レベル: 初級 松尾 邦夫, Lotus テクニカル・セールス&サービス, 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業
2008年 03月 14日 Lotus Notes Travelerは、IBM Lotus Notes/Dominoのメール、カレンダー、個人アドレス帳、ジャーナルをWindows Mobile端末との間で同期を取る機能で、IBM Lotus Domino 8.0.1から新たに加わりました。この機能を利用することで、従来からあるIBM Lotus NotesクライアントやWebブラウザーなどからのアクセスに加えて、より起動力のある利用が可能になります。この記事では、その製品の概要についてご紹介します。
Lotus Notes Travelerとは
Lotus Notes/Dominoの特長のひとつに複製機能があります。Lotus Dominoサーバー上にあるメールやアプリケーションのデータベースを、クライアント側に複製し、かつオンライン接続時に同期を取る仕掛けです。これは、かつてネットワークに接続することが高価であった時代に、オフラインでも作業が行えるよう生まれた技術で、Lotus Notes/Dominoの黎明期である1990年代から実装されてきました。オフライン中に作業した内容を含んだクライアント側のデータベースを、オンライン接続時にサーバー側のデータベースと同期を取り、作業内容更新することは、必ずネットワーク接続を前提とした、クライアント/サーバー型の常識を打ち破る画期的な技術と言えました。
時代が移り、ネットワークに接続することが低価格になり、ブロードバンド環境が充実しワイヤレス・アクセスも多彩なサービスを提供している今日でも、「いつでもどこでも必ずオンライン」の実現はコスト面や技術面で難しく今なお重要な技術のひとつと言えます。
Windows Mobile端末でも、同期機構を実現するのがLotus Notes Travelerです。Lotus Dominoサーバーとの間でメール・データベースの同期を取り、メール、カレンダー、個人アドレス帳、ジャーナルの各データに、Windows Mobile端末から読み書きできるようになります。その画面例を示します。
図1. Lotus Notes Travelerの画面例
この画面を見てお気づきかも知れませんが、ユーザー・インターフェースはWindows Mobile端末が持つメールやカレンダーを利用しています。Lotus Notes Travelerは、あくまでも同期機能であり、クライアントのユーザー・インターフェースを提供するものではありません。標準的な操作方法のみ理解することで利用することができます。
特長1: 簡単なサーバー・インストール
Lotus Notes Travelerは、Lotus Dominoのタスクのひとつとして動作します。 Lotus Notes/Domino 8.0.1では別CDメディアで提供され、Lotus Dominoサーバーをインストールした後に、Lotus Notes Traveler機能のインストールを実施しますが、複雑な設定なしにインストールできます。
※ Lotus Notes/Domino 8.0.1発表時点は、Windows版のみ対応しています。
特長2: サーバーの運用の容易性
ルーターや複製などのタスクと同様、ひとつのタスクとして動作しますので、Lotus Domino Administerクライアントから管理、操作が可能です。
図2. Lotus Domino Administratorクライアントからの操作画面例
特長3: 単純な構成
図3 Lotus Notes Travelerの構成例は、2つのLotus Notes Travelerの構成例を示しています。上側は、メールファイルがLotus Notes Travelerタスクが稼働しているサーバー上にある、単一サーバー構成例です。プロキシーサーバー形式のように、変換などを行うサーバーを別途用意する必要はありませんので、構成を単純にできます。メールファイルのテンプレートを変更する作業もありませんので、サーバータスクの立ち上げと、ネットワーク関連の設定を適宜行えば使うことができます。
図3. Lotus Notes Travelerの構成例
図3の下側は、メールファイルが別のサーバーにある、複数サーバー構成例です。Lotus Notes Travelerは別のサーバー上にあるメールファイルにアクセスして、端末側との通信を行うことができますので、柔軟な構成が可能です。但し、リモートのメールサーバーはLotus Domino 7.0.2以降のサーバーである必要があります。
特長4: 簡単な端末のインストールと同期操作
Windows Mobile端末に、Lotus Notes Travelerのプログラムをインストールする必要があります。しかし、サーバーの、あるURLにアクセスすれば .cabファイルがダウンロードされ、ほぼ設定なしにインストールが終了します。特に前提知識などは不要ですので、実際の展開における負担が大幅に軽減されます。インストール後の同期処理については、手動同期と一定間隔での自動同期を選択できます。
特長5: ポリシー機能によるきめ細かい管理
Lotus Notes/Dominoでは、クライアントの設定を制御・管理するポリシー機能が実装されています。ポリシー機能の各種設定値は、その初期値の設定や、ユーザーに変更させる/させない(ロック機能)などの柔軟な設定を行えます。さらに、グループにより異なるポリシー設定を割り当てるなど、階層構造で設定を組むことができます。例えば、全社共有のポリシーを設定し全社員に適用した上で、事業部に対応する個別のポリシーを設定し、それぞれの所属社員に適用することができます。また、さらにその上で、マネージャー以上の職位用のポリシーを重畳するといった複雑なニーズにも応えることができます。
このポリシー設定のひとつとしてLotus Notes Travelerも対象にできます。下図のように、ダウンロードするサイズや対象期間などフィルタリングの設定を管理者側で設定できます。この設定を、単なる初期値としてユーザーに変更を許可するように設定できますし、変更を許可しない「強制設定」にすることもできます。
このポリシー機能を利用して、例えば、カレンダーだけを複製し、メールは対象外にするといった運用やその逆の運用も可能です。極端な運用例としては、通信コストを抑えるために、メール本文の切り捨て値を小さくして件名のみ、ないしは件名と本文1,2行程度のみの受信をすることもできます。
図4. ポリシー設定文書 (同期の設定)
図5. ポリシー設定文書 (フィルタの設定)
セキュリティー
通信路における暗号化は128bt SSLを用いています。これ以上の暗号強度を必要とされる場合には、別製品のLotus Mobile Connectを利用することで実現できます。端末のデータのセキュリティーについては、端末の機能に依存します。
まとめ
Lotus Notes Travelerは、現在のLotus Notes/Domino システムを8.0.1へアップグレードすることでセキュリティーを保ちつつメールのより高い機動的利用を実現できます。運用面、導入面の双方でコストを抑えることができるので、高い費用対効果も期待できます。
参考文献
著者について  | |  | 松尾 邦夫、Lotus テクニカル・セールス&サービス、日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 |
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