仮想マシンのデプロイメントを自動化する

自己構成を行える大量の仮想マシンを迅速に起動することで時間と手間を省く

いくつもの仮想マシン (VM: Virtual Machine) の構成を同時に行わなければならない場合がありますが、大量の複製作業や構成作業を手動で行うことは楽ではありません。この記事では VM のデプロイメントを自動的に行うソリューションを作成する方法を説明します。このソリューションを利用すると、自己構成を行える大量の VM を迅速に起動してアクティブにすることができます。さらに、システムの起動後、デプロイされた VM それぞれに、カスタマイズされたアプリケーションを個別に実行する方法も学びます。

Yong Kui Wang, Software Engineer, IBM

Yong Kui Wang は IBM China Systems and Technology Laboratories のソフトウェア・エンジニアであり、現在はシステム管理ソフトウェアの開発を行っています。彼は Linux 技術や仮想化、Web 2.0 技術などにも関心と経験を持っています。



Jie Li, Software Engineer, IBM

Jie Li は IBM China Systems and Technology Laboratories のソフトウェア・エンジニアです。彼は J2EE の開発経験があり、現在はシステム管理ソフトウェアの開発を行っています。時間があるときは、JavaScript エンジンやオフラインの Web アプリケーション (Google Gears のようなアプリケーション) の開発を行っています。



2009年 3月 04日

ソフトウェアの開発やテストでは大量の仮想マシン (VM: Virtual Machine) を同時に作成しなければならない場合がよくあります。その場合、テンプレートとなる仮想イメージを見つけてコピーし、その表示名とハードウェア設定を変更し、ネットワーク・インターフェースのハードウェア・アドレスの競合を解決する必要があります。さらにその上、ネットワーク設定やホスト名、ドメイン設定などを構成する必要もあるため、作業はすぐに非常に人手を要するものになってしまいます。

この記事では、仮想マシンを自動的にデプロイするソリューションの作成方法を説明します。このソリューションを利用すると、自己構成を行える大量の VM を素早く自動的にデプロイしてアクティブにすることができます。また、システムの起動後、デプロイされた VM それぞれに、カスタマイズされたアプリケーションを個別に実行する方法も学びます。

自動 VM デプロイメントのためのアーキテクチャーとワークフロー

この記事で紹介する自動 VM デプロイメント・ソリューションは、大きく分けて VDM (Virtual Machine Deployment Manager: 仮想マシン・デプロイメント・マネージャー) と VCM (Virtual Machine Configuration Manager: 仮想マシン構成マネージャー) という 2 つの部分から構成されています。

VDM はユーザーからの VM デプロイメント要求を処理します (仮想イメージの複製、VM ハードウェア設定の構成、また VM ハイパーバイザーへの VM の登録など)。

VCM は VM テンプレートとして使用される仮想イメージの中にインストールされ、システムが起動すると自動的に VM を構成します。図 1 は、この自動 VM デプロイメント・ソリューションのアーキテクチャーとワークフローを示しています。

図 1. 自動 VM デプロイメント・フレームワークのアーキテクチャー
自動 VM デプロイメント・フレームワークのアーキテクチャー

これを見るとわかるように、VDM は以下の 3 つの部分から構成されています。

  • VDM エンジン (VDM engine): VDM のコア。
  • VM デプロイメント・タスク (VM deploy task): 特定の VM デプロイメント・タスクを記述したファイルであり、ユーザーにとっては構成ファイルのようなものです。
  • VM テンプレート定義 (VTD): VM テンプレートの情報 (VM テンプレートの場所や説明など) を定義するファイル。VM テンプレートは複製のソースとなる VM (ソース VM) として使用される仮想マシンです。

VM のデプロイメント・プロセスは大まかに以下のステップで構成されています。

  1. VDM が VM デプロイメント・タスクを読み取ります。
  2. VDM は、読み取った情報に対応する VM テンプレートを見つけるために、VTD ファイルを含むディレクトリーを調べます。そして見つかった VM テンプレートを、デプロイメント・タスク・ファイルに指定されている複製先の場所に複製します。
  3. VDM はソース VM (VM テンプレート) を複製した後、すべての構成データを収集して ISO ファイルの中にアーカイブし、その ISO ファイルを、複製された VM が置かれている場所にコピーします。
  4. VDM は VM デプロイメント・タスク・ファイルの中に定義された構成を元に、複製された VM のハードウェア設定を変更します。VDM はステップ 3 で作成された ISO ファイルをマウントするための CD-ROM デバイスを作成します。
  5. デプロイメント・ステップの最後のステップとして、VM ハイパーバイザー・ユーティリティーを呼び出して VM ハイパーバイザー・サーバーに VM を登録し、その VM を起動します。

ステップ 5 はオプションです。ユーザーは、ステップ 5 を実行しないように VM デプロイメント・タスク・ファイルを構成することができます。VM ハイパーバイザーには VMware サーバーや Xen などを使用することができます。この記事のサンプル実装では VMware サーバーを VM ハイパーバイザー・サーバーとして使います。

VCM はVM テンプレートの中にインストールされます。システムが起動されて VCM が自動的に起動されると、VCM は構成データを含む CD を検索し、その CD 上にある構成アプリケーションを起動し、事前に定義されたすべての作業を実行します。


自己構成の VM テンプレートを作成する

当然のことですが、システムの起動後に VM が自己構成を行うようにするためには、テンプレートとして使用されるソース VM が自己構成でなければなりません。自己構成の VM テンプレートを作成するためには、最初にソース VM を作成した後、そのソース VM を VCM と共にインストールしておく必要があります (図 2)。

図 2. VCM をインストールすることで自己構成の VM テンプレートを作成する
VCM をインストールすることで自己構成の VM テンプレートを作成する

VCM の主な機能は、VMCONIFG というラベルが付いた VM 構成用 CD を見つけ、システムが起動したら、その CD 上にある構成アプリケーションを実行することです。ソース VM は Linux® の場合もあれば、Windows®、その他のオペレーティング・システムの場合もあるため、ソース VM のオペレーティング・システムが異なるとその VCM も異なります。この記事のサンプル・コードには Linux 用と Windows 用の VCM を用意してあります。

Linux 用の VCM

Linux 用の VCM はインストールされると Linux サービスとして登録されます。VCM は最初のシステム・ブートの際に実行されます。VCM は起動されると構成を実行し、構成が完了すると自分自身 (VCM) を登録解除して削除します。

Linux 用の VCM をインストールするためには、VCM パッケージをソース VM にコピーして適当なディレクトリーに解凍し、VCM インストーラー install.sh を実行します。リスト 1 は install.sh の動作を示しています。

リスト 1. VCM インストーラー install.sh のコード・セグメントの例
...
VCM_HOME=$(cd $(dirname $0);pwd)
start=`getStartNum`
stop=`getStopNum`
sed -e "s!^VCM_HOME=.*!VCM_HOME=$VCM_HOME!;\
  s!^# chkconfig: 35!# chkconfig: 35 $start $stop!"\
  "$VCM_HOME/vmconfigmgr" > "/etc/init.d/vmconfigmgr"
chmod +x "/etc/init.d/vmconfigmgr"
echo "Register service vmconfigmgr"
chkconfig --add vmconfigmgr
if [ $? -eq 0  ];then
    echo "Install Complete Successfully!"
else
    echo "Install Failed."
Fi

すべての構成アプリケーションとデータは VM 構成用 CD に保存されているため、VCM はまずその CD を見つけ、それを /media/VMCONFIG にマウントした後にすべての構成を行います。リスト 2 はシステムの起動後に Linux 用の VCM がどのように VM 構成用 CD を見つけるかを示しています。

リスト 2. VCM が VM 構成用 CD を見つけてマウントする部分のサンプル・コード
LABEL="VMCONFIG"
VM_CFG_DIR=/media/$LABEL
for device in `dmesg | grep "^.*:.*CD-ROM" | awk -F':' '{print $1}'`
do
    volumeName=`volname "/dev/$device" | awk '{print $1}'`
    PrintString "CD-ROM Drive: $device | Label: $volumeName"	
    if [ "$volumeName" == "$LABEL" ];then
        PrintString "VM Configuration CD-ROM is: /dev/$device"
        # Mount the CD-ROM 
        mkdir -p "$VM_CFG_DIR"        
        mount -t iso9660 -o ro,nosuid,nodev,utf8,uid=0 "/dev/$device" "$VM_CFG_DIR" 
        break
    fi
done

Windows 用の VCM

Windows 用の VCM をインストールすると、VCM はシステムの起動後に 1 度だけ実行されるスケジュール・タスクを作成します。Linux 用の VCM と同様、Windows 用の VCM もスケジュール・タスクが最初に実行された後でスケジュール・タスクを削除します。

Windows 用の VCM をインストールするためには、Windows 用の VCM パッケージを Windows VM テンプレートの中にコピーして適切なディレクトリーに解凍し、install.bat を実行します。リスト 3 は install.bat の動作を示しています。

リスト 3. Windows 用の VCM をインストールするためのサンプル・コード
@echo off

set VCM_HOME=%~dp0
REM Create scheduled task to run VM Configuration Manager when system boots
schtasks /create /tn "VMCONFIG"  /tr %VCM_HOME%vmconfigmgr.bat /sc onstart /ru "System"

@echo on

Linux 用の VCM と同様、Windows 用の VCM も VM 構成用 CD のドライブ・レター情報を取得する必要があります。Windows 用の VCM はそのために WMI スクリプトを使います。リスト 4 は VB スクリプトを示しています。

リスト 4. Windows 用の VCM が VM 構成用 CD のドライブ・レター情報を取得するための VB スクリプトのサンプル・コード
Function getDriveLetter(label)
	Const wbemFlagReturnImmediately = &h10
	Const wbemFlagForwardOnly = &h20
	strComputer="."
	driveLetter=""
	Set objWMIService = GetObject("winmgmts:\\" & strComputer & "\root\CIMV2")
	Set colItems = objWMIService.ExecQuery("SELECT * FROM Win32_CDROMDrive", "WQL", _
                                          wbemFlagReturnImmediately + 
                                           wbemFlagForwardOnly)
	For Each objItem In colItems
		WScript.Echo "Drive: " & objItem.Drive & "  VolumeName: " 
                      & objItem.VolumeName  & "  Status: " & objItem.Status
		If StrComp(objItem.VolumeName, label) = 0 Then
			driveLetter=objItem.Drive
			WScript.Echo "driveLetter: " & driveLetter
			Exit For 
		End If  
	Next
	getDriveLetter=driveLetter
End Function

drive=getDriveLetter("VMCONFIG")

VCM をソース VM にインストールすると、ソース VM は自己構成の VM テンプレートになります。この VM テンプレートをシャットダウンし、適当な場所に保存します。


VTD (VM Template Definition) ファイルを作成する

VM テンプレートはさまざまな場所に保存される可能性があるため、VDM には特定の VM テンプレートが置かれている場所を知るためのメカニズムが必要です。VTD (VM Template Definition) ファイルはそのためにあります。このファイルは VM テンプレートのプロパティーを記述します。

1 つの VTD ファイルが 1 つの VM テンプレートを指します。すべての VTD ファイルは VDM の vtds フォルダーに保存されます。VTD ファイルの名前は OSName.vtd という形式です (OSName は VM テンプレート同士を区別するためのキーとして使われます)。例えば SLES10SP2.vtd という VTD ファイル名は SLES 10 SP2 という VM テンプレートを指します。リスト 5 は SLES 10 SP2 という VM テンプレートの VTD の例を示しています。

リスト 5. SLES 10 SP2 という VM テンプレートの VTD の例
# VM Template Definition File
# OS Type of the template VM, possible values are Windows, Linux.
OSType=Linux
# Description of the VM template.
Description=SuSE Linux Enterprise Server 10 SP2
# Directory where the VM template locates in.
SRCVMDIR=/local/vmware/SuSE Linux Enterprise Server 10 SP2

VM デプロイメント・タスクを作成する

これですべての準備作業が終わったので、VM デプロイメント・タスクの作成を開始することができます。VM デプロイメント・タスクは VM デプロイメント・タスク・ファイルによって定義されます。特定の VM をデプロイするためのすべての構成コマンドは、1 つの VM デプロイメント・タスクによって定義され、以下のようなグループに分けることができます。

  • VM 全般の構成
  • ネットワーク構成
  • ユーザーによってカスタマイズされる構成
  • VM の登録と起動に関する構成

リスト 6、7、8、9 は sles10sp2vm.task というデプロイメント・タスクのうち、それぞれ別の部分を構成するための設定を示しています。

リスト 6. VM デプロイメント・タスク・ファイルのうち、VM 全般の構成を設定する部分
# Task description
TaskDescription=SLES 10 VM used for BVT
# OS name of the VM to be created, a file with the name OSName.vtd should has been 
# defined in vtds directory.
OSName=SLES10SP2
# Size of the memory in MB that should be assigned to the VM
MemorySize=1300
# Disk size in GB of the first hard disk, if the number specified is not specified or 
# is smaller than the disk size of template VM, it will has same disk size as 
# template VM.
DiskSize=10
# Display Name of the VM.
DisplayName=SLES10SP2-143-50
# The destination directory of the VM to be created to.
Destination=/vmware/SLES10SP2-143-50
# Overwrite specifies if overwrite the existing VM.
OverwriteOnExist=Yes

こうした全般的な設定によって、作成する VM の OS のタイプ、メモリー・サイズ、ディスク・サイズ、そして VM を作成する場所を指定します。またこの設定によって、目的とする場所に既に VM がある場合にその VM を上書きするかどうかをユーザーが選択することができます。

リスト 7. VM デプロイメント・タスク・ファイルのうち、ネットワーク構成を設定する部分
# Specify if to configure the network during the first boot of the VM. Yes to configure,
# or No for not configure. 
# If No is specified, all properties start with ConfigNet will be ignored.
ConfigNet=yes
# Network connection type of Virtual Ethernet card eth0, possible values are Bridged,
# NAT and HostOnly. Default value is Bridged if not specified.
ConfigNet.ConnectType=NAT
# Mac address of the ethernet card, possible values are:
#    1) auto                 the mac will be generated automatically.
#    2) xx:xx:xx:xx:xx:xx        user defined mac address. (For VMware, the valid range
#       is 00:50:56:00:00:00 to 00:50:56:3F:FF:FF)
ConfigNet.MacAddress=00:50:56:3A:01:02
# Network configuration mode, dhcp or static.
ConfigNet.Mode=static
# IP address to be used for the VM.
ConfigNet.IPAddress=192.168.143.50
ConfigNet.Netmask=255.255.255.0
ConfigNet.Gateway=192.168.143.2
ConfigNet.Hostname=sles10vm-143-50
ConfigNet.Domain=ibm.com
ConfigNet.PrimaryDNS=9.181.32.72
ConfigNet.SecondDNS=9.181.2.101

デプロイする際には、VM が起動したときにネットワークの構成情報にアクセスできるように、ネットワークの構成情報が VDM によって収集され、VM 構成用 ISO ファイルに保存されます。

リスト 8. VM デプロイメント・タスク・ファイルのうち、ユーザーによってカスタマイズされる構成を設定する部分
# Folder holding user's configuration data. The content of this folder will be archived
# into an ISO file, with label VMCONFIG and be mounted in the VM CD-ROM.
UserConfigDataDir=/root/mydata/
# The application users want to run after system boot and network configuration.
# It will also be archive to the VMCONFIG ISO file.
UserConfigApp=/root/myapp.sh

ユーザーによる構成データもすべて収集され、VM 構成用 ISO ファイルに保存されます。

リスト 9. VM デプロイメント・タスク・ファイルのうち、VM の登録と起動に関する構成を設定する部分
# Register VM to local vmware server or not. Yes for register, false for not register.
# Default value is No.
RegisterVM=Yes
# Parameters used to register VM. Not needed by VMware Server 1.x.
RegisterVM.HostURL=https://localhost:8333
RegisterVM.Username=root
RegisterVM.Password=password
# Power on VM after deployment or not. Yes for power on, No for not power on.
# Default value is false.
PowerOn=Yes

これらのパラメーターはデプロイ後の VM の登録や起動に使われます。VMware サーバー 2.0 の場合には、サーバーの URL とユーザー名、そしてパスワードを入力する必要があります。


VM をデプロイする

VM テンプレートと VM デプロイメント・タスク・ファイルの両方が用意できたので、デプロイメントを始めることにしましょう。VM のデプロイメント・プロセスには以下のステップがあります。

  • VM デプロイメント・タスクの設定を解析する。
  • 適切な VM テンプレートを見つけ、それをターゲット・フォルダーに複製する。
  • 構成データを含む ISO ファイルを生成する。
  • 新しい VM のハードウェア構成を変更し、ISO ファイルを CD としてマウントする。
  • そして最後に、VM デプロイメント・タスク・ファイルで RegisterVM プロパティーと PowerOn プロパティーが Yes に設定されている場合には VM を登録して起動する。

この記事のサンプル・コードでは、VDM は解凍されるとそのまま実行できるように設計されているため、インストールのための追加ステップはなく、適当な場所 (例えば /opt/vmdeploymgr など) に VDM を解凍すればよいだけです。ただし新しい VM を登録して起動するためには、サーバーにインストールされた VDM に何らかの VM ハイパーバイザー・ユーティリティーがインストールされていて、この VM ハイパーバイザー・ユーティリティーを VDM から呼び出すことで、VM の登録と起動を行える必要があります。サンプル・コードでは、VDM は VMware サーバーと同じサーバーにインストールされます。

VM のデプロイメントに関するオプション

VDM には以下の 3 種類のデプロイメント・オプションが用意されています。

  1. 1 つの VM デプロイメント・タスクをデプロイする。
  2. タスク・リストを使って複数の VM デプロイメント・タスクをデプロイする。
  3. フォルダーの中に保存されたすべての VM デプロイメント・タスクをデプロイする。

これらのオプションをサポートするために、VDM のメイン・アプリケーションである vmdeploymgr.sh コマンドには以下の 3 つのオプションが用意されています。

  1. 1 つの VM デプロイメント・タスクをデプロイする。

VDM では特定の VM デプロイメント・タスク・ファイルを -f オプションを使って指定することができます (例えば localhost:/opt/vmdeploymgr/bin # ./vmdeploymgr.sh -f ../tasks/sles10sp2.task など)。

  1. タスク・リストを使って複数の VM デプロイメント・タスクをデプロイする

タスク・リスト・ファイルの中にあるすべての VM デプロイメント・タスクをリストアップし、そのリストにあるすべてのタスクをシーケンシャルに処理するように VDM に命令することもできます。タスク・リスト・ファイルはプレーンテキスト・ファイルです。リスト 10 は 3 つの VM デプロイメント・タスクを含むタスク・リスト・ファイルの例を示していますが、最後のタスク (win2003vm2.task) はコメントアウトされているため、VDM はこのタスクを処理しません。

リスト 10. VM デプロイメント・タスク・リスト・ファイルの例
/opt/vmdeploymgr/tasks/sles10sp2vm.task
/opt/vmdeploymgr/tasks/rhel5u2vm.task
/opt/vmdeploymgr/tasks/win2003vm.task
#/opt/vmdeploymgr/tasks/win2003vm2.task

オプションの -t は VM デプロイメント・タスク・リストをデプロイするために使われています。下記のリストはコマンドの例を示しています。

localhost:/opt/vmdeploymgr/bin # ./vmdeploymgr.sh -t ../tasks/vmtasklist
  1. フォルダーの中に保存されたすべての VM デプロイメント・タスクをデプロイする

VM をデプロイするための 3 番目のオプションでは、指定されたフォルダーの中にあるすべてのタスク・ファイルをデプロイします。そのためには -d というコマンド・オプションを使います。-d が指定されると、VDM は指定のフォルダー内にある .task という拡張子を持つすべてのファイルを検索し、それらのタスクを処理します。下記のリストはコマンドの例を示しています。

localhost:/opt/vmdeploymgr/bin # ./vmdeploymgr.sh -d ../tasks

VM 構成用 CD

VM 構成用 CD は VDM による構成データとユーザーが指定した構成データの両方を含んでいるため、自動 VM デプロイメント・ソリューションのなかでも非常に重要なコンポーネントです。この CD によって、それぞれ構成の異なる特定のオペレーティング・システムの VM を同じ VM テンプレートを使って作成することができます。つまり各オペレーティング・システムに対して必要な VM テンプレートは 1 つのみなのです。そのため時間とディスク・スペースを節約することができます。

この CD の内容は、VDM が VM デプロイメント・タスクに従って生成した ISO ファイルとして仮想 CD-ROM にマウントされるため、フロッピー・ディスクよりもはるかに大量のデータを保持することができます。VM 構成用 CD によって柔軟性が高まり、VM の起動後にどのようなアプリケーションでも実行させることができます。VM 構成用 ISO ファイルの名前は VMCONFIG.iso であり、ラベルは VMCONFIG です。図 3 は Linux 用のVM 構成用 CD のファイル構造を示しています。Windows の場合もファイル構造は似ています。

図 3. Linux 用のVM 構成用 CD のファイル構造
Linux 用のVM 構成用 CD のファイル構造

図 3 に示すとおり、vdm フォルダーに含まれる主なものは VDM によって事前定義された構成タスク (例えばネットワーク構成など) であり、一方 usr フォルダーに含まれるものは、VM デプロイメント・タスク・ファイルの中で定義された構成データで、ユーザーによってカスタマイズされたものです。run.conf ファイルは CD 上のどのアプリケーションを実行する必要があるのかを VCM に伝えるために使われます。リスト 11 は run.conf の内容の例を示しています。

リスト 11. run.conf の内容の例
# Configuration application to perform predefined VM Deployment Manager configuration,
# for example, network configuration.
VDM_CFG_APP=vdm/run.sh
# User defined configuration application that will run after system boot.
USR_CFG_APP=usr/myapp.sh

デプロイされた VM が起動されると、VCM が起動され、VM 構成用 CD を見つけようとします。VCM はこの CD を見つけると run.conf の内容を読み取り、VDM_CFG_APPUSR_CFG_APP で指定されたアプリケーションをシーケンシャルに実行します。ユーザーが VM デプロイメント・タスク・ファイルの中で何もカスタマイズ構成を指定していない場合には、run.conf の中に USR_CFG_APP プロパティーが設定されることはありません。

複製された VM 用には、VM 構成用 CD をマウントするための新しい CD-ROM が作成されます。VDM は VM のバスを (最初に IDE バス、次に SCSI バスの順に) 検索し、CD-ROM 用に空いているバスを探します。そして VDM はバスを見つけると VM 構成ファイルを変更し、新しい CD-ROM を作成し、VM 構成用 CD を その CD-ROM にマウントします。

VM を登録し、起動する

VM ハイパーバイザー・サーバーに VM を登録して起動するためには VDM が何らかの VM ハイパーバイザー・ユーティリティーをサポートしている必要があります。VMware Server 2.0 の場合のメイン・ツールは vmrun であり、VMware Server 1.0 の場合には vmware-cmd です。これらのツールは VMware サーバーをインストールする際にデフォルトでインストールされます。

リスト 12 は vmware-cmd を使って VM の登録と起動を行う方法を示すサンプル・コードです。リスト 13 は vmrun を使って VM の登録と起動を行う方法を示すサンプル・コードです。

リスト 12. vmware-cmd を使って VM の登録と起動を行うためのサンプル・コード
vmware-cmd  -s register "$vmxfile"
vmware-cmd  "$vmxfile" start hard
リスト 13. vmrun を使って VM の登録と起動を行うためのサンプル・コード
vmrun -T server -h "${hostURL}/sdk" -u "$username" -p "$password"\ 
      register "[$datastoreName] $vmxfile"
vmrun -T server -h "${hostURL}/sdk" -u "$username" -p "$password"\
      start "[$datastoreName] $vmxfile"

まとめ

この記事で説明した自動 VM デプロイメント・ソリューションを利用すると、仮想マシンのデプロイメントと初期構成が非常に容易になります。必要なことは VM デプロイメント・タスク・ファイルの中に構成を記述することだけです。そうすれば VDM がすべての仮想マシンのデプロイメントと構成を自動的に行ってくれます。

このソリューションはまた、非常に柔軟性が高く、デプロイされた VM が起動した後に独自のアプリケーションを実行することができます。例えば VM デプロイメント・タスクの中で USR_CFG_APP を設定すると、VM はシステムの起動後に、新しいソフトウェアのビルドを自動的にダウンロードしてインストールするアプリケーションを実行するようになります。

全体として見れば、このソリューションを活用することで、いくつもの仮想マシンのデプロイメントや管理を行う際に時間を大幅に節約することができ、より効率的に作業を行うことができるようになります。


ダウンロード

内容ファイル名サイズ
VM Configuration Manager, Linux1vmconfigmgr-linux.zip5KB
VM Configuration Manager, Windows2vmconfigmgr-windows.zip3KB
VM Deployment Manager3vmdeploymgr.zip14KB

  1. VM Configuration Manager, Linux という構成マネージャー・パッケージは、SLES 10 SP1、SP2、Red Hat Enterprise Linux Server (RHEL) 5.2 でテストされています。
  2. VM Configuration Manager, Windows という構成マネージャー・パッケージは、Windows Server 2003 Enterprise Edition と Window Server 2008 Enterprise Edition でテストされています。
  3. VM Deployment Manager はデプロイメント・マネージャー・パッケージです。この開発プラットフォームは、SUSE Linux Enterprise Server (SLES) SP1 であり、(SLES10 SP1 にインストールされた) VMware Server 2.0 と (SLES10 にインストールされた) VMware Server 1.0.4 でテストされています。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

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Zone=Linux
ArticleID=379518
ArticleTitle=仮想マシンのデプロイメントを自動化する
publish-date=03042009