レベル: 上級 Dave Rosenberg (daverosenberg@gmail.com), Programs Director, LinuxWorld
2005年 04月 26日 IBM のバイス・プレジデントである Irving Wladawsky-Berger 氏は、コンピューティングの未来に対する自分のビジョンを推し進めてきました。彼の予言は、日々現実のものとなってきています。「オープン・ソースとは、世界中のプログラマーとのコラボレーションが生み出す偉大なイノベーションである」と、彼は考えています。つまり、膨大なオポチュニティーと非常に困難な課題を伴う革命なのです。ここでは、サンフランシスコで開催された「2005年 Open Source Business Conference」から、Wladawsky-Berger 氏の基調講演をレポートします。
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OSBC 2005
OSBC is a forum for leaders in the open source industry to exchange ideas and share information. This content-centric event was developed to bring together the brightest minds, to network with peers and new colleagues, and to expand your base of professional contacts with the industry's open source leaders.
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ITにおけるオポチュニティーと課題
2005年4月5、6日にサンフランシスコで開催されたOpen Source Business Conference(OSBC) では、テクノロジー・リーダー、ベンチャー投資家、および法律専門家が一堂に会し、今日の市場におけるテクノロジーの試練、苦悩、影響について議論しました。
幸いなことに、私はIBMのテクノロジー戦略およびイノベーション担当バイス・プレジデントであるIrving Wladawsky-Berger氏の基調講演、「Opportunities and Challenges in IT (IT におけるオポチュニティーと課題)」を聞くことができました。Wladawsky-Berger 氏はIBMの次世代インターネット戦略とe-ビジネス戦略を担当しており、IBM Systems & Technology Group の先端アーキテクチャーとテクノロジー、およびIBMの Linux® 施策の戦略開発に力を注いでいます。
彼が特に重視しているのが、e-ビジネスの相互運用に向けたオープン・スタンダードへのトレンドにIBMを積極的に関与させることです。これに関連し、彼はe-ビジネスと次世代インターネットに対する IBM のコミットメントを拡大し、Linux とオープン・ソースのムーブメントにスムーズにつなげることを目指しています。さらに、(オートノミック・コンピューティング) や グリッド・コンピューティングなどの施策を始めとする、IBM Systems & Technology Group の先端テクノロジーとアーキテクチャーも推進しています。
彼のプレゼンテーションは、IT におけるオポチュニティーと課題を取り上げ、「イノベーションのための触媒」として登場したオープン・ソースの役割を議論することから始まりました。このプレゼンテーションで、彼はオープン・ソースの採用に関する「新しい種類のイノベーション・サイクル」について言及しています。それは、「総力を結集して人材とコミュニティーの調和を図り、知的財産の一部をコミュニティーに寄付してその進歩を促す」ことです。
オープン・ソースはあらゆる企業の文化を変えつつあります。「オープン・ソースとオープン・スタンダードを受け入れなければ、その企業が5年後に存続している可能性はないだろう」というのが彼の見解です。彼はまた、オープン・ソースと独自ソフトウェアの間のバランスを探りながらコミュニティーとのコラボレーションを進めることの重要性も指摘しています。
バブルの再来なのか
Wladawsky-Berger氏は「イノベーションはバブルの再来なのか、あるいはより深いバブルなのか」という質問を投げかけた上で、イノベーションの進化やテクノロジーとの共存方法の変化に関する3つの分野を示しました。
- ITの絶え間ない進歩によって牽引されるデジタル革命
- テクノロジーの進化とともにビジネス・モデルが変化していくビジネス・プロセス革命
- 一般的な文化となった社会的変化 (オープン・スタンダード、インターネット、グローバル化、デジタル経済など)
Wladawsky-Berger氏によれば、イノベーションの最終的な推進要因となるのはこの「イノベーションの収束」です。例えば、コンピューティングは生活のあらゆる場面に溶け込んでいます。ITはパーベーシブ・コンピューティングという概念の中で現実世界と融合しているのです。彼の見解では、冷蔵庫、医療機器、RFID 対応デバイス、タイヤなど、あらゆるもののIT化が進む中では、ラップトップですらレガシー・システムなのです。
グリッド・コンピューティング
この技術発展により、新しい学問分野や問題解決が可能になりました。これらは医療やバイオテクノロジーの研究に使われているBlue Gene(Blue Gene/L マシンの最大構成をカリフォルニアの米国エネルギー省の NNSA/ローレンス・リバモア国立研究所で構築中。ピーク速度は 360 テラフロップとなる予定) のようなスーパーコンピューターやグリッド・コンピューティングの発明がなければ起こりえなかったでしょう。
Wladawsky-Berger氏によると、「IT推進要因の本質はオープンな業界標準の世界」であり、「その推進力の基盤は、オープン化へと向かうレイヤー対レイヤーのムーブメント」です。このことはグリッド・コンピューティングの発展にも言えることです。なぜなら、グリッド・コンピューティングは、イントラグリッドと分散コミュニケーションのオープン・スタンダードに依存しているからです。
「グリッドは全国規模の共有インフラストラクチャーとして開発されつつあり、グリッド・コンピューティングのパワーは、電気や道路のようにどんどん利用できるようになるはずだ」と彼は述べています。グリッドは分散資源を管理する新しい方法ですが、その一方で、ハードウェアの管理に伴う複雑さと困難さを緩和する方法も必要となります。彼の話では、最初の製品取得コストに加えて3倍から10倍の追加コストが必要になる場合もあるとのことです。標準規格に基づくグリッド・プロトコルは、グリッドからの情報を管理するためのレイヤーとなります。
テクノロジーにはイノベーションがあるが、ビジネス・ソリューションにはない
オープン・ソースの開発はイノベーションの推進に有効ですが、Wladawsky-Berger 氏の指摘によれば、ビジネス・ソリューションを構築するためのツールはあまりに原始的です。「ツールのおかげで、チップの設計と製作は大きく進歩しました。また、CAD/CAMツールのおかげで、飛行機や自動車の設計製造は大きく進歩しました。そういった成熟した分野に比べて、ビジネス・ソリューションの構築はいかにも原始的です。我々のツールはまったくその域に達していないのですから。」と彼は語っています。「真のビジネス・プロセス革命を促すことは、我々にとって最もエキサイティングなことの 1 つです。そしてそれは、設計、構築、配置方法において、技能というよりもエンジニアリングの領域に近いものであるはずです。」
ビジネス・プロセスの分析に関する議論、すなわち、ビジネス・プロセス革命に対する彼のビジョンは、ここから展開されました。彼の説明によれば、ビジネス・プロセスとは、コンポーネント・ビジネス・モデルを策定するためのツール、プロセス、分析、シミュレーション、テストから構成されるエンジニアリング領域です。コンポーネント・ビジネス・モデルは、戦略、財務、変革という3つの「ビュー」から構成され、プロセスを実際のコンポーネントの観点から作り上げます。
ビジネスが柔軟であるためには、合併、買収、事業単位の売却などの痛みを軽減することができ、ビジネス・プロセス・アウトソーシング (BPO)という道も選択肢にできるような、「構成可能プロセス」に経営陣が目を向けるべきだというのが、彼の見解です。これは、RFIDなどのテクノロジーと完全自動製造が組み合わさってオペレーションを最適化する、「持続的なビジネス最適化」という概念につながります。
オープン・ソースがバランスを提供
Wladawsky-Berger氏は最後に、次のように語りました。「オープン・ソースは、世界中のプログラマーとのコラボレーションが生み出す偉大なイノベーションです。オープン・ソースによって、ベンダーとユーザーの間にバランス感覚が生まれます。そこには、膨大なオポチュニティーと非常に困難な課題の両方をあわせ持つイノベーション革命が存在するのです。オープン・ソースとそのコミュニティーは、未来の課題の解決に取り組む私たちを助けてくれることでしょう。」
参考文献
著者について  | 
|  | In addition to writing and consulting, Dave Rosenberg runs the conference programs for LinuxWorld. His dream technology is a grid application running on Linux-based cell phones. |
記事の評価
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