Window システム管理者のための Linux: 第 1 回 拡張ファイルシステムの管理および監視

Windows のスキルを生かして、最もよく使われている Linux のディスク・ファイルシステムを理解する

Windows と Linux はそれぞれに異なるファイルシステム・アーキテクチャーを使用しますが、幸い Windows での経験があれば、すぐに Linux の拡張ファイルシステムを管理、監視する作業もこなせるようになります。この記事を参考に、Linux の拡張ファイルシステム・ファミリーについて詳しく学んでください。

Tracy Bost, Consultant and Trainer, Freelance

Author photo - Tracy BostTracy Bost は、経験豊かなソフトウェア開発者兼システム・エンジニアです。彼は Linux オペレーティング・システムの講師およびトレーナーも務めています。RHCE (Red Hat Certified Engineer) および MCSE (Microsoft Certified Systems Engineer) の認定を両方とも取得し、Linux Foundation の活発なメンバーでもあります。貸付産業、不動産、非営利セクターなどの業界に従事してきました。



2012年 2月 16日

この連載について

この連載では、読者の皆さんが Windows 環境での作業で得られた知識を基に、Linux システム管理についての理解を深め、スキルを伸ばせるようお手伝いします。連載の記事を最大限に活用するためには、Windows 環境で NTFS ファイルシステムを扱った経験があること、そして GNU/Linux シェル環境に関する基礎知識が必要です。さらに、記事で取り上げる概念およびサンプル・コードを調べるために実際に使える Linux コンピューターがあると助けになります。

Linux のファイルシステムには、Linux の他の多くの側面と同じく、いくつもの選択肢があります。大抵の場合、皆さんが扱う Linux パーティションは拡張ファイルシステムのいずれかを使って設計されているはずです。拡張ファイルシステムはあらゆる Linux ディストリビューションで一般にサポートされているため、そのまますぐに使用できる確実なソリューションとなるからです。

拡張ファイルシステムの歴史は、Linux が誕生して間もない頃まで遡ります。最初に開発された拡張ファイルシステムは、初期のファイルシステムにあった 2GB の制約を取り除きましたが、過剰な断片化という問題もありました。そのことから、初代拡張ファイルシステム (ext) のリリースからほどなくして 2 代目の拡張ファイルシステム (ext2) が開発されました。その目的はいくつかの制約を緩和することで、例えばサイズは 4TB にまで増加されています。ext2 は瞬く間に Linux ファイルシステムのデファクト・スタンダードとなりました。Linux が進化するにつれ、Linux のファイルシステムも進化し、3 代目の拡張ファイルシステム (ext3) を経て、現在は 4 代目の拡張ファイルシステム (ext4) が最新のファイルシステムとなっています。

ext3 と ext4

ディスク・ファイルシステムと拡張ファイルシステム

この記事で主な話題とするのは、Linux の拡張ファイルシステム・ファミリーを扱う方法です。Linux がサポートするディスク・ファイルシステムにはさまざまな種類があり、いくつか例を挙げるだけでも XFS、ReiserFS、Btrfs (B-tree file system)、IBM JFS (Journaled File System) などがあります。これらのディスク・ファイルシステムのうち、使用している環境とシステムの用途によっては、拡張ファイルシステムよりも適したファイルシステムがあるかもしれません。けれども、ほとんどの Linux ディストリビューションではデフォルトで ext3 または ext4 のいずれかを使用するので、ファイルシステムを学ぶ出発点としては、拡張ファイルシステムがふさわしいと思います。

ext2 の進化形である ext3 は、今でも広く使われています。ext3 が ext2 に勝る主な利点の 1 つは、ジャーナリングです。ext3 は ext2 との後方互換性を備えているため、ext2 インストール済み環境は再パーティショニングすることなく ext3 に変換することができます。変換する場合には、通常、root 権限を持つアカウントを使って「tune2fs -j」と入力します。例えば、ext2 ファイルシステムが最初のハード・ディスクの 2 番目のパーティションに位置しているとしたら、「tune2fs -j /dev/sda2」と入力することで、ext3 に変換することができます。

ジャーナリング機能が追加されたことに加え、ext3 では書き込み速度や堅牢性においても ext2 に比べて向上しています。ジャーナリング機能のない ext2 では、突然の停電やシステム・クラッシュが起こった場合にシステムが正常な終了処理を経ずにシャットダウンされてしまうことが頭痛の種となります。この場合、ブート時に ext2 システムのそれぞれをチェックしてからマウントしなければならなくなります。最近のファイルシステムは大規模になっていることから、この整合性チェックにかかる時間は可用性を著しく制限し、多くの環境で許容することができません。ジャーナリング機能があれば (NTFS ファイルシステムにはジャーナリング機能が備わっています)、データがディスクに書き込まれ、完全または不完全のマークが付けられます。正常な終了処理を経ずにシステムがシャットダウンされた場合には、不完全のマークが付いたファイルだけがチェックされるので、ファイルシステム全体をチェックする必要がなくなります。ext3 では、以下の 3 つのジャーナリング・モードのいずれか 1 つを選択することができます。

  • journal: データを完全にジャーナリングします。つまり、メタデータだけでなく、すべてのデータが最初にジャーナルに書き込まれます (処理に最も時間がかかるモード)
  • ordered: 厳密に言うと、ジャーナリングの対象はメタデータのみですが、最初にデータ・ブロックに書き込むことによって、writeback モードに伴うデータ破損の問題を解決できるようにします。
  • writeback: データのジャーナリングは行われません。メタデータのみをジャーナリングの対象とします (処理に最も時間がかからないモード)。

拡張ファイルシステムの最新の進化形である ext4 には、ext3 および ext2 との後方互換性があります。ext4 は主に堅牢性と速度の点で、ext3 に比べて向上しています。ext4 は Linux カーネル・バージョン 2.6.28 以降で使用可能になっています。

表 1 に、最もよく使われている Linux ファイルシステムの主な特徴を抜粋します。これらの特徴を理解しておくと、パーティションの切り方を考える場合や、既存のパーティションを変換する場合の参考となるはずです。

表 1. 拡張ファイルシステムの進化
ファイルシステム
拡張ファイルシステム (ext)(1991年頃) 最も初期の Linux ファイルシステム。過剰な断片化の問題がありました。
ext2(1993年頃) 堅牢性に優れていますが、ジャーナリング機能はありません。システム・クラッシュや突発的なシャットダウンの後、ファイルシステム全体に対して fsck が実行されます。
ext3(2001年頃) 最大 32,000 のサブディレクトリーを収納可能です。ジャーナリング機能が導入されました。ext2 との後方互換性があります。
ext4(2008年頃) 最大 64,000 のサブディレクトリーを収容可能です。既存の ext3 を改善し、ジャーナリング機能を完全に無効にするオプションが提供されました。ext3 および ext2 との後方互換性があります。

データの保管方法について

Linux ファイルシステムが保管するデータには、2 つのタイプがあります。その 1 つはユーザー・データです。つまり、(皆さんを含め) ユーザーが扱う通常のファイルとディレクトリーのことです。ファイルのタイプには、通常のファイル、リンク、FIFO (名前付きパイプ)、およびソケットの 4 つがあります。

皆さんは「Linux ではすべてがファイルまたはプロセスである」という表現がされるのを見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。この表現は、Linux にはレジストリーの概念がないという事実を暗に示しています。レジストリーがない代わりに、すべてのものは上記のいずれかのタイプのファイルに保管されます。ファイルシステムが保管するもう 1 つのタイプのデータは、メタデータです。これはインデックス・ノードのことで、一般に i ノードと呼ばれています。i ノードは、Linux がファイルの属性にインデックスを付ける手段であり、すべてのファイルには i ノードがあります。i ノードには一般に、ファイルに関する以下の情報が含まれます。

標準ユーザー・アカウントと root 権限のコマンド

この記事のリストに記載されている各コマンドが、$ または # で始まっていることに注目してください。Linux シェルでは、これらの記号に意味があります。シェル・プロンプトでの $ 記号は、ユーザーが標準アカウントの権限を持つことを意味し、# 記号は root (管理者) 権限を持つことを意味します。リストに記載されている # で始まるコマンドを実行するときには、sudo によって root 権限を利用するか、root アカウントを直接利用してコマンドを実行する必要があります。

  • ファイル・サイズ
  • ユーザーおよびグループ所有者
  • ファイル・パーミッション
  • ハード・リンクおよびソフト・リンクの数
  • ファイルのアクセス時刻および変更時刻
  • アクセス制御リスト (ACL) 情報
  • その他、ファイルに定義されたあらゆる属性 (不変性など)

上記の i ノード情報を表示するには、リスト 1 に示す stat コマンドを使用します。

リスト 1. stat コマンドを使用する
$ stat /etc/services  
File: `/etc/services'
Size: 362031    	Blocks: 728        IO Block: 4096   regular file
Device: fd00h/64768d	Inode: 1638437     Links: 1
Access: (0644/-rw-r--r--)  Uid: (    0/    root)   Gid: (    0/    root)
Access: 2011-12-19 00:01:25.000000000 -0600
Modify: 2006-02-23 07:09:23.000000000 -0600
Change: 2011-09-18 17:29:37.000000000 -0500

リスト 1 では、/etc/services ファイルに対して stat コマンドを使用しています。このコマンドにより、i ノード情報とファイル属性のすべてが、見やすいフォーマットで表示されます。

ディレクトリー

Linux のコマンドラインから作業すると、大抵の場合、フォルダーがディレクトリーと呼ばれていることに気付くはずです。ディレクトリーの役割は、Windows のフォルダーや、Linux のグラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) 環境でのフォルダーの役割と同じです。けれども実際には、ディレクトリーは、ファイルあるいは他のディレクトリーさえも分類できる単なる空のファイルです。

すべてのディレクトリーは、最上位にルート (/) ディレクトリーを持つ階層に分類されます。この階層は実際には論理上の分類であり、すべてのディレクトリーが同じパーティションあるいはファイルシステム内にあるわけではありません。事実、NFS のようなネットワーク・ファイルシステムをマウントする場合でも、そのマウント・ポイントはルート・ディレクトリーの下の階層に置かれます。この点は、Windows との大きな違いです。Windows ではお馴染みのように、ディスク・ファイルシステムは通常 C ドライブにあり、ネットワーク・マッピングなどのシーケンシャル・ファイルシステム、CD-ROM、および USB はそれぞれ固有のドライブ (D、E、F、G など) にマウントされます。

スーパーブロック

ファイルシステムの最上位レベルにあるスーパーブロックには、ファイルシステム自体に関する情報が格納されます。スーパーブロックに関する作業はそれほど興味深いものではないかもしれませんが、dump2fs コマンドを使ってスーパーブロックの概念を理解しておくと、ファイルシステムのストレージの概念の全体像を把握するのに役立つはずです。

リスト 2 のコマンドは、/dev/sda1 上のパーティション (この例では /boot パーティション) に関する情報を取得するためのものです。grep -i superblock コマンドは、大/小文字を区別しないように grep を使用して、文字列 superblock に関連する情報のみを出力します。

リスト 2. dumpe2fs を使用してスーパーブロックに関する情報を取得する
# dumpe2fs  /dev/sda1 | grep -i superblock 
  Primary superblock at 1, Group descriptors at 2-2
  Backup superblock at 8193, Group descriptors at 8194-8194
  Backup superblock at 24577, Group descriptors at 24578-24578
  Backup superblock at 40961, Group descriptors at 40962-40962
  Backup superblock at 57345, Group descriptors at 57346-57346
  Backup superblock at 73729, Group descriptors at 73730-73730

ファイルシステムのステータスの表示

当然のことながら、ファイルシステムには、容量増加の配分、セキュリティー・チェック・ポイント、そしてパフォーマンスの期待値の基準となるベースラインを確立する必要があります。GNU にはファイルシステムを操作するためのツールが豊富に用意されています。そのうち、よく使われているツールは dfdufsckfdisk です。iostatsar は、有用ながらも、それほど一般的には使用されていません。

du および df コマンド

ディスクの使用状況と空き容量を把握するには、df コマンドと du コマンドを使用することができます。du -csh /var コマンドは、/var ファイルシステムのディレクトリー・サイズに関する情報を表示します。/var に位置するサブディレクトリーのファイル・サイズを知りたい場合には、du -h コマンドを使用すれば十分です。

# du -csh  /var 
73M	/var
73M total

df -h コマンドは、Linux コンピューター上の全マウント・ポイントでのディスク・ファイルシステムの使用状況を、人間が理解できる (-h) フォーマットでレポートします。

# df -h 
 File System            Size  Used Avail Use% Mounted on
 /dev/mapper/VolGroup00-LogVol00    37G  3.2G   32G  10% /
/dev/sda1              99M   12M   82M  13% /boot
tmpfs                 506M     0  506M   0% /dev/shm

fsck コマンド

ファイルシステムのエラーをチェック (および場合によっては修理) するには、fsck コマンドを使用します。例えば、/dev/sda2 に位置するパーティションのエラーをチェックするとしたら、コマンドとして「fsck /dev/sda」と入力します。

# umount  /var
# fsck /var
fsck from util-linux-ng 2.17.2
e2fsck 1.41.12 (17-May-2010)
/dev/sda3: clean, 702/192000 files, 52661/768000 blocks

注: このコマンドは、マウントされていないファイルシステムに対して使用してください。

上記の例でのタスクは、シングル・ユーザー・モードで行われています。最初に、dev/sda3 に位置する /var パーティションがアンマウントされます。この例では、fsck コマンドで見つかったエラーはありませんでしたが、エラーが検出された場合には、エラーの修復が試みられます。

iostat コマンド

iostat コマンドでは、ディスク入出力のアクティビティーに関する情報を表示することができます。

$ iostat
Linux 2.6.18-164.el5 (DemoServer) 	12/19/2011

avg-cpu:  %user   %nice %system %iowait  %steal   %idle
           0.25    1.74    1.26    2.89    0.00   93.86

Device:            tps   Blk_read/s   Blk_wrtn/s   Blk_read   Blk_wrtn
sda              10.69       351.52       227.60    1759192    1139038
sda1              0.06         0.45         0.00       2254         22
sda2             10.62       351.01       227.60    1756658    1139016
dm-0             40.06       350.72       227.60    1755178    1139016
dm-1              0.02         0.18         0.00        920          0
hdc                0.00         0.03         0.00        144          0
fd0               	 0.00         0.00         0.00         16           0

上記の例で明らかなように、読み取り/書き込み操作およびシステム全体の使用状況に関する情報を表示するには、iostat コマンドが役立ちます。デフォルトでは、このコマンドはそれまでに行われたすべてのデバイスに対する読み取り/書き込み操作の状況と、それまでの CPU 使用率の統計 (先頭行) を返すことに注目してください。

sar コマンド

sar コマンドは、「Windows パフォーマンス モニター」のようにシステム・カウンター情報を表示します。sar コマンドでは、過去のカウンターを表示することも、リアルタイムのカウンターを表示することもできます。

$ sar 4 5
Linux 2.6.18-164.el5 (DemoServer) 	12/19/2011

12:20:20 AM       CPU     %user     %nice   %system   %iowait    %steal     %idle
12:20:24 AM       all      0.00      0.00      0.00      0.00      0.00    100.00
12:20:28 AM       all      0.00      0.00      1.01      0.00      0.00     98.99
12:20:32 AM       all      0.00      0.00      0.50      0.00      0.00     99.50
12:20:36 AM       all      0.00      0.00      0.00      0.00      0.00    100.00
12:20:40 AM       all      0.25      0.00      1.01      0.00      0.00     98.74
Average:          all      0.05      0.00      0.50      0.00      0.00     99.45

上記の例では、sar コマンドは 4 秒おきに 5 回にわたりカウンター情報を表示しています。


ファイルシステムの最適化と調整

システム管理者としての主な役割の 1 つは、ユーザーが自分のデータにアクセスする際に満足の行く時間内に確実にアクセスできるようにすることです。したがって、Windows と同じく、Linux サーバーでのシステムのパフォーマンスを監視することがシステム管理者の主なタスクとなります。ネットワーク・パフォーマンスは別として、ファイルシステムの読み取り/書き込み操作のパフォーマンスがボトルネックとなる可能性があります。そのため、読み取り/書き込み操作が、ファイルシステムの調整および最適化の対象の 1 つです。

ファイルシステムを調整するには、以下の方法があります。

  • tune2fs ツールを使用する
  • /etc/fstab ファイルでマウント・オプションを変更する
  • カーネルのパラメーターを変更する

tune2fs による調整

tune2fs は、ハード・ディスクのボリューム・パラメーターを調整するために使用するコマンドライン・ツールです。例えば、ext3 パーティション上に大きなディレクトリーがあるとしたら、ハッシュ B-tree を使用することによって検索を高速化するために、tune2fs の dir_index スイッチを使用します。

# tune2fs  -O dir_index  /dev/sda5

tune2fs コマンドは root 権限で実行する必要があります。-O スイッチは指示されたパーティションに対するオプションを指定します。

特殊なオプションを使用したマウント

ファイルシステムを使用できるようにするプロセスは、ファイルシステムの「マウント」と呼ばれます。実際、まさにこのプロセスを実行するための mount コマンドがあります。電源が投入されると、Linux コンピューターは使用可能なファイルシステムのマウント方法を把握しなければなりせん。そのためのファイルが、/etc/fstab ファイルです。Linux のあらゆる構成ファイルの例に漏れず、このファイルも vivim などのテキスト・エディターで編集することができます。このファイルを調べてみると、さまざまなファイルシステムに対してマウント・ポイントが指定されています。マウント・オプションを調整するには、マウントの各行の 4 列目を使用します。例えば、特定のファイルシステムで最終アクセス時刻のタイムスタンプを監査しないようにする場合は、この列に noatime を追加します。これによって、パフォーマンスが向上する可能性があります。また、一例としてアーカイブ用のファイルシステムがあり、ユーザーがそのデータに書き込めないようにする場合には、パーティションを ro (読み取り専用) としてマウントするという方法もあります。

/etc/fstab で以上のマウント・オプションを変更するには、以下のコマンドラインを使用します。

UUID=97ee2cc4-8a26-41e9-9da1	/archives	ext4	 defaults,ro,noatime	1 2

/etc/fstab ファイルに対して行った変更は、すぐには適用されません。リブートを行わずに変更が適用されるようにするには、以下のように mount コマンドを使用して、ファイルシステムをアンマウントした後、変更後のファイルシステムを再マウントしてください。

# mount -o remount  /archives

現在の作業環境でアンマウントできるパーティションがある場合には、mount -o remount コマンドが役立ちます。このコマンドを使用すると、/etc/fstab ファイルを変更した後のリブートを回避することができます。

カーネル・パラメーターの調整

実行中のカーネル・パラメーターを表示したり、変更したりするには、sysctl コマンドを使用することができます。ファイルシステム関連のパラメーターとそれぞれのパラメーターの現在の値のリストを取得するには、コマンドとして「sysclt -a | grep fs」と入力します (リスト 3 を参照)。

リスト 3. ファイルシステム関連のカーネル・パラメーターを表示する
# sysctl -a | grep fs. | less 
....
fs.quota.warnings = 1
fs.quota.syncs = 23
fs.quota.free_dquots = 0
fs.quota.allocated_dquots = 0
fs.quota.cache_hits = 0
fs.quota.writes = 0
fs.quota.reads = 0
fs.quota.drops = 0
fs.quota.lookups = 0
fs.suid_dumpable = 0
fs.inotify.max_queued_events = 16384
fs.inotify.max_user_watches = 8192
fs.inotify.max_user_instances = 128
fs.aio-max-nr = 65536
fs.aio-nr = 0
fs.lease-break-time = 45
fs.dir-notify-enable = 1
fs.leases-enable = 1
fs.overflowgid = 65534
fs.overflowuid = 65534
fs.dentry-state = 26674	23765	45	0	0	0
fs.file-max = 102263
.........

リスト 3 に、ファイルシステム関連のカーネル・パラメーターのリストを抜粋したものを記載します。このリストでは、grep コマンドを使ってファイルシステム関連のパラメーターのみをフィルタリングして出力しています。これらのパラメーターは、sysclt -w コマンドを使用して変更することができます。例えば、サーバーが大量の小さなファイルを処理していて、「ファイル・ハンドル不足」に関するエラー・メッセージを受け取ることが多くなってきた場合には、コマンド sysctl -w file-max=xxxxxx によって、オープン可能なファイル記述子の最大数を増やすことができます。ここで、xxxxxx には必要な最大ファイル・ハンドラー数を指定します。デフォルト・パラメーターを変更する場合と同じく、この変更にもトレードオフが伴うので、コンピューターにファイル・ハンドラーの負荷の増加に対処できるだけのメモリー割り当てがあることを確実にしてください。

sysctl を使用して行った変更は、リブート後には引き継がれません。リブート後も変更内容が保たれるようにするには、/etc/sysconf ファイルをテキスト・エディターで開いて、変更を行ってください。ただし、このファイルには使用可能なすべてのカーネル・パラメーターが記載されているわけではないので、パラメーターの値を変更してカーネル・パラメーターのリストに表示されたら、そのパラメーターをファイルに追加して、必要な値を設定してください。

断片化

通常は、オペレーティング・システム上で断片化されている割合が 20% 以上になると、デフラグを行う必要がでてきます。拡張ファイルシステムが作成される際には、断片化の問題を回避するために、そのディスク・スペースの約 5% がシステム用に確保されます。要するに、通常のシナリオでは断片化について心配する必要はないということです。ただし、これは、各世代の拡張ファイルシステムが断片化にまったく影響されないという意味ではありません。ファイルが断片化されている疑いがある場合には、filefrag コマンドで確認することができます。詳細な情報を取得するには、-v スイッチを使用してください。


仮想メモリーの操作

Linux での仮想メモリーの概念は、Windows での仮想メモリーとそれほど変わりません。Windows オペレーティング・システムは、RAM ハードウェアが使い果たされるとページ・ファイルを使用します。RAM がその最大容量まで使用された場合のパフォーマンスを補うには、仮想メモリーが比較的コストのかからない手段となります。

Linux のスワップ

Linux の仮想メモリー割り当て領域は、スワップ「ファイルシステム」上に確保されます。仮想メモリー割り当て領域が確保されるディスク・ファイルシステムのタイプは、swap でなければなりません。システムのスワップ使用状況に関する情報を取得するには、以下のコマンドライン (およびグラフィカル) ツールを使用することができます。

  • free
  • top
  • vmstat
  • sar

free -m コマンドは、スワップを含め、メモリーの使用状況を表示します。top コマンドはプロセス、CPU、およびメモリーの使用状況をリアルタイムで表示し、vmstat コマンドは、システム・メモリーおよび CPU アクティビティーに加え、ブロック入出力状況も表示します。その一方、サーバーでのスワップの使用状況を分析するには、sar ツールを「Windows パフォーマンス モニター」と同様のツールとして使えると思います。

$ sar  -w
$ sar  -B

上記の例に示されている sar -w では、スワップ・アクティビティーに関する出力を表示できる一方、sar -d コマンドではスワップ・パーティションに対する読み取りおよび書き込み操作に関する情報を表示することができます。sar の構成については、sar のマニュアルを調べてください。

新たなスワップ領域の作成

スワップ領域を増やさなければならない場合、2 つの方法があります。1 つはスワップ・パーティションを作成する方法、そしてもう 1 つは、既存のパーティションにスワップ領域用のファイルを作成するという方法です。パーティション領域がある場合には、スワップ専用のパーティションにスワップ領域を割り当てることが推奨されます。ただし、ext3 などの既存のパーティションに、必要なスワップのサイズを持つファイルを作成することは可能です。

パーティションのサイズ変更や、新規ハード・ディスクの追加などによって、新しいスワップ領域を作成することになった場合には、mkswap コマンドを使って、スワップ・タイプのファイルシステムを作成してください。新規スワップ領域を作成する手順は以下のとおりです。

  1. fdisk を使用してパーティションを作成し、タイプを 82 (Linux スワップ) に設定します。
  2. mkswap を使用して、スワップ・ボリュームを作成します。
  3. swapon -a コマンドで、スワップ領域を有効にします。
  4. 新規スワップ・マウントを /etc/fstab ファイルに追加します。
  5. リブートした後、swapon -s コマンドを使用して、新規スワップが使用可能になっていることを確認します。

ファイルシステムの変更

リソースの使用量は、時間が経つにつれ増えていきます。これが、システムを管理する理由です。リソース使用量の増加の理由が、組織の成長とともにデータが増加した結果なのか、あるいは企業合併などによる不測の急増によるものなのかに関わらず、ファイルシステムのサイズは変更することができます。さらに、既存のパーティションのファイルシステムのタイプを変更することもできます。もちろん、これらのタスクはリスクを伴うため、慎重なバックアップ計画を立てる必要があります。

fdiskparted、およびその GUI バージョンの GParted (GNOME Partition Editor) は、パーティションを変更するために一般的に使用されている Linux ツールです。ただし、既存のパーティションを変更する場合にはデータ損失のリスクがあるため、必ず事前に計画を立ててください。LVM (Logical Volume Manager) を使用したパーティションを設計する場合のタスクは、従来の手法よりもシームレスなものになるはずです。LVM では、データ損失のリスクなしにパーティションを変更できるためです。


まとめ

この記事では、ext2、ext3、および ext4 の機能と管理方法について説明すると同時に、ファイルシステムの使用状況を監視するためのツールを紹介しました。「Windows パフォーマンス モニター」がない環境では、記事で説明したツールが、さまざまなハードウェア・プラットフォームで Linux ファイルシステムを効率的に管理するために必要な統計情報を提供してくれます。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

  • ご自分に最適な方法で IBM 製品を評価してください。評価の方法としては、製品の試用版をダウンロードすることも、オンラインで製品を試してみることも、クラウド環境で製品を使用することもできます。また、SOA Sandbox では、数時間でサービス指向アーキテクチャーの実装方法を効率的に学ぶことができます。
  • GParted をダウンロードしてください。
  • Parted Magic をダウンロードしてください。

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