SE関のノーツ/ドミノ徒然草: 第17回 いつまでもいつまでもユーザー教育

ノーツの展開、またパソコンの展開では必ず話題になるユーザー教育。最近はインストラクターの派遣などのビジネスも好況でユーザー教育は随分充実してきているように思えます。さて実状はどうでしょう。今回はこのユーザー教育について考えてみたいと思います。

Lotus クライアント テクニカル プロフェッショナルズ, ソフトウェア事業, 日本アイ・ビー・エム株式会社

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2005年 8月 13日

『ダブルクリックができない人が多くて数日でノーツの利用をやめました』。『我が社の役員にはマウスとキーボードが使える人がいないのでタッチパネルでノーツを使えるようにハードもソフトも設計してくれ』。『日本語変換ができない管理職がほとんどなので定型文を用意してメールを送れるようにして欲しい』。こんな話が数年前は頻繁に聞かれました。最近こんな話にあまりお目にかからないのは、やはりユーザー教育が浸透して、パソコンやノーツを初めて入れる時には、必ずユーザー教育が行われるようになったからでしょう。実際、こんな話があった会社でも、管理職や役員も含めてユーザー教育を行ない、今となっては徐々に管理職や役員も使いはじめているという後日談も聞かれます。おまけに若い女性のインストラクターのお陰で役員などが随分熱心などというおまけまで聞こえてきます。ではこれでノーツのユーザー教育は十分でしょうか。

現在ではユーザー教育をノーツの導入時に最初のアプリケーション展開とともに行なう企業は随分あります。そしてしばらく経つとデータベースが増えていくのですが、『ユーザーが最初に教育したデータベースしか使えなくて』と嘆く声が聞かれたりします。確かにアプリケーション自身は違うはずなので業務としての教育は必要かもしれません。でもその新しいアプリケーションが実は単純なディスカッション的なデータベースだったりもします。

その最初の教育というのを覗いてみると、『この大きなボタン(実はデータベースアイコン)をダブルクリックして申請書に入ります』。『最初に見えるのが申請書別のボタンの一覧です(実はナビゲーターに配置されたボタンの列)』。『あとは目的の申請書別のボタンを押して申請書を開き、内容を入れて、上の申請ボタン(実はビューの上のアクションボタン)を押して完了です』。どうやらアプリケーション開発のときに、『うちのユーザーは難しい操作はできないのでできるだけボタンだけで操作できるようにしてくれ。』と頼まれて開発されたもののようです。そしてそれをただ順番に機械的操作だけを教えているものでした。

言い方を換えれば、ノーツのデータベースにほぼ共通な基本的な概念や操作を教えていないように思えます。ワークスペースへのデータベースアイコンの追加と削除、データベースの開きかた、ビューの意味と切り替え方、ビュー上での文書の探しかた、文書の開け方や作成の仕方、返答文書の意味と作成の仕方など、各データベースに共通で役に立ちそうと考えられる操作はたくさんあります。このようにどのデータベースでも共通である部分は、基本的な概念と操作として教育すれば、他のアプリケーションを新しく作った場合でもユーザーはそれらから類推して簡単に使用することができるでしょう。

もちろんここではデータベースを同じような雰囲気にするような標準化のような考え方も必要かもしれません。最近横行しているナビゲーターとボタンの乱用や、意表をついた画面の切り替えの仕組みなどは開発時には多用すべきではなさそうです。

ところでノーツのユーザー教育は十分やっているのに、アプリケーションがどうも使われないという声も聞かれます。場合によっては『ノーツは操作が難しいから業務として皆うまく使えない。』などとノーツが悪者にされる場合もあったりします。でもよく聞いてみると、どんな目的でどのようにそのアプリケーションを使うべきかをまったく教育せずに、ただ操作だけの教育だけに終わっている例もかなりあります。特に外部からの派遣の人に操作だけを教育してもらっているような場合はこれがよくあります。仏作って魂入れずとはまさにこのことかもしれません。

特にノーツのアプリケーションでは既存の業務もさることながら、新しい情報共有としての業務であったりする場合もよくあります。そんなときはそのアプリケーションの目的やメリットなどを、教育や宣伝などを通して十分ユーザーに啓蒙することがたいへん重要であることは言うまでもありません。

こんな話もよくあります。『ノーツメールを入れたが、人の噂や非難中傷ばかりが横行し役に立たないどころか業務の支障となる。』といった嘆きです。これも教育の問題と十分関係があると思います。新しい道具であるノーツメールはどんな場合に使えるのか、どんな書き方をしたら効果的か、どんな危険性があるか、ネットワーク上でのマナーはどうするべきかなど、まさにビジネスマンとしての電子メールの使い方とエチケット、つまり今はやりのネットワーク上でのエチケットであるネチケットなどの教育が必要ではないでしょうか。これは社会人1年生がよくやっているビジネス文書の書き方とかの教育のようなものです。新しい道具なのですから1年生同様に全ユーザーにも一度教育してみるのも決して悪い話ではありません。それが効率的な利用につながるでしょうから。

このように見てくると、ノーツのユーザー教育と言ってもいろいろあります。パソコンの電源の入れ方と切り方にはじまるパソコンの基本操作編。そしてノーツを立ち上げてから通常の標準的なアプリケーションを含めて基本的な使い方編。そしてそれぞれのアプリケーションごとにあるその業務のねらいと運用方法の業務編。さらにノーツ上で仕事をする上での効果的な文書の書き方、そしてマナーなどのネチケットを含む作法編。

これら全てはとてもいちどきに教育する訳にはいきません。ユーザーのレベルや時期に応じて順番にそして継続的に色々な方法でやっていくこと以外には手がないようにも思えます。以前お客様から、『教育がいらないシステムを作ってくれ』などと乱暴なことを言われたことがあります。でもそれを極端にとれば、『人が考えなくとも仕事ができるようにしてくれ』と言われているようでもあります。

やっと定着しはじめたパソコンのユーザー教育。しかしながらこれはまだ入り口にすぎず、本当の意味でノーツを利用して会社の生産性や付加価値を高めていくには、もっと広い意味での、そして色々な方法でのユーザー教育を継続的に考えて行く必要があるのでしょう。まさに"いつまでもいつまでもユーザー教育"です。そしてそれは会社全体の情報リテラシーを上げること、大袈裟に言えば会社の新しい文化を作ることにつながることかもしれません。

巷にはパソコンマニュアルの焼き直しをしただけの操作マニュアル、そして一般ユーザーが開発をしなければならないのではと思わせるような開発マニュアルがあふれ、多くのサラリーマンがそれを買っていく今日このごろ。まだまだ本当のユーザー教育が行われるには時間がかかるのではと思う今日このごろです。

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