SE関のノーツ/ドミノ徒然草: 第15回 データベースを長生きさせるために

前回、ノーツの運用管理の一部として、コンテンツ管理というデータベースの中身に関する運用管理があることに触れました。今回はこのコンテンツ管理についてもう少し詳しく考えてみましょう。

Lotus クライアント テクニカル プロフェッショナルズ, ソフトウェア事業, 日本アイ・ビー・エム株式会社

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2006年 3月 12日

ノーツが社内に普及すると自然とデータベースの数が増えます。そして時間が経つにしたがって、システムの管理者などから必ずと言って聞かれるのが、『使われていないデータベースがたくさんありそうだ』と言った声です。確かにノーツではユーザーの申請によりテンプレートからすぐに掲示板や電子会議などのデータベースが作られてしまいます。中にはほんの思い付きから作られ、1ヶ月もしないうちに廃業状態のデータベースも見られます。システムの管理者からすれば『一定期間アクセスのないデータベースは消去します』という運用でなんとか乗り切りたいところです。しかし視点を変えてユーザーの立場にたてば、『データベースをどうやったら長生きさせられるか』というのが問題です。

長生きのデータベースの条件を考えてみましょう。データベースの中身は常に新鮮で量としても充実しているもの。またその内容は常に適切で正しいもの。さらにその中身は探したり見たりする立場からうまく整理されていること。そして設計も使いやすくパフォーマンスも良く、更にニーズの変化に応じて改良がされているもの。こんなデータベースだったら当然、ユーザーから末永く利用されるでしょう。言い換えれば、データベースの長生きのためには、こういった事への努力、運用や管理が常に行われることが必要ということでしょう。データベースの管理と言うと設計など技術的な部分と捉えられがちなので、より中身が大事だということから、これらをコンテンツ管理と呼びましょう。

ではもう少し具体的に考えてみましょう。とにかくデータベースは充実した中身が一番です。でも充実化というのが実は一番の難題であることは、多くのデータベースの管理者の意見の一致するところではないでしょうか。『掲示板を作ったけれど誰も入れてくれず、あいかわらず紙の連絡やメールでの連絡が多い』とか、『電子会議を作ったけれど読む人は増えているようだけれど書く人が増えない』とか。これらは特に多くのユーザーが参加するタイプのデータベースでは大きな悩みの種のようです。ワークフローや紙の業務報告をノーツ化したようなデータベースですとそこには利用せざるを得ない強制力が働いて、これらではあまり問題にはなりませんが、ことユーザー参加型のデータベースはこれがまず難関です。

実際に企業で中身の充実化のための努力を聞いてみると千差万別です。データベースの宣伝をメールとかいろんな方法を使って頻繁にしたり、情報を特に持っているキーマンを探して内容入力を呼びかけたり、上司を通じて業務の一部であることを指示してもらったり、コンテンツ管理者が自らかなりの犠牲を払って内容を入力したり質問に答えたり、過去の紙のものを事前にデータベースに入れたり。ともかく空っぽのデータベースを充実させ勢いをつけるにはかなりの努力が必要のようです。このような運用管理はコンテンツ管理者が、そのデータベースの情報に関する知識、そしてその知識を誰が持っていて、どのように社内を流れているかなどのコンテンツそのものに関する深い理解が必要であることは言うまでもないでしょう。ただいったん中身が充実して、いろいろな人が利用し、また中身を入れるという循環ができると、データベースはまさにひとりでに増殖していくようです。ここまでくるとコンテンツ管理者の最初の仕事は一段落と言えるでしょう。

さて実際に中身が十分入るようになってもまだまだコンテンツ管理者の仕事はあります。ユーザー主導のデータベースが内容を増やしていくと問題になってくるのが中身の適切さとか適正さでしょう。データベースの対象範囲としている分野の内容以外のものが紛れ込んできたり、セキュリティー上問題のある内容が入ったり、誤った情報が入ってきたり、電子会議ではさらに不適切な発言や止まらない議論そして個人攻撃などがあるでしょう。データベースはいくら内容が豊富でもこれらのことが頻繁におこるようになるとその魅力は次第に薄れていき、場合によってはユーザーも離れていくものです。

これに対してコンテンツ管理者は、データベースの中身の範囲、セキュリティーレベルなどを規定したり、電子会議の場合は発言のエチケット(これはネチケットと呼ばれるものです)、そしてこれらが守られなかった時の管理者としての対応などを取り決めてルール化したりすることも仕事となるかもしれません。もちろんノーツですと"データベースについて"あたりにこれらを明文化しておくこととなるでしょう。そして実際に中身がこれらを逸脱したときに内容の削除、修正や入力者への通知という処置を、まさに日々行なうこととなります。このようなコンテンツ管理者の努力の結果、内容が充実してさらに適切さや適正さが保たれるとなると、そのデータベースは長期間使われるようになっていきます。

データベースが長期間使われるようになると、今度はまた新たな課題もでてきます。最初決めていた文書のカテゴリーが、だんだん実態にそぐわなくなったり、また大量の文書が入っているために、検索がしづらくなったり、最悪の場合はパフォーマンスの問題やデータベースの最大サイズの問題となる場合もあります。ここでもコンテンツ管理者の仕事がでてきます。まず不適切となった文書の分類を新たに決め直して、それを実際に文書に反映させたりする必要があるでしょう。さらに大量になった文書を条件を決めて別のデータベースに移動させたり(アーカイブ化とか古文書化とか言います)、場合によっては削除したりすることもコンテンツ管理者の仕事です。一言で言えばデータベースの整理です。

長期間のデータベースの使用は中身の整理の必要性だけでなく、データベースの枠、つまりデータベースの設計そのものの改善も必要になってくるかもしれません。文書が大量に入ってきたことにより新たなビューのニーズなどが発生するような場合もあります。コンテンツ管理者はその名のとおりデータベースの中身であるコンテンツの運用管理を担当する人ですが、使う側の立場から設計の改善のための意見をまとめることも仕事に入れてもよいでしょう。それによってユーザーの立場にたった設計変更を開発者に要求することができるというものです。

使われなくなったデータベース。そのデータベースの管理者を調べていくと、管理者はすでにその分野の担当を外れていなくなっていたり、また適当な管理者がみあたらず、とりあえず部門の管理職の名前が名ばかりで登録されていたり、そしてよくあるのが適当な人がいないからといってシステム部門の人の名前が載っていたり。やはりそのデータベースの中身を理解し、そのデータベースのユーザーとしても活動的な人、そんな人をデータベースの中身の管理者、コンテンツ管理者にあてたいものです。それがデータベース長生きのための一つの秘訣であることは間違いないでしょう。

今までのリレーショナルなどのデータベースは業務と直接対応しているせいか、機械じかけで燃料さえ入れればとにかく動き続ける、そんなロボットのようなものでした。ところがノーツのデータベースはまさに生き物。生まれたときから大きくなるまではとにかく手間がかかります。

たとえ大きくなっても生き物は必ず世話をする人がいないと死んでしまうのです。

参考文献

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