Eclipse V3.4 をマスターする: 第 1 回 Eclipse IDE ワークベンチ

連載「Eclipse をマスターする」では、まったくの Eclipse 初心者を対象に Eclipse IDE のノウハウをくまなく教えます。今は初心者でも、連載が終わる頃には上級ユーザーと肩を並べるほどになっているはずです。この第 1 回の記事では Eclipse IDE の構成要素を紹介し、カスタマイズする方法を説明します。

Prashant Deva, Founder, Placid Systems

Prashant DevaPrashant Deva は Placid Systems の創立者であり、Eclipse 用の ANTLR Studio プラグインの作成者でもあります。彼は ANTLR や Eclipse プラグインの開発に関するコンサルティングも行っています。彼は ANTLR や Eclipse プラグインに関する記事を何本か執筆しており、また Eclipse の開発チームに対して頻繁にアイデアやバグ・レポートを寄せています。彼は現在、素晴らしい次期開発ツールを作成するために多忙な日々を送っています。


developerWorks 貢献著者レベル

2008年 10月 28日

Eclipse を初めて使用するユーザーを対象にした第 1 回では、初心者にとって理解しにくい Eclipse の用語を解説し、Eclipse IDE を構成するさまざまな要素について解説します。この記事では Eclipse ワークベンチとは何か、そしてプロジェクトとワークスペース (Eclipse でのソース・コードの編成手段) にはどのような違いがあり、どのように関係するのかを説明し、最後に、IDE の構成部分を好みに合わせてカスタマイズする方法を教えます。

ワークベンチ

Eclipse のメイン・ウィンドウは、ワークベンチ (Workbench) と呼ばれます (図 1 を参照)。ここにはメニュー・バー、ツールバー、エディター (Editor)、ビュー (Views) などがあります。ツールバーの下にあるのはワークベンチ・ページと呼ばれる領域で、ここに、エディターとさまざまなビューが配置されます。このページで最も目立つインターフェースの構成要素はエディターとビューです。

図 1. Eclipse ワークスペース
Eclipse ワークスペース

エディター

Eclipse での開発は、主たるコンテンツ領域であるエディターで行います。「エディター」という言葉は必ずしもテキスト・エディターを意味するわけではありません。例えば、WYSIWYG フォームの設計者でさえエディターと見なすことができるのでご注意ください。Eclipse ワークベンチはツールバーとビューで溢れかえってしまうこともありますが、その場合にエディター用のスペースを増やすには、右上の「Maximize」ボタンをクリックしてください。こうすると、他のすべてのビューが非表示になり、エディターの画面表示領域が広くなります。すべてのビューを画面に戻すには、「Restore」をクリックします。

場合によっては、同時に複数のエディター・ウィンドウを表示しなければならないこともあります。例えば、エディター間でコピー・アンド・ペーストするときや、あるエディターで情報を確認しながら、別のエディターに入力するときなどです。このような作業を簡単にするため、Eclipse では 2 つのウィンドウを横または縦に並べて表示できるようになっています。それには、開いているエディター・ウィンドウのタブを横または上下にドラックします。すると、ドラッグした方向にエディター・ウィンドウが整列するので、2 つのエディターを開いた状態で容易に作業することができます。

多数のエディター・ウィンドウが開いている場合、目的のエディターに切り替えるために、いくつも並んだタブを手作業で調べて該当するタブをクリックするのには時間がかかります。Eclipse にはこの作業を楽にする便利なショートカットがあります。Ctrl+E を押してください。すると一連のタブの右上にポップアップ・メニューが表示され、開いているすべてのエディターが一覧にされます (図 2 を参照)。このリストから目的のエディターを選択することも、あるいは開きたいエディターの名前を入力してリストをフィルタリングすることもできます。

図 2. Ctrl+E を押すと表示される、エディター・ウィンドウを簡単に切り替えるためのポップアップ
Ctrl+E を押すと表示される、エディター・ウィンドウを簡単に切り替えるためのポップアップ

ビュー

ビューとはエディターの横に連結された小さなウィンドウのことで、ここにはエディターに表示されている内容に関する詳細情報が表示されます。ビューを最小化するには、右上にある「Minimize」ボタンをクリックします。すると、ビューはウィンドウ横のショートカット・バーに最小化されます (図 3 を参照)。このショートカット・バーでビューのボタンをクリックすると、ビューが一時的にポップアップ表示されます。このようにすると、画面の表示領域を節約できると同時に、簡単にビューにアクセスできるので便利です。

図 3. ビューを最小化するとともに、すぐに使用できるようにするショートカット・バー
ビューを最小化するとともに、すぐに使用できるようにするショートカット・バー

ビューを所定の位置から切り離すことも可能です。ビューを切り離すには、ビューをワークベンチ・ウィンドウの外側までドラッグするか、ビューのタブを右クリックして「切り離し」を選択します。切り離されたビューは新規ウィンドウのように振る舞い、ワークベンチ・ウィンドウの上部に表示されます。ワークベンチ・ウィンドウでビューの連結場所を反対側にすることも同じく可能です。それには、ビューのタブをドラッグして、連結させたいワークベンチ・ウィンドウの端に配置します。ビューを開くには、ウィンドウ > ビューの表示 の順に選択します。この操作によって、使用可能なビューを示すメニューがポップアップ表示されます。このなかに目的のビューが含まれていない場合には、メニューの一番下にある Other をクリックすると、すべてのビューをカテゴリー別に編成したダイアログがポップアップ表示されます。開きたいビューの名前をこのダイアログの上部のテキスト・ボックスに入力することで、ビューの一覧をフィルタリングすることができます。このダイアログをさらに簡単に表示する方法としては、ワークベンチ・ウィンドウの左下にある + 記号が付いたアイコンをクリックします。すると、ウィンドウ > ビューの表示 の順に選択したときに表示されるメニューと同じメニューが表示されます。


プロジェクトとワークスペースの違い

Eclipse では、プロジェクトとワークスペースという 2 つの概念を使用してソース・コードを編成します。ワークスペースとは、プロジェクトの集合のことです。一方プロジェクトとは、一連のソース・ファイルの集合のことです。Eclipse のプロジェクトは他の IDE で言うプロジェクトとは異なるため、Eclipse の初心者にとってワークスペースとプロジェクトの概念が大きな混乱の種となるのはやむを得ません。

ソフトウェア開発の観点からこの 2 つの概念について考える上で良い方法は、Eclipse で言うプロジェクトを個々のモジュールと考え、ワークスペースをプロジェクトと見なすことです。したがって、1 つのプロジェクト (Eclipse で言うワークスペース) に、複数のモジュール (Eclipse で言うプロジェクト) が含まれることになります。以降のセクションでは、それぞれの概念について詳しく検討します。

ワークスペース

ワークスペースには、すべてのプロジェクトと設定 (構文強調表示に使用する色、フォント・サイズなど) が含まれます。ワークスペース外部では、Eclipse での作業は行えません。最初に Eclipse を起動すると、ワークスペースのデフォルト・ロケーションを入力するよう求めるプロンプトが出されます。この時点で新しいワークスペースを作成することも、あるいは任意の時点で ファイル > ワークスペースの切り替え > その他 の順に選択して別のワークスペースに切り替えることもできます。表示されるダイアログ・ボックスに既存のワークスペースのロケーションを入力するか、ワークスペースを新しく作成する別のロケーションを入力してください。このダイアログには、設定を新規ワークスペースにコピーするオプションもありますが、このオプションとして表示される内容は適切なものではありません。このオプションはウィンドウのレイアウトと作業セットをコピーするだけで、構文強調表示の色やフォント・サイズのテンプレートなどはコピーしないからです。しかし、既存のワークスペースで構成済みの多くの設定を、新しいワークスペースで構成しなおすのが大変な場合には、おそらくすべての設定を新しいワークスペースにコピーしたくなるでしょう。ありがたいことに、Eclipse では以下のようにして、すべての設定を簡単に新規ワークスペースにコピーすることができます。

  1. ファイル > エクスポートの順に選択します。
  2. 表示されるダイアログで 一般 > 設定 の順に選択し、「次へ」をクリックします。
  3. すべてエクスポート」を選択し、ファイルのパスを指定して (図 4 を参照)、「終了」をクリックします。これにより、ワークスペースのすべての設定が、指定したファイルに保存されます。
  4. 新しいワークスペースに切り替えて ファイル > インポートの順に選択し、さらに 一般 > 設定 の順に選択します。
  5. 設定を保存したファイルの場所を指定して、「終了」をクリックします。これで、設定が新しいワークスペースにインポートされます。
図 4. ワークスペースの作成または切り替え
ワークスペースの作成または切り替え

ワークスペース・ディレクトリーに含まれる .metadata ディレクトリーには、Eclipse 内の各種プラグインによって保管されたすべての設定が含まれます。このディレクトリーの存在が、現行のディレクトリーが有効なワークスペースであることを Eclipse に知らせます。.metadata ディレクトリーには .log という名前のファイルもあります。このファイルには Eclipse の実行中に発生したすべてのエラーやスローされたと考えられるすべての例外が含まれているので、Eclipse が何らかの時点で突然クラッシュした場合には、このファイルが診断に役立つはずです。

プロジェクト

Eclipse で言うプロジェクトは、ワークスペースをどのように編成するかによって、個々のアプリケーションにすることも個々のモジュールにすることができます。Java™ プロジェクトを新規に作成するには、ファイル > 新規 > プロジェクト の順に選択し、表示されたダイアログ・ボックスで Java > Java プロジェクト の順に選択します。

多くの初心者が混乱するのは、このダイアログにある「ウィザード」テキスト・ボックスです。このテキスト・ボックスは各種プロジェクトの一覧をフィルタリングするためのもので、プロジェクトに名前を付けるためのものではありません。ツリーから「Java プロジェクト」項目を選択し、「次へ」をクリックしてウィザードの次のステップに進んでください。次のステップで、プロジェクトに名前を付けて、その設定を構成することができます (図 5 を参照)。

図 5. Java プロジェクトの作成
Java プロジェクトの作成

Create a Java Project」ダイアログの中央にある JRE グループでは、このプロジェクトを作成するために使用する Java のバージョンを選択することができます。「Project layout」グループでは、ソースと生成されたクラス・ファイルの両方を 1 つのフォルダーに配置するか、あるいはそれぞれに別個のフォルダーに配置するかを指定します。推奨されるのは、デフォルト設定 (「Create separate folders for sources and class files」) をそのまま使用して、ソース・ファイルとクラス・ファイルのそれぞれに別のフォルダーを作成することです。こうすると、コードと生成されたバイナリーを明確に分けておくことができます。最後に「終了」をクリックすると、プロジェクトの名前が設定された新規フォルダーがワークスペース・ディレクトリーに作成されます。プロジェクト・フォルダーのなかには、ソース・ファイル用とクラス・ファイル用にそれぞれ src、bin という 2 つのフォルダーがあります。ユーザーが手を付けるのは、src フォルダーのなかだけです。bin フォルダーは、Eclipse によってバックグラウンドでクラス・ファイルを自動的に生成するために管理されます。


ツールバーとメニューのカスタマイズ

Eclipse ウィンドウ上部にあるツールバーとメニュー・バーはどちらも好みに応じてカスタマイズすることができます。ツールバーとメニュー・バーは、それぞれのパースペクティブごとに構成されます。パースペクティブとは、ユーザーが作業中の特定のタスクに応じてさまざまなビュー、ツールバー、メニューの配置を分類する Eclipse の手法です。例えばデフォルトでは、Eclipse には Java コードの開発とデバッグのそれぞれを対象とした Java という名前のパースペクティブと Debug という名前のパースペクティブがあります。Debug パースペクティブにはデバッグ専用に使用するビューとツールバーがありますが、Java パースペクティブにこれに該当するビューとツールバーはありません。パースペクティブを切り替えるには、ウィンドウ > パースペクティブを開く > その他 の順に選択して表示される画面で切り替えるか、またはツールバーの右端にあるボタンをクリックします (図 6 を参照)。

図 6. ツールバー右端にあるパースペクティブを切り替えるためのボタン
ツールバー右端にあるパースペクティブを切り替えるためのボタン

パースペクティブのツールバーとメニューをカスタマイズするには、上部のメイン・ツールバーを右クリックして「パースペクティブのカスタマイズ (Customize Perspective)」を選択し、続いて「コマンド (Commands)」タブをクリックします。このタブには、さまざまなメニュー/ツールバー項目が機能別に分かれて表示されています (図 7 を参照)。このタブで、例えば「検索 (Search)」項目を選択すると検索関連のメニュー項目とツールバー項目が使用可能になります (IDE に提供されているコマンドと同じく、Eclipse ではツールバー項目とメニュー項目をコマンドと呼んでおり、「コマンド (Commands)」というラベルが付けられたこのタブでは、コマンド・グループを使用可能/使用不可に設定することができます)。

図 7. ツールバー項目およびメニュー・バー項目のカスタマイズ
図 7. ツールバー項目およびメニュー・バー項目のカスタマイズ

Eclipse 設定のカスタマイズ

非常に多くのプラグインを備えた大規模で複雑な IDE である Eclipse では、カスタマイズできるオプションが数多くありますが、幸い、これらのオプションはすべて 1 箇所に集められています。ウィンドウ > 設定 の順に選択して、「設定 (Preferences)」ダイアログ・ボックスを開いてください。

図 8. 「設定 (Preferences)」ダイアログ・ボックス
「設定 (Preferences)」ダイアログ・ボックス

このダイアログには、カスタマイズ可能なオプションが巨大なツリー形式で表示されます。変更したい設定がこのツリーのどこにあるのかを正確に覚えておくのは困難かもしれませんが、上部のテキスト・フィールドにオプションの名前を入力すれば、この巨大なオプションのツリーをフィルタリングすることができます。例えばボックスに fonts と入力すると、すぐにツリーがフィルタリングされて、フォント関連の項目だけが表示されます。次のセクションでは、このダイアログでいくつかの共通設定を変更する方法を説明します。

フォントの変更

設定 (Preferences)」ダイアログ・ボックスで、一般 (General (一般) > 外観 (Appearance) > 色とフォント (Colors and Fonts) の順に選択します (図 9 を参照)。ここから先の操作で、Eclipse UI のあらゆる部分のフォントを変更することができます。例えば、Java エディターのフォントを変更する手順は以下のとおりです。

  1. Java > Java エディター・テキスト・フォント (Java Editor Text Font) の順に選択します。
  2. 変更 (Change) をクリックします。
  3. 希望のフォントとサイズを選択して、OK をクリックします。
  4. 適用 (Apply) をクリックします。
図 9. フォントの変更
Changing fonts

キーボード・ショートカットの変更

「設定 (Preferences)」ダイアログ・ボックスで、一般 (General (一般) > キー (Keys) の順に選択します (図 10 を参照)。ここからは、あらゆる Eclipse コマンドのキーボード・ショートカットを割り当てたり、変更したりすることができます。例えば、「ステップオーバー (Step Over)」コマンドのショートカットを変更する手順は以下のとおりです。

  1. テキスト・フィールドに「ステップオーバー (step over)」と入力します。
  2. この入力によってフィルタリングされた一覧から「ステップオーバー (Step Over)」コマンドを選択します。
  3. バインディング (Binding)」ボックスでは、新しいキーボード・ショートカットを押します。ショートカットを入力する必要はありません。該当するキーを押すだけでボックスにショートカットが入力されることに注意してください。例えば F2 をコマンドに割り当てるには、F2 キーを押します。
  4. 新しいショートカットが既存のキーボード・ショートカットと競合する場合、その既存のショートカットが「Conflicts」リストに表示されます。
  5. ショートカットの変更が完了したら、OK をクリックします。
図 10. キーボード・ショートカットの変更
キーボード・ショートカットの変更

まとめ

この記事では、Eclipse IDE を構成するさまざまな要素について詳しく見てきました。これで、Eclipse ワークベンチが何であるのか、そしてこのワークベンチを構成する要素を理解できたはずです。この記事を読んで、ワークスペースおよびプロジェクトの概要と、この 2 つの違いと相互関係、さらに IDE の構成要素を好みに応じてカスタマイズする方法や、これらの設定をあるワークスペースから別のワークスペースへエクスポートする方法についても把握できたことと思います。第 2 回では、Java プロジェクトと Eclipse Java 開発環境 (JDT: Java Development Environment) の操作方法を説明します。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

議論するために

  • Eclipse に関する質問を投じる最初の場所として、Eclipse Platform newsgroups があります (このリンクをクリックすると、デフォルト Usenet ニュース・リーダー・アプリケーションが起動され、eclipse.platform が開きます)。
  • Eclipse newsgroups には Eclipse を利用し、拡張することに関心を持つ人達のために、さまざまなリソースが用意されています。
  • developerWorks blogs から developerWorks コミュニティーに加わってください。

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ArticleTitle=Eclipse V3.4 をマスターする: 第 1 回 Eclipse IDE ワークベンチ
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