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FileNetによるBPMアプリケーションの構築: 第1回:FileNet P8プラットフォームによるコンテンツとプロセスのモデリング

“XYZ社”のシナリオから学ぶ

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レベル: 中級

LaiFeng Zhang, IBM 中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 FileNet BPF開発担当, IBM
Wei Liao, IBM 中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 FileNet BPF開発担当, IBM
Ning Wang, IBM中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 ソフトウェア開発エンジニア FileNet BPF開発および技術サポート担当, IBM

2007年 01月 14日

本記事は、全3回の連載になります。第1回では、IBM FileNet P8プラットフォームとビジネス・プロセス・フレームワーク(BPF)によるビジネス・プロセス管理(BPM)アプリケーションの構築手順を紹介します。架空の貿易会社XYZ社を例にあげ、契約書管理というBPMアプリケーション構築手順について説明していきます。新たにコンテンツ・モデル、ビジネス・プロセス、BPF構成を作成する方法について見ていきましょう。

FileNet P8およびBPFアーキテクチャーのご紹介

FileNet P8プラットフォームは、大企業において課題視されている、コンテンツへの要求に対して、拡張性と柔軟性を提供し、既存システムとの統合を可能にします。

図1のように、FileNet P8プラットフォームは、エンタープライズ・コンテンツ管理ソリューションに対する基本コンポーネントである、コンテンツ・エンジン、プロセス・エンジン、アプリケーション・エンジン、そしてレンダリング・エンジン、を提供します。これらのコンポーネントはエンタープライズ・コンテンツ管理(ECM)やビジネス・プロセス管理(BPM)といった機能を提供します。


図1. FileNet P8アーキテクチャー

FileNet BPFは、BPMアプリケーションを簡単な構成変更により短期間で構築するためのフレームワークで、BPMアプリケーション構築の高い効率性と迅速な開発・導入を可能にします。


図2. P8と統合されるBPF

BPFは、コンテンツが格納されるストレージとプロセス管理(図2参照)を統合するだけでなく、企業の要件を満たすカスタム・アプリケーションの開発・構築を可能にする広範囲なフレームワークを提供します。

本記事で紹介するコンテンツ管理アプリケーションは、FileNet BPFによるBPM Webアプリケーションの構築手順を説明した一例です。本記事を参考にFileNet技術を活用したBPM Webアプリケーションの構築に適用していただければと思います。ここでは、架空の“XYZ社”のビジネス・シナリオをもとに説明していきます。




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XYZ社のビジネス要件

“XYZ社”は大規模な貿易会社です。業務上必要な契約書、添付資料、画像、音声ファイル、動画ファイルなどを含む、非常に多くのコンテンツを保管しています。こういったコンテンツ・ファイルは、安全に保管されている必要があり、XYZ社の業務プロセスにおいて効果的に活用される必要があります。

XYZ社には次のような業務要件があります。

  • すべての構造化データおよび非構造化データは管理された状態で保管できること
  • すべてのコンテンツは検索可能であること
  • すべてのコンテンツに対してアクセス権による管理ができること
  • すべてのコンテンツは自動的に分類できること
  • 業務プロセスは、その履歴も含めて管理でき、分析、シミュレーション、追跡といった管理ができること
  • 業務タスクは各ユーザーやグループ、または自動化により実行できること
  • 業務プロセスの担当者は、他の関係者からアサインできること
  • 業務プロセスの担当者には、必要な作業があるときe-mailによる通知ができること
  • 業務プロセス管理者は、現状プロセス中、どの状況にあるか進捗が分かること



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XYZ社のビジネス要件分析

XYZ社では、インデクサーが契約書情報の収集および分析を行い、また契約ケース(ひとつの契約に必要な各種ファイル等を論理的にひとまとめにした管理単位)の作成や関連文書のFileNet P8システムへの保管を行います。各契約ケースは次の作業者が処理するよう進行していきます。

契約ケースが後に変更される可能性があるために、インデクサーは契約ケースを保留状態にしたり、直接レビューを依頼したりすることが可能です。

レビューアーは、インデクサーが起票した契約ケースのリストを見て、各契約書や添付文書などの中身、そしてプロセスの履歴や監査情報を精査します。こういった関連文書を確認後、レビューアーはレビュー待ちのケースに対し、必要に応じて追記事項の記入や承認者の指定を行い、承認申請を行います。レビューアーは該当ケースの処理を保留し、後に再処理や契約を非承認とすることもできます。

承認者は、ログイン後、承認待ちの全契約ケースのリストを見ることができます。承認者は複数の契約ケースを一括処理したり、個々の契約ケースを選択しながら承認/非承認処理を行ったりすることもできます。

最後に、業務プロセスはアーカイブ、すなわち契約ケースの処理結果を含めて保管して完了となります。

現時点で、XYZ社が業務プロセスに求める要件をまとめると、以下のようになります。

  • 契約情報の収集と、関連ケースの仕分けの実施
  • 契約ケースのレビューと評価の実施
  • 最終的に、契約ケースに対して承認あるいは却下の実施
  • プロセスの監査記録の実施

プロセスに関連する各種役割の定義は、以下の通りです。

  • インデクサー : 契約情報の収集を行い、ケースの作成と仕分けを実施
  • レビューアー : 契約ケースのレビューを行い、承認者に承認依頼あるいは却下の実施
  • 承認者 : 契約ケースに対して最終的な承認/非承認を判断して処理する
  • 管理者 : インデクサーやレビューアーの役割を兼ねられ、全完了契約ケースの検索/閲覧が可能



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XYZ社のモデル・デザイン

XYZ社の業務要件をUML2 クラス図およびシーケンス図を使ってモデル化します。

XYZ社のコンテンツ・モデル

コンテンツ・データ・モデルとは、契約ケースを文書やログ・イベントなどの保管と関連づけて表現したものです。下図にコンテンツ管理アプリケーションの業務オブジェクトのクラス図を示します。


図3. XYZ社の業務クラス図

XYZ社のプロセス・モデル

業務プロセス・モデルは、業務プロセスの流れと他業務の役割との関連を図示します。管理者はインデクサーやレビューアーの役割を代行することができ、各役割の担当者が実施できることはすべて実施することができます。


図4. XYZ Companyのビジネスシーケンスダイアグラム




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FileNet P8での実装

FileNet P8は、前項でのモデル・デザインを実現するための多くの管理ツールや開発ツールを提供しています。構築されたBPMアプリケーションでは、コンテンツ・エンジンは、コンテンツの管理、プロセス・エンジンは業務プロセスの管理を行います。

コンテンツ・エンジン上のコンテンツ・モデルの定義

データ・モデルの定義は、図5のようにEnterprise Managerで行います。順々に操作することにより定義が可能ですが、より簡単に設定を行う場合は、付録のダウンロード・セクションに添付される、データ・モデルを定義したXMLファイルをインポートすることが可能です。そうすることで、XYZ社の契約ケースで使う、文書クラスやセキュリティー構成を含む全データ・モデルを自動的に作成することができます。


図5. Enterpprise Managerでの契約管理オブジェクト・クラス


図6. Enterprise Managerでの契約管理ドキュメント・クラス

プロセス・エンジン上のプロセス・モデルの定義

プロセス構成コンソールおよびプロセス・デザイナーでは、業務プロセス・モデルの実装が可能です。ここで、XYZ社の業務プロセスを例にひとつひとつ実際の定義方法を説明します。ダウンロード・セクションに添付されるXMLファイルを読み込むことで、より簡単に構成することが可能です。

最初に、図7に示すように契約書キューを作成します。このキューには、すべての処理中の契約ケースが格納され、ワークフロー中のデータ・フィールドが公開されます。次のプロセス・マップで、いくつかのワークフロー処理を契約書キューに含めています。


図7. プロセス構成コンソールでの契約管理キュー

次に、下図にあるようないくつかのサブ・マップを含むコンテンツ管理ワークフローを作成します。図8では、ワークフローの属性を定義し、ここではワークフロー名、データ・フィールド、ワークフロー中に添付するファイル類、ワークフロー・グループ、サブ・フローの指定ができます。


図8. プロセス・デザイナーによるワークフロー属性

次のワークフロー(メイン・マップ)では、2つのサブ・マップを定義しています。


図9. ワークフロー(メイン・マップ)

レビューおよび承認サブ・マップで(“Review&Approve Process”)は、インデクサー、レビューアー、承認者用に各サブ・マップ3つを定義します。各サブ・マップでは、処理滞留時間を最大20日とする“20日タイマー”が使われます。


図10. レビューおよび承認サブ・マップ

次に、インデクサー担当者の仕分け処理における、コンテンツ管理キューで定義される“Generalステップ”の定義を示します。各インデクサーはこの段階で、全契約ケースを参照することができます。“Pend”ステップは「利用者ステップ」で、インデクサー個人キューに定義されるので、このステップのインデクサー自身が処理を中断したケースだけを見ることができます。


図11. 仕分けサブ・マップ

“Review”ステップはコンテンツ管理キューに含まれ、各レビューアーはこのサブ・マップにあるすべての同一契約ケースを見ることができます。そして、“Pend”ステップは「利用者ステップ」で、レビューアーはそのステップで自分が中断したケースだけを見ることができます。


図12. レビュー・サブ・マップ

承認者サブ・マップはコンテンツ管理キューには含まれず、承認者がレビューアーから通知されたケースだけを扱える“利用者キュー”に含まれます。


図13. 承認者サブ・マップ

アーカイブ・サブ・マップは契約ケースのプロセスをアーカイブし、業務プロセス・フローを終了させます。


図14. アーカイブ・サブ・マップ


図15. 完了サブ・マップ




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まとめ

本連載シリーズの第1回では、FileNet P8プラットフォームによるコンテンツとプロセスのモデリングとその実装について紹介しました。XYZ社の業務シナリオをもとに、業務要件をどのように分析するか、同社の業務要件に合致するコンテンツと業務プロセスを構築するか、どのように実装するかについて、詳細に説明してきました。本稿で紹介したxmlファイルをダウンロードして、ご自身の学習用システムにインポートすることが可能です。

第2回では、本稿ですでに完成したコンテンツ、プロセスのモデリングと実装をベースに、BPFを利用したWebアプリケーションの実装方法を解説します。




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謝辞

本記事作成にあたり、多くの助言やレビューをしていただいた、中国ソフトウェア開発研究所(CSDL) シニア・ソフトウェア・エンジニアのThanh Phamさんには、特に感謝いたします。

また、本記事作成にあたり、激励とサポートをいただいた、中国ソフトウェア開発研究所(CSDL) シニア・マネージャーのJean Chenさんにも、感謝いたします。





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内容ファイル名サイズダウンロード形式
Enterprise managerでのデータモデル定義Set1_CEExport_Group1_1.xml403KBHTTP
プロセス定義コンソールでのマニフェストファイルPCC_Exported.xml122KBHTTP
プロセス・デザイナーでのプロセス定義Contract_Management_Workflow.zip6KBHTTP
ダウンロード形式について


参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために
  • IBM製品の評価版のダウンロードを行い、アプリケーション開発ツール、DB2/Lotus/Rational/Tivoli/WebSphereのミドルウェア製品のご使用に慣れていただくことが可能です。


議論するために


著者について

LaiFeng Zhang photo

Lai Feng Zhang
IBM 中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 FileNet BPF開発担当
DB2 for LUW (Linux, UNIX, Windows)管理 認定者
IBM FileNet WATプログラミング 認定者


Wei Liao photo

Wei Liao
IBM 中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 FileNet BPF開発担当
IBM FileNet WATプログラミング 認定者


Ning Wang photo

Ning Wang
IBM 中国ソフトウェア開発研究所(CSDL)所属 ソフトウェア開発エンジニア
FileNet BPF開発および技術サポート担当
DB2 Content Manager V8ソリューション・デザイナー 認定者
IBM FileNet WATプログラミング 認定者




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