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MetroSphereの構築: 第2回 プロジェクト計画の作成

あらゆる事が可能であり、まだ何も失敗していない段階

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レベル: 初級

Nicholas Chase (nicholas@nicholaschase.com), President, Chase and Chase, Inc.

2003年 3月 01日

MetroSphere.comの構築の経緯をたどるこのシリーズの第2回では、チーム・リーダーであるNicholas Chase氏が、計画プロセスにおける優先順位の決定方法と、そのプロジェクト計画を具体化する方法について説明します。ただし、計画が予定通りに進むかどうかは別の話です。チームでの経験からいえば、Web開発における第1のルールとして、プロジェクト開始当初に考えていたサイトと実際のサイトが一致することはほとんどありません。

MetroSphere.com

MetroSphere.comは、WebSphere Portalで構築されたオンラインのテクニカル・コミュニティーであり、情報のマーケットプレイスです。完成したMetroSphere.comでは、コンサルタント、プログラマー、およびテクニカル・ライターが、情報、ヒント、テクニックを集めて共有したり、それぞれの好みに合せてカスタマイズしたポータル・コンテンツを表示することができます。MetroSphere.comは、個人および企業が技術情報やサービスを販売したり交換する場所というだけでなく、新規および既存のプロジェクトにおける、より生産性の高いコラボレーションおよびワークフローを可能にします。Studio Bの記事、チュートリアル、およびヒントで構成されるこのシリーズでは、MetroSphereポータルの構築を読者の皆さんと一緒に体験していきます。

開発計画を立てることは、プロジェクトの最も好きな部分です。そこにはあらゆる可能性が存在しますし、まだ何も失敗していません。このプロジェクトを引き受けると決めてから、それを行う認可を受けるまでに何週間かありました。Webの世界では数週間もあれば多くの事ができます。私たちはこの時間を利用して、このプロジェクトで何を実現したいのか、それらを実現できる可能性はどれほどあるのか検討しました。私たちのグループは、技術者と技術者以外の多様な人々で構成されています。主要グループには、経営陣、開発者と管理者、グラフィック・アーティストが含まれています。全員で自由にアイデアを出し合い、それらを対処可能な形にまとめていきました。こうしてMetroSphere.comの中核が最終的に出来上がりました。




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話し合う

MetroSphere.comプロジェクトを計画する上での最初のステップは、担当者を集め、どのようなサイトにするかを話し合うことでした。技術情報を扱うマーケットプレイスとして、また人々が電子的な形式のコンテンツを販売目的で提供できる場所としてサイトを機能させたいということはわかっていましたが、ほかに何が必要でしょうか。

まずは、ユーザーがWebサイトを訪問する理由を探し出す必要がありました。理論的に言えばユーザーはそのコンテンツを求めてサイトを訪問するのですが、現実的にはさらに別の理由が必要だと感じていました。サイトでは、そのコンテンツ以外にも、情報を系統的に提供する必要があります。電子文書を販売することだけが目的であれば、Web上の大型書店の取引先を設定するだけで済みます。そこで、このサイトの本当の中核は何であるかを明確にする必要がありました。

計画プロセスを開始するにあたり、会議を開いてブレーンストーミングを行うことにしました。あらゆる可能性について検討し、議論が現実からかけ離れてしまったときには後から軌道修正を行いました。この会議で顧客役を務めていたボスのDavidは、情報ポータルを構築するというアプローチ方法に賛成しました。彼は関心のあるコンテンツだけでなく、彼と同様の関心を持つ人々も探し出したいと考えていました。そのような人々と個人的に会うこと (これも彼が希望したことでした) はできませんが、少なくとも、彼らの持つあらゆる知識を利用したいと思っていました。また、関心のある日々のニュースを1か所でまとめて取得したいとも考えていました。

顧客役のDavidが求めたものは、MetroSphere.comを訪問して、彼の技術専門分野に関連する最新の情報を把握することでした。

これはもっともな要求です。そこで、選択したトピックに関連した最新情報を提供する仮想クリッピング・サービスの作成方法や、価値のある貴重な知識が埋もれてしまわないよう情報を収集する方法について話し合いました。またブロッギング (別名ウェブログ) についても話し合いました。そして最終的にどのようなサイトを構築するのか、その核心にたどり着きました。




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MetroSphere.com: 人、ブロッグ、そしてニュースが集まる場所

"人、ブロッグ、そしてニュースが集まる場所" という表現はただのスローガンにすぎませんが、MetroSphere.comの概念をより具体的に伝えています。私たち自身も、このスローガンによってプロジェクトの目的を明確に理解し、それが頭の中で考えていることと一致しているのかどうかを考察して、ユーザーの目的に合わせた計画プロセスを開始することができました。

このようなサイトの構築を計画する際には、以下の基本的な項目について自問自答する必要があります。

  • 対象者は誰か
  • なぜ彼らはこのサイトを訪問するのか
  • なぜ彼らにサイトを訪問してほしいのか

「すべての人」、「サイトを宣伝したから」、「収益を上げたいから」という単純な回答は、もちろん全く以って不十分なものといえます。そのために、1990年代後半、多数のドットコム企業が事業に失敗しています。事前に時間をかけてこれらの質問に真剣に答えることで、正しい方向へ進むことができますし、後で発生するさまざまな問題やそれらに対処する無駄な時間を減らすことができます。私たちの場合、答えはとても簡単でした。

対象者は誰か

MetroSphere.comが対象とするのは、テクニカル・コンテンツやサービスの生産者と消費者です。主にプログラマー、エンジニア、デザイナー、および技術分野で仕事をする他の人々が対象となります。コミュニティーを構築する場合は、その対象を十分に絞り込んでから作業を開始することが重要です。コミュニティーで扱う情報の範囲はいつでも広げることができるので、まずは最も熟知しているコンピューターとその周辺分野から開始することにします。2番目の (同様に重要な) 対象者は、このサイトを利用する可能性のある技術情報の販売者です。技術の販売を目的としたコンテンツの作成者やサービスを提供するコンサルタントなどです。

なぜ彼らはこのサイトを訪問するのか

多くの場合、これはマーケティング分野の質問として解釈されますが、実際には計画プロセスの段階で考慮すべきことです。サイトを訪問したユーザーは、そこで何を体験したいのでしょうか。どのような情報を探しているのでしょうか。また、どのような目的を果たそうとしているのでしょうか。その主な目的は、ユーザーが関心を持っている技術分野に関連した情報を収集することであるとDavidは明言しました。さらに、特定の情報を検索したり、同様の関心を持つユーザーを探し出したり、自分専用の場所 (一種のミニサイト) を作成するなど、いくつかの2次的な目的も考えられました。

なぜ彼らにこのサイトを訪問してほしいのか

ウェブロギングが一般的になると、「おもしろ半分でWebサイトを立ち上げる人はいない」という言い方は適切ではなくなってきました。しかしビジネスの観点から言えば、サイトには人々を惹きつける理由がなければなりません。通常、この理由はサイトの収益モデル (ドットコム・ブームで同様に忘れられた概念) に関係するのですが、多くの場合、ユーザーへのサービスの提供や、サイト独自の目的を実現することにもつながります。いずれの場合も、ユーザーに何かをしてほしいからサイトを訪問してほしいのです。それは何かを購入することであったり、コール・センターに電話する代わりにオンラインで情報を収集することであったり、単に広告主のために人口統計的な情報をユーザーに入力してもらうことであったりします。私たちの場合は、サイトの訪問者が専用のスペースでいわゆる "日刊紙" を作成し、他のユーザーに役立つガイダンスや情報を提供できるようにすることが目的でした。最終的には、そのコンテンツやサービスの売買も実現したいと思っています。




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情報を分類する

すべての情報が集まったところで、最初に構築する部分を明確にするため、これらの情報を分類して優先順位を付けました。それぞれをメジャー・リリースとするタスク・グループまたはフェーズ単位で、段階的に少しずつサイトを構築していくことは最初に決まっていました。そこで、フェーズ1の対象とするタスクを決定するため、私たちはエクストリーム・プログラミング・メソッドを使用してユーザー・ストーリーを作成しました。ユーザー・ストーリーとは、他のプログラミング方法論でユース・ケースと呼ばれるもので、「取引先登録をする」や「コメントを追加する」など、サイトを訪問したユーザーが実行できるタスクを簡単に記述したものです (この場合、ユーザーには管理者も含まれます。つまり管理機能も作成する必要があります)。

IBM WebSphere Portalをプロジェクトのフレームワークに使用することはわかっていたので、私がPortalについて理解していることを前提として、ストーリーごとの実装に必要な時間を概算することができました。これを基にして各ストーリーに相対的な値を付け、最初のメジャー・リリースの対象とするタスクを選択しました(小規模なリリースから処理すべきところですが、まずは顧客の期待に答えるための最終目標を決定する必要がありました)。

フェーズ1では次の4つの項目に焦点をあてます。

ウェブロギング

ここ半年ほどの間に得た多くの知識や情報に埋もれて身動きが取れなくなった時には、これまでに発見した有用なサイトやページ、関心事について論じたページを作成する、つまりウェブログ (「ブロッグ」と呼ばれる日記形式のWebサイト) を作成することができます。多く場合、ブロッグはテキストが主体となって構成されます。ウェブログは、新聞や雑誌のように作成したり、客観的で散在的な内容にしたり、極めて個人的な意見を記述することができます。いずれの場合も、抱え込みすぎた情報の過負荷を解消する手段として、今日のWebでは広く一般的に行われています。ウェブログを作成することで、すべてについて最新の情報を得るのではなく、同様の関心を持つ他のユーザーがどのような情報に目を通しているのか把握することができます。

Portalにはブロッギング用のコンポーネントがないので、ポートレット・アプリケーションとして1から構築する必要があります。最新のリンクに置き換えられるまで、ユーザーは自身のリンクをホームページ上に掲示することができます。

リンクがホームページ上に表示されるほか、ユーザー・エントリーがそのユーザーのブロッグ・ページに表示されます。これはユーザー自身がある程度カスタマイズできます。ユーザーは、そのブロッグがBloggerなどのシステムでホストされているかのように、他のユーザーを自身のブロッグに向けさせることができます。

他のブロッギング・システムとの統合については後で説明します。

エディトリアル・コンテンツ

Webサイトの主な目的は、関連のある興味深い情報をサイトの訪問者に提供することです。ブロッグを作成することでこの目的の一部は達成されますが、まだ2つの問題があります。1つは、運よく数多くのユーザー・エントリーが集まった場合に特に興味のあるものを強調表示したいということ、もう1つは、ブロッグ入力の形式でないコンテンツも提供したいということです。たとえば、エクストリーム・プログラミングの特性やDB2の連合 (federated) データに関する記事が投稿されることがあります。

そこで編集用のセクションを作成し、トピック・エディターがユーザー・エントリーを選択または作成して、目的の情報を他の情報と切り離すことができるようにしました。最終的には、それらの情報を文書としてDominoに格納する予定です。ただし、Dominoは基盤となるWebSphere Portal Enable (Portal Enable) インストールの一部ではないため、現時点ではそれを単なるブロッギング・アプリケーションの一部の機能にしておきます。

パーソナル・ページ

フェーズ1でミニサイトを作成する目的は、入手したい文書など、ユーザーが必要とするあらゆる情報を掲示するための場所を提供することです。そのページやコンテンツについては、かなりの部分をユーザーが制御する必要があります。

私たちが苦労した (依然として苦労している) 問題の1つに、外部文書の管理方法があります。別のサーバーにある文書にリンクするようユーザーに指示することは簡単ですが、最終的には、Portalに組み込まれたアクセス許可システムを使用して、これらの文書にアクセスできるユーザーを制御したいと考えています。ここでも、Dominoは基盤となるPortal Enableインストールの一部ではないという事実にぶつかりますが、Portal Enable自体には、Content Organizerポートレットという基本的な文書管理機能が備わっています。私たちに課せられた最初の任務は、スパイク・ソリューション (spike solution) すなわち、これらの文書を処理する最適な方法を決定するために、ある考え方が可能なものか調査するための簡単なプログラムを作成することです。

パーソナライゼーションと個人の好み

Portalのパーソナライゼーションは、最もエキサイティングな機能の1つです。一部のパーソナライゼーションは自分たちで行います。たとえば、ブロッギング・アプリケーションを使用すると、デフォルトで表示されるトピックを選択することができます。興味のないトピックでユーザーのページを混乱させたくはありません。

ただし、これはパーソナライゼーション機能のほんの一部にすぎません。WebSphere Portalには、LikeMinds Personalizationエンジンが含まれています。これにより、ユーザーが関心を持つ可能性のある項目、特集、文書などを自動的に推奨するようポータルを設定できます。これは特定のルールを使用したり、ユーザーの好みに基づいて行うことができます。言い換えれば、ポータルでは、ユーザーと同様の関心を持つ他のユーザーを見つけ出したり、興味を持つであろう情報をそのユーザーに推奨することができます。

今後の取り組み

これらすべての機能を組み込むことはできませんでした。クリッピング・サービスは次のフェーズまで利用できません。また、ブレーンストーミングで提示されたその他のいくつかの魅力的な機能も同様です。それらのユーザー・ストーリーは大切にしまっておき、フェーズ1が終了したらすぐに取り組む予定です。




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まとめ

MetroSphere.comプロジェクトは、最終的に情報マーケットプレイスへと発展するテクニカル・コミュニティーを作成することによって完成します。フェーズ1の間は、記事、チュートリアル、その他のコンテンツでサイトの作成状況をたどっていきます。そこで説明されるのは、システムの導入、包括的なブロッギング・ポートレット・アプリケーション、エディトリアル・コンテンツ、ユーザー専用のパーソナル・ページ、およびカスタム・プログラミングとパーソナライゼーション・エンジンを使用したパーソナライゼーション機能の構築などです。

少なくとも、今はそのように考えています。





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次回予告

このシリーズの次回の記事では、経験を仕事に生かし、ビジネス・パターンの選択における主要な手順について説明します。



参考文献



著者について

StudioB の創始者であるNicholas Chase氏は、Lucent Technologies、Sun Microsystems、Oracle、およびTampa Bay Buccaneersなどの企業のWebサイト開発に参加してきました。彼は、高校の物理学の教師であり、低レベル放射性廃棄物施設管理者、オンラインSFマガジンの編集者、マルチメディア・エンジニア、そしてOracleのインストラクターでもあります。最近では、フロリダ州クリアウォーターにあるSite Dynamics Interactive Communicationsに技術最高責任者 (CTO) として在籍し、Web開発に関連した4冊の書籍を執筆しました。著書の1つには『XML Primer Plus』(Sams社) があります。彼は読者から意見を歓迎しています。連絡先はfeedback@metrosphere.com です。




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