DB2 9 を仮想マシン上にセットアップする理由はいくつもあります。例えば、複数のサーバを統合して、会社がすでに購入しているハードウェアをフルに活用しなければならない場合や、本番環境から完全に分離したテスト環境をセットアップする場合、あるいは長年使っているアプリケーションを新しいオペレーティング システムでテストするという場合もあります。
このような場合に遭遇したときに便利なリファレンスとなるのが、この記事です。ここでは、VMware ESX Server を使って Red Hat Linux (64 ビット) の仮想マシンをセットアップする手順をひと通り説明した後、セットアップしたイメージに DB2 Enterprise 9 (64 ビット) をインストールする方法について詳しく説明します。また、新しく作成したイメージを構成する上のヒントと手法を説明するとともに、VMware ESX Server 製品の使用を計画する際に考えられる構成やシナリオをいくつか取り上げます。
この記事に記載する例では、以下のソフトウェアを使用します。
- ホスト
- VMware ESX Server 3.0.1
- 仮想マシン
- Red Hat Enterprise Linux 4
- DB2 Enterprise 9
- クライアント
- VMware Virtual Infrastructure Client 2.0
- DB2 Client 9
VMware Infrastructure のコンポーネント
VMware Infrastructure (VI) スイートは、ストレージ、ネットワーキング、サーバを仮想化できるインフラストラクチャー仮想化ソフトウェアです。VI スイートには ESX Server 製品が提供する主な仮想化機能に加え、可用性を向上させる製品 (VMware High Availability)、リソースのバランスを取るための製品 (VMware DRS)、仮想マシンのマイグレーションに対応する製品 (VMware VMotion)、そして仮想マシンの統合バックアップを目的とした製品 (VMware Consolidated Backup) なども含まれています。
図 1 (ソース:VMWare クイック スタート ガイドに、VMware Infrastructure 3 の基本コンポーネントを示します。この記事でこれから実装するコンポーネントは、ESX Server ホストと Virtual Infrastructure Client です。
図 1. VMware Infrastructure
VirtualCenter サーバ (VirtualCenter Server): リモート Windows® マシンにセットアップします。管理者はこのコンポーネントを使用して、複数の仮想マシンと ESX Server ホストを管理します。管理アクセス権、アクセス制御、パフォーマンス監視などの機能を備えたこのコンポーネントは、すべての ESX Server ホストを一元制御する場所となります。
データベース (database): VirtualCenter サーバ コンポーネントはデータベースにインフラストラクチャー全体の構成データを保管します。VirtualCenter サーバを使用せずに VI Client と ESX Server ホストを 1 対 1 で接続している場合、このコンポーネントは必要ありません。
ESX Server ホスト (ESX Server hosts): 仮想マシンが作成されるホスト マシンです。仮想マシン間での物理ホストのメモリー、CPU、ストレージ、そしてその他のリソースの分散は、管理者が制御できます。VM の作成、OS のインストール、リソースの構成、仮想マシン内でのアプリケーションのセットアップは、このコンポーネントを使用して行います。
Virtual Infrastructure Client: 仮想マシンを管理するために使用できるクライアントです。仮想マシンのコンソールとして単一のスタンドアロン ESX Server ホストに接続することも、VirtualCenter サーバに接続して各 ESX Server ホストで作成された複数の仮想マシンをリモートで管理することもできます。
Web ブラウザ (Web browser): Web ブラウザを使用して、ESX Server ホストや VirtualCenter サーバから VI Client をダウンロードできます。
ライセンス サーバ (license server): このコンポーネントをセットアップする目的は、VMware Infrastructure の保守に必要なライセンスを保管して管理するためです。ライセンス交付の実装方法には、ホストベースとライセンス サーバベースの 2 通りがあります。ホストベースではそれぞれの ESX Server ホストが独自のライセンス ファイルを保管し、ライセンス サーバベースではライセンス サーバが ESX Server ホストのライセンスを保管および管理します。
VMware の Web サイトには、VMware Infrastructure および ESX サーバのインストールおよび構成に役立つ情報が記載されています。特に注意が必要なのはシステムの互換性についてのガイドです。ESX Server のサポートおよび互換性は、特定範囲のハードウェア デバイスに限られています。詳細は、VMWare Virtual Infrastructure documentation を参照してください。
仮想マシンの新規作成およびゲスト OS のインストールとセットアップ
この記事では、VM と仮想マシン (Virtual Machine) という用語を同じ意味として使います。
VMware Virtual Infrastructure Client で ファイル (File) > 新規 (New) > 仮想マシン (Virtual Machine) を選択するか、または Ctrl +N を押してウィザードを開始します。
図 2. 新規の仮想マシンウィザードの開始方法
ウィザードの最初のページには、標準インストールあるいは、カスタム インストールの実行オプションが表示されます。大抵の場合は標準インストールで十分間に合いますが、VM に仮想ハードウェア デバイスを追加したり、構成パラメーターを変更する場合はカスタムの設定を選択してください。
目的の VM セットアップ方法を選択した後は、ウィザードが以下のオプションを順次案内します。この記事では、それぞれのオプションについて詳しく説明していきます。
- データストア (VM を常駐させる場所)
- ゲスト OS (Windows、Linux、Solaris、Novell Netware、またはその他の another OS)
- VM で使用する CPU の数。取得している ESX Server ライセンスの割り当てオプションに応じます。
- VM に割り当てるメモリー容量
- ネットワーク カードの割り当て
- 仮想ディスクのサイズ
VM を常駐させるデータストアを選択するよう求めるプロンプトが表示されます。データストアは、ESX のインストール中に定義されるストレージの場所で、図 3 に示すように VMFS ボリューム、NAS、または iSCSI ボリュームのいずれかを選択できます。
図 3. データストアの選択
次のステップは、VM をインストールするオペレーティング システムを選択することです。Linux での DB2 9 に推奨される検証済み環境についての詳細は、Supported Environments - DB2 9 サイトに記載されています。
ESX Server がサポートするゲスト OS の一覧については、Systems Guideを参照してください。
図 4. ゲスト OS の選択
次に、VM で使用する CPU の数を選択します。この数は、ホストが持っている物理プロセッサーの数と、選択した ESX ライセンスの割り当てオプションに依存します。
図 5. CPU の選択
次に選択するのは、VM に割り当てるメモリー容量です。CPU の選択と同じく、選択するメモリー容量はホストが持っている物理メモリーの容量に依存します。VM のセットアップ ウィザードには、使用可能な最小および最大メモリーについての推奨事項、および最適なパフォーマンスに推奨される容量が示されます。
図 6. メモリーの選択
次に VM で使用するネットワーク カードの数を選択します。
図 7. ネットワーク カードの選択
今度は仮想ハード ディスクのサイズを選択します。選択できるサイズは、選択したデータストアの空き容量によって異なります。
図 8. 仮想ディスクの容量
ウィザードの最終画面に、これまでに選択したオプションの要約が表示されます。仮想マシンを作成して Redhat Enterprise Linux 4 (64 ビット) をインストールする準備はこれですべてです。終了 (Finish) を選択すると、ESX Server が仮想ディスク、そして仮想マシンの構成ファイルを作成します。
図 9. VM セットアップの要約
これで、ゲスト OS をインストールできる状態になりました。ゲスト OS のインストール方法は、物理ハードウェアにインストールする場合と同じです。ただし、OS インストール メディアを使ってインストールする方法はいくつかあります。
選択できるのは、ホストの CD/DVD ドライブにセットされた物理 CD または DVD、ISO イメージ、あるいはクライアント デバイスのいずれかです。図 10に、この 3 つの選択肢が表示された VM 設定パネルを示します。
最初のオプションであるクライアント デバイスでは、デスクトップ PC やラップトップの CD/DVD ドライブを使用してオペレーティング システムをインストールできます。2 番目のオプションでは VM がホストの CD/DVD を使用するため、ホストのドライブにオペレーティング システムのインストール メディアをセットする必要があります。3 番目のオプションでは、インストール メディアの ISO イメージを使用できます。ISO ファイルをアップロードする場所は、ESX Server 上のデータストア (/vmfs/volumes/storage1 など) が一般的です。必要な場合は、参照 (Browse) ボタンを選択して ISO ファイルの場所を指定することもできます。
図 10. CD/DVD の設定
インストール メディアを使う方法を選択してから起動 (Start) ボタンをクリックすると、VM がブートします。
図 11. VM の起動
ここから先のインストール手順は、物理ハードウェアにインストールする場合と同じです。ゲスト OS のインストール画面およびブート画面をそれぞれ図 12と図 13に示します。
図 12. ゲスト OS のインストール画面
図 13. ゲスト OS のインストール完了画面
これで、VM を構成する準備が整いました。
このセクションでは、仮想マシンを作成した後に実行する基本的な構成タスクの例を取り上げます。
仮想マシンの Telnet および FTP サービス有効にする
仮想マシンの Linux コマンド ウィンドウでディレクトリーを /etc/xinetd.dに変更し、krb5-telnet ファイルと gssftp ファイルの両方を編集して DEFAULT および DISABLED キーワードの値を以下のとおりに変更します。
# default: on
disabled = no
上記のようにファイルを編集して保存したら、以下を実行して xinetd を再起動します。
/etc/rc.d/init.d/xinetd restart |
xinetd プロセスが再起動するまで待ってください。再起動したら、ifconfig コマンドで仮想マシンの IP アドレスを取得し、リモート マシンから仮想マシンに telnet 接続します。
VMware Tools はユーティリティーのセットで、これをインストールすると、数ある機能の中でも例えば、仮想マシンとサービス コンソール間で時刻を同期させたり、VM
が使用可能なデバイスを一覧表示して接続できるようになります。また、ゲスト OS とホスト OS 間でデータをコピー アンド ペーストする機能
(ゲスト OS が Windows の場合のみ) や、VM の電源状態が変わると常に自動で実行されるスクリプトを管理するための機能も提供されます。VMware
Tools をインストールするには、Virtual Infrastructure Client の GUI である Inventory ビューで、仮想マシンを右クリックして表示される
Install VMware Toolsオプションを選択してください。
Virtual Machine Properties エディター
この画面では、新しく作成した仮想マシンの特性を変更できます。変更できるのは、VM のハードウェア構成、VM のゲスト OS のサウンド設定、CPU などのリソース設定、メモリーおよびディスク入出力の帯域幅割り当てなどがあります。例えば、この記事で作成した仮想マシンには 1024 MB のメモリーが割り当てられていますが、メモリーを増やすには、スライダー バーを使うか、またはメモリーの値を入力して OK をクリックします。それから仮想マシンの電源をオンにすると、変更内容が有効になります。
図 14. Virtual Machine Properties エディター
ゲスト OS のインストールと構成が完了したら、今度は仮想マシンに DB2 ESE v9.1 をインストールする番です。DB2 を仮想マシンにインストールする手順は、物理
Linux ボックスにインストールする場合とまったく変わりありません。コマンド ラインから db2setup を実行すると、インストーラーが起動します。
図 15. DB2 のセットアップ
DB2 のインストールが完了してインスタンスが正常に作成されたら、インスタンスの所有者 (この例では、db2inst1) としてログインし、db2profile スクリプトを呼び出して環境変数を設定します。サンプル・データベースは、db2sampl スクリプトを使って作成できます。
DB2 の Control Center を開くには、ルート ユーザーとして xhost + を実行して X Server へのアクセスを追加するのを忘れてはなりません。次にインスタンス所有者として再度ログインして、図 16 に示すように
DB2 コントロールセンターを起動します。
図 16. DB2 コントロールセンター (Control Center)
仮想マシンに DB2 をインストールしてサンプル・データベースを作成したら、このデータベースをリモート DB2 クライアントにカタログします。それにはリモート・クライアント・マシンで
DB2 構成アシスタント (Configuration Assistant) を起動し、Add Database using Wizard オプションの Search the network オプションを使用してください。これによって仮想マシンに作成されたインスタンスとデータベースが検出され、リモート接続としてカタログされます。Host
Name フィールドに示された IP アドレスが仮想マシンの IP アドレスとなります。
図 17. リモート接続
VMware は、実際のホスト環境を危険にさらすことなく構成パラメーターの変更をテストできる、元々独立した環境を提供してくれます。さらに、他にもいろいろと用意されている VMware 製品を使って VMware 環境のユーザビリティーと保守性を向上させることもできます。
例えば、Virtual Center は仮想化された環境を単一のインターフェースで設定、監視、管理するための環境です。この環境では、以下のことが可能になります。
- タスクをスケジューリングしてルーチン管理タスクを自動化する
- 物理サーバと、VMware 製品を実行している仮想マシンのパフォーマンスおよび使用状況を監視する
- 新しい仮想マシンのデプロイメントを簡易化する
VMware Lab マネージャーでは、テンプレートを使用して複数マシン構成を作成します。つまり、1 つの構成に複数のマシンをセットアップして、制御されたシーケンスでブートするようにできます。さらに、仮想マシンを 1 つの単位として操作して、シャットダウン、サスペンド、パワーオン、パワーオフ、リセット、デプロイメント、アンデプロイメント、複製、そしてプロパティーの変更を行うこともできます。
その他の各種 VMware 製品についての詳細は、http://www.vmware.com/ja/products/ に記載されています。
DB2 をインストールした後、データベースやインスタンスを調整してパフォーマンスを最適化しなければならない場合があります。データベースの調整に取り掛かる際は、まず「参考文献」セクションで紹介している記事を読むと役に立つはずです。
VMware ESX Server は、サーバの統合およびデータセンターのコストに対する着実かつスケーラブルなソリューションとなります。このソリューションは、皆さんの環境内で増え続けるサーバを効率的に管理する方法を提供してくれます。また、物理サーバに比べてはるかに少ないコストで、アプリケーションとデータベースを多数のプラットフォームで開発する環境を、DB2 のユーザーと開発者に提供してくれます。
学ぶために
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VMware Web サイト: VMware の正式 Web サイトです。
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VMware Virtual Infrastructure DocumentationVMware についての詳細を参照してください。
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「Scaling IBM DB2 9 in a VMware Infrastructure 3 Environment」: この記事では、VMware での DB2 の使用方法を詳しく説明しています。
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「DB2 tuning tips for OLTP applications」: OLTP 環境に合わせて DB2 を調整してください。
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「Top 10 performance tips」: DB2 のパフォーマンスを調整する上での基本的なヒントがリストされています。
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「DB2 V9 performance guide」: パフォーマンスの調整方法についての詳細は、この製品資料を参照してください。
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Linux、UNIX、および Windows 対応 DB2 に関する developerWorks の資料ページにアクセスしてください。ここには DB2 の手腕を磨くための記事とチュートリアル、そして他の資料へのリンクも記載されています。
- コミュニティー向け DB2 Express Edition の無料バージョン、DB2 Express-Cについて調べてみてください。
製品や技術を入手するために
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DB2 Enterprise 9 の無料の試用版をダウンロードしてください。
- DB2 を無料で使用するには、コミュニティー向け DB2 Express Edition の無料バージョン、DB2 Express-Cをダウンロードしてください。DB2 Express Edtion と同じコア・データ機能を備えた DB2 Express-C は、アプリケーションをビルドしてデプロイメントするための安定した基盤になります。
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