レベル: 中級 Lotus テクニカル・セールス&サービス , ソフトウェア事業, 日本アイ・ビー・エム株式会社
2009年 8月 21日 チームでコラボレーションを行う場所を提供するLotus Quickrは、2007年に8.0がリリースされて以来リリースアップを重ね、2009年8月に8.2となりました。本記事では、その新機能と機能拡張について解説します。Lotus Quickrには、Lotus Dominoサーバー上で動作するものと、WebSphere Portal上で動作する2種類がありますが、8.2はLotus Dominoサーバー用にのみリリースされます。本記事執筆時点で、WebSphere Portal版の最新は8.1.1です。
概要
8.2の開発目標や背景について解説します。8.2での主な改善目標は以下の3つです。
- ブラウザーアクセスでの使い勝手の向上
- 管理機能の向上
- Lotus Quickrコネクターの使い勝手の向上
機能面の開発目標とは別に、Lotus Dominoの最新版である8.5への対応も8.2の開発目標のひとつです。8.5に対応したことにより、その新機能や機能拡張をLotus Quickrでも利用できるようになりました。それらを合わせて、大きな目標の3点について順に解説します。
ブラウザーアクセスでの使い勝手の向上
スムーズな操作を実現する応答速度の改善
ある一般的な環境を想定した環境において、どんなに遅くとも3秒から5秒には次の画面が表示されるように開発を進めました。これまでも既に、これよりも短い時間で応答できる部分が多数ありましたが、今回の改善では機能毎に異なる応答速度の凸凹を減らすと共に、全体的に短縮化を図りました。8.1と比べて待ち時間が減少したことにより、より効率的に作業が行えるようになりました。
プレースへの追加ボタン
Lotus Quickrコネクターは、Lotus QuickrをWindowsエクスプローラやMicrosoft OfficeやLotus Notesなどから直接、Lotus Quickrへアクセスする機能です。ブラウザーからのアクセスでは、ファイルの追加、削除、更新の作業が繁雑になる、使いにくいものになります。Lotus Quickrコネクターを使うことにより、これまでのファイル操作と殆ど変わらないかたちで、ユーザーがファイルをLotus Quickrから出し入れできるようになります。
8.2ではブラウザー上のボタンを押すだけで、このコネクターに現在のプレースを登録できます。従来、コネクターからアクセスする場合には、手動でプレースの登録が必要でした。具体的には、サーバー名を指定してプレース一覧から選択するという手順を行う必要がありました。プレースが多くなると選択しにくい問題があるほか、もともとこの操作が繁雑で、ユーザーに負担を強いることになっていました。下図に示すように、画面右上のボタンを押すだけで登録が完了します。
図1.コネクターへのプレース登録ボタン
版作成(バージョン作成)の簡素化
Lotus Quickrの機能のひとつに、ファイルの登録機能があります。コラボレーションを行う場であるという性格上、1つのファイルがドラフトから最終形へ至るまでに複数のバージョンが存在することになります。途中のスナップショットを作成したり、完成したものの版管理を行うための機能がLotus Quickrには8.0から備わっていますが、今回はそのインターフェースを見直し、簡単に素早くバージョンを作成できるようになりました。下図のように、ほんの数秒で作業が完了します。
図2. シンプルになったバーション作成手順
編集画面の簡素化
編集時には、作業できるスペース(編集領域)をより広くとるため、作成日時などの文書情報を表示しないようにしました。数行分のスペースが増加すると共に、画面がすっきりすることでより使いやすい画面になりました。
図3. シンプルになった編集画面
Lotus Connectionsとの統合・連携機能
エンタープライズ・ソーシャル・ソフトウェアであるLotus Connectionsは、企業における人とつながりを強化して、様々な活動や成果作成を支援するソフトウェアです。Lotus Quickrもまた、企業におけるコラボレーションを支援するソフトウェアとして、連携する機能を8.2で強化しました。Lotus Connectionsの詳細については、こちらをご覧下さい。
8.2では2つの統合・連携機能が提供されています。
ひとつは、Lotus Quickrで作成されたプレースやWikiを、Lotus Connectionsからシームレスに使える機能が追加されました。Lotus QuickrとLotus Connectionsは、ユーザーインターフェースを統一しているため、両者を組み合わせても、まったくひとつの製品であるかのように見えますので、違和感なくユーザーは利用できます。この際、Lotus Quickrで設定したアクセス権は、統合された先においても引き継がれて使用されます。
もうひとつは、Lotus Connections側で作成したアクティビティをLotus Quickrのプレースに発行できるようになりました。Lotus Connectionsのアクティビティとは機能名で、何かしらの活動を行うための、作業リストを作成したり成果物を収めるためのものです。アクティビティは成果物を公開する場所としては適しておらず、むしろ作業を行うための場所として使われます。そのため、アクティビティで完成したものを、Lotus Quickrへ発行することで、コンテンツとして公開するといった使い方ができます。
管理機能の向上
格納容量の増加
1プレースあたりの最大容量は、従来の64GBから大幅に増えました。あるひとつのプレース内に格納されるデータは、ひとつのNSFデータベース内に格納されます。ディスカッションのテキストやライブラリーのファイルも、ひとつひとつのNSFに格納されます。1NSFあたりの最大容量(理論値)は64GBです。8.2では、Lotus Domino 8.5の新機能であるDAOS (Domino Attachment and Object Store)を使うことで、最大容量が大幅に増えます。
DAOSは添付ファイルを、ファイルシステムに「外だし」する仕組みです。したがって、NSF自体のサイズはあまり増加せずに済みます。つまり、プレースに大量のファイルを添付しても「NSFデータベースの64GB制限」を到達せずに済みます。DAOSは1サーバーあたり400万ファイルまでファイルを扱えますので、通常の利用においては、プレースのサイズをあまり気にせず使えるようになります。
Lotus Sametimeとの連携が容易になったディレクトリー制限の緩和
Lotus Sametimeが提供する在席確認表示機能やチャット機能を、Lotus Quickr上でも利用することができます。その条件として、これまでLotus SametimeをLDAPで構成する必要がありました。8.2から、Lotus Dominoディレクトリーでも利用できるようになり、構成の自由度が増しました。特に、既にLotus SametimeをLotus Dominoディレクトリーで構成している場合には、環境を組み直すための繁雑な作業を回避でき便利です。
セキュリティーの強化
これまで以上に、セキュリティーチェックを強化するための種々の対策を講じることにより、問題の未然防止を図っています。
その他
- IPv6対応
- Firefox 3.0対応
- Sun SAM と Novell eDirectoryのサポート
Lotus Quickrコネクターの使い勝手の向上
Lotus iNotes (Lotus Domino Web Access)でのLotus Connector利用
ブラウザーベースのメールクライアントであるLotus iNotes画面上で、Lotus Quickrのプレースにアクセスできるようになりました。具体的な使い方としては以下の2つです。
- 送られてきたメールの添付ファイルを、Lotus Quickrのプレースに保存する。
- プレースに保存されているファイルを、メールにリンクとして送信する。
Lotus Notesクライアントでは、添付付きメールの送信時に自動的に、添付ファイルをLotus Quickrに保存したり、保存先を尋ねるダイアログボックスを出す機能がありますが、Lotus iNotesでは実装されていません。
Lotus Quickrコネクターにプレースの自動設定機能
管理者が予め作成したリストを、エンドユーザーが利用しているLotus Quickrコネクターに設定できるようになりました。まず、管理者はツールを使い、プレースのリストをxml形式で出力しておきます。そのリストを、Lotus Quickrコネクターと共にエンドユーザーのワークステーション上にインストールされたツールで読み込むことで、この機能を実現しています。
Lotus Notesメールをドラッグ&ドロップした際の.eml形式での保存機能
Lotus Notesクライアントを使って、ビュー上のメールを画面右側のLotus Quickrサイドバーにドラッグ&ドロップした際に、.eml形式で保存するようになりました。これまでは、文書をHTML形式に変換していました。これにより、各種ビュワーで読んだりエクスポートすることができます。なお、ブラウザーから見た場合は、従来通りにHTMLにレンダリングされたかたちで表示されます。
シングルサインオン機能
サーバーへの認証済みセッションが確立していれば、Lotus Quickrコネクター利用時に認証をきかれることはありません。
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