Scribus によるオープンソースのデスクトップ・パブリッシング

Scribus は、レイアウト、フレーム、スタイル、色管理、ドキュメント内の列間のフローに重点が置かれたオープンソースのグラフィカル DTP (Desktop Publishing) ツールです。Scribus は Linux、Windows、Mac OS X プラットフォーム上で実行されるフリー・ソフトウェアであり、従来の DTP ツールの機能の大部分を無料で提供しています。

William von Hagen, Systems Administrator, Writer, WordSmiths

William von Hagen は、20 年以上の執筆活動および UNIX システム管理者としての経歴を積んでいます。1993年以来 Linux の支持者である彼は著者または共著者として、Ubuntu Linux、Xen 仮想化、GCC (GNU Compiler Collection)、SUSE Linux、Mac OS X、Linux ファイルシステム、 SGML などについての書籍を執筆しています。また、Linux および Mac OS X の出版物や Web サイトにも多数の記事を掲載しています。



2013年 7月 04日

LaTeX や Lyx などのマークアップおよび文書作成システムは、長い技術文書を作成することを得意としますが、文書の内容や構造に重点が置かれており、チラシ、広告、ニュースレター、雑誌などの文書に通常必要とされる詳細なレイアウト制御には重点が置かれていません。

Scribus は、レイアウト、フレーム、スタイル、画像および色の管理、ドキュメント内の列間のフローに重点が置かれたオープンソースのグラフィカル DTP (Desktop Publishing) ツールです。Scribus は Linux、Windows、Mac OS X プラットフォーム上で実行されるフリー・ソフトウェアであり、従来の DTP ツール (Adobe InDesign、Adobe Framemaker、QuarkXPress など) の機能の大部分を無料で提供しています。Scribus は PDF (Portable Document Format) や PDF 関連のフォーマットでドキュメントを生成し、そのドキュメントは標準的なレーザー・プリンターやインクジェット・プリンターで印刷することも、専用のハイエンド機器である RIP (ラスター・イメージ・プロセッサー) パブリッシング・ハードウェアや RIP 印刷ハードウェアで印刷することもできます。

構造化文書とレイアウト指向文書の比較

構造化文書では、フォーマット指定コマンド、スタイル、関連テキストからなる単一シーケンスを前提としており、文書内のセクションはあるセクションから次のセクションへと直線的に進むため、このシーケンスは一般にフローと呼ばれます。構造化文書を特定のプリンターに出力する場合や、他の出力フォーマットで出力する場合、文書のすべての構成要素を入力文書で表示される場所とまったく同じ場所に表示する必要はありません (例えば、図や補足記事などの要素)。これらの要素は、印刷出力内でフロートさせることができますが、その場合も 1 つの文書のフローというコンテキストの中でフロートさせる必要があります。

レイアウト指向文書は、特定の出力フォーマット (例えば、8.5x11 インチのページ) 用に設計された文書であるため、その出力フォーマットの制約に基づいて、テキストやグラフィックスを明示的かつ正確に配置することができます。そうした正確な位置決めができるように、レイアウト指向文書は 1 つの文書内での複数のフローをサポートしています。これらの複数のフローはフレームを使用することで実現されます。フレームはテキストやグラフィックスを含む固定幅の領域であり、他のフレームに接続 (つまりチェーン) することができます。フレームをチェーンすることにより、最初のフレームに収まりきらない長いテキストを自動的に別のフレームに続けることができます。例えば、ページをまたがる新聞記事を構成するフレームは、最初のページのフレームが次のページのフレームに接続された状態になります。このように複数のフローと、フレームおよびグラフィックスの正確な配置に重点が置かれている点が、DTP ソフトとワープロ・ソフトの主な違いです。

オープンソースの一般的な文書作成パッケージ (LaTeX や Lyx など) は、構造化文書を作成するために設計されている一方で、AbiWord、KWord (KOffice の一部ですが、KOffice は残念ながらアクティブな開発は行われなくなりました)、LibreOffice といったパッケージは、フレームをサポートするように (ただし、必ずしもフレームを使用しなければならないわけではありません) 作られています。(これらのパッケージの詳細については「参考文献」を参照。) Scribus は DTP 用に設計されているため、基本概念としてフレームを使用します。


サポートされるプラットフォームに Scribus をインストールする

Scribus は、ほとんどの Linux ディストリビューションのリポジトリーから入手することができます。皆さんが使用している Linux ディストリビューションのリポジトリーから Scribus を入手できる場合には、root ユーザーとして、あるいは sudo コマンドと皆さんのディストリビューションの標準的なパッケージ管理コマンドを使用して、お使いのシステムに Scribus をインストールすることができます。

Linux を使用していない場合や、皆さんのディストリビューションのオンライン・リポジトリーに Scribus パッケージが含まれていない場合には、Windows (32 ビットまたは 64 ビット)、Mac OS X、OS/2 eComStation、Haiku のための Scribus の最新リリースを Scribus のダウンロード・ページ (「参考文献」を参照) からダウンロードすることができます。このダウンロード・ページのリンクから、openSUSE、SUSE Linux Enterprise Server 11、Red Hat Enterprise Linux 6、CentOS 6、Mandriva Linux の各ディストリビューション用の RPM Package Manager ファイルをダウンロードすることもできます。


Scribus でドキュメントを作成、またはドキュメントを開く

Scribus をインストールしたら、Scribus を選択することで起動することができます。その方法としては、GNOME ベースの Linux システムの「Graphics (グラフィックス)」メニューから選択する方法、Linux システムのコマンドラインから行う方法、Windows システムの「Start (スタート)」メニューの Scribus フォルダーから選択する方法、Mac OS X システムの「Applications (アプリケーション)」フォルダーから選択する方法があります。

グラフィカル・ファイル・マネージャーで既存の Scribus ドキュメントをダブルクリックして Scribus を起動する場合と、コマンドラインから既存の Scribus ファイルの名前を指定して Scribus を起動する場合を除き、Scribus が起動されると「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウが表示されます (図 1)。

図 1. Scribus の「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウ
Scribus アプリケーションの「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウを示す画像

「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウでは、以下の操作を容易に行うことができます。

  • 一般的なページ・レイアウト (単一ページ、両面、三つ折り、四つ折りのドキュメントなど) で新規ドキュメントを作成する
  • 一般的なタイプのレイアウト指向ドキュメント用に用意されたさまざまなテンプレートから新規ドキュメントを作成する
  • 最近編集されたドキュメントの一覧から、またはシステムの標準的なブラウズ・ウィンドウを使用して、既存の Scribus ドキュメントを開く

以下の 2 つのセクションでは、さまざまなタイプの Scribus ドキュメントを新規に作成する方法について説明します。

ドキュメント・レイアウトからドキュメントを作成する

標準的なドキュメント・レイアウトをベースに新規ドキュメントを作成するには、以下の手順を実行します。

  1. 必要なレイアウトを「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウで選択します。
  2. 新規ドキュメント内に複数のテキスト・フレームを自動的に作成するために、「New Document (新規ドキュメント)」ウィンドウで「Automatic Text Frames (自動テキストフレーム)」チェックボックスを選択し、新規ドキュメントに必要な列数と列間のギャップを指定します。
  3. OK」をクリックすると新規ドキュメントが作成されます。

図 2 はドキュメント・レイアウトとして、「Double Sided (両面)」を使用して作成された新しい Scribus ドキュメントを示しています。

図 2. 標準的なドキュメント・レイアウトから作成された新規ドキュメント
レイアウトのみの新規 Scribus ドキュメントを示す画像

ヒント: ドキュメント・レイアウトから新規 Scribus ドキュメントを作成する場合のデフォルトの紙サイズは A4 です。汎用のドキュメント・レイアウトから新規ドキュメントを作成する場合には、そのドキュメントに使用する紙サイズを必ず「Size (サイズ)」リストから選択する必要があります。ドキュメント作成プロセスのできるだけ早い段階でページ・サイズを指定することで、後で大幅なレイアウト変更をする必要がなくなります。

テンプレートからドキュメントを作成する

新規ドキュメントを作成する多くの場合、「New from Template (テンプレートから新規作成)」タブ (図 3) のオプションを使用した方が、デフォルトのドキュメント・レイアウト・オプションを使用するよりも便利です。このタブを使用すると、Scribus ユーザーによって提供された各種テンプレートの中から好きなものを使用して新規ドキュメントを作成することができます。テンプレートを使用すると、一般的なタイプの新規ドキュメントを作成する場合に、かなりできあがった状態から始めることができるため、フレームの作成や配置に必要な時間を節約することができます。

図 3. 新規 Scribus ドキュメントをテンプレートから作成する
Scribus の「New from Template (テンプレートから新規作成)」タブを示す画像

テンプレートから新規ドキュメントを作成する場合、作成するドキュメントの形式を「New from Template (テンプレートから新規作成)」タブの左側のペインで選択すると、利用可能なテンプレートが中央ペインに表示されます。次に、中央ペインで特定のテンプレートを選択します。右側のペインで「Preview (プレビュー)」をクリックすると、そのテンプレートに関連付けられたレイアウトが表示されます。使用したいテンプレートを選択して「OK」をクリックすると、新しいドキュメントが作成されます。

テンプレートまたは既存ドキュメントのフォントを置き換える

Scribus のフォント

Scribus はデフォルトで、システム内のフォントが格納されている標準的な場所でフォントを探します。

  • Linux ― Scribus は、/usr/share/fonts ディレクトリーと /usr/local/share/fonts ディレクトリーにあるフォントを自動的に使用します。また Scribus は、ユーザーのホーム・ディレクトリーの .fonts サブディレクトリーにあるユーザーごとの個別フォントも検索します。
  • Mac OS X ― Scribus は、 /Library/Fonts、/System/Library/Fonts、 /Network/Library/Fonts ディレクトリーにあるフォントを自動的に使用します。また Scribus はユーザーのホーム・ディレクトリーの Library/Fonts サブディレクトリーにあるユーザーごとの個別フォントも検索します。
  • Windows ― Scribus は、Windows XP およびそれ以降のシステムの Windows\Fonts ディレクトリーにあるフォントを自動的に使用します。

他のディレクトリーにあるフォントを使用できるように、Scribus にはドキュメントごとのフォント設定と、アプリケーション全体にわたるフォント設定が用意されています。他のディレクトリーにあるフォントをすべての Scribus ドキュメントで利用できるようにするには、「File (ファイル)」 > 「Preferences (設定)」の順に選択し、左側のペインで「Fonts (フォント)」アイコンをクリックした後、右側のペインで「Additional Paths (追加パス)」タブをクリックします。一方、ある 1 つのドキュメント内で、他のディレクトリーにあるフォントを利用できるようにするには、そのドキュメントを開いて「File (ファイル)」 > 「Document Settings (ドキュメント設定)」の順にクリックすると同じようなウィンドウが表示されるので、そのウィンドウを使用します。

オペレーティング・システムの種類によらず、Scribus はビットマップ・フォントや、Unicode エンコードをサポートしないフォントは使用しません。それらのフォントは、移植可能なパブリッシングには適していないためです。

既存の Scribus ドキュメントを開く場合や、テンプレートから新規ドキュメントを作成する場合、そのドキュメントやテンプレートに使用されているフォントがシステムにインストールされていないと、Scribus はそのドキュメントを開く前に「Font Substitution (フォント置換)」ウィンドウを表示します (図 4)。テンプレートからドキュメントを作成する場合、テンプレートで使われているすべてのフォントを、お使いのシステム上の対応するフォントにマッピングしない限り、ドキュメントの作成を続行することはできません。このウィンドウが表示されない場合には、次の説明を飛ばして「フレームを追加し、繋いで、変更する」セクションに進み、新規ドキュメントの作成を続けてください。

図 4. Scribus ドキュメントのフォントを置き換える
新しい Scribus ドキュメントのフォントの置換方法を示す図

図 4 の「Original Font (元のフォント)」列は、使用するドキュメントやテンプレートで参照されているにもかかわらずシステム上に見つからない (または同じ場所には見つからない) フォントの一覧を表示します。「Substitution Font (代替フォント)」列は推奨される代替フォントの一覧を表示します。皆さんは、ほぼ間違いなくその内容を変更したいはずです。この列の任意のフォントをクリックすると、システム上で利用可能なフォントのスクロール・リストが表示されます。使用したいフォントをリストから選択すると、提示されている代替フォントが更新され、「Font Substitution (フォント置換)」ウィンドウに戻ります。

選択した代替フォントに満足した場合には、「OK」をクリックしてフォントの置換を実行し、Scribus で新規ドキュメントまたは既存のドキュメントを開きます。

ヒント: Scribus で作成するドキュメントを他のシステムで編集できるようにしたい場合には、単純にそのドキュメントを保存して他のシステムに転送してはなりません。その場合は、「File (ファイル)」 > 「Collect for Output (まとめて出力)」の順にクリックします。するとウィンドウが表示され、そのウィンドウで、Scribus ドキュメントを保存するディレクトリー、そのドキュメントで参照されるグラフィックス、そのドキュメントで使用されるすべてのフォントを指定することができます。(そのウィンドウで「Include Fonts (フォントを含める)」オプションを選択すると、フォントを含めることができます。)


フレームを追加し、繋いで、変更する

Scribus は、さまざまなタイプのフレームをサポートしています。

  • テキスト・フレーム ― このフレームにはテキストを手入力することや、外部ファイルまたはワープロで作成したドキュメントからテキストをインポートすることができます。Scribus では、CSV (コンマ区切り値)、DOC (Microsoft Office Word)、HTML、ODT (Open Document Text)、PDB (Palm Database)、TXT (標準テキスト) いずれの形式のファイルもインポートすることができます。
  • 画像フレーム ― このフレームでは、ほとんどの種類のグラフィック・フォーマットの画像ファイルを、表示および拡大/縮小することができます。
  • 描画フレーム ― これは特殊用途のフレームであり、外部アプリケーションのフォーマット指定コマンドを使用して生成された画像の描画が含まれます。描画フレームの最も一般的な使い方は、LaTeX で生成された数式を埋め込むというものです。Scribus は、LaTeX、LilyPond (楽譜)、gnuplot、Graphviz、POV-Ray といったコマンドの埋め込みを最初からサポートしています。

これらの各フレームには、それぞれのタイプに特有の挿入オプションや変更オプションがありますが、記事を簡潔にするため、このセクションではテキスト・フレームを挿入して繋げる方法のみを説明します。

テキスト・フレームとテキストを追加する

Scribus ドキュメントに新しいテキスト・フレームを挿入するには、以下のステップを実行します。

  1. 以下のいずれかを実行し、テキスト・フレームの挿入を開始します。
    • カーソルが Scribus ウィンドウ内にあるときに、文字「T」を入力します。
    • Insert (挿入)」 > 「Insert Text Frame (テキストフレームを挿入)」の順にクリックします。
    • ツールバーの「Insert Text Frame (テキストフレームを挿入)」アイコンをクリックします。このアイコンは「A」という文字で始まる小さなドキュメントのように見えます。
  2. そのフレームの四隅の 1 つを配置したい場所で左マウス・ボタンをクリックしてホールドします。
  3. マウスをドラッグして、新しいフレームを表す長方形を描画し、フレームの作成を終えたら左マウス・ボタンを放します。

図 5 は Scribus ドキュメント内の 1 つのフレームを示しています。

図 5. Scribus ドキュメント内の空のフレーム
Scribus ドキュメント内の空のフレームを示す画像

この新しいフレームに、外部ファイルからテキストを挿入するには、以下のステップを実行します。

  1. フレームを右クリックし、「Get Text (テキストを取得)」をクリックします。

    すると、ファイルを参照するためのウィンドウが表示されます。

  2. 挿入したいファイルがある場所を表示して、そのファイルを選択します。
  3. そのファイルの拡張子が標準的なものではないものの、そのファイルに含まれるテキストのタイプがサポートされている場合には、「Importer (インポータ)」リストから適切なインポート・フォーマットを選択します。
  4. OK」をクリックすると、選択されたファイルが指定のフレームにインポートされます。

図 6 は、あるファイルの内容がインポートされたテキスト・フレームを示しています。

図 6. テキスト・フレームにインポートされたテキスト
テキスト・フレームにインポートされたテキストを示す画像

この記事の最初で説明したように、レイアウト指向文書では、複数のフレームを使用するのが基本です。テキストの内容が、あるフレームから別のフレームへとフローすることも、同じく基本です。そうすることにより、あるページで複数のフローが開始され、読者の目 (つまり注意) を引きつけて、別の場所で終了するようにドキュメントを作成することができるからです。Scribus では、フレームのシーケンスに手作業でテキストを収めようとする代わりに、複数のフレームを簡単に繋ぐことで、あるフレームで開始されたテキストが、最初のフレームがいっぱいになると自動的に別のフレームに継続されるようにします。繋いだフレームのサイズを調整すると、それらのフレーム全体にわたってテキストが自動的にリフローされ、新しいフレーム・サイズに合わせて各フレームのテキストが調整されます。

Scribus のテキスト・フレームに、現在表示可能なテキストよりも大量のテキストが含まれている場合、そのフレームの右下隅に小さな「x」アイコンが表示されます (図 6)。テキストが入りきらないフレームを別のフレームに繋げるには、以下のステップを実行します。

  1. フレーム内のすべてのテキストを表示するには小さすぎるフレームを選択します。
  2. ツールバーの「Link Text Frames (テキストフレームを繋ぐ)」アイコン (2 つのページが矢印で区切られているように見えるアイコン) をクリックするか、キーボードで文字「N」を押します。
  3. テキストをフローさせる先のフレームを選択します。

2 番目のフレームを選択すると、選択した最初のフレームのテキストの続きが 2 番目のフレームに表示されます (図 7)。

図 7. Scribus において繋げられたテキスト・フレーム
Scribus において繋げられたテキスト・フレームを示す画像

繋げられるフレームの数は、2 つだけではありません。さらに別のフレームにテキストを続ける必要がある場合には、さらに他のフレームを選択することができます。他のフレームへと繋げる必要がある場合には、フレームを繋ぐプロセスを開始する際に、現在繋げられている一連のフレームを選択すればよいのです。


PDF ドキュメントや RIP 対応ドキュメントを作成する

Scribus は、ドキュメントを作成および編集するための、簡単に使える強力な機能がある以外にも、高品質の PDF 出力の生成を得意としています。それらの出力は、Adobe Acrobat などの標準的な PDF ビューアーを使用して任意のプリンターで印刷できるのみならず、RIP 対応で正式なドキュメント・レベルの品質での印刷が可能なほとんどのプリンター、サービス機関、雑誌出版社で使用するのにも適しています。Scribus は、最近のプリンターや印刷会社が要求する、高品質で色管理された出力を実現するための ISO (International Organization for Standardization) 標準 (ISO 15930-3:2002) に準拠した、ハイエンドの PDF 1.4 出力や PDF/X-3 出力を生成します。(この標準についての詳細は「参考文献」のリンクを参照。)

プリンター用の PDF 出力や、印刷会社へ渡す PDF 出力を生成するには、「File (ファイル)」 > 「Export (エクスポート)」の順にクリックし、「Save as PDF (PDF形式で保存)」を選択します。すると図 8 のようなウィンドウが表示されます。

図 8. Scribus で PDF 出力をエクスポートする
Scribus で PDF 出力をエクスポートする方法を示す画像

図 8 に示すウィンドウにはいくつかのタブがあり、これらのタブを使用することで、PDF 出力の微調整、最近の印刷会社が要求する情報の入力、PDF 出力の使用方法の制御などをすることができます。これらのタブの概要を以下に示します。

  • General (全般) ― ドキュメントが互換性を持つ PDF のバージョン、出力グラフィックの解像度、画像圧縮などに関する指定をします。
  • Fonts (フォント) ― PDF 出力を印刷する際の問題を回避するために、埋め込むフォントやアウトライン化するフォントを指定します。
  • Extras (拡張) ― PDF 出力を表示する際に使用するプレゼンテーションのエフェクトを有効にすることや、そのエフェクトの詳細を指定することができます。
  • Viewer (ビューア) ― PDF 出力のページ・レイアウトを指定することや、PDF ビューアーでの PDF の処理方法 (ブックマーク、ツールバー、サムネイル等の表示) を指定することができます。
  • Security (セキュリティ) ― PDF ドキュメントをパスワードで保護したり、使用方法を制御したりすることができます (そのドキュメントを印刷したり、変更したりできるのか、ユーザーがドキュメントの一部をコピーしたり、注釈を追加したりできるのかなど)。
  • Color (色) ― PDF ドキュメントに使用されるカラー・パレットを最適化することができます。
  • 「Pre-Press (製版)」 ― 先進的な印刷会社が要求する特定の情報 (断ち切りマーク、登録マーク、カラーバーなど) を指定することができます。

Scribus の「Save as PDF (PDF 形式で保存)」ウィンドウに提供されている機能を利用すると、PDF 出力を非常に細かく制御することができ、画面上や Web に表示する場合、家庭や職場のプリンターで印刷する場合、正式なドキュメント・レベルの品質で印刷できる印刷会社に渡す場合のいずれであろうとも、その PDF を使用する機器に必要な機能を指定することができます。


まとめ

強力な DTP アプリケーションである Scribus は、高いクオリティーを持ち、洗練されているマルチプラットフォーム・オープンソース・ソフトウェアの素晴らしい例の 1 つです。この記事は、Scribus が持つさまざまな機能を簡単に紹介したにすぎません。Scribus は基本的な DTP 機能に加え、従来は特定プラットフォーム専用の高価なソフトウェア・パッケージ以外では利用できなかった、高度な色管理機能や製版機能も備えています。その上、なんと無料なのです!

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

  • Scribus: Linux、Windows、Mac OS X、Haiku、OS/2 eComStation の各プラットフォームを対象とした Scribus をダウンロードしてください。このページから、Scribus の安定版と現在開発中のバージョンをダウンロードすることができます。
  • AbiWord: Windows、Linux、QNX、FreeBSD、Solaris の各システムを対象とした、よく利用されているオープンソースのワード・プロセッサーを入手してください。
  • LibreOffice: よく利用されているオープンソースのオフィス・スイートをダウンロードしてください。このスイートにはテキスト・フレームとグラフィックス・フレームをサポートする LibreOffice Writer が含まれています。LibreOffice は、FreeBSD、Mac OS X バージョン 10.4 Tiger またはそれ以降、Windows、Linux カーネル・バージョン 2.6.18 またはそれ以降を実行する Linux ベース・システム、NetBSD、OpenBSD システムで利用することができます。
  • Adobe Acrobat Reader: PDF 出力を表示、印刷するための業界標準のアプリケーションを入手してください。ほとんどのオペレーティング・システムで、Adobe Acrobat Reader は無料で利用することができます。
  • LilyPond: 音楽のためのオープンソースのマークアップおよび表示アプリケーションをダウンロードしてください。LilyPond は高品質の楽譜を生成することができ、ほとんどの Linux および他の UNIX ライクなオペレーティング・システム、Mac OS X、Windows で利用することができます。
  • Gnuplot: さまざまなプラットフォームで利用可能なコマンドライン・ベースのオープンソース・グラフ・ユーティリティーをダウンロードしてください。Gnuplot は、ほとんどの Linux および他の UNIX ライクなオペレーティング・システム、Mac OS X、Windows で利用することができます。
  • Graphviz: オープンソースのグラフ視覚化ソフトウェアを入手してください。Graphviz は、Solaris、ほとんどの Linux および他の UNIX ライクなオペレーティング・システム、Mac OS X、Windows で利用することができます。
  • POV-Ray: 3 次元グラフィックスを作成するための高品質のオープンソース・ツール、Persistence of Vision Raytracer をダウンロードしてください。POV-Ray は x86 Linux、Mac OS X、Windows システムで利用することができます。
  • IBM 製品の評価をご自分に最適な方法で行ってください。評価の方法としては、製品の評価版をダウンロードすることも、オンラインで製品を試してみることも、クラウド環境で製品を使用することもできます。

議論するために

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