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IBM System p での SLES (SUSE) と RHEL (Red Hat) の比較

AIX 管理者のための Linux ガイド

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レベル: 中級

Ken Milberg, Writer/site expert

2008年 11月 18日

大半のシステム管理者は、IBM® System p® に Linux® をインストールしようと計画すると重要な問題に突き当たります。それは、どの Linux ディストリビューションをインストールするべきかという問題です。そこで、この記事では Red Hat と Novell による 2 つのディストリビューションを比較し、それぞれの利点と欠点を検討します。さらに、LoP (Linux on POWER) について取り上げ、2 つのディストリビューションの歴史とその IBM との関わり、そして決定プロセスのなかで考慮しなければならない要素について説明します。そして最後に、論理ボリュームを作成する際に欠かせない SLES と RHEL の比較検討を行います。

はじめに

2005年、APV (Advanced Power Virtualization) と IBM System p5® の登場を機に導入された LoP (Linux on POWER) により、IBM System p アーキテクチャーのユーザーは IBM の LPAR (Logical PARtitioning: ロジカル・パーティショニング) 技術をベースに、Linux をネイティブにインストールできるようになりました。それに伴って、ユーザーは IBM の UNIX® ブランド、AIX® で可能な仮想化機能と同様の機能を System p でも使用できるようになっています。これらの機能には、マイクロ・パーティショニングや、VIOS (Virtual IO Servers) とそれによってサポートされる CoD (Capacity on Demand) などの高度な機能が含まれます。さらに、LoP は、ダウンタイムを生じさせることなく 1 台の System p サーバーから別の System p サーバーに動的に負荷を移動できる Live Partition Mobility、そして余っているプロセッサー・サイクルを最適化する Shared Dedicated Capacity など、Power6 に新しく用意された革新技術にも対応しています。

私たち管理者は、LoP のユーザーは PowerVM によってもたらされた新しい革新技術を認識しているはずだということに、そろそろ注目すべきです。かつて System p AVE と呼ばれていたこの革新技術 PowerVM™ Lx86 は、POWER6™、POWER5+™、または POWER5™ プロセッサーを搭載したあらゆる System p または BladeCenter® モデル上での、ほとんどすべての 32-bit x86 Linux アプリケーションのインストールおよび実行をサポートしており、それらのアプリケーションをネイティブにインストールする必要はありません。その仕組みは、POWER™ プロセッサー・ベースのシステム上で稼働する x86 Linux アプリケーション環境を作成するために、動的に x86 命令を Power Architecture® 命令に変換し、変換した命令をキャッシュに入れてパフォーマンスを向上させるというものです。さらに、x86 Linux システム・コールは Linux on POWER システム・コールにマッピングされます。このソリューションならではの特徴は、ネイティブなポーティングやアプリケーションのアップグレードを行わなくても、大抵の x86 Linux アプリケーションを実行できることです。このソリューションは SLES と RHEL の両方でサポートされています。

ここで、IBM System p では Red Hat と Novell のディストリビューションが両方ともサポートされているはずだという声が上がることでしょう。手短に言うとそのとおりですが、Red Hat と Novell の間には認識しておかなければならない根本的な違いがいくつかあります。ある Linux のディストリビューションから別のディストリビューションに移行するという数百万ドルのプロジェクトに携わるマネージャーとして、私はこのどちらを選択するかの決断の重要性を断言できます。決定要素には、GUI がどれだけ重要な位置を占めるのか、ディストリビューションのベンダーからどのような類のサポートを期待しているのか、そしてそれぞれのディストリビューションの市場占有率などがあります。この記事では、皆さんがどちらを選ぶか決める際の参考にできるよう、ボリューム・グループの管理と、論理環境への物理ボリュームの割り当てとの両作業で何が必要となるのかを説明します。




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SLES

SUSE は 1992年、UNIX コンサルティング・グループとして設立されました。正真正銘の Linux ディストリビューションが初めてリリースされたのは 1996年で、SUSE の Linux をベースとした SLES がリリースされたのは 2000年10月のことです。大変興味深いことに、SLES は当初、IBM メインフレーム向けバージョンとしてリリースされ、2001年4月に x86 バージョンの SLES がリリースされました。Novell が 2004年1月に SUSE を買収した後、同年 8月に SLES V9 がリリースされ、2006年2月には SLES 10 がリリースされました。

何が SUSE を際立たせているかと言えば、私の意見では第一に、Yet another Setup Tool (YaST、あるいは YaST2) が挙げられます。YaST は AIX での smit と同様で、システム管理ツールとしてタスクを非常に効率よく実行することができます。では YaST を使って論理ボリュームを操作してみましょう。これによって、物理デバイスやファイル・システムも操作できるようになります。

まず始めに、GUI を呼び出すために # yast を実行します。すると、以下に示す YaST Control Center が呼び出されます。


図 1. YaST Control Center


次に、LVM を選択する必要があります。LVM ではボリューム・グループを追加することも、論理ボリュームを追加することも可能ですが、この例ではまだボリューム・グループが 1 つも定義されていないので、ボリューム・グループを追加することにします (図 2)。


図 2. LVM 構成


ここで追加しているボリューム・グループは oravg です。さらに、このボリューム・グループに、物理デバイス /dev/sdb を割り当てます (図 3)。


図 3. ボリューム・グループへの物理デバイス /dev/sddb の割り当て


以上の作業が完了すると、物理ボリュームのサイズが増加していることがわかるはずです。この例の場合は、19.9 GB まで増加しています。これで論理ボリュームを追加する用意ができたので、Add を選択します (図 4)。


図 4. 論理ボリュームの追加


これによって表示される図 5 の画面では、論理ボリュームの名前として oralvと入力し、サイズとしては 4.9GB を要求します。さらにマウント・ポイント /ora01 を指定することで、ファイル・システムが作成されます。


図 5. 論理ボリューム名の入力


図 6 の画面では、ボリュームが正常に作成されたことが示されています。


図 6. 正常に作成されたボリューム


以下のコマンドラインで、ボリュームが正常に作成されたことが確認されます。


Figure 7. Command-line verification
Command-line verification




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RHEL

このセクションでは、IBM System p で動作する Red Hat のディストリビューションを取り上げます。Red Hat では、RHEL4 から IBM System p に対応するようになり、RHEL5 でも同じく対応しています。IBM System p に対応していないバージョンでは、IBM の仮想化エンジンである PowerVM™ などの機能は無効になります。

Red Hat V1 は、1994年11月にリリースされました。実際のところ、これが RPM Package Manager を使用した初の Linux です。RHEL は 2003年に登場し、2004年4月にリリースされた Red Hat Linux バージョンである、V9 が最新バージョンとなっています。大規模なビジネスの場合には特にそうですが、Red Hat が長年 Linux 市場を牽引してきたことは疑いようのない事実です。

RHEL には、目的とする任意のコマンドを呼び出すことができる GUI 風の YaST2 が統合されていません。Red Hat には GUI がありますが、それぞれの GUI を呼び出すためのコマンドの名前を覚えていなければなりません。つまり、SLES でのように 1 つのコマンドですべてがスムーズに運ぶというわけには行かないのです。論理ボリュームを追加するために使用するコマンドは、system-config-lvm です。ボリューム・グループをセットアップする前に必要な作業として、まず # system-config-lvm を実行して、パーティション化されていないスペース (図 8 を参照) を初期化してください (この例でのサイズは 20 GB)。


図 8. パーティション化されていないスペースの初期化


初期化が完了したら、Create New Volume Group を選択して新しいボリューム・グループを作成します。


図 9. ボリューム・グループの新規作成


この例では、ボリューム・グループに oraclevg という名前を付け、4MB のエクステント 256 個を割り当てます。この作業が終わったら OK をクリックします。


図 10. ボリューム・グループ名の設定


この時点で、論理ビューをクリックして論理ボリュームを作成します。


図 11. 論理ビューのクリック


次は、LVM の作成に取り掛かります。Create New Logical Volume をクリックしてください。


図 12. 論理ボリュームの新規作成


この LV には oralv という名前を付け、1000 エクステントを割り当てます。また、ファイル・システムに /ora01 という名前を付けて、ext3 ファイル・システムとして設定します。


図 13. 論理ボリューム名、oralv の設定
Naming the logical volume oralv

図 14 に、以上の作業によって作成された論理ボリュームとその物理ボリューム、ファイル・システム、ボリューム・グループを示します。


図 14. 論理ボリュームとその物理ボリューム、ファイル・システムおよびボリューム・グループ





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SLES と RHEL の比較

2 つのディストリビューションを比較検討する前に、Linux パーティションでの動的ロジカル・パーティショニングを可能にする機能をはじめとするオペレーティング・システムの全機能にアクセスするために必要な、すべてのソフトウェアをダウンロードしてください。HMC (Hardware Management Console: ハードウェア管理コンソール) で管理されない System p サーバーの場合にダウンロードする必要がある SLES パッケージの全リストについては、「参考文献」を参照してください。これらのパッケージは、IBM から RPM 形式で提供されています。必要なパッケージをインストールすると、Linux をリブートしなくても、CPU とホット・プラグ可能な PCI アダプターを動的に再構成できるようにもなります。

Novell にしかない重要な革新技術の 1 つは、初めて IBM System p5® および BladeCenter JS21 上で使用できるようになった SUSE Linux Enterprise 向け統合スタックです。このスタックは、IBM WebSphere® アプリケーション・サーバー、IBM DB2®、SLES10、Centeris Likewise Management で構成されており、この Centeris Likewise Management 管理ツールを使用すると、Linux と Windows サーバーからなるネットワークを管理することが可能になります。1 枚の DVD にバンドルされたこのスタックは、あらゆる Novell ビジネス・パートナーから入手することができます。この製品はエンドツーエンドの Web 対応環境であり、統合されているだけに機能も強力です。この製品が対象としているのは、Web ベースのアプリケーションや Java アプリケーションをカスタマイズしているクライアントであり、サポートされるオープンソースのアプリケーションを組み合わせてインフラストラクチャーを最新の状態にしようとしているクライアントです。また、IBM のミッドレンジの仮想化製品である IBM PowerVM でも完全にサポートされます。一方の RHEL では、Red Hat 独自のアプリケーション・スタックがあります。このスタックは JBoss と Apache を組み込んだ統合バージョンの RHEL4 です。ただし RHEL スタックには、SLES スタックと同じレベルの System p サポートは備わっていません。

さらに現時点での世論調査では、Novell の市場占有率は昨年の調査結果である約 13 パーンセントから、17 パーセント近くにまで上昇しています (「参考文献」を参照)。SLES は目覚ましいベンチマークを誇ってもいます。最もよく使われている SLES のハイエンド・ミッドレンジ・サーバーの 1 つ (新しい POWER6™ チップ (4.7 GHz) を搭載し、SUSE Linux を実行する IBM System p570) で行った最新の SPECfp_2006 ベンチマークでは、22.4 のスコアを付けました。これは業界での最高スコアで、HP-UX を実行する HP Integrity rx6600 を約 23 パーセントも上回っています。

RHEL はどうかと言うと、Red Hat が何年にもわたり Linux 市場で最大のシェアを握っているという事実は無視することができません。RHEL の GUI ツールのなかには、論理ボリュームを構成する際に使用するツールで、YaST よりも私が気に入っているもの (具体的には、この記事で説明したツールです) があります。この GUI は見た眼にわかりやすく、直観的です。

SLES と RHEL の両方を使ってきた私としては、IBM System p ではどちらが使いやすいなどと言うつもりはありません。両方とも素晴らしいサポートを備え、パフォーマンスに優れています。また重要な点として、Red Hat と Novell はどちらも Linux on POWER 構成に対応し、これをサポートしているということも言っておかなければなりません。そして、IBM の Linux on POWER Service and Productivity Tools Support Forum にアクセスしてみてください (「参考文献」を参照)。このフォーラムが、これらのシステムを使用する他のユーザーたちと連携できる場所となります。




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まとめ

この記事では、IBM System p での 2 つの代表的 Linux ディストリビューション、RHEL と SLES について検討しました。そして、LoP (Linux on POWER) の歴史と、主要なディストリビューションの歴史について詳しく説明し、各ディストリビューションで論理ボリュームをセットアップする手順についても実際の例を用いて説明しました。手順を実行するなかで、それぞれのディストリビューションの GUI で構成作業を行う方法がわかったはずです。結論として言えることは、RHEL と SLES のどちらを選ぶにしても、間違った選択にはならないということです。



参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

議論するために


著者について

Ken Milberg, PMP は、echtarget.com の技術ライター兼サイト・エキスパートとして、 searchopensource.com で Linux の技術情報およびサポートを提供しています。また、IBM Systems Magazine, Open Edition のライター兼技術エディターでもあります。彼は University of Maryland University College でコンピューター/情報科学の理学士号、そして技術管理の理学修士号を取得しました。Long Island POWER-AIX ユーザー・グループを創立し、同グループの代表者を務めています。長年、大小両方の企業に勤務してきた彼は、CIO からシニア AIX エンジニアまでさまざまな職務を経験してきました。現在は、ロングアイランド州を拠点とする IBM ビジネス・パートナー、Future Tech に勤務しています。PMI 認証のプロジェクト管理専門家 (PMP) であるとともに、IBM Certified Advanced Technical Expert (CATE, IBM System p5 2006) でもあります。




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