レベル: 初級 ITmedia, Writer
2007年 4月 27日 春は出会いと別れの季節。入学や就職で、新しい生活を始める人も多いでしょう。そこで本連載では、新入学生/新社会人応援企画として、オープンソースで作る環境構築を解説していきます。また、デスクトップ環境のほか、新しくプログラミングを始める人のために、Web/Java開発の第一線でいまどのように環境が使われているかを紹介します。
オープンソースを使う動機は人それぞれ。Windowsに飽きた人もいれば、大学や仕事で必要になるからと始める人もいるでしょう。ところが、いざ始めようとしたときに、どこから手をつけて良いか分からないことも多いものです。「どのディストリビューションが良いか」は、いつも論争になる話題ですし、本当のところは自分で試さないとよく分かりません。そこで今回から2回に分けて、ディストリビューションを選ぶための目安と、気軽に試すための手引きを紹介していきます。
どのディストリビューションを選ぶか
かつて、「Linuxブーム」と呼ばれる現象が起こったのが1999年代末。当時の喧噪は一段落し、昨今では「どのディストリビューションを選ぶか」という話題もずいぶん落ち着いたように感じられます。現在では、どのディストリビューションも完成度が高く、ユーザーの要望は比較的簡単に満たされます。
しかし、ディストリビューションごとの差異はいまだに大きく、むしろそれぞれのユーザー層は分離が進んでいるのではないでしょうか。例えば「FedoraCoreでは、日本語入力のためのショートカットキーが『半角/全角キー』に割り当てられている」と聞けば、衝撃を受ける方もいると思われます。
そういったチューニングはWindowsを強く意識したもので、既存のUNIX文化になじんだ人たちは、(これまで可能だったにもかかわらず)そういうことを決してしませんでした。PCUNIXのユーザーたちは、これまでUNIXの文化の範囲内で環境を構築していたのです。PC UNIXは、ソフトウェアだけでなくUNIXの文化とワンセットで扱われてきましたが、それぞれのディストリビューションは独自の進化を遂げようとしているのかもしれません。
そこでまずは、あらためて「どのディストリビューションを選ぶか」という問題を考えます。
各ディストリビューションの特徴
現在フリーで利用できる主なPC UNIXとして次のものが挙げられます。これらの特徴について、いま一度まとめてみます。
- Linux:Fedora Core、SUSE LINUX、Vine Linux、Debian GNU/Linux、Ubuntu Linux、GentooLinux
- BSD系:FreeBSD、OpenBSD、NetBSD
Fedora Core
2003年11月、それまで最も多く利用されていたRed Hat Linuxが、商用専業のディストリビューションとなりました。それまでフリーで利用できていたRedHat Linuxが使えなくなったのです。Red Hatは、それまで自社内で開発していたRed Hat Linuxをユーザーに開放し、これを受けてFedoraCoreという新しいディストリビューションができました。
Fedora Coreは、Red Hatの運営と資金提供を受けるFedoraプロジェクトによって開発されています。Fedora Coreは、新しいソフトウェアを積極的に採用する実験的なディストリビューションというスタンスで、その成果は商用のRedHat Enterprise Linuxに取り込まれます。
Vine Linux
日本人が開発しており、日本語の利用や周辺機器サポートがしっかりしています。安定指向のため、最新のソフトウェアをあまり使用せず、少し古めで枯れたパッケージ構成も特徴です。メーリングリストが活発で、日本人のユーザー同士で情報交換できるのも、ほかのディストリビューションにはない魅力。初心者にも比較的使いやすいでしょう。
SUSE LINUX
元はドイツで開発されていて、比較的最近日本に入ってきたものです。2005年8月からopenSUSEというプロジェクトが立ち上がり、広くボランティアによって開発されるようになりましたが、それまでは企業が主体となって開発していました(現在も多少の影響を受けています)。もともとの完成度が高いことと、使いやすいパッケージシステムを備えることで人気。サポートが付属した商用パッケージもあるので、いざとなったらサポートが欲しい初心者にもお勧めできます。
Debian GNU/Linux
強力なパッケージ管理システムを持ち、パッケージ数も豊富。比較的安定指向のシステム構成を取り、リリース間隔も長いLinuxディストリビューションです。また、開発の目標も特徴で、「完全にフリーなUNIX環境の構築」を目指して開発されています。開発者は世界中に散らばるたくさんのボランティアで、開発のための高度な組織や連絡網を構築しています。また、使いやすいデスクトップ環境を目指して派生したUbuntuLinuxも注目されています。
Gentoo Linux
ソースコードのビルド工程を、パッケージシステムに組み込んでいます。ソフトウェアを自分で1つずつビルドすることで、中身をすべて把握できることから、マニアの注目を集め日本でも一定の支持を集めています。
FreeBSD、NetBSD、OpenBSD
由緒正しいUNIXを直系に持つPC UNIX。Linuxに比べると設計が奇麗なため、玄人に好まれます。BSD系の中では比較的デスクトップ指向が強くユーザーが多いFreeBSDと、奇麗な設計というポリシーで開発され高い移植性を持つNetBSD、セキュアな環境をポリシーに開発されているOpenBSDなどがあります。
以上の特徴をまとめると図1のようになります。Windowsに習熟しているユーザーが、その延長線上で「オープンソースアプリケーションの恩恵を受けたい」というのなら、最も適しているのはFedoraCoreだと思わます。先進的なソフトウェア構成を取る一方で、Windowsライクなユーザーインタフェースも貪欲に取り入れているので、Windowsからの移行でも違和感が少ないでしょう。
図1. ディストリビューションマップ
その逆で、仕事でも使えるスキルを身につけたいといった場合は、伝統的なUNIXに近い構成を持つものや、商用ディストリビューションと関連のあるものを使う方が良いと思われます。
ディストリビューションを気軽に試そう
さて、前記のようにディストリビューションを選択するとしても、やはり実際には使ってみないとそれぞれの良さが分かりません。また、PC UNIXが使いやすくなったとはいえ、まだまだWindowsが活躍する場面も多くあります。複数のOSを、気軽に試せる環境があれば、非常に便利です。
これまで、1台のPCで複数のOSを使うといえば、デュアルブート構成が一般的でした。例えばWindowsとLinuxを1台のPCにインストールし、用途ごとに再起動して使い分けて使っていたわけです。しかし、切り替えのたびに再起動を伴うのは繁雑で、せっかく興味を持ったのに使わなくなってしまう人も多いでしょう。
こういった問題を解決し、気軽にOSを試せるソフトウェアがあります。それが「仮想化ソフトウェア」です(表1)。次回は、Windows上にLinuxをインストールして実行できる仮想化ソフトウェア「coLinux」を紹介します。coLinuxは、オープンソースで開発され、まずまずの速度で快適に利用できることから人気があります。
表1. 各仮想化ソフトウェアの特徴
http://colinux.sourceforge.net/
| ソフトウェア | 特徴 |
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| VMware Player | 商用の仮想化ソフトウェアであるVMwareをベースに、基本的な機能を提供する。Windows上でPC UNIXを動かしたり、その逆も可能。無料で利用できるが、オープンソースではない。品質が高く、初心者でも利用しやすい |
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| coLinux | Windows上のデバイスドライバとしてLinuxの実行環境を実装。coLinux自体はGUI環境を提供していないので、別途ソフトウェアをインストールする必要がある。初心者には少し敷居が高い |
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| Xen | 「仮想マシンモニタ」に分類される、オープンソースの仮想化ソフトウェア。仕組み上、ほかの仮想化ソフトウェアに比べて高速に動作するが、まだまだ発展途上のため初心者には扱いづらい |
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参考文献
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