IBM WebSphere Portal V6.0でGoogleガジェットを使用したポータルの拡張

ポータル・ベースのビジネス・マッシュアップで Google ガジェットを使用する

IBM® WebSphere® Portal V6.0 で IBM Portlet for Google Gadgets を使用して、ビジネス指向のポータルに Google ガジェットを簡単に組み込む方法について説明します。この新しい組み込み機能は、ビジネス指向ポータルへの Web ベース・サービスの組み込み技術の改良が進んでいる中でも、特に画期的な機能であるといえます。この記事は、マッシュアップやポータルについて関心のある読者や、ポータルをマッシュアップ・プラットフォームとして使用する方法を知りたい読者を対象にしています。ポータルと Google ガジェットについての一般的な知識があることを前提とします。

Thomas Schaeck (schaeck@de.ibm.com), Distinguished Engineer and Lead Architect, Lotus Quickr and Web 2.0 Portal Development, IBM

Thomas Schaeck は、ドイツ Boeblingen にある IBM Development Lab の Distinguished Engineer 兼シニア・アーキテクトです。Lotus Quickr 製品のアーキテクチャー全体、および WebSphere Portal 向け Web 2.0 開発を率いています。



Stephan Hesmer (stephan.hesmer@de.ibm.com), Architect, Web 2.0 Portal Development, IBM

Stephan Hesmer はドイツ Boeblingen の IBM Development Lab のアーキテクト兼リード開発者です。WebSphere Portal 向け Web 2.0 技術に携わっています。



2007年 5月 09日

はじめに

IBM WebSphere Portal V6.0 では、ユーザーは情報、ビジネス・プロセス、およびアプリケーションへのアクセスが個別設定でき、またカスタマイズが可能です。WebSphere Portal のコンポジット・アプリケーション技術により、ユーザーは、コンテキスト方式で相互に対話できる集合ポートレットの 1 つ以上のページから構成される、ビジネス・マッシュアップを作成できます。コンポジット・アプリケーションには、Java ポートレット API (JSR 168) 仕様に準拠して実装されるローカル・ポートレットと、OASIS WSRP 仕様に準じて Web Services for Remote Portlets (WSRP) として呼び出されるリモート・ポートレットを組み込むことができます。

IBM Portlet for Google Gadgets を導入すれば、ご使用のポータル・ベースのビジネス・マッシュアップに Google ガジェットを組み込むこともできるようになります。Google ガジェットのアプリケーション機能とユーザー・インターフェースはすべて、Google またはサード・パーティーが運営するガジェット・サービスにより提供されます。WebSphere Portal は仲介役として機能し、Google ガジェットやその他の多くのコンポーネントを含むポータル・ページおよびエンタープライズ・マッシュアップへのユーザーのアクセスを、カスタマイズ、個別設定、および管理する機能を提供します。WebSphere Portal は、そのページの容量内に、組み込まれるガジェットのカスタマイズ情報をすべて保管して管理します。例えば、ユーザーが「マップ」ガジェットを使用する場合、そのガジェットに対するカスタマイズ (マップ内に表示する住所、マップの表示方式など) はポータル・データベースに保管され、管理されます。

この記事では、ガジェットの基本概念について簡単に説明します。次に、Google ガジェットを組み込んだ WebSphere Portal がどのように機能するかについて、ユーザーとアーキテクチャーの 2 つの観点から概説します。さらに、この機能がポータルの利用者にもたらすメリットについて説明します。


ガジェットの概念を理解する

ガジェットという用語は、さまざまな文脈で頻繁に使用されます。この記事でのガジェットとは、リモート側でアクセスできる URL アドレス指定可能なサービスのことです。このサービスから、Web ページのコンテキストに集約されるように設計されたアプリケーションにアクセスできます。

一般的にガジェットには、アプリケーション機能を提供するビュー・モードと、ユーザーがガジェットの設定を変更して、個別設定に基づいてガジェットをカスタマイズするカスタマイズ・モードがあります。例えばマップ・ガジェットの場合、ビュー・モードでは、現在の住所設定と表示設定に基づいてマップを表示します。カスタマイズ・モードでは、ユーザーは住所、拡大レベル、マップ表示オプションなどを設定できます。

これは、ポートレットの知識を持っている人にとっては、非常に身近な例でしょう。前述のように、ガジェットは概念的にはポートレットです。特殊な点は、URL アドレス指定可能な、リモート側でアクセスできる REST 形式のサービスとして公開されていることです。


Google ガジェットの WebSphere Portal への組み込み

ガジェットが概念上ポートレットであることにより、シームレスかつ直接的に、そして簡単に Google ガジェットをポータルへ組み込むことができます。Google ガジェットを WebSphere Portal に組み込むとどのような動作が行われるか、エンド・ユーザーと管理者の両方の観点から説明します。

エンド・ユーザーの観点

エンド・ユーザーにとっては、ポータル内の Google ガジェットは他のポートレットとほとんど同じです。

  • Google ガジェットをページに追加するには、ユーザーは単にポートレット・パレットからページに Google ガジェットをドラッグ・アンド・ドロップするだけです。
  • 組み込まれた Google ガジェットを表示するポータル・ページには、ページに統合されたインライン・ガジェットのビュー・モードが表示されます。例えば、マップ・ガジェットを使用する場合、マップは照会された場所を表示します。
図 1. IBM Portlet for Google Gadgets のビュー・モード
IBM Portlet for Google Gadgets のビュー・モード

他のポートレットと同様に、ポータルには個別設定モードをアクティブにするためのアイコンが表示されます。ユーザーがこのアイコンをクリックして、組み込まれた Google ガジェットの個別設定モードに入ると、ポータルにはインライン・ガジェットの個別設定モードが表示されます。この個別設定モードの外観は他のポートレットの個別設定モードと同様です。そのため、ユーザーはポータル・ユーザー・インターフェース内から直接、ガジェットの設定を簡単に変更できます。図 2 は、Google マップ・ガジェットの個別設定モード・ウィンドウを示します。

図 2. Google マップ・ガジェット用 IBM Portlet for Google Gadgets の個別設定モード
Google マップ・ガジェット用 IBM Portlet for Google Gadgets の個別設定モード

管理設定 (『管理者の観点』を参照) によっては、ユーザーは図 2 に示されるリンクをクリックし、別のガジェットを表示するように選択することができます。例えばユーザーは、マップ・ガジェットの表示から、天気ガジェットの表示に切り替えることが可能です。ガジェットの選択は非常に簡単です。WebSphere Portal のユーザー・インターフェース内で、インライン化された Google ガジェット・カタログから情報を表示する Google ガジェット選択画面を使用します (図 3 を参照)。

図 3. Google ガジェットの選択対象を示す IBM Portlet for Google Gadgets の個別設定モード
Google ガジェットの選択対象を示す IBM Portlet for Google Gadgets の個別設定モード

そのため、ポータル内のポートレットの使用に慣れているエンド・ユーザーにとっては、WebSphere Portal でのガジェットの使用方法は、他のポートレットの使用方法と同じです。


管理者の観点

管理者は、エンド・ユーザーがポータルでガジェットを使用する際の柔軟性の度合いを設定できます。エンド・ユーザーが新しい IBM Portlet for Google Gadgets 構成を作成したり、自分のポータル・ビューに組み込むガジェットを選択したりできるようにするアクセス権限を設定することで、管理者はエンド・ユーザーに高い柔軟性を与えることができます。

そのほかにも、管理者は IBM Portlet for Google Gadgets 構成の既定セットを事前に定義し、それらをポートレット・パレットでユーザーが利用できるようにすることで、ユーザーが事前に選択されたガジェットからしか選択できないようにすることができます。また、管理者はユーザー・グループごとに異なる柔軟性レベルを選択し、どのユーザーがどのガジェットを使用できるかを事実上制御することもできます。図 4 および図 5 は、管理者が使用できる構成モードと選択オプションを示します。

図 4. IBM Portlet for Google Gadgets の構成モード
IBM Portlet for Google Gadgets の構成モード
図 5. IBM Portlet for Google Gadgets の構成モード
IBM Portlet for Google Gadgets の構成モード

連携する各社および個人とその役割

ポータルでの Google ガジェットの使用には、さまざまな企業や個人が関与しています。

  • Google は、Google ガジェット・シンジケーション・サービスを提供します。このサービスには、使用可能なガジェットをリストしているカタログが含まれます。このカタログを利用して、新しいガジェットを登録したり、使用可能なガジェットの一部を選択して登録したりできます。
  • サード・パーティーにより、Google が作成したガジェットに加えて使用可能な多くのガジェット・サービスが提供されます。
  • IBM は、IBM WebSphere Portal V6.0 製品と IBM Portlet for Google Gadgets をポータル利用者に提供します。
  • ポータル利用者は、WebSphere Portal と IBM Portlet for Google Gadgets を入手し、実行します。利用者はこのポートレットを使用して、Google やサード・パーティーから提供されるガジェット・サービスを、WebSphere Portal ベースのポータル・サイトに組み込みます。独自のガジェットを作成して、IBM Portlet for Google Gadgets を使用してポータルに組み込むこともできます。

IBM は、WebSphere Portal V6.0 製品および IBM Portlet for Google Gadgets を提供することにより、利用者がポータル・ユーザー・インターフェースを介してガジェットを簡単に検索して組み込めるようにしています。組み込むサービスと、その安定性および可用性に関する責任は、Google により提供されているサービスについては Google が、各サード・パーティーによりガジェット・カタログに公開されたガジェットについてはそれらのサード・パーティーが負います。


アーキテクチャーを理解する

IBM Portlet for Google Gadgets は、Java ポートレット API 標準 (JSR 168) に準じて実装された Java ポートレットです。このポートレットは、ポータル側でガジェットのプロキシーとして機能します。IBM Portlet for Google Gadgets の構成モードでは、Google が公開する RSS フィードを処理することができます。Google から提供されるガジェット・カタログの RSS フィードはガジェットでは処理されないため、IBM Portlet で直接それらを処理します。また IBM Portlet は、ユーザーがポータル・ビューに組み込むガジェットを選べるように、ガジェットの選択対象を分かりやすく表示します。

選択されたガジェットはポートレットの構成に保管されます。ポートレットのカスタマイズ・モードは、ポートレットのバインド先のガジェットからカスタマイズ・モード・ビューを取得し、それをポートレットのカスタマイズ・モード・ビューとしてインライン化して表示します。カスタマイズは、ポータル・データベースのポートレット設定に保管されます。ポートレットのビュー・モードは、ガジェットのビュー・モードを取得し、インライン化して表示します。

図 6. IBM Portlet for Google Gadgets のアーキテクチャー
IBM Portlet for Google Gadgets のアーキテクチャー

IBM Portlet for Google Gadgets は、IBM と、Google ガジェット・シンジケート・サービスを介してガジェットを提供する Google との連携により実装されました。

IBM Portlet for Google Gadgets は、JSR 168 で定義されている標準 Java ポートレット API を基に実装されました。そのため、IBM が WebSphere Portal に Google ガジェットを組み込んだように、独自のポートレットを実装して他のガジェットのようなサービスを WebSphere Portal に組み込むことが可能です。

Google ガジェットを使用するメリット

WebSphere Portal で Google ガジェットを使用することで、多くの新しいアプリケーションやインターネットのコンテンツをビジネス環境に非常に簡単に組み込むことができます。IBM Portlet for Google Gadgets を使用して、Google のガジェット・カタログで選択可能な何千ものガジェットの中から任意のガジェットを IBM WebSphere Portal V6.0 で使用できます。そしてこれらのガジェットを、WebSphere Portal で組み立てられたポータル・ページやビジネス指向マッシュアップのコンテキスト内に表示できます。これを行うには、例えば、関連するマップ、ニュース、株価などを Google ガジェットを介して追加します。

まとめ

IBM WebSphere Portal V6.0 は、IBM Portlet for Google Gadgets を使用することにより、利用者は Google ガジェットをビジネス・ポータルに簡単に組み込むことができます。これらの Web サービスは、ローカル・ポートレットや WSRP サービスと同様に、ポータル・ページおよびビジネス・マッシュアップのコンテキスト内で、エンド・ユーザーに有益な情報を提供します。IBM が、WebSphere Portal の標準ベースのオープン・アーキテクチャーを利用する標準的なポートレットとして IBM Portlet for Google Gadgets を実装したのと同じように、サード・パーティーも同様のポートレットを実装し、他のガジェットのようなサービスを WebSphere Portal に組み込むことが可能です。

参考文献

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