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Eclipse の User Assistance プロジェクトを知る

Eclipse ベースのアプリケーションのユーザビリティーを改善する

Chris Aniszczyk, Software Engineer, IBM
Chris Aniszczyk
Chris AniszczykはIBM Lotusのソフトウェア技術者であり、IBMのExtreme Blueインターンシップ・プログラムの卒業生でもあります。オープンソースの信奉者であり、現在はGentoo Linux (http://www.gentoo.org) ディストリビューションに取り組んでいます。またEMFT(Eclipse Modeling Framework Technology)プロジェクトのコミッターでもあります。

概要: この記事は Eclipse の User Assistance プロジェクトを紹介し、Eclipse ベースのアプリケーションに品質の高いユーザー支援を実現するための方法について解説します。

日付:  2007年 2月 27日
レベル:  初級 この記事の原文:  英語
アクティビティー: 1597 ビュー
お気軽にご意見・ご感想をお寄せください: 


どのような種類のソフトウェアであれ、ユーザーの学習期間を短縮できることは、そのソフトウェアの採用と成功にとって重要なことです。幸い Eclipse には、User Assistance プロジェクト (「参考文献」を参照) があり、このプロジェクトには Eclipse ベースのアプリケーションに関するエンド・ユーザーのユーザー・エクスペリエンスを改善するためのさまざまなツールがあります。Eclipse User Assistance プロジェクトの Web サイトによれば、このプロジェクトの使命は、「Eclipse アプリケーションの使用サイクルのあらゆる局面においてユーザー支援を提供することであり、このユーザー支援は単なる 1 つのワークベンチ成果物ではなく、ある特定の種類の補助のために調整された成果物の集合です。」

この記事では、こうした成果物を、いくつかの例や関連する拡張ポイントのリストを示しながら説明します。この記事の目的は、成果物のそれぞれを詳細に解説することではなく (詳細については「参考文献」を参照してください)、ユーザーを補助したいと望む開発者のためにプロジェクトの概要を紹介することです。

Eclipse User Assistance の概要

User Assistance のコンポーネント


Eclipse User Assistance プロジェクトは、ここで解説する 3 つのコンポーネント (welcome フレームワーク、チートシート、そしてヘルプ) の他に、Eclipse Forms や Samples Gallery、Eclipse Automation などにも関与しています。詳細については Eclipse User Assistance Overview を参照してください。

Eclipse User Assistance プロジェクトは多くのコンポーネントから構成されていますが、ユーザーを補助するための主なツールとしては下記の 3 つがあります。

  • welcome フレームワーク
  • チートシート
  • ヘルプ

welcome フレームワーク

ユーザーが Eclipse を起動すると、次のような「ようこそ」画面が表示されます。



図 1. Eclipse の「ようこそ」画面
図 1. Eclipse の「ようこそ」画面

ユーザーは、Eclipse の「ようこそ」画面から、チュートリアルやサンプルを容易に利用することができます。皆さんのアプリケーションのユーザーにも同様のものを提供したい場合のために、Eclipse は welcome フレームワークを提供しています。welcome フレームワークは、初期設定のような作業においてユーザーをガイドする助けとなり、またオンライン・リソースを容易に利用できるための機能を (welcome コンテンツとして) 提供しています。welcome コンテンツは、生の SWT ウィジェットを使って詳細を設定することもでき、あるいはもっと一般的には、統合された一連の Web ページを使って詳細の設定をすることができます。典型的な welcome コンテンツがどのようなものかを知るために、ここではテンプレートとして PDE (Plug-in Development Environment) を使って、welcome コンテンツを提供するサンプルRCP アプリケーションを作成します。

PDE テンプレートを利用するには、まず新しいプラグイン・プロジェクトを作成する必要があります (File > New > Project... > Plug-in Project)。ここで重要な点として、新しいプラグイン・プロジェクト・ウィザードの中で Rich Client Application を作成することに注目してください。これが終わったら次のページに進み、テンプレートのセットを使ってプロジェクトを作成します。ここでは RCP application with an intro テンプレートを選択します。



図 2. RCP application with an intro テンプレート
図 2. RCP application with an intro テンプレート

プラグイン・プロジェクトが作成された後、そのアプリケーションを起動すると、そのアプリケーションが新しい「ようこそ」画面にポップアップされます。



図 3. 「ようこそ」画面を持つ RCP アプリケーション
図 3. 「ようこそ」画面を持つ RCP アプリケーション

生成されたプラグインを調べてみると、いくつかの拡張 (表 1) が使われていることがわかります。ここでは特に、org.eclipse.ui.intro.config 拡張ポイントが使われていることに着目します。この拡張ポイントによって、アプリケーションが introContent.xml ファイルにリンクされます。このファイルは、welcome コンテンツとして動作する XHTML ファイルへのリンクを含んでいます。welcome コンテンツの作成を開始するのは、これほど簡単なのです。


表 1. welcome フレームワークに関連する拡張ポイント
拡張ポイント説明
org.eclipse.ui.intro 導入画面と特定の製品とを関連付けるために使われます。
org.eclipse.ui.intro.config 導入構成を作成するために使われます。導入構成は Eclipse の welcome フレームワークの基本的な構成ブロックです。
org.eclipse.ui.intro.configExtension 既存の導入構成を、さらに多くのコンテンツで拡張するために使われます。また、welcome コンテンツを再利用しやすくするために、特定の構成から内容を分離するための手段としても使われます。

チートシート

チートシートの内部を見る


チートシートの動作の詳細を理解するための資料として、Philipp Tiedt が、優れた入門記事「Building cheat sheets in Eclipse V3.2」と、詳細な例を含んだ関連チュートリアル「Building cheat sheets in Eclipse」を書いています。

チートシートは、ある特定の作業を行うための一連の対話型命令と考えることができ、一連のステップをとおしてユーザーをガイドするための方法です。そのために、場合によっては対話型アクションをスクリプト化し、ユーザーによる動作を単純化することもあります。例えば、あるアプリケーションを使い始めるためにユーザーが特別なタイプのプロジェクト (例えば写真のプロジェクト) を作成する必要がある場合を考えてみてください。チートシートを利用することによって、新しいプロジェクト・ウィザードを自動的に起動することができ、ユーザーが手動で起動する必要がなくなります。この動作をよく示している例が、Create a Hello World application というチートシートです。


図 4. Create a Hello World application チートシート

Eclipse は、こうしたチートシートを簡単に作成するための方法として、(Eclipse V3.3 から) 新しいエディターを提供しています (図 5)。このエディターは、File > New > Other... > User Assistance > Cheat Sheet を使えば容易に利用できます。Eclipse のチートシート・ファイルの XML フォーマットを直接操作したくない人にとっては、このエディターを使った方がずっと簡単です。この新しいエディターに加えて、既存の Eclipse コマンドと容易にリンクするためのコマンド・コンポーザーもあります。これによって、推測しながら手動コマンドで Eclipse を操作するという、間違いを起こしがちな作業をなくすことができます。



図 5. チートシート・エディターとコマンド・コンポーザー
図 5. チートシート・エディターとコマンド・コンポーザー

チートシートに関連する拡張ポイントを下記に示します。


表 2. チートシートに関連する拡張ポイント
拡張ポイント説明
org.eclipse.ui.cheatsheets.cheatsheetContent チートシートのコンテンツ構成部品が Eclipse のヘルプ・メニューに現れるように登録するために使われます。
org.eclipse.ui.cheatsheets.cheatSheetItemExtension チートシート項目に対する拡張を作成するために使われます。これによって、実質的にチートシート・ファイル・フォーマットに新しい属性を導入でき、そうした属性を自由に処理できるようになります。

ヘルプ

これまでに Eclipse あるいは IBM® 製品を扱ったことのある人は、infocenters として知られているものをおそらく見たことがあるはずです。infocenters は Eclipse のヘルプ・システムの一部です。infocenters を使うことで、ヘルプ・コンテンツを提供して構成することができ、またユーザーはヘルプ・コンテンツを素早く検索することができます。ヘルプ・コンテンツは、Eclipse 自体の中で検索することもでき (Help > Help Contents...)、あるいは上記のように infocenters を使ってブラウザーから検索することもできます。一般的にヘルプ・コンテンツは、HTML ファイルにリンクする XML ファイルの階層構造の中に組み込まれています。もしヘルプ・コンテンツが、既に DITA (Darwin Information Typing Architecture) や DocBook など一般的な文書フォーマットになっているのであれば、そうした内容を Eclipse で利用可能なヘルプ・プラグインに変換することができます。

ヘルプ・コンテンツ・プロデューサー


Eclipse V3.3 には、ヘルプ・コンテンツ・プロデューサーという概念があります (org.eclipse.help.contentProducer 拡張ポイントを参照してください)。この概念を利用すると、他の文書ソース (例えば DITA あるいは DocBook など) を効率的に Eclipse のヘルプ・システムにプラグインすることができます。

PDE には優れたテンプレートがあり、サンプルのヘルプ・コンテンツを参照しながら作業を始めることができます。Plug-in with sample help content テンプレートを選択すると (図 6)、PDE は org.eclipse.help.toc 拡張ポイントの拡張を持つ初期プロジェクトを作成します。このプロジェクトが作成されたら、単純に新しいランタイム・ワークベンチを起動し、ヘルプを選択すると (Help > Help Contents...)、提供したヘルプの実際の動作を見ることができます。




図 6. Sample help content テンプレート

Eclipse V3.3 では、リモート・ヘルプも利用できるようになりました。このことは、実際のアプリケーションとは別にヘルプ・コンテンツを出荷できるということを意味します。ヘルプ・コンテンツを同梱して出荷する代わりに、ヘルプ・コンテンツをホストするサーバーを用意し、アプリケーションがそのヘルプ・サーバーを指すようにできるのです (図 7)。こうすれば、ユーザーがヘルプを要求した時に、必要に応じてヘルプをダウンロードすることができます。ただし、ユーザーがオフライン環境で作業する場合にはヘルプを利用できず、これが弊害となる可能性があるので、開発者は十分に注意する必要があります。これはつまり、アプリケーションの初期ダウンロード・サイズを削減することと、完全にオフライン環境で作業できる便利さとのバランスの問題になります。



図 7. リモート・ヘルプの設定の例
図 7. リモート・ヘルプの設定の例

Eclipse のヘルプに関連する拡張ポイントのリストを下記に示します。


表 3. ヘルプに関連する拡張ポイント
拡張ポイント説明
org.eclipse.help.toc 個々のプラグインが、ヘルプ・コンテンツに対して使います。
org.eclipse.help.index ヘルプ・コンテンツで使用される索引を生成するために使われます。
org.eclipse.help.contexts 個々のプラグインが、コンテキストによって変わるヘルプを提供するために使います。
org.eclipse.help.contentProducer 実行時にヘルプ・コンテンツを動的に生成するために使われます。
org.eclipse.help.contentExtension これによって、再利用可能なヘルプ・コンテンツをヘルプ・システムで再利用することができます。

まとめ

この記事では Eclipse のユーザー支援機能を紹介しました。皆さんが開発者として、エンド・ユーザーのためにこうした機能を使うことを検討するようにお勧めします。要約すると、適切な (そして統合された) ドキュメンテーションがあれば、ユーザーの学習期間を削減する大きな効果があります。また Eclipse User Assistance プロジェクトは、それを実現するためのさまざまなツールを提供しています。

謝辞

ユーザー支援に関する専門知識をもとに、この記事をレビューしてくださった、Dejan Glozic とCurtis D'Entremont、Lee Anne Kowalski、そして Chris Goldthorpe の各氏に感謝いたします。


参考文献

学ぶために

議論するために

  • Eclipse に関する質問を議論するための最初の場所として、Eclipse Platform newsgroups があります。(このリンクをクリックすると、デフォルトの Usenet ニュースリーダー・アプリケーションが起動され、eclipse.platform が開きます。)

  • Eclipse newsgroups には、Eclipse を利用し、拡張することに関心を持つ人達のために、さまざまなリソースが用意されています。

  • developerWorks blogs から developerWorks のコミュニティーに加わってください。

著者について

Chris Aniszczyk

Chris AniszczykはIBM Lotusのソフトウェア技術者であり、IBMのExtreme Blueインターンシップ・プログラムの卒業生でもあります。オープンソースの信奉者であり、現在はGentoo Linux (http://www.gentoo.org) ディストリビューションに取り組んでいます。またEMFT(Eclipse Modeling Framework Technology)プロジェクトのコミッターでもあります。

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ArticleTitle=Eclipse の User Assistance プロジェクトを知る
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