SE関のノーツ/ドミノ徒然草: 第28回 R5が目指したもの -あらゆる情報への入り口-

ノーツ/ドミノの大きな生まれ変わりとしてR5が登場しました。そんな製品としての大きな変化をユーザーとしてはどうとらえたらいいのか、またどのように評価すればいいのか、そんな切り口をここ何回かでいっしょに考えていきたいと思います。まず今回はノーツクライアントについてです。

ICS クライアント テクニカル プロフェッショナルズ, ソフトウェア事業, 日本アイ・ビー・エム株式会社

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2006年 7月 01日

R5のノーツクライアントでの最大の設計目標は、『あらゆる情報への入り口となるようなクライアント』であるとロータスは言っています。コンピューターでの情報と言えば今はインターネットですから、インターネットでの電子メール、ニュースグループ、そしてWebなどの情報にも、ノーツという枠組を越えて分け隔てなくアクセスできるという意味に具体的には解釈できるでしょう。

ノーツクライアントからインターネットのプロトコルを使ってインターネット上の情報にアクセスするという試みは、既に皆さんもご存知のようにR4の時代からありました。例えばノーツサーバーを経由しながらもWeb情報にアクセスするWebナビゲーター。そしてサーバーに頼らなくてもノーツクライアントから直接HTTPプロトコルでWebサーバーに行けるようになったパーソナルWebナビゲーター。また電子メールに関してもPOP3プロトコルでインターネットメールを扱うことができました。

ただ実際にそれらR4時代のインターネットクライアントとしての機能は、現実のインターネットでの利用を考えるとやや制限が多かったのも事実です。ホームページでフレームが全盛の時代にそれをそのままは表示できなかったり、本格的なクライアント/サーバーメールであるIMAP4、それに伴い必要となってくるディレクトリーのLDAPがサポートされていなかったりでした。そのためかオフラインでの優位性などがあるにもかかわらず、ノーツクライアントは実際のところ一部の限定的な使い方を除いて、あまりインターネットのクライアントとしては利用されていなかったのも事実です。

devcon99

そこで今回のR5では、それらの制約を根本から取り除くとともに、今、インターネットのクライアントでできることを標準にのっとって実現したというのが設計の基本のようです。実際そのサポートしているインターネットプロトコルや標準は、現在世の中で使われているレベルは勿論のこと、今後かなり使われ出すだろうというS/MIMEやLDAP3などまでもサポートしています。

このような意味でユーザーとしてノーツクライアントの評価としてまずあげたいのが、ノーツデータベースは利用しなくとも、インターネットクライアントとしての実力はどうかという点でしょう。インターネットクライアントとして一通り本当に使えるかどうかは実に興味ぶかいところです。またその上で、インターネットクライアントとしての使い心地、またそのオフラインのモバイルで代表される付加価値など、それらがどのくらいあるかという点も見逃せないところです。ノーツクライアントはブラウザなどと比べると比較的重いと言われたりしますが、このあたりは使い心地と付加価値とのトレードオフがあれば満足できることかもしれません。

さてインターネット資源へのクライアントでもあり、かつ旧来のノーツデータベースへのクライアントでもあるというR5のノーツクライアント。このように違う性質のいろいろな資源を扱うクライアントにとって、それら全てをユーザーに使いやすく提供する、つまりそのユーザーインターフェース(UI)はたいへん大きな課題です。

ノーツデータベースはその成り立ちから、ユーザーの入り口はワークスペース、そして開けばナビゲーター或いはビュー、そして文書を選んで開けば情報が入っている文書という階層的な構造を持っており、その構造はユーザーも自然とクライアントからの操作で馴染んできました。

一方インターネットの資源の代表格であるWebサーバーの資源は、基本として全てが単なるページからなり、そのページのリンク先がまたページという非常に単純かつ基本的な構造しか持っていません。よってユーザーはブラウザの操作では、リンクをクリックすることとページを前後させるという操作がほとんど全てとなり、ノーツデータベースのような階層的な感覚はほとんど持たずにむしろページの流れ的感覚を持っています。

ISE

この2つの異なるUIの概念に対する答えが、R5ノーツクライアントの全面的なブラウザ的なUIの採用と言えるでしょう。ノーツのデータベースの各ページ要素はブラウザのページと同じように流れとして扱われ、ブラウザのように矢印でページを前後することができるようになっています。またデータベースへの入り方もデータベースアイコンをワークスペースからクリックして入るという画一的なやり方ではなく、ブックマークと呼ばれるブラウザの"お気に入りのリンク"のようなフォルダー階層を持つリンクによって、データベースでもビューでも文書でもそれらを登録することで、直接それらに飛び込むことができます。言わばブラウザのほうがページという、より基本的な概念しか持っていなかったために、ノーツのUIもすべてそこに取り込んだと言えるでしょう。

このような意味でユーザーとしてノーツクライアントのUIの評価としてあげたいのは、いかにノーツもインターネットの資源も分け隔てなく同じ感覚でアクセスできるかということです。ノーツの資源に対してもまるでURLの延長線上にすべてがあるようにアクセスできればまさにR5の設計者が狙っていたとおりといえます。

ただしその評価をするためには乗り越えなければいけない大きな壁があります。これは特にR4からのユーザーの課題ですが、ノーツユーザーとして馴染んでいるワークスペースを基本としたノーツデータベースのアクセスの習慣です。必要な情報には面倒でも必ずワークスペースから対象データベースを探してビューを選びそして目的の文書の情報に辿りつきました。他のデータベースに飛ぶときも多くの人は文書を閉じて、ビューを閉じて、また別のデータベースを探しました。今から思えば面倒だったこれらの操作も慣れてしまえば当たり前のようでした。

しかし新しいUIでは全てが対等なページ、入り口はブックマークで任意の場所とでき、また戻り矢印でその過去の履歴を追えます。古いユーザーにとってはまさに自分の体質を変えなければいけないほどの変化です。かくいう私も、自分は果たしてどんな情報の辿り方をするかさんざん考えた末に、ワークスペースを順次ブックマークに置き換え、その整理の仕方も変え、購読機能を幾つか設定し、URLのリンクもWelcomeページに整理して置き、最後にワークスペースではなく自分で作ったWelcomeページをクライアント起動時のホームページとしました。ここまでゆっくりですがなんと1週間。

そう言えばこれに似た光景を10年くらい前に経験した覚えがあります。DOSからWindowsへのUIの切替えです。最初の頃はWindowsを入れても頻繁にそれを終了してDOSに戻し、全画面のエディターやファイルのマネージャーソフトを起動させていた覚えがあります。確かにそのころはやっぱりパソコンはコマンドラインインターフェースでなけりゃと呟いていた人を何人も覚えています。それでその後どうなったかは皆さんのご存知のとおりです。

かく言う私はまだまだ左隅のブックマークにひっそりと登録したワークスペースへのリンクが取れない日々です。最近ロータスの方とお話して、『ワークスペースから離れられますかね』と質問すると、『あれは慣れの問題です』とあっさりと答えが返ってきました。一足先に新しいUIの世界で心地よさそうな顔が垣間見れました。

『あらゆる情報への入り口となるようなクライアント』を目指したノーツクライアント。これを正しく評価するには機能面は勿論のこと、もう一つ自分自身の中にそれを邪魔する何かがあることを再確認した今日この頃です。

参考文献

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