Eclipse に Ruby Development Tools プラグインを使用する

この記事では、Eclipse を第 1 級の Ruby 開発環境に変身させる Eclipse 用 RDT (Ruby Development Tools) プラグインの使い方を紹介します。Eclipse コミュニティーの充実したインフラストラクチャーを使用して Ruby 言語をサポートする方法を学びたいと思っている Ruby 開発者、そして Ruby を使用することに興味を持っている Java™ 開発者の両方に役立つ記事です。

Neal Ford, Application Architect, ThoughtWorks

Neal FordNeal Ford は、IT 専門のサービス会社、ThoughtWorks のアプリケーション・アーキテクトとして、アプリケーション、教材、雑誌記事、コースウェア、ビデオ/DVD プレゼンテーションの設計と開発に携わっています。また、『Developing with Delphi: Object-Oriented Techniques』、『Art of Java Web Development』の著者でもあります。彼が主に専門としているコンサルティング対象は、大規模エンタープライズ・アプリケーションのビルドです。開発者会議では議長も務めています。



2008年 7月 24日 (初版 2005年 10月 11日)

なぜ Ruby なのか

誇りある Java 開発者が Ruby に関心を向ける理由は果たしてあるのでしょうか。Ruby は 10 年前に日本で生まれた汎用スクリプト言語です。一般に考えられているのとは裏腹に、Ruby は純粋なオブジェクト指向言語で、Java 技術とは違って Ruby にはスカラーはありません。つまり、整数を含めたすべてのものが、ファーストクラス・オブジェクトとなります。Ruby の構文は Smalltalk、Python、Ada を色濃く受け継いでいます。Java プログラミング言語と同じく Ruby は単一継承言語ですが、Java 技術にはない高度な機能、例えばクロージャー (匿名内部クラスが強化されたようなもの) や Mix-in (インターフェースと似ていますが、クラスにはそれほど密に結合されません) を提供します。Ruby は移植性にも優れているため、主要なすべてのオペレーティング・システムで動作します。

Ruby は現在、注目の的でもあり、Ruby が得意とするようなアプリケーションでは、この言語が使われるようになってきています。Ruby は解釈されてから動的型付けを使用する言語なので、Java では極めて難しい実行時のさまざまな芸当が可能になります。動的型付けと表現豊かな構文によって実現する驚くべき機能の 1 つは、Ruby ではこの言語「本来」の構文に束縛されることなく、より抽象化されたレベルでの作業を可能にするドメイン固有の言語を作成できることです。このような高度な機能を明らかにしているのが、データベースに支えられた Web アプリケーションを作成するためのフレームワーク、Ruby on Rails です。また、Make と Ant の Ruby バージョンが 1 つになった Rake も、この言語が持つ強力さを使った 1 つの例です。

Ruby に着手するもう 1 つの理由は、若い世代の賢い開発者たちが揃ってこの言語に取り組み始めているからです。かつて 1996年に Java が重要な技術になるだろうと認識した多くの人々 (Glenn Vanderburg、Bruce Tate、Martin Fowler など) は、今では Ruby に深く関わっています。開発作業をすべて Ruby に切り替えるつもりはないとしても、この言語に目を向けてみるべき時期だと思います。

Ruby での開発の普及を阻害している要因の 1 つは、(Emacs を学びたくはないという人々にとって) 優れた開発環境がないからですが、この事態を変えるのが RDT です。Ruby を試すには、使い慣れた IDE、Eclipse を使うのが最善の方法だと思いませんか?


セットアップ

Ruby に取り掛かる前に、まず、Ruby インタープリターとライブラリー、そして Ruby Development Environment をインストールしなければなりません (すでにインストール済みの場合は、検証しておく必要があります)。

Ruby の入手方法

Ruby は主要なすべてのプラットフォーム、そして一部のマイナーなプラットフォームにも対応します。実際、お使いの Linux®、Mac OS X、または Cygwin ディストリビューションには Ruby がすでに組み込まれている可能性があります。コマンド・プロンプトから移動して、ruby -v と入力してみてください。

バージョン番号が表示されたら、準備は万端です。そうでない場合には、Ruby をインストールする必要があるので、お使いのプラットフォームに対応するディストリビューションを調べてください。インストールは簡単です。例えば、Debian ベースの Linux ディストリビューション (Ubuntu など) に Ruby をインストールするには、コマンドラインに sudo apt-get install ruby rdoc irb libyaml-ruby libzlib-ruby ri libopenssl-ruby と入力します。

Windows® を実行している場合でも、同じく簡単です。Ruby で SourceForge に相当する RubyForge には、One-Click Ruby Installer というプロジェクトがあります。Windows では、このプログラムが Ruby 環境をセットアップします (「参考文献」を参照)。その他にも FreeRide という IDE を始めとする、複数のツールが含まれていますが、RDT を使用する場合にはセットアップ時にそのほとんどをスキップすることができます。

Mac OS X ユーザーの場合は最も簡単で、Mac OS X の最新バージョンがインストールされている Apple コンピューターには Ruby が組み込まれています。


ドキュメントの入手

新しい言語を使い始めるときには、ドキュメントやその他の参考資料は不可欠です。Ruby のドキュメントへのオンライン・リファレンスは、Ruby の公式 Web サイトにありますが、このドキュメントは多少古くなっています (ドキュメントは Ruby V1.6 を対象としたものですが、現行のバージョンは 1.8.2 です)。問題は、更新されたドキュメントはまだ翻訳されていないため、日本語のままだということです (訳注: もちろん英語のドキュメントを必要としている場合の話です)。それでも、優れた最新の資料が Ruby-doc.org にあります。ここには、API レベルのドキュメント (Javadoc に相当するドキュメント) に加え、チュートリアルや書籍も紹介されています (「参考文献」を参照)。

真剣に Ruby 開発に取り組もうとしているのなら、Dave Thomas と Andy Hunt による共著、『The Programming Ruby: The Pragmatic Programmer's Guide』(「参考文献」を参照) を今すぐ入手してください。この本は究極の Ruby 入門書で、Ruby のライブラリーにはなくてはならない一冊です。この本の他、同じく Dave Thomas が書いた Ruby on Rails の入門書、『Agile Development with Ruby on Rails』もあります。

RDT の入手方法

ドキュメント化されていて、きちんと動作する Ruby をコンピューターにインストールしたら、次に必要となるのは RDT です (「参考文献」を参照)。この Eclipse 向けプラグインは、皆さんが慣れ親しんでいる、コードを編集するためのさまざまな機能を提供します。RDT は複数のフィーチャーとプラグインが含まれる標準的な Eclipse プラグインなので、この zip ファイルは Eclipse フォルダーに直接解凍することができます。残りの作業はアーカイブのパスに任せてください。

編集者からの注記: RDT (Ruby Development Tools) プラグインの名称と入手先は、この記事が最初に書かれた 2005年以降に変更されていますが、基本機能とライセンス条項は本質的には変わっていません。この記事での名称、RTD は Aptana RadRails V1.0.3 に変わっており、現在は Aptana Web サイトで入手できます。新しいバージョンをダウンロードする場合、または既存の Eclipse プラグインを更新するには、Aptana の RadRails 手順に従ってください。この手順は Eclipse ユーザーにはお馴染みのはずですが、Aptana プラグインを Eclipse ワークスペースにインストールしたことがない場合は、Aptana の「Plugging Aptana into an existing Eclipse configuration」の手順に従ってください。

これで、Ruby プロジェクトを作成する準備が整いました (図 1 を参照)。

図 1. Ruby プロジェクトの新規作成
Ruby プロジェクトの新規作成

名前とディレクトリー構造については、Java 技術では厳しい要件がありますが、それに比べて Ruby の場合の要件は遥かに軽くなっています。Ruby でプロジェクトを作成するということは、実際にはディレクトリーと .project ファイルを作成するだけのことです (Ruby にはクラスパスがないので、.classpath ファイルは必要ありません)。もう 1 つの注目すべき Java 技術との違いは、Ruby プロジェクト・ウィザードは src および bin ディレクトリーを明示的に作成しないことです。Ruby はインタープリターによって解釈される言語なので、出力フォルダーもありません。小規模なプロジェクトであれば、Ruby ソース・ファイルをプロジェクトとファイルと同じフォルダーに配置することもできます。あるいは、独自のディレクトリー階層を作成することも可能です。このように、Ruby は Java プログラミング言語ほどディレクトリー構造を重要視していません。

次に必要なのは、Ruby ソース・ファイルです。Ruby ソース・ファイルを作成するための特定のウィザードはありません。Ruby ソース・ファイルの構造に関する要件は Java 技術での場合のように厳しくはないため、Ruby ファイルを作成するときには、プロジェクトの右クリック・メニューを使って新しいファイルを作成します。

図 2. Ruby ソース・ファイルの作成
Ruby ソース・ファイルの作成

ファイルには拡張子 .rb を忘れずに追加してください。これが、標準の Ruby 拡張子です。Ruby ファイルを作成すると、Ruby パースペクティブが開きます。

図 3. Ruby ソース・ファイルを作成すると有効になる Ruby パースペクティブ
Ruby ソース・ファイルを作成すると有効になる Ruby パースペクティブ

Ruby パースペクティブにも、Java パースペクティブが提供しているようなアウトライン・ビューの機能があります。Java のアウトライン・ビューと同じく、このアウトライン・ビューでは Ruby ソース・ファイルの要素をナビゲートすることができます。例えば、図 4 では raise_salary_by メソッドがアウトライン・ビューとソース・ビューの両方で強調表示されています。

図 4. アウトライン・ビューによるソース・ファイル内でのナビゲーション
アウトライン・ビューによるソース・ファイル内でのナビゲーション

他の高度なプラグインと同じく、RDT でも Window > Preferences ダイアログ内でカスタマイズ機能を追加できます。図 5 に、この設定ダイアログを示します。

図 5. RDT がインストールするカスタマイズ設定
RDT がインストールするカスタマイズ設定

設定メニュー項目では、構文の強調表示やフォーマット設定を変更できます (Ruby の世界では、標準インデントのスペースは 4 つではなく、何らかの調整を前提として 2 つになっています)。また、エディターのテンプレートをカスタマイズしたり、インタープリターを選択したりすることもできます。


RDT エディター

Java 技術の世界では、私たちは高度なエディター機能に慣れています。そのことが、これと同じサポートを提供しない別の環境に移行しにくくしている理由となっています。例えば、コンテキストに依存して ID を検索できるコンテンツ・アシストという機能は Ruby IDE にはありません。しかし、RDT エディターには、Ruby コードを対象としたコンテンツ・アシストがあります。

図 6. RDT エディターが提供するコンテンツ・アシスト
RDT エディターが提供するコンテンツ・アシスト

RDT エディターのコンテンツ・アシストは、Java の世界ほど限定的ではありません。それは、Ruby が動的に型付けされるためです。Ruby では、変数やメソッドの戻り値に型を割り当てることはできません。型は、実行時に ID のコンテキストによって決定されます。Ruby で使用しているのは、親しみを込めて「ダック・タイピング」と呼ばれる手法です。つまり、アヒルのように鳴くメッセージを受け付けるものなら、それはアヒルであるという考え方です。強く型付けされた言語に慣れている人にとっては、このような手法は障害になるように思えるかもしれませんが、この型の疎結合が、Ruby 言語のより強力な機能のいくつかを実現しています。例えば Ruby では、存在しないメソッドを呼び出したときにトリガーされる例外ハンドラーを作成し、その例外ハンドラーにメソッドをオンザフライで作らせて、そのメソッドを呼び出すようにすることができます。ここまでのレベルのメタプログラミングは、強い型付けの言語では難しい話です。

コンテンツ・アシストを補う機能として、Ruby には ID に対して使用する特殊な命名規則があります。Ruby では、例えばすべてのメンバー変数は初めて使用されるときに突然ひょっこり現れます。これらのメンバー変数は、その名前の先頭文字にある @ 記号によって識別されます。そのため、コンテンツ・アシストを使用してメンバー変数を検索するときにまず @ と入力すれば、メンバー変数だけを調べることができるというわけです。

図 7. コンテンツ・アシストを支援する Ruby の命名規則
コンテンツ・アシストを支援する Ruby の命名規則

それでも、動的型付けが Ruby のコンテキスト依存性を妨げることには変わりありません。図 7 で正真正銘のメンバー変数として挙げられるのは、メソッド宣言の真上に現れるメンバー変数、つまり @name@salary@hire_year だけです。コンテンツ・アシストが選んでいる他のメンバー変数は他のクラスからのもので、後で定義されます。RDT エディターはまだ、構文的には正しくても意味的に正しくないエントリーをフィルターで除去できるまで高度にはなっていません。


実行およびデバッグ

IDE で特に重要になる機能と言えば、ビルドしたアプリケーションを同じ環境から実行したり、デバッグしたりする機能です。RDT はこの両方に対応します。

インタープリターを指定する方法

Ruby はインタープリターによって解釈される言語なので、RDT でアプリケーションを実行またはデバッグできるようにするには、使用している環境にインタープリターを関連付ける必要があります。この関連付けは、Windows > Preferences ダイアログの Ruby 見出しの Installed Interpreters (インストール済みインタープリター) 項目によって設定されます。

図 8. Ruby インタープリターと環境の関連付け
Associating a Ruby interpreter with the environment

「Location」テキスト・フィールドには、使用している Ruby バージョンの bin ディレクトリーを指定してください。その他の必要な情報は、RDT によって選択されます。インタープリターが関連付けられれば、アプリケーションを実行することができます。

Ruby アプリケーションを実行する方法

Ruby アプリケーションを実行する方法は、実質的には Java アプリケーションを実行する場合とまったく同じです。まず、Run メニューを使用して実行構成を作成します。

図 9. RDT での実行構成のセットアップ
RDT での実行構成のセットアップ

アプリケーションの実行時には、RDT によってアプリケーションが Ruby インタープリターに取り込まれ、Eclipse ワークスペース下部のコンソール・ウィンドウ内で実行されます。

図 10. RDT 内での Ruby アプリケーションの実行
RDT 内での Ruby アプリケーションの実行

上記の例ではコンソール・アプリケーションを実行している様子を示していますが、これ以外のタイプのアプリケーション (グラフィカル・アプリケーションなど) も同じように動作します。

RDT でデバッグする方法

IDE に必要となる最も重要な機能の 1 つは、アプリケーションの効率的なデバッグです。Ruby インタープリターにはコマンドライン・デバッガーが組み込まれていますが、このグラフィカル・ツールの時代にコマンドラインによるデバッガーを使いたがる人はいないはずです。幸い、Ruby インタープリターはデバッグ情報を特定の (設定可能な) ポートでブロードキャストするので、RDT などのツールはそのポートをリッスンすることによって、開発者が期待するようなデバッグ・サポートを提供できます。

RDT で Ruby アプリケーションをデバッグするには、上記で作成した実行構成のようなデバッグ構成を作成します。それから左側のマージンにあるガターをクリックしてブレークポイントを設定し、デバッガーを使用してアプリケーションを立ち上げます。Java 技術の場合と同じく、IDE がデバッグ・パースペクティブに切り替えるかどうかを尋ねてきます。デバッグ・パースペクティブに切り替えると、以下のような画面が表示されます。

図 11. RDT 内での Ruby アプリケーションのデバッグ
RDT 内での Ruby アプリケーションのデバッグ

RDT には、Java 技術で見られるのと同じレベルのデバッグ・サポートが表示されます。左上のペインには現在実行中のスレッドが示され、右上のペインには変数の値が示されます。Java プログラミング言語の場合と同じく、オブジェクトをドリルダウンしていくと、それぞれのオブジェクトを構成しているメンバー変数の値を確認することができます。中央左側のペインに示されるのは、実行中アプリケーションのソース・コードで、中央右側のペインはアウトライン表示となります。このアウトライン表示がエディターとして機能し、ID をクリックすることでエディターにナビゲートすることができます。上記の例の場合、デバッグ・ウィンドウの一番下には、Ruby インタープリターがデバッグ情報をポート 1098 でブロードキャストしていること、そして RDT がそのポートでデバッグ情報をリッスンしていることが示されています。

デバッグ・サポートは RDT の重要な機能です。優れた Ruby サポートを備えたエディターがあったしても、アプリケーションをデバッグするにはコマンドライン・デバッガーに頼らざるを得ません。完全な機能を備えたデバッガーを使うことが、生産性に大きなメリットをもたらすことになります。


テスト

Ruby が持つ特性のうち、Java 開発者にとって最も受け入れ難い特性の 1 つが動的型付けです。強い型付けの言語に慣れている目には、動的型付けは無秩序へ一歩近づいたかのように映ります。動的型付けでは、強い型付けの言語では困難であったり、あるいは実行不可能なあらゆる類の高度なメタプログラミングの技を使うことができますが、当然、コンパイル時の型チェックという安全策を断念することにもなります。高度なメタプログラミングとコンパイル時の型チェックを同時に可能にする方法はないのでしょうか。

プログラミング言語にはユニット・テストが欠かせませんが、動的言語となると、ユニット・テストは一層重要になります。ユニット・テストは、単なるコンパイルより遥かに多くのことを明らかにします。事実、ユニット・テストとコンパイルとの関係については見方を変えなくてはなりません。最近の No Fluff, Just Stuff Software Symposium の専門委員会で、Stuart Halloway (Relevance, LLC) は彼のソフトウェア開発についての深い考察として、「今後 5 年間のうちに、私たちはコンパイルをかなり劣った形のユニット・テストとして見るようになるだろう」と述べています。ユニット・テストで行うのは、単なる入力のスペルチェックではありません。ユニット・テストは、コードが期待されたとおりの内容を実行するかどうかを検証します。

Ruby の世界でユニット・テストが重要だとしたら、RDT に求めることになるのは、ユニット・テストを簡単に実行できるようにすることです。RDT はその期待に応えます。ユニット・テストは Ruby 内部に組み込まれているため、追加の拡張機能をダウンロードする必要はありません。Ruby ライブラリーには TestCase クラスと TestSuite の概念が含まれています。ユニット・テストを作成するには、他のあらゆる Ruby クラスと同じように Test::Unit::TestCase からテストをサブクラス化します。一例としてリスト 1 に記載するのは、Employee という名前のクラスです。

リスト 1. Employee クラス
class Employee
  def initialize(name, salary, hire_year)
    @name = name
    @salary = salary
    @hire_year = hire_year
  end
  
  attr_reader :name, :salary, :hire_year 

  def raise_salary_by(perc)
    @salary += (@salary * (perc * 0.01))
  end
  
  def to_s
    "Name is #{@name}, salary is #{@salary}, " + 
    "hire year is #{@hire_year}"
  end
  
end

これに対応するユニット・テストは以下のとおりです。

リスト 2. Employee クラスのユニット・テスト
require 'test/unit/testcase'
require 'test/unit/autorunner'
require 'hr'

class TestEmployee < Test::Unit::TestCase
  @@Test_Salary = 2500

  def setup
    @emp = Employee.new("Homer", @@Test_Salary, 2003)
  end

  def test_raise_salary
    @emp.raise_salary_by(10)
    expected = (@@Test_Salary * 0.10) + @@Test_Salary
    assert( expected == @emp.salary)
  end

end

上記のユニット・テストを実行するには、ユニット・テスト・クラスの実行構成を Test::Unit タイプとして作成します。

図 12. RDT が組み込む Test::Unit 実行構成
RDT が組み込む Test::Unit 実行構成

このテストを実行するときには、左下隅にある JUnit風のペインをはじめ、Java のユニット・テストと同じサポート要素を使用します。

図 13. IDE でのユニット・テスト実行例
IDE でのユニット・テスト実行例

Ruby では TestSuite を作成することもできます。TestSuite は、TestSuite を返す suite メソッドを定義する Ruby クラスです。TestSuite は TestCase のそれぞれで自動的に定義されたスイートからなります。リスト 3 は、少数のクラスを対象とした TestSuite の一例です。

リスト 3. 少数のクラスを対象としたサンプル TestSuite
require 'test/unit/testsuite'
require 'test/unit/ui/tk/testrunner'
require 'test/unit/ui/console/testrunner'
require 'TestEmployee'
require 'TestManager'


class TestSuite_AllTests
    def self.suite
        suite = Test::Unit::TestSuite.new("HR Tests")
        suite << TestEmployee.suite
        suite << TestManager.suite
        return suite
    end
end

#Test::Unit::UI::Tk::TestRunner.run(TestSuite_AllTests)
Test::Unit::UI::Console::TestRunner.run(TestSuite_AllTests)

単一の TestCase を実行した前の例とは異なり、TestSuite はスタンドアロン・アプリケーションとして動作します。Ruby で TestSuite の結果を表示するには 2 通りの手段があります。そのうちの 1 つは Console Test Runner で、この場合は結果がコンソールに出力されます。もう 1 つの手段は、お馴染みのダイアログを作成して、そこにテスト結果を表示する Tk TestRunner です。Tk TestSuite のダイアログは、図 14 のように表示されます。

図 14. グラフィックによる TestSuite ダイアログ
グラフィックによる TestSuite ダイアログ

今後の見通し

RDT の現行バージョンは 0.50 です。RDT の開発者たちは現在、次のバージョンである 0.60 に向けて懸命に取り組んでいます。次回のリリースで予定されている改善は、以下のとおりです。

  • コード・フォールディング— クラスおよびメソッドでコードの折り畳みが可能になります。
  • アウトライン表示— ローカル変数のサポートによって、さらに詳細な表示になります。
  • RI ビュー— Ruby の ri ユーティリティーを RDT ビューから使用します。
  • タスク・タグ— Ruby のコメントに設定可能なキーワード (TODO、FIXME など) に対応したタスクを作成します。
  • エディターの改善— 大括弧、小括弧、単一/二重引用符の自動補完により、コード支援を強化します。
  • 検査のショートカット— デバッグ・セッション中の検査で頻繁に使用するショートカット (オブジェクトのすべてのメソッドを表示する、グローバル定数を表示するなど) を設定できるようにします。

次のバージョンでは、JRuby バイト・コード・コンパイラーが一層有効に活用されるはずです。JRuby は、Ruby コードを Java バイト・コードにコンパイルできるようにするためのプロジェクトです。つまり、次の RDT バージョンは Eclipse の世界に統合しやすくなり、さらに優れたサポートを提供することになります。


まとめ

『Pragmatic Programmer: From Journeyman to Master』という本に書かれている優れたアドバイスの 1 つは、時代に遅れないようにするために、毎年 1 つの新しいプログラミング言語を学び、その新しい言語から日常使用しているプログラミング言語について新たな発見を得るということです。Ruby on Rails プロジェクトが成功したこともあって、Ruby はついに至るところで使用されるようになりました。今や、皆さんのプログラミング・スキルに Ruby を加えるときです。慣れ親しんだ環境で、この新しい言語を学び始めるには、RDT は絶好の手段となります。

参考文献

学ぶために

  • Ruby 言語の拠点、Ruby-lang.org はその他の有用な Ruby サイトやドキュメントへの入口となるポータルです。
  • Ruby on Rails は、Ruby をベースとした影響力の大きな Web アプリケーション・フレームワークです。このサイトから、Rails をダウンロードすることも、サンプル・アプリケーションを見ることもできます。
  • Rubyforge.org で用意している One-Click Ruby Installer は、Windows に Ruby 環境をセットアップするプログラムです。
  • Ruby-doc.org で最新の Ruby ドキュメントを探してください。
  • Programming Ruby, The Pragmatic Programmer's Guide, 2nd Edition』(Dave Thomas 著) は、影響力の大きい Ruby 言語ガイドです。非常に読みやすく書かれているこの本は、Ruby の初心者がまず本棚に加えなくてはならない一冊です。Ruby に関心がないとしても、ソフトウェア・エンジニアリングの優れた古典的資料として、ぜひ読んでみてください。
  • Rails によるアジャイル Web アプリケーション開発』(Dave Thomas、David Heinemeier Hansson 共著) は、Rails に関心のある方にとって頼りになる本です。この本は、Rails で開発を行う上で最も信頼の置けるガイドとなります。
  • The Pragmatic Programmer: From Journeyman to Master』(Andrew Hunt、David Thomas 共著) では、開発者は 1 年に 1 回は新しい言語を学ぶように提案しています。
  • Glenn Vanderburg は興味深い知識と考え方を提供するソフトウェアの見識者です。彼は、Java 技術が持つ真の能力を最初に理解し、世間に広めた人々 (初期の高度な Java に関する本の著者たち) のうちの一人で、長年 Ruby を強く支持しています。
  • 『Bitter Java』および『Bitter EJB』の著者として有名な Bruce Tate も、Ruby、そしてJava 技術から Ruby への変換の可能性を信奉しています。彼は Java 開発者から Ruby 支持者に転向する理由を明らかにする本を何冊か執筆中です。developerWorks での連載『Secrets of lightweight development success』を読んでください。
  • Relevance, LLC は、Ruby および Ruby on Rails を専門とするコンサルティング兼トレーニング会社です。
  • Martin Fowler は、ソフトウェア・エンジリアリングの世界では指折りの著名人です。彼はソフトウェア・エンジニアリングの概念を奥深くまで理解し、驚くべき明瞭さで記しています。Ruby の熱心者な支持者である彼が今まで唱えてきた Ruby によって可能な内容が、今になって現実化され始めています。彼は自身の優れたブログのなかでも、度々 Ruby について書いています。
  • Debugging Ruby programs 101」や「Automating tasks with Rake」をはじめ、developerWorks には Ruby に関する記事とチュートリアルが豊富に用意されています。
  • オープンソース技術を使用して開発し、IBM の製品と併用するときに役立つ広範囲のハウツー情報、ツール、およびプロジェクト・アップデートについては、developerWorks Open source ゾーンを参照してください。

製品や技術を入手するために

  • Ruby Development Tools を入手してください。このプラグインによって、Eclipse にコンテキスト・アシスト、デバッグ機能、そしてユニット・テストのサポートをはじめとする Ruby サポートを追加できます。
  • Rubyforge.org から入手できる Rake は、Ruby のビルド・ツールです。Rake はビルドを実行するための言語を提供し、Make と Ant によるメリットをもたらします。また、Ruby の柔軟な構文が、極めて具体的なドメイン固有の言語を簡単に作成できるようにすることを実証します。
  • IBM ソフトウェアの試用版を使用して、次のオープンソース開発プロジェクトを革新してください。ダウンロード、あるいは DVD で入手できます。
  • Aptana RadRails Eclipse プラグインは Aptana Web サイトにあります。新しいバージョンをダウンロードする場合、または既存の Eclipse プラグインを更新するには、Aptana の RadRails 手順に従ってください。

コメント

developerWorks: サイン・イン

必須フィールドは(*)で示されます。


IBM ID が必要ですか?
IBM IDをお忘れですか?


パスワードをお忘れですか?
パスワードの変更

「送信する」をクリックすることにより、お客様は developerWorks のご使用条件に同意したことになります。 ご使用条件を読む

 


お客様が developerWorks に初めてサインインすると、お客様のプロフィールが作成されます。会社名を非表示とする選択を行わない限り、プロフィール内の情報(名前、国/地域や会社名)は公開され、投稿するコンテンツと一緒に表示されますが、いつでもこれらの情報を更新できます。

送信されたすべての情報は安全です。

ディスプレイ・ネームを選択してください



developerWorks に初めてサインインするとプロフィールが作成されますので、その際にディスプレイ・ネームを選択する必要があります。ディスプレイ・ネームは、お客様が developerWorks に投稿するコンテンツと一緒に表示されます。

ディスプレイ・ネームは、3文字から31文字の範囲で指定し、かつ developerWorks コミュニティーでユニークである必要があります。また、プライバシー上の理由でお客様の電子メール・アドレスは使用しないでください。

必須フィールドは(*)で示されます。

3文字から31文字の範囲で指定し

「送信する」をクリックすることにより、お客様は developerWorks のご使用条件に同意したことになります。 ご使用条件を読む

 


送信されたすべての情報は安全です。


static.content.url=http://www.ibm.com/developerworks/js/artrating/
SITE_ID=60
Zone=Open source, Java technology
ArticleID=332909
ArticleTitle=Eclipse に Ruby Development Tools プラグインを使用する
publish-date=07242008