レベル: 初級 木村 桂 (kimuc@jp.ibm.com), ソフトウェア事業, IBM
2007年 4月 06日 カブロボの達人に聞くインタビュー企画の第二段を紹介します。今回は第一回スーパー・カブロボ・コンテスト期間中における運用成績が第一位となったロボットの作者である伊本晃暉さんにインタビューしました。伊本さんは最優秀ロボットの作者 10 名中、唯一汎用ロボットで参加されたこともあり、その辺りも伺ってみました。
なお、以下のインタビュー内の発言は個人の感想や考えであり、有効な投資戦略の推奨ではありません。投資判断は自己責任にてお願いします。
インタビュー
木村 まずは自己紹介をお願いします。
伊本 兵庫県の伊本晃暉(いもと こうき)です。確率理論研究所の所長をしています。
木村 このウェブサイト、私も拝見したのですが、株式投資に限らず色々な事象を確率や統計的にパターン分析されているんですね。私もカジノとかで本気で計算するタイプ(笑)なんですが、興味深く面白いサイトでした。ところで伊本さん自身、投資にはどのくらいの経験があるのでしょうか?
伊本 株は2005年の6月からです。
木村 ・・・まだ2年足らず、ということですよね?
伊本 はい、当初から比較的短期のシステム・トレードをしてました。今年からは商品先物も始めたのですが、株式ほどの期待利益率がないので、現在は中断しています。
木村 えーと・・・聞きにくい質問でもあるのですが・・・今回汎用ロボットで参加されたんですよね?
伊本 はい
木村 Java には目もくれず?
伊本 はい(苦笑)。というか、Java はできないのです。
木村 最優秀賞を受賞された他の9名の皆さんはみな Java ロボットだったことは?
伊本 不思議ですね(笑)。なんで皆さん Java ができるんでしょう?
木村 ・・・不思議・・・です。 伊本さん自身、プログラミングの経験はあったのでしょうか?
伊本 エクセルのマクロを少々。あ、でも、このコンテストを機会に Java を学ぼうとも思ったんです。ただ汎用ロボットの範囲でも単純なものであれば作れそうだったので。必勝パターンを29パターンに絞って、シンプルなロボットを作りました。
木村 いま「必勝パターン」とおっしゃったんですか?
伊本 はい。過去のデータ、具体的には24年間分の日足データを統計的に分析したり、確認のテストに使ったりしています。基本的にはローソク足とトレンドを組み合わせた指標を使っています。この組み合わせ方にノウハウがあります。この分析から勝率の高い売買パターンを見つけています。このパターンはコンピュータに探索させているため、私自身も分析結果を集計しないと、どんなパターンがあるのかを把握していないくらいです。
木村 その貴重な計算結果のうち、29パターンをカブロボに与えた、ということですか?
伊本 ええ。必勝パターンは数千から数万種類あるので、29パターン程度なら提供しちゃってもいいかな、と。一応、年率で 20% の利益になるようなパターンでカブロボを作りました。
木村 盛り上がってきたところで(笑)、差し支えのない範囲で、その29パターンの内容をもう少し提供していただいちゃってもいいでしょうか?
伊本 まず空売りなしの買いのみです。これは空売りのルールが少し複雑で、汎用ロボットで作った時に注文がキャンセルになってしまうと投資効率が悪くなってしまうので、買いのみのロボットにしました。あと、買った銘柄は翌日に売る、というのが基本戦略です。本音を言うと、汎用ロボットだったこともあって、自分が本当にやりたいことはほとんどできませんでした。
木村 では是非次回は Java で・・・
伊本 このロボットの特徴はもみ合いの局面に非常に強い、ということです。反対に、例えば日経平均が5日以上連続して上昇しているような場面では買う銘柄がほとんどありません。上がったり、下がったり、が繰り返されるような場面で威力を発揮することができるロボットでした。
木村 もうすぐ第2回大会が始まりますが、もう次のロボットを考えていますか?
伊本 次回大会ではどこまで自分のノウハウを含めようか悩み中、というところです。前回のような毎日売り買いを繰り返すロボットは手数料の面で不利で、そこがもったいなかったので、その点をどうしようかと考えています。
木村 なるほど。裏を返せばそこまで意識してロボットを作るべき、ということですね。では最後に第2回大会へ参加を考えている人に向けて、特に汎用ロボットの作者という立場からもコメントをお願いします。
伊本 汎用ロボットでも優勝できます。まずは参加することに意義があります。
株の売買ルールを考慮し、条件式を作成することで、現在のあなたの売買ルールを見つめなおすことになります。また、リスク管理・資産配分等、汎用ロボットでの設定は難しいかもしれませんが、そこまで考慮してロボットを作成すれば、実際のあなたの投資レベル自体も上昇すること間違いなしです。優勝目指してがんばりましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?伊本さんのロボットはいわゆるトレンド追従とかオシレーターとかといった単純なテクニカル分析とは異なり、非常にユニークなパターン分析を基に製作していることが分かりました。そこから生まれた「必勝パターン」、カッコいいですね、私も言ってみたいです。でも自分自身で集めたデータを使って検証した結果に自身を持っているからこそ説得力のある言葉だと感じました。 この伊本さんや、前回紹介した長尾さんもそうでしたが、コンテストの入賞者の方の株式投資の経験自体は意外と(?)短い気がします。ネット投資などの環境が影響しているのかもしれませんが、少し驚いています。
Java プログラミングが苦手で、コンテストへの参加を躊躇されている方へのメッセージもいただきました。まずは参加すること、それが自分の現在の取り組みを見直すきっかけになる、ということだと思います。この言葉の通り、より多くの皆さんが第二回スーパー・カブロボ・コンテストに参加いただけることを期待しています。
著者について  | |  | 木村 桂: 日本IBM ソフトウェア事業 |
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