万人のためのモバイル: Android の手ほどき

Android によるモバイルの世界を見渡して、初めての Android アプリを作成する!

モバイルの世界は明るい見通しに溢れているなか、この世界への道を模索している開発者にとって、Android は有望でエキサイティングなプラットフォームとなります。今回から始まるこの新しい連載では、まず、モバイルに手をつけ始めたばかりの Java 開発者を対象にわかりやすく Android を紹介します。Android の 3 種類のバージョニング・システムについて学び (それが重要なことを理解した上で)、独自の開発環境を構築して初めての Android アプリを構築してください。

Andrew Glover, CTO, App47

Andrew GloverAndrew Glover は開発者であり、モバイル・テクノロジーにはまっています。現在 App47 の CTO を務める彼は、easyb BDD (Behavior-Driven Development) フレームワークの作成者でもあり、『継続的インテグレーション入門 開発プロセスを自動化する 47 の作法』、『Groovyイン・アクション』、『Java Testing Patterns』の 3 冊の本の共著者でもあります。彼の最新情報を追うには、ブログを読むか、Twitter でフォローしてください。



2013年 6月 06日

この連載について

モバイル・アプリの配布が急増するなか、モバイル開発のスキルを要する市場が急成長しています。この新しい連載では、プログラミングの経験は積んでいても、モバイルの世界でのプログラミングには馴染みのない開発者を対象に、モバイルの世界でのプログラミングをわかりやすく紹介します。まず Java コードでネイティブ・アプリを作成することから始め、JVM 言語、スクリプティング・フレームワーク、HTML5/CSS/JavaScript、サード・パーティー・ツールなどを使いこなせるようにモバイル開発のスキルを磨いていきます。ステップ・バイ・ステップで、ほとんどどのようなモバイル開発シナリオにも対応できるだけのスキルをマスターしてください。

最近のモバイル・テクノロジーの急激な普及は、業界関係者でさえも驚かせています。Apple の CEO、Tim Cook 氏が 2012年 9月のインタビューで、iPad での Apple の成功を語るなか、その感想をまとめているように、わずか 2 年で 6700 万台という販売台数を達成したのは、いかなる状況でも驚くべきことです。Cook 氏はこの数をこれまでの Apple の歴史に照らし、「これだけの台数を販売するのに Mac では 24 年、iPod では 5 年、iPhone では 3 年以上かかりました」と述べています (「参考文献」を参照)。

iOS がよく売れているとしたら、Java 中心のプラットフォームである Android も遅れを取っていません。Google の最近の発表では、2008年に Android が公式にリリースされて以来、アクティブにされた Android 端末の数は 5 億に達したということです。つまり、毎日 130 万台もの新しい Android 端末がアクティブにされていることになります。さらに、Apple の iTunes App Store と Google Play を合わせると、これらのサイトには少なくとも 1,400,000 のアプリが提供されており、モバイル・アプリのダウンロード数は 60,000,000,000 を超えているとも報告されています (「参考文献」を参照)。

これだけの数のモバイル端末がアクティブにされているということは、アプリの新しい販売機会、そしてモバイル開発スキルを必要とする成長市場があるということです。短期間でモバイルのスキルを身に付けたいと思っている開発者にとって、Android はうってつけの出発点となります。Java やその他の JVM 言語を使えるとしたら、最初にモバイル・デプロイメントの要件にフォーカスして学習することで、そこからスキルを構築していくことができます。Android はさまざまな用途に対応できるため、HTML5 や PhoneGap などの最近の新しいテクノロジーを容易に導入して試すことができます。また、Android プラットフォームは広く普及していることから (Google Play も手伝って) 自分で作成した本番アプリを広範囲にわたって配布することができます。

この新しい連載「万人のためのモバイル」の第 1 回では、Android についてわかりやすく手ほどきします。最初に Android のやや複雑なバージョニング・システムの概要を説明し、続いて開発環境を構築して、最初のアプリの作成に取り掛かります。

モバイルに移行する 3 つの方法

大きく分けて、モバイル・エコシステムの主要な開発プラットフォームには、ネイティブ、Web、ハイブリッドの 3 つがあります。

  • ネイティブ・プラットフォームでは、他のプラットフォームと比べ、ルック・アンド・フィールとパフォーマンスに優れたアプリが実現されます。その一方、ネイティブ・アプリを作成する場合、プラットフォームごとにそれぞれ異なるコード・ベースを作成しなければならないという欠点があります。
  • Web モバイル・アプリは一般に、HTML5、CSS、および JavaScript で作成します。Web モバイル・アプリを一度作成すれば、そのアプリをさまざまなプラットフォームで実行することができますが、ネイティブ・アプリのように優れたルック・アンド・フィールとパフォーマンスを実現するのは困難です。
  • ハイブリッド・ツールとハイブリッド・フレームワークは、ネイティブ・アプリの優れた部分に、Web モバイル・アプリが持つコーディングの容易さと、いつでもどこからでも利用できる性質を組み合わせることで、両者の特徴を兼ね備えています。開発者の間では、どのプラットフォームがより優れているかについて盛んに議論されていますが (「The great mobile app debate (大いなるモバイル・アプリ論争)」とも呼ばれています)、それぞれに長所があるというのが本当のところです。

この連載では 3 つすべてのタイプのプラットフォームを取り上げます。

Android の面白いところ

Android 端末は他のどのモバイル・プラットフォームよりも急速に普及していることから、Java 開発者にとってはなおのこと、初めてモバイル開発をするには最適な選択肢です。その一方で欠点として、Android が広範に普及するのに伴い多様化が進んだことから、アプリのテストが極めて困難であることが挙げられます。ほとんどの開発者にとって、Android 端末と Android OS のバージョンのプロファイルのすべての組み合わせでアプリをテストするのはほぼ不可能であるのが現実です (実際、このような徹底的なテストをコスト効率の高い方法で行うサービスが産業として成長しつつあります)。複数の Android プロファイルへ移植する上での技術的問題、そして Android モバイル・アプリをテストするための Java ベースのツールについては、今後の記事で検討するとして、今回の記事では Android プラットフォームを対象とした開発について理解できるように、Android のバージョニングの仕組みを概説します。

Android のバージョニング

Android OS リリースのバージョン番号は、1.6、2.1、4.2 といった具合にシーケンシャルに付けられています。さらに各リリースには、おいしいお菓子にちなんで Donut (ドーナッツ)、Eclair (エクレア)、Jelly Bean (ゼリー・ビーンズ) などの名前も付けられています。Android のコンテキストで Jelly Bean と言えば、それは Android バージョン 4.2 を意味します。Android のバージョンは、整数がシーケンシャルに付けられた API レベルでも表されます。例えば、Android API レベル 17 は、Jelly Bean としても知られる Android バージョン 4.2 を指しています。

このことをよく理解していない人は少なくありませんが、この 3 種類のバージョニング方式は、どれも使われることがあるため、理解しておくことが重要です。

Android の異なるバージョンをサポートすることに関しては、ほとんどの Java 開発者が基本的な考え方をまったく逆の考え方に転換する必要があります。主にサーバー・サイド技術として有名になった Java プラットフォームでは、ユーザーとの接点となるのは Web ページであるのが通常です。Web ページの閲覧者は、Web ページを表示できれば、開発者が作成したアプリケーションが Java のどのバージョンで実行されているかは気にも留めません。けれども Android の場合、アプリのコードは安全なサーバーから離れて、開発者の制御が利かない端末上で実行されます。

作成したアプリを使用する可能性のある多くのユーザーは、端末が機能しなくならない限り、Android OS を新しいバージョンにアップグレードすることはしません。どの Android OS に対応するアプリを作成するかは、極めて重要な決定事項です。Android の最新バージョンは 4.2 ですが、Android 端末の約半数がサポートしているのは未だに Android 2.3.x です。Android 3.1 をターゲットに作成されたアプリは、4.2 などの新しいバージョンで動作しますが、2.3 などの前のバージョンでは動作しません。したがって、アプリをより広く配布したいとしたら、古いバージョンの Android OS をターゲットにしたほうがより賢い選択であるのは明白です。

より広く普及している古いプラットフォームをターゲットにする場合の欠点は、新しいバージョンには必ず新しい機能があり、なかにはアプリに必要なものもあることです。運が良ければ、Android 開発チームが互換ライブラリーをリリースして、新しい機能を古いバージョンでも使用できるようになるかもしれません。


Android と Eclipse ADT を立ち上げて稼働させる

Android をわかりやすく手ほどきするこの記事の前半では、単純な Android アプリをできるだけ短時間で作成する方法を紹介します。ここでは Android 4.2 と Eclipse ADT (Android Development Tools) プラグインを使用して、みんなのお気に入り、つまり Java ベースの Hello World! アプリを作成します。

Android 対応の IDE

Java 開発者の皆さんが Android 用のモバイル・アプリを開発する際には、Java ツールおよび Java フレームワークとしておそらく使い慣れているものを使用します。例えば、Java 開発で最もよく使われている 2 つの IDE、Eclipse と IntelliJ は、どちらも Android をサポートしています。Android は Eclipse と緊密に結合し、プラグインによって Android アプリのビルド/テスト/デプロイがほとんど手間要らずのサイクルになります。この記事の例は Eclipse で作成されていますが、IntelliJ を使ったとしても同じく有効です。

Android 向けの開発環境を構築するには、2 つの方法から選択することができます。Eclipse と Android をどちらも使用したことのない開発者は、ADT (Android Developer Tools) Bundle をダウンロードするところから始めることができます。ADT Bundle は、Android SDK と、ADT プラグインがインストール済みの Eclipse バージョンを組み合わせたものです。このバンドルは、手っ取り早く簡単に Android 向けの開発を始める手段になります。

デスクトップ PC に Eclipse がインストールされてセットアップされた状態になっている場合は、Android SDK を手動でダウンロードしてインストールしてください。ベースの Android SDK には、Android での開発を容易にするシステム・レベルのツールが含まれています。ただし、Android の特定のバージョンを対象とした開発に必要な実際の Android ライブラリーは含まれていません。そこで、お使いのオペレーティング・システム用のベースとなる Android SDK をダウンロードした後、SDK インストール済み環境の tools ディレクトリーから、リスト 1 に記載する Android スクリプトを実行してください。

リスト 1. Android SDK Manager を起動する
~/Development/tools/android/android-sdk-mac_x86/tools$>./android

上記のスクリプトによって起動される Android SDK Manager で、Android の各種バージョンとライブラリーをダウンロードしたり、エミュレーターや仮想端末のインスタンスを作成したりすることができます。Android SDK Manager のウィンドウには、ダウンロード可能な多数のパッケージのリストが表示されます (図 1 を参照)。

図 1. SDK Manager
SDK Manager のスクリーン・ショット

左側のチェック・ボックスで「Tools (ツール)」を選択した後、「Android 4.2 (API 17)」を選択します。このフォルダーに表示される数々のオプションのなかから、「SDK Platform (SDK プラットフォーム)」と「ARM EABI v7a System Image (ARM EABI v7a System イメージ)」を選択してください (図 2 を参照)。

図 2. SDK Manager での選択項目
SDK Manager に表示されたシステムおよびツールの選択肢のスクリーン・ショット

Install packages (パッケージのインストール)」をクリックし、必要なライセンスを受け入れます。後はこのマネージャーがすべて処理してくれます。

エミュレーターを作成する

続いて、エミュレーター・インスタンスを作成します。エミュレーターは、アプリを実行できる仮想端末です。エミュレーターのターゲットは、Android の特定のバージョンでなければならないため、Android 4.2 を実行するエミュレーター・インスタンスを作成します。

SDK Manager を前の手順で閉じた場合は、もう一度起動してください。Android SDK ツールまたはプラットフォーム・ツールを更新した場合には、SDK Manager を再起動する必要があります。SDK Manager のメイン・メニューで、「Tools (ツール)」 > 「Manage AVDs (AVD の管理)」の順に選択して、Android Virtual Device Manager の新規ダイアログを開きます (図 3 を参照)。

図 3. Android Virtual Device Manager
「Tools (ツール)」メニューから選択された Android Virtual Device Manager のスクリーン・キャプチャー

このダイアログには、お使いのマシン上で定義されているすべてのエミュレーターが一覧表示されます。このエミュレーター・リストには、エミュレーターを作成するまでは何も表示されません。「New (新規)」をクリックして、エミュレーターを定義できる「Create a new Android Virtual Device (AVD) (新規 Android 仮想端末 (AVD) の作成)」ダイアログを開きます。「Target (ターゲット)」ドロップダウン・リストで、「Android version 4.2 (Android バージョン 4.2)」を選択します。「AVD Name (AVD 名)」フィールドには、エミュレーターの名前を入力します (私は「Android_4.2」という名前にしました)。アプリをテストする準備が整ったら、この名前を使用してコマンドラインからエミュレーターを起動します。

図 4. 新規 Android 仮想端末を作成する
SDK Manager で新規 Android 仮想端末を作成するための設定画面のスクリーン・キャプチャー

図 4 には、端末のタイプ、カメラの設定、メモリー、ストレージなどの AVD のオプションがいくつか示されています。私の設定では、端末としては Galaxy Nexus を選択し、200 MB の SD カードを割り当てました。また、エミュレーター・インスタンスのパフォーマンスを向上させるために、エミュレーター・オプションの「Use Host GPU (ホスト GPU を使用)」にチェック・マークを付けています。

OK」をクリックし、新規に作成した仮想端末が AVD ダイアログのリストに記載されていることを確認します。その仮想端末を選択して「Start (開始)」をクリックすると、起動オプションを表示する別のダイアログが開きます。ここでは、デフォルトの設定のまま「Launch (起動)」をクリックします。エミュレーター・インスタンスが起動するまでは少し時間がかかるので、コーヒーを飲んだり、Facebook をチェックしたり、Twitter で近況をアップデートしたりしていてください。

図 5. 新規 Android 端末!
Galaxy Nexus をレンダリングする AVD のスクリーン・キャプチャー

しばらくすると、シミュレートされたピカピカの (図 5 のような) 端末がホーム画面に表示されます。この状態になったら、準備完了です!これで、Android 4.2 アプリの作成を開始することができます。

Eclipse ADT をセットアップする

システムに Eclipse がインストール済みになっている場合は、作業を続ける前に、ADT (Android Development Tools) プラグイン・リポジトリーを追加する必要があります。

Eclipse メニューで、「Help (ヘルプ)」 > 「Find New Software (新規ソフトウェアの検索)」の順に開きます。「Add (追加)」をクリックし、ADT プラグインの URL として「https://dl-ssl.google.com/android/eclipse/」と入力します (図 6 を参照)。

図 6. ADT プラグイン・リポジトリーを追加する
Eclipse の ADT プラグイン・リポジトリーを追加する際のオプションを示すスクリーン・キャプチャー

プラグインがダウンロードされた後は、指示に従ってインストールします。インストール済みの SDK を使用するように ADT プラグインを構成してください。これで、プロジェクトは Android 4.2 プラットフォームをターゲットとし、構成済みエミュレーターを使用するようになります。


Android 4.2 での Hello World! アプリ

Eclipse で Android アプリを作成するには、Android アプリケーション・プロジェクトを作成するためのオプションを選択します。これにより、「New Android Application (新規 Android アプリケーション)」ダイアログが開くので、アプリケーション名、プロジェクト名、パッケージ名を指定します。アプリケーション名とは、ユーザーに対して端末アイコンの下に表示される名前です。一方、プロジェクト名とは、Eclipse 内でのプロジェクトの名前です。

図 7. 新規 Android プロジェクトを作成する
新規 Android プロジェクトを作成する画面のスクリーン・ショット

図 7 の「New Android Application (新規 Android アプリケーション)」ダイアログでは、以下のステップに従ってください。

  1. Target SDK (ターゲット SDK)」ドロップダウン・リストから「API 17: Android 4.2 (Jelly Bean)」を選択して、「Next (次へ)」をクリックします。
  2. 次のダイアログは、デフォルト設定のままにします。ただし、生成されるコードは任意の場所に配置することができます。「Next (次へ)」をクリックします。
  3. 「Configure Launcher Icon (ランチャー・アイコンの構成)」ダイアログでもデフォルト設定を変えずに、「Next (次へ)」をクリックします。
  4. 「Create Activity (アクティビティーの作成)」ダイアログと、アプリケーションのアクティビティーを選択するために使用する最後のダイアログでも、同じくデフォルト設定を受け入れます。「Finish (終了)」をクリックします。

プロジェクトが正常に作成されると、図 8 のような単純なユーザー・インターフェースと併せて新規プロジェクトが表示されます。

図 8. Eclipse に表示された立ち上げ後のサンプル・プロジェクト
Eclipse に表示されたデフォルト・アプリケーションのスクリーン・キャプチャー

アプリを Android エミュレーターで実行する

Android プロジェクトを ADT プロジェクト・ウィザードで作成すると、デフォルトで単純な Hello World! モバイル・アプリが作成されます (図 8 を参照)。このモバイル・アプリに手を加え始める前に、まずはこの基本アプリをエミュレーターで実行した場合の動作を確認してみましょう。

Android 4.2 エミュレーターを閉じた場合は、もう一度開いてください。今回は、AVD Manager でエミュレーターを起動するのではなく、コマンドラインから起動します。emulator スクリプトには、SDK の tools ディレクトリーからアクセスすることができます。スクリプトを実行するときには、エミュレーターの名前を指定します。私のエミュレーターの名前は Android_4.2 なので、このエミュレーター・インスタンスを起動するには、リスト 2 のようにスクリプトを実行します。

リスト 2. コマンドラインからエミュレーターにアクセスする
~/Development/tools/android/android-sdk-mac_x86/tools$>./emulator -avd Android_4.2

エミュレーター・インスタンスを起動したら、Eclipse に戻ってプロジェクトを選択します。プロジェクトを右クリックして、「Run As (実行)」 > 「Android Application (Android アプリケーション)」の順に選択します。

図 9. Eclipse 内からプロジェクトを実行する
Eclipse で実行されているアプリのスクリーン・キャプチャー

Eclipse はデフォルトで、現在実行中のエミュレーターにアプリをデプロイします (図 9 を参照)。アプリがデプロイされると、エミュレーター・インスタンスは大きな白い画面に、Java 開発者の誰もがお気に入りの挨拶を表示します。Eclipse がエミュレーターでアプリを実行するときに何らかの理由で問題が発生した場合には、「Run As (実行)」オプションに戻って、「Run Configurations (実行の構成)」を選択してください。「Target (ターゲット)」タブで、「Automatically select compatible device (対応する端末を自動的に選択)」にチェック・マークが付いていること、そして該当するエミュレーターが選択されていることを確認します。

図 10. Hello World! アプリ
Hello World! アプリのスクリーン・キャプチャー

基本的な Android アプリ

以上の手順で、Android 4.2 対応のあらゆる Android 端末で動作する基本的な Hello World! アプリが完成しました。最終的には、このアプリをカスタマイズして、もっと興味深い機能を追加することになるはずですが、この時点で、Android アプリの内部構造を説明しておきます。

Android 専用の JVM

Android アプリは Java コードで作成されますが、標準の JVM では動作しません。Android ビルドの際に、Java バイト・コードがモバイル端末のメモリー要件と処理要件に合わせて変換されるためです。Android アプリのアーキテクチャーや Dalvik 仮想マシンについての詳細を学ぶには、「参考文献」を参照してください。

Eclipse IDE に戻り、プロジェクトの「src」ディレクトリーで、このプロジェクトに含まれる唯一の .java ファイルにナビゲートしてください。すべてのデフォルト設定をそのまま適用した場合、このファイルは「MainActivity」という名前になっています。Java サーバー・サイドのアプリにとってのサーブレットと同じように、Activity クラスは Android モバイル・アプリの中心となるクラスです。あらゆる Activity にはライフサイクルがあり、Java アプレットのライフサイクルと似ています (かつての Java アプレットを覚えているでしょうか)。

Hello World! アプリは基本的なものなので、使用されている Activity も単純です。まず、このクラスは Android の Activity クラスを継承します。アクティビティーのエントリー・ポイントとして使用される onCreate メソッドは、アプリがロードされるときにプラットフォームによって起動されます。このメソッドで重要な行は、setContentView の呼び出しです。リスト 3 に、デフォルトの MainActivity クラスを記載します。

リスト 3. MainActivity
package com.example.hello;

import android.os.Bundle;
import android.app.Activity;
import android.view.Menu;

public class MainActivity extends Activity {

 @Override
 protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) {
  super.onCreate(savedInstanceState);
  setContentView(R.layout.activity_main);
 }

 @Override
 public boolean onCreateOptionsMenu(Menu menu) {
  getMenuInflater().inflate(R.menu.activity_main, menu);
  return true;
 }
}

リスト 3setContentView がロードする activity_main レイアウトは、プロジェクトを最初に開いたときに Eclipse に表示されたビューの名前です。この名前は、res/layout ディレクトリーに保管される activity_main.xml ファイルの名前と対応します。このファイルを開いて、アプリのグラフィカル・ビューを確認してください。ビューの左下にあるタブには、XML ファイルをそのまま表示するためのオプションがあります。そのオプションをクリックすると、リスト 4 のようなそのままの XML ファイルが表示されます。

リスト 4. レイアウト定義の XML ファイル
<RelativeLayout xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android"
    xmlns:tools="http://schemas.android.com/tools"
    android:layout_width="match_parent"
    android:layout_height="match_parent"
    tools:context=".MainActivity" >

  <TextView
    android:layout_width="wrap_content"
    android:layout_height="wrap_content"
    android:layout_centerHorizontal="true"
    android:layout_centerVertical="true"
    android:text="@string/hello_world" />
</RelativeLayout>

Android のビューは XML ファイルで定義されます。各ビューにはレイアウトがあり、そこにボタンやテキスト・フィールドなどのウィジェットを追加することができます。現時点で、サンプル・アプリの RelativeLayout には、TextView というウィジェットしかありません。そのウィジェットをよく見てみると、参照先が @string/hello_world に設定されたテキスト・フィールドがあることがわかります。

上記の変数は実際のストリング値へのポインターです。実際のストリング値は res/values/strings.xml ファイル内にあるので、このファイルを開いてください。XML をそのまま表示するには、左下の領域にある strings.xml タブをクリックします。

リスト 5. strings.xml ファイル
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<resources>
 <string name="app_name">Hello 4.2</string>
 <string name="hello_world">Hello world!</string>
 <string name="menu_settings">Settings</string>
</resources>

リスト 5 に記載されている 2 番目のストリング定義が、hello_world を「Hello World!」にマッピングします。

Android のマニフェスト

これまでのところで、Android アプリの重要な要素であるアクティビティー、レイアウト、リソース・ファイルの 3 つがどのように関連しているかを説明しました。アプリの起動時に、Android OS は MainActivityonCreate メソッドを呼び出します。すると、onCreate メソッドがレイアウトをロードし、そのレイアウトが別の XML リソース・ファイルからいくつかの値を取得します。この例の場合、その結果として表示されるのは「Hello World!」という単純な UI です。

しかし、端末はどのようにして呼び出す対象の Activity を識別するのでしょうか?そこで登場するのが、AndroidManifest.xml です。このファイルをプロジェクトのルート・ディレクトリーで見つけてください。ファイルをクリックすると、Eclipse が粋なカスタム・ビューをロードします。このビューの左下隅にいくつかあるタブのうち、「AndroidManifest.xml」というラベルの付いたタブをクリックすると、リスト 6 に記載する XML がそのまま表示されます。

リスト 6. AndroidManifest.xml
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
 <manifest xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android"
   package="com.example.hello"
   android:versionCode="1"
   android:versionName="1.0" >

  <uses-sdk
   android:minSdkVersion="8"
   android:targetSdkVersion="17" />

  <application
   android:allowBackup="true"
   android:icon="@drawable/ic_launcher"
   android:label="@string/app_name"
   android:theme="@style/AppTheme" >
   <activity
    android:name="com.example.hello.MainActivity"
    android:label="@string/app_name" >
    <intent-filter>
     <action android:name="android.intent.action.MAIN" />
     <category android:name="android.intent.category.LAUNCHER" />
    </intent-filter> 
   </activity>
  </application>
</manifest>

このファイルの目的は、端末に対してアプリについての説明をすることです。ファイルに含まれる「application」という XML ブロックが、activity を定義します。このブロックの中で、MainActivity が参照され、actioncategory と併せて定義されます。action は、端末にどの Activity を開始するかを指示します。この例での action は、ActivityMAIN として表しています。

AndroidManifest.xml ファイル内でそれ以外に重要な宣言の 1 つとして、uses-sdk の部分があります。ここでは、min バージョンが 8 であること (つまり、Android 2.2.x 以上であること)、そしてターゲットが Android 4.2 としても知られる 17 であることを指定しています。これらの詳細については後の記事で取り上げることとして、とりあえずは、Android プラットフォームは古いバージョンとの互換ライブラリーを提供するとだけ言っておきます。


まとめ

皆さんが初めて作成した Android アプリは好調な滑り出しを見せています。このアプリを作成する過程で、Android に関する重要な知識、つまりモバイル開発全般において重要な知識を学びました。今回の手順では、Android の SDK をインストールし、Android バージョン 4.2 をダウンロードして、端末上でのアプリの実行をシミュレートする AVD (エミュレーター) を作成しました。Eclipse を使用しているとしたら、皆さんの IDE は現在、Android アプリをビルドして任意の AVD にデプロイできるように構成されているはずです。このすべてのセットアップは、Android での作業には常に必要になります。

単純な Android アプリがどのような構成をしているかも学びました。Android アプリでは、Activity クラスが処理のほとんどを実行し、そのことを AndroidManifest.xml が端末に対して定義します。その結果として表示された単純な Hello World! アプリは、カスタマイズを待つばかりです。

次回の記事では、Android をさらに詳しく掘り下げます。それまでは、今回セットアップしたアプリをいろいろと試してみてください。例えば、ウィジェットを追加したり、XML ファイルでさまざまな値を変更してみたりするのも一考です。さらに意欲的なことをしてみたいと思ったら、新しい Hello World! アプリを、今度はデフォルト設定を使わずに作成してみてください。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

  • Android のダウンロード: Android SDK は、Android 向けアプリの作成、テスト、デバッグに必要な API ライブラリーと開発ツールを提供します。
  • ADT (Android Developer Tools) Bundle: ADT プラグインがインストール済みの Eclipse と、Android SDK をダウンロードして、Android の開発を手っ取り早く簡単に始めてください。
  • IBM developer kits のダウンロード: システムを更新して、最新のツールとテクノロジーを入手してください。

議論するために

  • developerWorks コミュニティー: ここでは他の developerWorks ユーザーとのつながりを持てる他、開発者によるブログ、フォーラム、グループ、Wiki を調べることができます。

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Zone=Java technology, Mobile development, Open source
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ArticleTitle=万人のためのモバイル: Android の手ほどき
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