レベル: 初級 木村 桂 (kimuc@jp.ibm.com), ソフトウェア事業, IBM
2007年 4月 13日 カブロボの達人に聞くインタビュー企画も今回が第三弾になります。今回は第一回スーパー・カブロボ・コンテストにおいて、過去9年分のバックテスト環境での運用成績が第一位となったロボットの作者である岡崎裕史さんをお迎えしました。岡崎さんの開発されたロボット「わらしべロジック」は仮想の資本金 5000 万円を9年間でなんと14倍以上となる7億円を超えるまでにする、という驚異的な成績をたたき出したロボットです。この秘密を伺ってきました。
なお、以下のインタビュー内の発言は個人の感想や考えであり、有効な投資戦略の推奨ではありません。投資判断は自己責任にてお願いします。
インタビュー
木村 まずは自己紹介をお願いします。
岡崎 岡崎裕史(おかざき ゆうじ)です。広島県福山市在住です。
木村 社長さんとお伺いしましたが・・・
岡崎 トレーダー兼社長です。田舎にいてのんびりしながら、都会で働く人以上の仕事をするにはどうしたらいいか、といったことが今のテーマです。
木村 普段はどんな生活をされているんですか?
岡崎 ジャージにTシャツ姿、といった感じの、とてもラフな格好で過ごしてます。近所の人は私のことをニートだと思っているかもしれません(笑)。
木村 トレーダーであるとのことですが、株式投資の経験を教えてください。
岡崎 2000年の、いわゆる IT バブル崩壊の後くらいからですね。本格的に始めたのは 2003 年になってからです。それからはほぼ毎日市場の動きをみて、今までに1万回以上はトレードを行ってきました。
木村 個人投資家としてはベテランの域、と言っちゃっていいんですかね?
岡崎 私は投資家としてまだまだ発展途上だと思っています。今でも日々新しい発見とか気付きがありますし、この世界は本当に奥深いなぁと実感しています。
木村 第一回大会での、バックテストの成績はすごかったですね。
岡崎 ありがとうございます。トレードは主たる仕事ですし、そうした実践での試行錯誤から生まれたカブロボなので、ある程度いい線はいくかな、と期待していました。ただ9年間のバックテストでトップになるというのは全くの予想外でした。
木村 ロボットはやはり岡崎さん自身の経験から、分身を作ったような感じですか?
岡崎 自分のトレード体験から生まれた、という点ではそうなりますね。実際にはトレードを失敗して後悔した時の痛みがもとになっている、という感じです。大雑把なイメージとしては「比較的安定的に利益を生み出すにはどうしたらいいか」ということを念頭においてロジックを考えました。
木村 今回 Java ロボットで参加されましたが、まず Java のプログラミングの経験はありましたか?
岡崎 2年半くらいで、まだまだ初心者です(苦笑)。
木村 Java 以外の、プログラミングそのものの経験はありましたか?
岡崎 システムトレードの検証目的で、Visual Basic のプログラムを書いていました。
木村 Java でプログラミングしてみて、いかがでしたか?
岡崎 もともと Visual Basic の限界を感じていて、そんな時に Eclipse の存在を知って、たまたま使ってみたところ思いのほか使いやすかったので驚きました。その後に改めて Eclipse の本を買って勉強して・・・そういう意味では Eclipse があったから Java への移行ができたんだと感謝しています。
木村 Java でロボットを作ってみた上で苦労された点があったら教えてください。
岡崎 私のような初心者にとっては、スーパー・カブロボ・コンテストのSDK を理解するのにかなりの労力が必要でした。例えば SDK を使って時系列データを取得するにはどうしたらいいか、ということを理解するまでに時間を要しました。もう少しプログラムを簡単に作れるようになればいいなあとか、プログラムの例がたくさん書いてあるサイトがあると便利だなと思います。
Java を使うことにより、自分の作りたいカブロボのイメージを発想してからプログラミングする段階で、とても細かな部分まで表現できるのがいいですね。Java のロボットは自由度の高さが最大のメリットだと思ってます。
木村 私が言っていただきたいことをズバリ言っていただいてうれしいです(笑)。
岡崎 あとはカブロボのバックテストツールは無料のツールと考えればよくできており、これを利用して自分の投資アイデアを検証したりシステムトレードについて研究するというのもいいと思います。現在のところ市販の検証ツールは日本にはほとんどありませんし、トレードステーションなどはかなり高額ですので。どの株をいくら買うといった資金管理、持ち株のどれをいくら売るといったポートフォリオ管理を検証できる点はカブロボのツールの非常によいところだと思います。
木村 岡崎さんは今回出場したカブロボについてどのように考えていらっしゃいますか?
岡崎 このカブロボさえあれば寝ていても儲かると思う人が多いかもしれません(笑)。しかし、このカブロボにも注意点があります。大まかには次の3つです。
1つは市場の値動きの性質が変化する可能性です。昨日の市場と今日の市場は同じではありません。常に変化しています。だからこれまで通用していたカブロボが明日もまた通用するとは限りません。その辺の見極めが重要で、カブロボもまた市場とともに進化していかなければならないと思います。
2つ目はドローダウンについてです。今回のバックテストでは20~30%程度のドローダウンが過去9年に何度か発生しています。もしも最初にドローダウンがやって来た場合にはそれに耐えなければいけません。現在行われている5000万円の実運用でも、最悪期にスタートすれば3500万円まで減ってしまう可能性もあるわけです。そうしたときにもロボットを稼働し続ける必要があります。また、バックテストでは市場環境が悪いときには2,3年間の横ばいの期間があります。そうした横ばいの期間でもしびれを切らさずじっとロボを信じていく必要もあります。
3つ目は手数料についてです。バックテストには売買代金の0.1%の手数料が含まれています。もしも実際の運用でそれよりも高い手数料がかかってしまう場合には、バックテスト通りの結果はでないことになります。逆に、実際に0.1%よりも安い手数料でトレードできるならばこのバックテストよりもよい結果になりますけどね。
つまり、このカブロボは簡単に儲かる打ち出の小槌ではない、ということです。
木村 では最後に、第二回大会へ参加を考えている方へのメッセージをお願いします。
岡崎 まず目的が賞金ならば参加についてはあまりおすすめしません(笑)。
木村 (笑)
岡崎 しかし参加することで自分の投資スタイルについて、あるいはシステムトレードについて改めて考えるきっかけにするという意味で、参加してみるのもよいと思っています。あと余談ですが、最近「わらしべロジック」開発者ブログを書き始めました。現在、実運用に入った私のロボットの運用状況に関するブログです。コンテストに参加する方の参考にもなれば嬉しく思います。
まとめ
岡崎さんは必ずしも Java は得意なプログラミング言語ではなかったようですが、Eclipse などの補助ツールを利用して勉強することで克服できた、というのは私にとってもなんとも嬉しいお話でした。またこのインタビューでは詳しく伺いませんでしたが、現在運用中のロボットの状況報告等をご自身のブログで行っていただいているとのことで、その紹介までしていただきました。今後、私や読者の皆さんがカブロボを作っていく際の参考になるサイトだと思います。
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