェクト設定のフィールド・ウィジェット・パネル

さらに、「Enable cursor positioning option on input fields (入力フィールドのカーソル位置オプションを使用可能にする)」設定を使用して、ユーザーがデータ入力モードと入力フィールドのカーソル位置モードを切り替えられるようにすることもできます。データ入力モードでは、例えば以下に示す「User (ユーザー)」フィールドにユーザーがデータを入力することができます。

図 15. データ入力モード
MYIDBAD という ID が入力されたユーザー ID 入力フィールド

カーソル位置モードに切り替えるには、入力フィールドの後にアスタリスク (*) で示されたリンクをクリックします。

図 16. カーソル位置モードへの切り替え
アスタリスクが選択されたユーザー ID フィールド

カーソル位置モードでは、ユーザーが入力フィールド内の任意の文字にタブで移動したり、カーソルを文字上に配置したりすることができます。図 17 に示すカーソルは、MYIDBAD ユーザー ID に含まれる文字 B に配置されています。

図 17. カーソル位置モード
MYIDBAD の文字 B が強調表示されたユーザー ID フィールド

データ入力モードに戻るには、入力フィールドの後にアスタリスク (*) で示されたリンクを再度クリックします。

図 18. データ入力モードへの切り替え
アスタリスクが選択されたユーザー ID フィールド

図 19 に、データ入力モードに戻った後の入力フィールドを示します。

図 19. データ入力モード
データ入力モードのユーザー ID フィールド

この時点で、例えばユーザーが「Field exit (フィールド終了)」キーを実行すると、カーソルの位置からフィールドの終わりまでのデータが削除されて、カーソルが次のフィールドに移動します (図 20 および図 21 を参照)。

図 20. ホスト・キーパッドから実行した「Field exit (フィールド終了)」
フィールド終了が選択されたホスト・キーパッド
図 21. フィールド終了による次の入力フィールドへの移動
MYID に設定されたユーザー ID フィールドと選択状態のパスワード・フィールド

この設定は、他にカーソル位置機能がないモバイル機器に役立ちます。この設定を使用できるウィジェットは、フィールド、ポップアップ、サブファイル (チェック・ボックス)、サブファイル (ドロップダウン)、サブファイル (ポップアップ)、テーブル、およびテキスト入力です。

モバイル機器でテーブルのデータを表示する際に役立つよう、Rational HATS ではテーブル、サブファイル (チェック・ボックス)、サブファイル (ドロップダウン)、およびサブファイル (ポップアップ) の各ウィジェットに「Columns placement (列の配置)」機能を提供します。この機能によって、列を配置したり、表示から列を除外したりすることができます。また、狭くなった横方向のスペースにもテーブルが収まるように、詳細列は展開して表示する形になります。

詳細列を展開すると、データの基本列がある行のすぐ下に表示されます。ユーザーがある特定の行を展開すると、詳細列は画面の右方向ではなく、画面の下方向に展開されるため、ユーザーは横スクロールに頼らずに、小さな画面で任意の数の列を見ることができます。

図 22. 列の配置
列の配置

例えば、図 23 に示すホスト画面上のテーブルには以下の 4 つの列があります。

  • PART_NUMBER
  • PART_NAME
  • SALES_PRICE
  • PRODUCT_CATEGORY
図 23. ホスト画面に表示された列データ
4 つのデータ列が表示されたホスト画面

プロジェクトがモバイル機器用に最適化されている場合、テーブル・ウィジェットは最初の 2 つの列だけを基本列として表示します (図 24 を参照)。

図 24. 基本列
最初の 2 つのデータ列を表示するテーブル・ウィジェット

ユーザーが行を展開して詳細列を表示すると (図 25 を参照)、詳細列は基本列の下に縦に並んで表示されます。

図 25. 詳細列
基本列の下に詳細列を表示するテーブル・ウィジェット

Keep detail columns on the server (詳細列をサーバーに保持)」オプションを選択することもできます。このオプションを選択すると、不要な詳細データが HTTP でエンド端末に送信されなくなるため、場合によっては転送データの量が減ることになります。ユーザーが具体的にリクエストした詳細データだけが、オンデマンドで取得されてブラウザーに送信されます。

画面のカスタマイズと変換

以上で説明した HATS の画面カスタマイズ機能および変換機能は、モバイル機器で本当に使いやすいように最適化されたアプリケーションを作成する上で役立ちます。これらの機能を使用することで、必要な機能だけを使用可能にして後の機能は非表示にする、使い勝手の良い Web ブラウザー・インターフェースを作成することができます。例えば図 26 のようなホスト画面を、図 27 のように遥かに読みやすく、ナビゲートしやすい Web ページに変換することができます。

図 26. 複雑なホスト画面
難解で複雑なホスト画面
図 27. ホスト画面の Web 変換
値を選択できる単純なドロップダウン・リスト

このように、表示する情報を制限し、複数の画面から結果を収集して、スクロール可能な単一の Web ページに表示することができます。HATS では、複雑なインターフェースをユーザーから隠し、必須フィールドに対してのみ入力プロンプトを出して、有効な値を示すドロップダウン・リストを提供することができます。さらに、結果を読みやすく、理解しやすくするために、さまざまな HTML ウィジェットを使用して結果を表示することができます。

エンド・ユーザーのために画面を組み合わせ、不要な画面を省略し、情報を入力してマクロを実行することが可能な Rational HATS は、トランザクションを完了するために必要なキー・ストローク数とワークフローのステップ数を減らしてトラザクションを効率化します。グラフィカル・ユーザー・インターフェースを使った、これらの効率的なトランザクションによって、ホスト・アプリケーションの機能がモバイル機器のユーザーにも使用できるようになります。

設定

HATS では、Web プロジェクトで新規ブランク画面変換を作成するときに、フリー・レイアウト・テーブルを変換に含める場合もあれば、含めない場合もあります。デフォルトでは、プロジェクトがモバイル機器用に最適化されている場合、HATS はフリー・レイアウト・テーブルを含めません。このオプションは、HATS Toolkit 設定で選択可能です。

設定にアクセスするには、Rational メニュー・バーから「Window (ウィンドウ)」 > 「Preferences (設定)」の順に選択します。設定の 1 つに、Web プロジェクトで作成するブランク変換ごとにフリー・レイアウト・テーブルを含めるかどうかを指定できるオプションがあります。デフォルトでは、モバイル機器用に最適化されているプロジェクトに対しては、HATS はこのオプションを「Except when the project is optimized for mobile devices (プロジェクトがモバイル装置用に最適化されている場合を除く)」オプションを選択して無効にします。

図 28. 設定ビュー
設定ビューの HATS 変換パネル

統合オブジェクトを使用したモバイル機器のサポート

強力な HATS のマクロ機能と統合オブジェクト機能を使用して、ユーザー用の事前定義トランザクションを作成することができます。これらの事前定義済みトランザクションは、モデル 1、Struts、JSF (JavaServer Faces) による Web ページ、または Web サービスをインターフェースとして使って、ユーザーにアカウント番号や部品番号などの入力を求めるプロンプトを出すことができます。すると、HATS がユーザーに代わり、ホスト・アプリケーションを駆動してトランザクションを完了させます。この機能は、モバイル機器がアクセスできるように情報を外部化することを可能にする一方、ユーザーに許可する表示内容および操作内容を制御します。また、この機能を使用して、HATS 画面変換機能でサポートしている以外の Web ブラウザーをサポートするモバイル機器用 HATS アプリケーションを開発することもできます。

トランザクションが複数のホスト・アプリケーションによって行われる場合、HATS はこれらのホスト・アプリケーションとの対話をすべて、単一の Web インターフェースによって統合します。例えば、あるホスト・アプリケーションが新しい注文情報を処理し、別のホスト・アプリケーションが顧客アカウントまたは履歴情報を処理するとします。HATS では、この 2 つのアプリケーション間の通信を単一の Web インターフェースで行うことができます。2 つの異なるアプリケーションを使用していることは、ユーザーにはわかりません。

HATS Web 駆動型ホスト・トランザクションを実装するには、以下のステップに従えばよいのです。

  1. ホスト・トランザクションの作成時に表示されるホスト画面を、プログラムによってナビゲートする HATS マクロを作成します。
  2. 作成したマクロから、HATS 統合オブジェクト (IO: Integration Object) を生成します。このオブジェクトは、マクロを実行するプログラミング・インターフェースをカプセル化して提供する Java Bean です。
  3. モバイル機器のユーザーが IO を呼び出すための Web ページを生成します。

HATS マクロを作成する

HATS Toolkit を使用すれば、簡単にマクロを作成することができます。「Host Terminal (ホスト端末)」ウィザードで、実際のホスト接続を使ってホスト画面をナビゲートしながらマクロを記録します。マクロを使用することで、ユーザーにホスト画面の入力フィールドへの入力を求めるプロンプトを出し、別の画面にナビゲートし、これらの画面からデータを抽出してユーザーのモバイル・ブラウザーに返すように HATS をプログラミングすることができます。

図 29. ホスト端末を使用した HATS マクロの記録
マクロ・ナビゲーターとホスト画面が表示されたホスト端末

記録したマクロを編集するには、同じ「Host Terminal (ホスト端末)」ウィザードを使用することも、HATS Toolkit に付属のマクロ・エディターまたは拡張マクロ・エディターを使用することもできます。

HATS には、ビジュアル・マクロ・エディター (VME: Visual Macro Editor) も組み込まれています。VME は、HATS マクロを視覚的に開発するためのツールです。したがって、マクロをより簡単に作成できるとともに、開発段階でマクロに含まれるロジック問題を見つけやすくなります (図 30 を参照)。VMEは、HATS のホスト端末、マクロ・エディター、および拡張マクロ・エディターの多くの機能を 1 つのツールに組み合わせ、マクロのオフライン開発を可能にします。マクロがホスト端末で記録されている間にオプションで自動画面キャプチャーを行えるだけでなく、フローをマクロ間でコピーすることも、新しい画面をドラッグ・アンド・ドロップで追加することもできます。

図 30. ビジュアル・マクロ・エディターを使用したマクロの開発
ホスト画面とフローが表示されたビジュアル・マクロ・エディター

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図 30. ビジュアル・マクロ・エディターを使用したマクロの開発

ホスト画面とフローが表示されたビジュアル・マクロ・エディター

統合オブジェクトを作成する

マクロの IO を作成すると、そのマクロを実行するための Java プログラミング・インターフェースが作成されます。このインターフェースは、マクロが想定する入力を受け入れ、マクロを駆動し、マクロによって提供された出力を返します。マクロを作成した後は、「HATS Projects (HATS プロジェクト)」ビューでそのマクロを右クリックし、「Create Integration Object (統合オブジェクトの作成)」を選択するだけで簡単に IO を作成することができます。HATS 設定によって、マクロを保存すると常に IO が自動的に作成されるように指定することができます。

図 31. マクロからの統合オブジェクトの作成
プロジェクト・ビューの統合オブジェクトの作成メニュー項目

Web ページを作成する

モバイル機器用の IO アプリケーションを開発する際の次のステップは、Web ページの作成です。この Web ページが IO、そして最終的にはマクロを駆動することによって、モバイル機器のユーザーが入力を送信し、ホスト・アプリケーションから出力を受信できるようにします。Web ページを作成するには、統合オブジェクトを右クリックし (図 32 を参照)、「Create Model 1 Web Pages (モデル 1 Web ページの作成)」、「Create Struts Web Pages (Struts Web ページの作成)」、または「Create JSF Web Pages (JSF Web ページの作成)」のいずれかのオプションを選択すればよいのです。

図 32. 統合オブジェクトを駆動する Web ページの作成
プロジェクト・ビューの Web ページの作成メニュー項目

「Create Web Pages (Web ページの作成)」ウィザードでは、Web ページに表示する入力プロパティーと、使用する入力コントロールを指定することができます。また、出力コントロールを含め、表示する出力プロパティーを指定することもできます。

図 33. Web ページに表示する入力プロパティーの定義
入力プロパティーの定義パネル

3270/5250 ホスト・アプリケーションは接続指向であるため、接続プールを接続マクロと切断マクロと併せて使用して、IO を実行する際のパフォーマンスと応答時間を最適化することをお勧めします。アプリケーションで接続プールを指定し、HATS に接続マクロと切断マクロを使用するように指定すると、サインオン済みでリクエストに応じてすぐに IO を実行できるホスト接続のプールを HATS は管理するようになります。この手法を使用すれば、IO を実行するたびにホスト・システムにサインオンし、サインオフする必要がなくなります。

アプリケーションをデプロイした後は、ユーザーがモバイル機器のブラウザーを使って Web ページの URL にアクセスし、ユーザーに許可された入力内容を入力できるようになります。

図 34. HATS 統合オブジェクトを駆動する Web ページ
iPhone に表示された統合オブジェクトの Web ページ

ユーザーが Web ページで入力を送信すると (図 34 を参照)、接続プールから接続が割り当てられ、IO が駆動され、それによってマクロおよびホスト・アプリケーションが駆動されるというわけです。

図 35. ユーザーが送信した入力によって駆動されるホスト・マクロ
ユーザーから送信された入力を表示するホスト画面

マクロはユーザーから送信された入力を使用して、ホスト・アプリケーションをナビゲートし、リクエストされた出力を抽出します。

図 36. ユーザーに返すために抽出されたデータ
ユーザーによってリクエストされた結果を表示するホスト画面

すると IO は、抽出された出力をユーザーのモバイル Web ブラウザーに渡します。そして接続が接続プールに戻されて、別の入力リクエストを待機します。

図 37. モバイル機器の Web ブラウザーに返されたホスト・データ
iPhone で結果を表示する Web ページ

モバイル・プロジェクトのマイグレーションおよびテスト

マイグレーション

3270/5250 ホスト・アプリケーションへのアクセス手段として今風のインターフェースを作成する作業に取り掛かるときには、従来の Web ブラウザーのユーザー用とモバイル・ブラウザーのユーザー用にそれぞれ異なる HATS アプリケーションを開発することになると思いますが、従来のユーザー用に HATS Web アプリケーションを開発した場合、その同じアプリケーションをモバイル・ユーザーや同様のユーザーにも使用するには、モバイル用の HATS プロジェクトを別途、手作業で開発しなければなりません。

以下に、既存の従来型 HATS Web アプリケーションと同様のモバイル用 HATS Web アプリケーションを作成する 1 つの手法での手順を説明します。

  1. 新規 HATS プロジェクトを作成し、「Optimize options for mobile devices (モバイル機器用にオプションを最適化)」オプションを選択します。
  2. 既存のプロジェクトから、スクリーン・キャプチャー、画面カスタマイズ、およびマクロのすべてを新しいモバイル用プロジェクトにコピーします。
  3. モバイル用プロジェクトに、モバイル機器の要件をサポートする新しい画面変換を作成します。
  4. 画面カスタマイズを修正して、適切な新規画面変換を適用します。
  5. 統合オブジェクト (IO: Integration Object) を使用する場合、コピーしたマクロから IO を再生成し、該当する IO を駆動する Web ページを作成し直して、モバイル機器の要件をサポートします。

テスト

HATS モバイル機器用アプリケーションをテストするには、従来の HATS Web アプリケーションをテストする場合と同じく、Rational SDP に付属の内部テスト・サーバーを使用することができます。Web ブラウザーには、付属の内部 Web ブラウザーまたは外部 Web ブラウザーのどちらを使用しても構いません。さらに、モバイル機器エミュレーターを使用して、より現実的なモバイル機器のテスト環境を作成することが最善です。また、必ず本物のモバイル機器でテストしてください。


まとめ

Rational HATS により、画面変換を行って、携帯電話やデータ収集端末、そして携帯情報端末 (PDA) などのモバイル機器から 3270/5250 ホスト・アプリケーションにアクセスできる HATS Web アプリケーションをより簡単に開発できるようになっています。さらに、堅牢な HATS マクロと統合オブジェクトのサポートを利用すれば、事前定義されたホスト・トランザクションにモバイル機器からアクセスすることもできます。これらの機能を使用することによって、増え続けるモバイル関連作業の生産性の向上、顧客ベースの拡大、サービス・レベルの向上を実現することができます。

参考文献

学ぶために

  • developerWorks の Rational HATS ページにアクセスして、情報、ダウンロード、デモなどを調べてください。
  • エンタープライズ・モダナイゼーション」で、関連する IBM ソフトウェアおよびサービスのすべてについて詳しく調べてください。
  • IBM Enterprise Modernization Sandbox を調べてください。実際的な実地体験を通して、System z および IBM i 向けの IBM エンタープライズ・モダナイゼーション・ソリューション (HATS を含む) を評価することができます。
  • Rational Software Delivery Platform 製品に関する技術リソース、ベスト・プラクティスについては、developerWorks の Rational エリアにアクセスしてください。
    • 無料の developerWorks Live! briefing に参加して、IBM の製品およびツール、そして IT 業界の傾向を素早く学んでください。
    • developerWorks の on-demand demos で、初心者向けの製品のインストールとセットアップから、熟練開発者向けの高度な機能に至るまで、さまざまに揃ったデモを見てください。
  • Rational training and certification カタログで、多種多様なトピックについて学べるさまざまなタイプのコースを調べてください。コースの一部は、いつでもどこででも受けられます。また、「入門」コースの多くは無料です。

製品や技術を入手するために

  • IBM Rational HATS Toolkit の試用版をダウンロードしてください。
  • ご自分に最適な方法で IBM ソフトウェアを評価してください。評価の方法としては、試用版をダウンロードすることも、オンラインで試してみることも、クラウド環境で使用することもできます。また、SOA Sandbox では、数時間でサービス指向アーキテクチャーの実装方法を効率的に学ぶことができます。

議論するために

  • Twitter で developerWorks をフォローしてください。
  • HATS HotSpot developerWorks グループの一員になって、ディスカッションに参加してください。また、資料を入手することも、ブログを投稿または読むこともできます。
  • developerWorks コミュニティーに参加してください。ここでは他の developerWorks ユーザーとのつながりを持てる他、開発者が主導するブログ、フォーラム、Rational Café などのグループ、そして製品それぞれの Rational ウィキを調べることができます。

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