レベル: 初級 木村 桂 (kimuc@jp.ibm.com), ソフトウェア事業, IBM
2007年 4月 27日 カブロボの達人に聞くインタビュー企画を続けてきましたが、第四弾となる今回はいままでとは少し趣向を変えて、カブロボに参加する側ではなく、プロジェクトに携わる側からの見解を伺うべく、早稲田情報技術研究所の代表取締役社長でもある加藤浩一様にインタビューを行いました。コンテスト全般のことから、参加するための要件など、気になる内容を伺ってきました。
インタビュー
早稲田情報技術研究所代表取締役社長加藤 浩一
木村 まずはカブロボ全般に関して伺いたいのですが、このカブロボ・コンテストを実施した目的を教えていただけますか?
加藤 IBM developerWorks にて開催していた RoboCode プログラミング・コンテストに続く新しいコンテストとして、一人でも多くの方に楽しんでプログラミング・スキルを向上させていただきたいと思い今回のコンテストを考えました。また早稲田大学理工学部に、推論アルゴリズムの優れた研究が進んでいて、それを活用したいと思ったのも、きっかけの一つです。
木村 プログラミングコンテストのテーマに株を選ぶ、というのはとても面白いアイデアですね。
加藤 単純にプログラミングをマスターするだけでなく、社会性のあるテーマが良いと思い今回は株を選択しました。オンライン証券の普及や個人投資家の増加などが顕著ですので、投資家にも貢献できるとも考えました。これをきっかけに社会や株の動きを知ることにより、これまで株に興味のなかった人でも楽しんで世の中の動きや株を学んでいただくことが出来ると思っています。
木村 今回のコンテストで特に注意したことはありますか?
加藤 一番重点を置いたのは、まず誰でも楽しめるように、という事ですね。でもそれだけではなく、実用に使える本物志向も目指しました。
またプログラムを学ぶ上で一般の方にはシステム・レベルのプログラム(サーバーとのやり取りやDBアクセスなど)を書く必要がなく、アルゴリズムの設計に集中していただく事が可能になり、サンプルのソース・コードを見ながら楽しくプログラミングを学んでいただけるよう心がけました。
株という必勝法がないテーマですので、シンプルなプログラムが非常に複雑なプログラムに勝利することも可能性としてあり、アイデアやアルゴリズムの競争として楽しんでいただけると思っています。
もう一つ、楽しいのは、作成したロボットのパフォーマンスを、実際の株価で、すぐに検証できる仕組みがある、ということです。
木村 個人的にも興味のあることなのですが、今回のカブロボは学生さんが開発されたんですよね?
加藤 はい、もともとのカブロボプラットフォームは、早稲田大学大学院コンピュータネットワーク工学科の学生がプロジェクト・チームを組織し、約1年間で開発しました。
木村 早稲田大学が出てきたところで、この「早稲田大学」と、カブロボを作り上げた「早稲田情報技術研究所」と、現在カブロボを運営している「トレード・サイエンス社」と、この3つの関係を教えてください。
加藤 まず早稲田情報技術研究所は、早稲田大学が出資する会社で、大学の基礎研究成果を産業界と連携し、事業化することをミッションにしています。
このカブロボは、多くの方のご参加とご支援を頂戴し、いよいよ商品化ができるまでに育つことができましたので、マネックス証券さんにご出資いただいて、カブロボ専門の事業会社を立ち上げました。それがトレード・サイエンス社です。
トレード・サイエンス社は、参加者の方が作られたカブロボにサイバー・ファンドマネージャとしてデビューしてもらうことが仕事です。言い換えますと、参加者の誰もが、ファンドマネージャになれる可能性を持ちます。商品としては、例えば、投資信託にして証券会社に販売いただくこと、もしくは売買助言を投資家に向けてご提供することなどを計画しています。
木村 この仕組みでは何人くらいがコンテストに参加可能なんですか?
加藤 今回のシステムはIBMのブレード・サーバーを使用してシステム環境を構築していますので、ブレード・サーバーを追加して容易にパフォーマンス向上が図れます。理論上ではブレードを増設する事により何人(ロボ)でもご参加いただける仕組みになっています。
木村 このカブロボ・コンテストに参加する条件はありますか?
加藤 ありません、どなたでも参加可能です。
木村 株式投資そのものはまだ初心者で知識が無くて・・・という人でも参加できるのでしょうか?
加藤 さすがに「株のことを全く知らない」というレベルだと厳しいと思います。カブロボに限らずどのゲームも同じですが、最低限のルールを理解していただくという意味で、ある程度の株の知識は必要です。これを機会にカブロボのWebページにある株基礎知識のサイトで、株を勉強していただければと思います。
ただ株の知識の有無よりも、シンプルに物事を考え論理を組み立てることができる人が有利かも知れません。
木村 Java プログラミングが書けない、あるいは苦手、という方でも参加できるような仕組みを用意いただいているんですよね?
加藤 はい。プログラミングの出来ない方のために、カブロボビルダーという環境(汎用ロボット)をご提供しております。Web上で、Javaなどのプログラミング言語を用いることなく、テクニカル分析手法を組み合わせて、ご自分のロボットを開発することができます。
木村 このカブロボ・コンテストに参加するためのシステム要件というのはありますか?
加藤 細かなスペックではないのですが、汎用ロボットで参加するのであれば、インターネットに接続できるシステムがあれば参加可能です。Java プログラミングする場合は、加えて Eclipse または WebSphere Studio, Rational Application Developer などがインストールされ、JDKの最新版が稼動する環境があれば、参加可能です。
木村 参加する際のロボットは汎用ロボットかJavaロボットか、どちらか1つでないといけないわけではないんですよね? たとえば最初はプログラムなしの汎用ロボットで参加して、途中から Java プログラムのロボットに変更できますか?
加藤 いつでも途中変更可能ですし、複数のカブロボのエントリーもできるようになっています。
木村 コンテストの参加人数に目標はありますか?
加藤 できるだけ、多くの方にプログラミングを楽しんで学んでいただきたいと考えております。特に目標数はございません。
木村 では、最後にコンテストへの参加を考えている方々へ一言お願いします。
加藤 今回のコンテストは、株という社会性のあるテーマをもとに少しでも多くの方にプログラミングやアルゴリズムの開発を楽しんでいただくものです。
詳しくは、Webサイト kaburobo.jp をご覧ください。
このdeveloperWorks にもJavaのサンプルコードがいくつも掲載されていますので、それらの改造から始めていただければ、わかりやすいと思います。
皆様のご参加をお待ちしています。
まとめ
このスーパー・カブロボ・コンテストは、もともとは 2004 年に開催されたカブロボ・コンテストが前身になっているのですが、その頃のお話も伺えた貴重なインタビューでした。当時もネット株がある程度広まっていた中ではありましたが、今では個人投資家人口も更に増えました。その当時から準備を進め、満を持した中で昨年のスーパー・カブロボ・コンテストを開催できたということがよく分かります。
また手前味噌ではありますが、このシステムに IBM がどのように関わっているか、という紹介ができたことでも嬉しいインタビューでした。
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