この記事では、Lotus Enterprise Integrator (LEI) 7 に導入された新機能と機能強化について解説します。

Scott Morris, Senior Software Engineer, IBM

Scott Morris is a Senior Software Engineer and is the Manager of the Lotus Enterprise Integration team of the IBM Software Group. He joined Lotus/IBM in 1990. Since 1997, he has worked on developing products that are offered by the Lotus Enterprise Integration team. He was previously a member of the Notes API team, the Notes server team (before there was a Lotus Domino), and somewhere in the deep dark past, the 1-2-3 for Macintosh team. Scott has an MS in Computer Science from Boston University and a BS in Mathematics from Carnegie Mellon University.



2005年 8月 30日

IBM Lotus Enterprise Integrator for Domino (LEI) を使用すると、ユーザーは複数のプラットフォームにわたるデータにアクセスできます。LEI によって、実際のデータがどこに存在するかを意識せずに、ユーザーは企業データを扱えます。これは、共通のプラットフォームやアプリケーションに情報を移すことなく、企業ナレッジの既存の蓄積を活用できることを意味します。LEI は、LEI Server と LEI Administrator という 2 つの主要コンポーネントによって構成されています。LEI Server は、実行する LEI アクティビティを LEI Administrator データベースで監視します。ユーザーは、LEI Administrator (Notes アプリケーション) を使用してアクティビティとコネクションを作成します。

IBM から、LEI の最新のバージョンである Lotus Enterprise Integrator 7 がリリースされました。この記事では、LEI 7 での機能強化について簡単に説明します。特に、次の 2 つの点に注目します。

  • 信頼性と保守性 (RAS) の強化。LEI 7 では、Domino クラスタフェイルオーバーのサポート、Batch アクティビティと RealTime アクティビティ、NSD の変更などが含まれます。
  • 新機能とユーザー・インターフェースの変更。Lotus Connector for Oracle の改良などが含まれます。

この記事は、前のバージョンの LEI に習熟されている方を対象として書かれています。LEI の詳細については、Lotus Enterprise Integrator の製品ページを参照してください。

LEI のフェイルオーバー

LEI 7 での RAS の重要な変更点として、Domino クラスタのサポートが挙げられます。前のリリースでは、LEI クラスタは次のように機能しました。LEI Server のグループは LEI クラスタに参加できます。アクティビティがデフォルトで実行されるサーバーをクラスタ内で指定できます。このサーバーがダウンすると、他の LEI Server がアクティビティを引き継ぎ、実行します。LEI クラスタの各サーバーは、同じ LEI Administration データベースを使用します。これは、もし、LEI Administration データベースをホストする Domino Server がダウンすると、クラスタ内のすべての LEI Server がダウンすることを意味します。言い換えると、LEI クラスタは Single Point of Failure (単一箇所の障害がシステム全体の障害を引き起こすこと) を持つことになります。

このような機能は、LEI 7 で改善されています。LEI 7 は、Domino クラスタの各サーバーにインストールされるようになりました。各 Domino Server は、LEI Administration データベースと LEI Log データベースの両方のクラスタレプリカを持ちます。このため、どの Domino Server がダウンしても、他の Domino クラスタサーバー上の別の LEI Server が、ダウンしたサーバーの作業を引き継ぎます (ダウンしたサーバーは、ローカルレプリカで知ることができます)。

この設定はたいへん簡単です。まず、LEI 7 インストーラーでこの機能について設定します。インストール・プロセスの途中で、図 1 の画面が表示されます。

図 1. 「LEI フェイルオーバークラスタサポートのインストール」の画面
「LEI フェイルオーバークラスタサポートのインストール」の画面

インストーラーは、クラスタの最初のサーバーを作成するか、既存のクラスタに参加します。

LEI Administration データベースの設定文書では、インストーラーによって [Domino Clustering] フィールドが有効にされ、クラスタ関連の他のフィールドが適切に設定されます (図 2 参照)。

図 2. Domino クラスタの有効化
Domino クラスタの有効化

図 2 に示されるように、[Domino Clustering] フィールドの下に [Synchronization Delay] フィールドがあります。一般的なクラスタ複製は 8 秒程度なので、システム・クロックの差を考慮して、これに約 1 分を加えた値を設定します。システム・クロックの時刻をチェックするには、[Action] メニューから [LEI Server Administration\Server Time Check Action] を実行します。図 3 のような結果が得られます。

図 3. [Server Time Check Action] の結果
[Server Time Check Action] の結果

サーバー間で時刻が大きく異なる場合は、各サーバーにアクセスして時刻を合わせる必要があります。システムを自動的に原子時に合わせる方法は多数あります。オペレーティングシステムに適した時刻同期ツールを使用することをお勧めします。これが最も簡単な方法です。

最後の設定フィールドは [Batch Activity Failover] フィールドです (図 2 参照)。この設定により、LEI はこれらのタイプのアクティビティ (RealTime を除くすべて) をフェイルオーバーします。次のセクションでは、Batch アクティビティと RealTime アクティビティについて説明します。


Batch アクティビティと RealTime アクティビティ

LEI 7 では、Batch と RealTime という 2 つのタイプのアクティビティが追加されました。

Batch アクティビティ

Batch (または Data Management) アクティビティは、実際にフェイルオーバーする唯一のアクティビティのタイプです。フェイルオーバーを行うには、クラスタ内の各サーバーが、同一のリレーショナル・データベース管理システム (RDBMS) のクライアント設定を持つこと (または、Lotus Connector for SAP の場合は、クラスタ内の各サーバーに SAP Connector がインストールされていること) が必要です。アクティビティの作成者は、フェイルオーバーの順序を定義できます。たとえば、常に HR1 サーバーでアクティビティを実行し、このサーバーがダウンしたときは HR2 を使用するというように設定します。この設定は、アクティビティ文書の [Activity Execution Options] セクションで行います (図 4 参照)

図 4. [Activity Execution Options] の画面
[Activity Execution Options] の画面

1次サーバーが再起動すると、アクティビティも再びそのサーバーで実行されます。

RealTime アクティビティ

LEI RealTime アクティビティの設計は、LEI フェイルオーバークラスタで異なる方法で扱う必要があります。まず、Virtual Fields アクティビティから見ていきましょう。この場合、Domino クラスタ内の各 LEI Server は、ローカルで実行するためにそれぞれ独自の Virtual Fields アクティビティを持たなければなりません。すべてのサーバーは同じ RDBMS テーブルを共有します。クラスタサーバー A でレコードが変更された場合、Virtual Field アクティビティはこれを認識するので、クラスタ内の他のサーバーでこのレコードを変更する必要はありません (他のサーバー上のデータベースとフォーム用に Virtual Fields アクティビティが実行されている場合)。これを設定する最も簡単な方法は、Virtual Fields アクティビティを一度作成し、このアクティビティ文書をクラスタ内の各サーバーにコピー・アンド・ペーストすることです。次に、各アクティビティ文書を編集し、目的のサーバーフィールドを正しく設定します。

Virtual Documents は Virtual Fields とは大きく異なっています。この場合、複数の Virtual Documents アクティビティで特定の RDBMS テーブルを使用することはできません。最もよい解決方法は、クラスタ内の 1 つの LEI Server で単一の Virtual Documents アクティビティを実行することです。クラスタ内の他のサーバーでは、完全な NSF を使用します (つまり、"virtual (仮想) " ではなくなります)。これは、Virtual Documents アクティビティで管理されるコネクションは Single Point of Failure であることを意味します。しかし、ユーザーは他のサーバー上のレプリカデータベースにアクセスできるので、データが失われることはありません。Virtual Documents サーバーがオンラインに復帰したとき、変更内容が RDBMSに送信されます。

詳細については、『LEI ユーザーズガイド』を参照してください。


NSD の変更

Windows 32 プラットフォーム用の SYM ファイルが LEI に含まれるようになりました。このファイルにより、最初にデバッグ・コードをインストールしなくても、修正が配布される可能性が高まります。これを機能させるために、いくつかの LEI コンポーネントの名前が変更されています。これらの変更はユーザーには表示されません。ただし 1 つだけ例外があり、自分自身の識別を要求されたとき、Lotus Connector for Notes は「notes」ではなく「notesei」とレポートします。


LEI 7 の新機能とユーザー・インターフェースの強化

LEI 7 には、いくつかの新機能が追加されています。たとえば、LEI 7 以前では、Batch タイプのアクティビティは、実行が正しく完了した後にのみ他のアクティビティを起動できました。この機能は、Batch タイプのアクティビティの [Activity Execution] セクションで拡張されました (図 5 参照)。

図 5. [Activity Execution Options]
[Activity Execution Options]

現在は、アクティビティの実行方法として、常に実行する、アクティビティの実行が正しく完了した場合のみ実行する、失敗した場合に実行する、を選択できます。これによって、失敗時のクリーンアップなどのタスクをより詳細に制御できます。

LEI 7 の Batch アクティビティには、別の新機能も導入されています。Notes Connector が使用されているとき、Batch アクティビティのフォームに Notes パスワードと呼ばれるオプションが表示されます。このオプションによって、デフォルト ID とは別の Notes ID でアクティビティを実行するよう指定できます。ID にパスワードが設定されている場合は、セキュリティーを心配する必要はありません。フォーム全体に、[読者] と [作成者] の権限を設定できるからです。この機能は、Domino データを扱うときのセキュリティーを改善してほしいというユーザーの要望に応えたものです。

Virtual Documents

Virtual Documents アクティビティの機能が改善されています。仮想化されたデータに対し RDBMS で実行される操作を扱う 2 つの機能が追加されました。この 2 つの操作によって、Domino NSF は実際のデータと同期しなくなります。

まず、Virtual Document アクティビティを損なう操作として、RDBMSでレコードを直接削除することが挙げられます。削除は Domino を「介して」行われないので、Domino はこの削除を認識できません。たとえば、削除されたレコードは Domino ビューに表示されたままになります。ユーザーがこのレコードを開こうとすると、エラーが発生します。この問題は、このような状況が発生していないかを定期的にチェックするスレッドをアクティビティに追加することによって解決されています。スレッドはできる限りの修復を行い、Domino ビューを正常な状態に戻します。ビューで作業するユーザーには、更新アイコン ([F9] キーを押したときと同じもの) が表示されます。それ以降、ビューを開いたユーザーには、すべてがそのままの状態で表示されます。

内部キーの場合 (Virtual Document EI 列が直接 RDBMS データ・テーブルに格納されている場合)、問題を解決する唯一の方法は Domino ビューを最初から構築し直すことです。既に存在しないものは把握できないため、NSF に合致する削除スタブを作成できないからです。これは負担の大きい操作ですが、少なくともアクティビティ・レベルでは自動化できます。外部キーが使用されているとき (EI 列がそれ自身の独自のテーブルに格納されているとき) は、外部キー・テーブルで孤立したレコードを見つけ、それを削除スタブに変換できます。この後で Domino ビューを更新します。これは効率が非常に高い操作です。Virtual Documents アクティビティでは、この機能はデフォルトでオフになっていますが、[General Options] セクションの [Synchronize Deletions] フィールドでオンにすることができます (図 6 参照)。

図 6. [Synchronizing deletions]
[Synchronizing deletions]

データの整合性を損なう別の操作として、RDBMS テーブルでのレコードの直接更新があります。この影響として、更新されたレコードの列と、Domino ビューに表示された列が同期しなくなります。また、変更されたこれらの列は複製されません。LEI 7 では、内部キーが使用されているとき、この状態を監視するスレッドを LEI に配置することができます。実際に、LEI は更新されたタイムスタンプを EIMODIFIED 列で検索します。このため、この機能を使用するには、RDBMS の管理者が、レコードが更新されるたびに EIMODIFIED を更新するよう設定する必要があります。この機能は [Synchronize Updates] フィールドで有効にします (図 6 参照)。

コネクションフォームの機能強化

LEI Administration データベースのすべてのコネクションフォームに、「Test Connectivity」と呼ばれる新機能が追加されました。このアクションは (名前からもわかるように)、コネクションのプロパティーによって LEI Server での接続が成功するかどうかを確認します。このアクションにより、基本的にコマンド・ラインから「contest」を実行する必要がなくなります (図 7 参照)。

図 7. [Test Connectivity]
[Test Connectivity]

このアクションを実行すると、図 8 に示すような結果が得られます。

図 8. 接続テストの結果
接続テストの結果

Lotus Connector for ODBC

Lotus Connector for ODBC フォームに新機能が追加されています。特殊な方法を用いて自分自身で確認しなくても、ODBC データ・ソースを参照できるようになりました。これによって、ODBC Connector を使用するときのエラーが減少すると共に、使いやすさが向上しています。ODBC ドライバーに関して、IBM は Data Direct からドライバーを OEM 提供しています。現在は、ドライバーのリリース 5.0 が提供されています。これらのドライバーは、IBM Passport Advantage からダウンロードできます。

フィールドマッピング

LEI 7 では、アクティビティでのフィールドマッピングを改善する 2 つの機能が追加されています。最初の機能は、[Guess] ボタンです。2 つのコネクション間でマッピングするフィールド名が多数あり、どれもよく似ている (しかし、同じではない) 場合は、[Guess] ボタンを使用すると便利です。[Guess] ボタンはマッピング用のダイアログボックスに表示されます (図 9 参照)。

図 9. [Guess] ボタン
[Guess] ボタン

この例では、[Guess] ボタンをクリックすると、図 10 に示すような結果が得られます。

図 10. [Guess] ボタンの結果
[Guess] ボタンの結果

名前とデータ型に基づいて、[Guess] によって良好なマッピングが行われたことがわります。自分でマッピングするよりも、これを利用した方が明らかに簡単です。マッピングを確認した後、結果をアクティビティ文書に保存します (図 11 )。

図 11. マッピングの推測結果
マッピングの推測結果

2番目の機能として、線が追加され、UI が使いやすくなっています。線によって、フィールド同士のマッピングを正しく把握できます。この線は、非常に長いフィールド名 (SAP のフィールド名など) が使用されている場合に特に役立ちます。

Sametime

LEI Administrator のすべてのフォームが Sametime 対応になり、コネクションとアクティビティの作成者名が表示され、これらのユーザーが Sametime でオンラインかどうかを知ることができます。

レポート

LEI 7 では、LEI の管理を支援するいくつかの新しいレポートが追加されています。これらは、すべて [Action] メニューの [Reports] にあります。最初のレポートは [Activity Structure] です。基本的に、このレポートは使用されているコネクションと指定されている従属アクティビティを示します。[Activity Structure] レポートの例を図 12 に示します。

図 12. [Activity Structure] レポート
[Activity Structure] レポート

各領域は、青色で示されたホットスポットを介して、LEI の対応する文書にリンクしています。このレポートにより、依存関係にあるものを削除してしまうのを防げます。

次のレポートは、[Dependent Activity] レポートです。これは、構造を示すレポートに似ていますが、使用されているコネクションについては言及しません。図 13 は [Dependent Activity] レポートの例です。

図 13. [Dependent Activity] レポート
[Dependent Activity] レポート

もう 1 つの重要な新規レポートは [Invalid Link] レポートです (図 14 参照)。存在しないものを参照すると、このレポートは次のようなリンクを表示します。

図 14. [Invalid Link] レポート
[Invalid Link] レポート

その他の変更点

Notes Connection フォームは、より使いやすくなるように再構成されました。既存の機能はすべて保持されています。これに加え、の LEI 6.x コードストリームで修正された内容も、LEI 7 に含まれています。


Lotus Connector for Oracle

Oracle Connector は変更および更新が行われています。まず、Oracle 7 Connector はサポート終了になりました (Oracle 社も Oracle 7 を一切サポートしていません)。現在使用されている Oracle Connector は Oracle 8 Connector です。これは、Oracle 8、9i、および 10g を完全にサポートするよう更新されています。LEI 7 にアップグレードされた既存のコネクションで、Oracle 7 または Oracle 8 Connector のいずれかをリストするものは、そのコネクションフォームの更新が必要ですが、まだ機能します。


まとめ

この記事では、LEI 7 の主な新機能、機能強化、および変更点について解説しました。記事でも触れたように、最も大きな改良点は、Domino クラスタのサポートです。Domino クラスタ環境の可用性の改善により、LEI の性能が大幅に向上しています。もちろん、LEI 7 に追加された他の機能もたいへん優れています。

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