Rational ツールを使ってクラウド・アプリケーションを開発する

IBM SmarterCloud Enterprise での Web アプリケーション開発に、Rational ライフサイクル管理ツールを利用する

クラウド・コンピューティングは、集中化、標準化、自動化を約束します。つまり、クラウドを実装すると、実際にアプリケーション開発、ビジネス、そしてシステム運用が 1 つにまとめられるということです。このため、クラウドの実装で最大の効率を実現するには、ソフトウェア開発者がビジネス・プロセスとシステム運用を十分に理解していなければなりません。また、クラウド・コンピューティングによって約束されるメリットを実現するために、開発者が考え方の幅を広げる必要もあります。この記事では、Rational に用意されているアプリケーション・ライフサイクル管理ツールを使用して、開発者のプロセスの範囲をどのように広げるかを大局的に示します。まず始めにビジネス・シナリオを紹介し、続いてこれらのシナリオで開発者が目標を達成するために必要となるツールと成果物の概要を説明します。そして最後に、エンド・ツー・エンドの開発シナリオで、IBM Rational ツールと IBM SmarterCloud Enterprise を使用する方法を実演します。

Alex Amies (aamies@cn.ibm.com), Senior Software Engineer, IBM

Alex Amies photoAlex Amies は、中国の IBM GTS Development Lab に勤務するシニア・ソフトウェア・エンジニアです。彼は現在、アーキテクトとして IBM Smart Business Development and Test on the IBM Cloud の設計に携わっています。以前は、IBM 内の他のグループでクラウドおよびエキュリティー製品のアーキテクト、開発者として活躍していました。



Scott Peddle, Advisory Software Developer, IBM

Photo of Scott PeddleScott Peddle は、IBM SmartCloud Enterprise の顧問ソフトウェア開発者であり、クラウド環境での Rational Asset Manager の統合を焦点としたプロジェクトを率いています。彼は、WebSphere Business Modeler や WebSphere Integration Developer などの WebSphere BPM ツールを Rational Asset Manager によって統合するプロジェクトのリーダーも経験しました。また、Rational Software Architect および Rational Application Developer などの Rational の設計および構成製品のリリース・エンジニアでもあります。



Tian Ming Pan, Staff Software Engineer, IBM

Tian Ming Pan は、GTS Development Lab チームのスタッフ・ソフトウェア・エンジニアです。彼は、IBM SmartCloud Enterprise 開発チームの中心的開発者の一人です。また、Rational Asset Manager エキスパートでもあり、Rational Asset Manager 関連の事案を担当しています。



Pan Xia Zou, Staff Software Engineer, IBM

Pan Xia Zou は、Staff Software Engineer です。現在、IBM SmartCloud Enterprise のビルドおよびデプロイメント自動化アーキテクトとして働いています。



2012年 8月 02日

今日のクラウド・コンピューティングでは、アプリケーション開発、ビジネス、そしてシステム運用が 1 つにまとめられつつあります。これが何を意味するかと言うと、ソフトウェア開発者がビジネス・プロセスとシステム運用について今まで以上に深く理解する必要があるということです。また、ビジネス利害関係者および運用スタッフが、よりカスタマイズされたソフトウェアを使用する必要があることも意味します。

クラウド・コンピューティングが約束するのは、集中化、標準化、自動化によるユーザー・エクスペリエンスの単純化とコストの削減です。ただし、これらのメリットを実現するには、開発者に新しい考え方が必要になってきます。それは、最も効果的なクラウド・アプリケーションを構築してデプロイするために、ビジネス・プロセスとシステム運用を考慮に入れるということです。

この記事では、クラウド・コンピューティングにおけるアプリケーションの開発および運用の側面を網羅するために、これらのプロセスを支援する Rational ツールの例を紹介しながら、意図的に広範な話題を取り上げます。

クラウド・コンピューティングの最も興味深い側面の 1 つは、新しいレベルのツールとコラボレーションが可能になることです。クラウド・コンピューティングによって、特にイメージをはじめとする作業の成果物をチーム間で再利用できるようになります。例えば、オペレーティング・システムのエキスパートに、基礎となるオペレーティング・システム・イメージをセットアップしてもらいます。そのイメージを基に、ソフトウェア開発者がソフトウェア製品のイメージを追加します。そして、そのイメージを企業のユーザーが利用して、企業のニーズに適したイメージのスナップショットを作成するといったことが可能になります。この記事では、こうした手法を用いてクラウド上でアプリケーションを開発する方法に焦点を当てます。

パブリック・クラウドでのビジネス・シナリオ

まずは、クラウド・コンピューティングを推進するいくつかのユース・ケースのスコープについて説明することから始めましょう。

  • クラウド・コンピューティングには、個々のユース・ケースにとってより重要性を帯びる可能性のあるさまざまなメリットがあります。
  • インフラストラクチャーの仮想化も、数々の新しい可能性、そして従来のコンピューティングではまったく使用されていない新たな種類の IT アセットを生み出します。
  • パブリック・インターネット環境での作業は、新しいコラボレーションの可能性を提供すると同時に、新たなセキュリティー問題をもたらします。

クラウドのユース・ケースでは、以下のように数々のアクターがコラボレートします。

  • クラウド・サービスの開発者は、クラウドで使用するソフトウェアやその他のアセットを開発します。
  • クラウド・サービスのコンシューマーは、クラウド・リソースの要求およびビジネス費用の承認を行います。クラウド・サービスのコンシューマーとしては、ユーザー、管理者、経営者などが考えられます。
  • クラウド・プロバイダーは、クラウド・サービスをコンシューマーに提供します。

では、概念実証 (POC) のユース・ケースについて考えてみましょう。企業は新しい技術の採用を確定する前に、通常はその概念実証 (あるいはパイロット・スタディー) を作成します。そのために、大抵は外部の IT コンサルタントが雇われますが、彼らは一般に、短期間で相当な量の職務を果たさなければならないというプレッシャーを抱えています。通常、その特定の分野での経験がないコンサルタントは、要求された情報を提供するのに苦労することになります。

アセットを複数のジョブで利用できることは非常に重要ですが、クラウドではそれを容易にするために、保存されているイメージをコンサルタントと企業のユーザーが直接再利用して、同じネットワーク・スペースを簡単に共有できるようにします。コンサルタントのノート PC にあらゆるものをインストールしてそのマシンを持ち歩かせたり、企業のサイトに短期間ですべてのソフトウェアをインストールしようと試みたりするよりも、クラウドでアセットを共有するほうがよっぽど簡単です。

図 1 に、このシナリオでのユース・ケース図を示します。

図 1. クラウドでの概念実証のユース・ケース図
クラウドでの概念実証のユース・ケース図

企業がコンサルタント用のアカウントを追加できるようにするには、ユーザー管理のサポートを備えたパブリック・クラウド環境で作業することが不可欠です。あるいは、コンサルタントが自分のアカウント・スペースを使用して、そのスペースへのネットワーク・プロトコル (HTTP など) によるアクセスを許可するという方法も可能です。

企業が概念実証を承認した後、その概念実証を長期間使用しようとする場合も考えられます。その場合には、イメージを保存して仮想 LAN 上でインスタンスを起動することによって、概念実証を企業のプライベート・ネットワークに移すことができます。

従来の概念実証とクラウドでの概念実証を比較したものを表 1 に示します。

表 1. 従来の環境での概念実証とクラウドでの概念実証の比較
従来の環境クラウド
コンサルタントが顧客のところまで出向きます。コンサルタントはインターネット経由で作業します。
顧客は承認ワークフローに従って、コンサルタントに企業ネットワークへのアクセス権を付与します。顧客はアカウントを使用するか、暗号鍵を設定した特定の仮想マシンを使用して、コンサルタントにクラウドへのアクセス権を付与します。
パイロット用のハードウェアを調達します。セルフサービス・インターフェースでインスタンスを作成します。
コンサルタントがすべて自分で対処します。コンサルタントは必要に応じて、高可用性、パフォーマンス、セキュリティーなどの専門知識を数時間で取り込みます。
コンサルタントのノート PC を企業のネットワークに接続することはできません。コンサルタントが使用できるツールは、顧客が用意したツールに限られます。顧客は自分のノート PC 上にあるお気に入りのアプリケーション・ライフサイクル管理ツールを使うことも、クラウドに用意されているツールを使うこともできます。
コンサルタントがあらゆるものを一からインストールします。コンサルタントはプリビルドされたイメージからインスタンスを起動します。
コンパイルの後、サーバーの目的が設定し直されます。サーバー・インスタンスはイメージとして保存され、実行中のインスタンスが削除されます。

このユース・ケースでのクラウドの主要なメリットは、エラスティックな (弾力的な) スケーラビリティー、インターネットからのアクセス、そしてプロジェクトのアセットを保存して再利用できることです。


IBM SmarterCloud Enterprise についての基礎知識

IBM SmarterCloud Enterprise はパブリック IaaS (Infrastructure as a Service) クラウドであり、企業が使用するのに適した、他に類を見ないパブリック・クラウド・オファリングです。IBM SmarterCloud Enterprise では、ユーザーが Linux および Windows オペレーティング・システムを使用して x86 仮想マシンを作成して管理できるだけでなく、イメージやストレージ・ボリューム、そして IP アドレスなどの関連リソースを管理することもできます。

IBM のクラウドが他に勝る特徴は、広範なサービスと製品、セルフサービス機能、コラボレーションを可能にする代行管理モデル、企業に適したビジネス・サポート・サービス、そして非常に優れたイメージ開発センターによって作成された仮想マシン・イメージ・カタログが豊富に揃っていることなどです (IBM PureSystems 製品ファミリーおよび対応するサービスを組み込めば、プリビルドされたベスト・プラクティスの仮想パターンという形で、さらに実績のある構成管理およびデプロイメントの専門知識を取り込むことができます)。

IBM SmarterCloud Enterprise REST API は、プログラムによって IBM SmarterCloud Enterprise とやりとりするための基本手段となります。この API には、インスタンス、イメージ、ストレージ、および IP アドレスを管理するセルフサービス・ユーザー・インターフェースなど、多数の機能が組み込まれています。便利なように、REST サービスをラップするコマンドライン API と Java API クライアントも提供されています。Java API クライアントとコマンドライン・ツールはダウンロードする必要があります。これらのダウンロードはアセット・カタログ内にあり、登録済みユーザーは無料で使用することができます。コマンドラインはパワー・ユーザーが操作をスピーディーに行うには便利ですが、API からの出力を解釈するアプリケーションを作成する必要がある場合には、プログラムを作成する必要があります。

IBM SmarterCloud Enterprise API は、さらに機能を追加するためにも、クラウド管理を他のアプリケーションに統合するためにも使用することができます。こうした作業を行う Java プログラマーには Java API が最も重宝しますが、その他の言語を使用する開発者は REST API を使用してこうした作業を行うことができます。

クラウドと統合するために使用するほとんどのツールは、API を通じてクラウドとの統合を行います。


クラウド・プロジェクトのタスクとツール、機能、および成果物

このセクションでは、ALM (Application Life cycle Management: アプリケーション・ライフサイクル管理) ツールについて説明するとともに、これらのツールとクラウド・コンピューティングとの結び付きについても説明します。最近の傾向としては、ALM ツールをクラウド環境に統合するようになってきています。ALM ツールをクラウドに統合することで、クラウド上で ALM ツールを実行するにも、ALM ツールが何らかの形でクラウドを利用するにも、あるいは ALM ツールを使用してクラウド用のアプリケーションを開発するにも、すべてクラウド環境の中だけで行えるからです。

ALM ツールは、ソフトウェア・プロジェクトの計画、設計、コラボレーション、開発、テスト、配布、および保守に役立ちます。プロジェクトを多数の人が関与するソフトウェア・プロジェクトに拡大し、複数の成果物をビルドして複数のアプリケーション・サーバーにデプロイするとなると、何らかのツールによる支援が必要であることに気付くはずです。そのためのツールには、例えば以下に挙げるものがあります。

  • 要件管理ツール: 機能要件と非機能要件を文書化して追跡します。その一例は、Rational Requirements Composer です。
  • 計画ツール: プロジェクトに必要な時間とリソースを計画するとともに、プロジェクトの実行を追跡できるようにします。例えば、Microsoft Project や IBM Rational Team Concert などのツールです。
  • ソース・コード・リポジトリー: コードを一元管理します。オープンソース・ツールの例としては CVS や Subversion、商用ツールの例としては Microsoft Visual Source Safe や IBM Rational Team Concert が挙げられます。
  • 統合開発環境 (IDE): ソース・コードの編集およびデバッグに使用します。オープンソース・ツールの例としては Eclipse IDE、商用ツールの例としては IBM Rational Application Developer や Microsoft Visual Studio が挙げられます。
  • テスト・ツール: 機能、パフォーマンス、統合、グローバリゼーション、およびリグレッション・テストの実行と追跡を支援します。
  • 不具合追跡システム: 不具合を追跡します。
  • チケット追跡システム: 顧客をサポートするために使用します。オープンソースおよびクラウド・プロジェクトでは、多くの場合、フォーラムがこれに置き換わります。

プロジェクトが拡大して多数の人が関わるようになったときに必要となる最も根本的なことは、おそらくソース・コードを中央リポジトリーで共有できるようにすることです。CVS (Concurrent Versions System) は、オープンソースのソース・コード管理システムとして長年にわたってよく使用されています。CVS にはスケーラビリティーがあり、便利なことに、プラグインによって統合開発環境内から使用することができます。最近では、Subversion をはじめ、これまでよりも強化されたオープンソースのソース・コード管理システムが CVS の機能を備えていて、CVS を置き換えるものになってきました。CVS に代わる商用のソース・コード管理システムとしては、IBM Rational Team Concert (RTC) があります。RTC にはオープンソースのソース・コード管理システムに比べ、遥かに多くの機能が備わっています。これらのソース・コード管理ツールにクラウド・コンピューティングが与えている主な影響としては、これらのツールがクラウド上で実行するのに適した作り方をされるようになったことが挙げられます。

ソース・コードを中央リポジトリーに格納した後は、そのソース・コードをビルドして、デプロイできる状態の成果物にする必要があります。このプロセスに対処するには、Ant や Maven といったオープンソースのビルド・ツールを使用することができます。このうち Maven のほうが、より広範なライフサイクル・イベントを考慮して、機能の幅が多少広くなっています。商用のビルド・サーバーには、オープンソースのものよりもさらに堅牢な機能セットを提供する IBM Rational Build Forge があります。Build Forge イメージは、IBM Cloud のエンタープライズ・カタログに用意されています。

ソース・コードのコンパイル以外にも、ユニット・テスト、ランタイム・システムへのデプロイメント、そして機能テストの自動化に取り組む必要があります。アプリケーションに組み込まれるコンポーネント (リレーショナル・データベース、アプリケーション・サーバー、Hadoop など) が多くなるにつれ、自動化はますます困難なタスクになってきます。そのためのツールで、特に Build Forge で新たに開発されているものの 1 つは、クラウド上で複合環境を自動的にセットアップおよび解除することができるというものです。

開発するコードの品質を高く保つには、(理想的には開発者が) 開発したコードを十分にテストし、テスターがコードの正常な動作を検証する必要があります。この作業の出発点となるのは、ユニット・テストです。JUnit は、ユニット・テストを行うための単純かつ有用なツールで、参考となるレポートを出力します。ただしコードで統合するシステムが多種多様に及んでくると、ユニット・テストを実行するのが難しくなってきます。これらの依存関係を表すにはモック・オブジェクトを使用できるので、その場合には、オープンソースの EasyMock ツールが大いに役立ちます。

機能検証テストとは、コードが運用環境で実行するはずのあらゆる機能を実行可能であることを検証するテストのことです。機能検証テストは、Web ブラウザーでさまざまな画面を観測しながら手動で実行することができますが、理想的には、ユーザーが行うステップを記録することで自動化するべきです。IBM RFT (Rational Functional Tester) は、機能検証テストの自動化に使用できる商用製品です。

クラウドでは、概念実証、パイロット、ベータ・プログラム、およびコンサルティング・プロジェクト用にさまざまな成果物を提供しています。従来の環境では、企業ネットワークの制約 (特にセキュリティー) により、コンサルタントが馴染みのないツールで作業しなければならないことがよくあります。そのため、デプロイメント手順とベスト・プラクティスを書面によるレポートでドキュメント化する傾向がありますが、顧客にとって、このようなレポートは使用しにくいものです。

また、プロジェクトが「完了」してからも、コンサルタントがなかなかサポートの役割から抜けきれないような状況もあります。クラウドは、仮想マシン・イメージ、デプロイメント・トポロジー・モデル、ソフトウェア・バンドルなどのさまざまな成果物を提供しています (表 2 を参照)。

表 2. 従来のプロジェクト成果物とクラウドでのプロジェクト成果物との比較
従来のプロジェクト成果物クラウドでのプロジェクト成果物
ソフトウェア・インストール・プログラム (開発するのに時間がかかります)仮想マシン・イメージ (ボタンをクリックしてインスタンスを取り込みます)
デプロイメント手順を要約した書面によるレポートデプロイメント・トポロジー・モデル、自動化スクリプト
一から作成されたユーザー・マニュアル標準イメージのマニュアルを再利用
さまざまな場所に分散された構成ファイルクラウド・カタログへのアセットの追加
困難なサポート・プロセスクラウドへのリモート・アクセスを介したサポート

Rational Asset Manager でのカタログ文書管理

文書管理システムは、ファイルへのアクセス、索引付け、およびファイルの検索を行いやすいように、ファイルを中央ロケーションに格納して管理します。最近の文書管理システムでは、ユーザーが文書に関する独自のコメントを追加して、タグ付けや評価などの Web 2.0 機能を使用できるようになっています。これらのシステムでは、文書管理に対してロール・ベースのアクセス管理をサポートしており、文書を中心にワークフローを構築することで、文書を公開する前に必ずレビューを行って承認できるようにしています。

IBM SmarterCloud Enterprise で文書の管理を行うのは、IBM Rational Asset Manager (RAM) です。クラウド内のほとんどの文書は仮想マシン・イメージであり、それ自体がソフトウェア・アセットであるため、Rational Asset Manager による文書管理はなおのこと適しています。Rational Asset Manager は、開発者独自のプロジェクトでも使用できる、標準的な IBM 製品です。イメージ・カタログにある Rational Asset Manager のエントリーを使用して、ユーザー固有のサーバーを起動することができます。

IBM SmarterCloud Enterprise のカタログに含まれるすべてのイメージには、一般公開されるイメージ・アセットがあります。仮想マシンをイメージとして IBM SmarterCloud Enterprise に保存すると、イメージ・アセットが作成されます。イメージ・アセットには、イメージのユーザーを支援するための文書 (「~入門」など) やスクリーンショットを追加することができます。また、ユーザーは Rational Asset Manager がサポートするフォーラムに質問を投稿することもできます。

イメージ・アセットの可視性は、当初はプライベートに設定されます。つまり、イメージ・アセットはその所有者本人にしか可視になりません。ただし、企業の他のメンバーにイメージ・アセットを可視にすることもできます。

Rational Asset Manager は、テキスト文書などの他のタイプの文書もサポートしています。IBM SmarterCloud Enterprise のサポート文書の大半は、Rational Asset Manager 文書アセットとして保管されます。Rational Asset Manager で新規文書を作成するときには、図 2 に示す画面が表示されます。

図 2. Rational Asset Manager での文書の作成
Rational Asset Manager での文書の作成

この画面では、新規文書の名前、簡単な説明、詳細な説明を追加し、ファイルを添付することができます。文書を他のユーザーに可視にする前に自動的に適用される承認ワークフローを構成することもできます。図 3 には、承認ワークフローのステップの一例が示されています。

図 3. Rational Asset Manager にサブミットする文書のレビュー
Rational Asset Manager にサブミットする文書のレビュー

この例の場合、レビューを要求するステップと、その後に文書を承認/拒否するステップの 2 つがあります。


エンド・ツー・エンドの開発シナリオ

ここからは、クラウド上で Rational Software Architect をセットアップし、仮想マシンをイメージとして保存して標準開発環境として使用可能にする方法を説明します。別の言葉で言うと、エンド・ツー・エンドの開発シナリオで、IBM Rational ツールと IBM SmarterCloud Enterprise を使用する方法を実演します。

Rational Software Architect は、Java、J2EE、Web 2.0およびその他のプラットフォームを対象とした統合開発環境です。IBM SmarterCloud Enterprise のカタログには、Rational Application Developer のイメージが用意されています。また、Rational Application Developer にはクラウド・プラグインがあり、ユーザーはこのプラグインを使用して、WebSphere Application Server などのサーバーをクラウド上でプロビジョニングして統合できるようになっています。したがって、以下のようなシナリオが可能です。

  1. カタログ内で Rational Application Developer 仮想イメージを見つけます。
  2. 仮想マシンのプロパティーを選択します。
  3. NX Client を使用して、仮想デスクトップとの接続を設定します。
  4. リモート・デスクトップで Rational Application Developer を起動します。
  5. 新規 WebSphere クラウド・サーバーを追加します。
  6. クラウド資格情報を設定します。
  7. クラウド上の WebSphere 用仮想マシンを要求します。

イメージの開発

まず初めに、カタログで Rational Software Architect を見つけて、インスタンスをプロビジョニングします。

NX Client を使用して、リモートから Rational Software Architect にログインします。NX リモート・デスクトップ技術は、NX Server と NX Client を利用します。NX Server は、NoMachine から製品として入手するか、オープンソースのディストリビューションを利用することができます。IBM SmarterCloud Enterprise の一部のイメージでは、FreeNX オープンソース・パッケージを使用しています。NX Server の役割は、ユーザーを認証すること、そしてセッションをアクティブにすることです。NX Server、NX Client に次ぐ 3 つ目のコンポーネントは NX Node です。nxservice とこれに関連するコマンドはデーモンではなく、SSH サーバーによってアクティブにされます。

通常、構成ファイルはディレクトリー /etc/nxserver に置かれます。このディレクトリーには、認証に必要な鍵も格納されます。問題が発生した場合には、node.cfg ファイル内の NX_LOG_LEVEL の設定が役に立ちます。Server-Client communication に対しては、この設定を 4 に指定することができます。ログ・ファイルの場所も node.cfg に構成されます。デフォルトの設定は、/var/log/nxserver.log です。

NX Client は、NoMachine Webサイトから自由にダウンロードすることができます。インストールが完了したら、SSH 鍵 (PuTTY によって変換されていない状態) をインポートして保存し、「Server (サーバー)」フィールドに仮想マシンの IP アドレスまたはホスト名を設定します。図 4 に、構成画面を示します。

図 4. NX Client 接続ウィザード
NX Client 接続ウィザード

クライアント構成ユーザー・インターフェースでは、KDE や Gnome などのデスクトップを選択することができます。この設定はエラーの原因となりやすいので、認証後にセッションを確立できない場合には、別の値を試してみる価値があります。クライアント構成ファイルとセッション・ファイルは、ユーザーの .nx ディレクトリーに保管されます (Windows の場合は、C:\Documents and Settings\Administrator\.nx)。エラーが発生した場合は、同じく .nx ディレクトリー配下の session ディレクトリーを確認してください。

鍵をインポートしてホスト名または IP アドレスを入力した後、ユーザー名とパスワードを使ってログインします。図 5 に、NX Client によるリモート・セッションで接続した IBM SmarterCloud Enterprise 上の Rational Software Architect デスクトップを示します。

図 5. NX Client によるリモート・セッションで接続した IBM SmarterCloud Enterprise 上の Rational Software Architect デスクトップ
NX Client によるリモート・セッションで接続した IBM SmarterCloud Enterprise 上の Rational Software Architect デスクトップ

Rational Team Concert および Rational Asset Manager クライアントは、jazz.net からダウンロードして、Install Manager を使ってインストールすることができます。

これらのクライアントをインストールしたら、イメージを保存します。イメージを標準開発クライアントとして使用可能にするための最後のステップは、IBM SmarterCloud Enterprise セルフサービス・ユーザー・インターフェースで、「Visibility (可視性)」を「PRIVATE (プライベート)」から「SHARED (共有)」に変更することです。その結果を図 6 に示します。

図 6. 可視性が共有に設定された Rational Software Architect イメージ
可視性が共有に設定された Rational Software Architect イメージ

この時点で、開発チームの他のメンバーがこの標準開発環境を使用できるようになりました。

プロジェクトの管理

Rational Team Concert は、ソース・コードの管理に加え、アジャイル・プロジェクト管理、ビルド・サーバー、不具合管理をサポートするフル装備の開発コラボレーション・ツールです。Rational Team Concert のイメージは、IBM SmarterCloud Enterprise カタログに用意されています。Rational Team Concert は、ブラウザー、Eclipse、および Microsoft Visual Studio クライアントをサポートします。Rational Team Concert では、プロジェクト管理者、プロジェクト・リーダー、プロジェクト・チーム・メンバーなどのさまざまなロールを使用して、複数のプロジェクトとチームを代行して管理できるようになっています。

以下の手順に従って、Rational Team Concert を試してみてください。

  1. カタログで Rational Team Concert のイメージを見つけ、「Start an instance of your image (イメージのインスタンスを起動)」リンクをクリックします。URL として https://hostname/jazz/web/ を指定することで、Web ユーザー・インターフェースにアクセスします。
  2. 管理パスワードの入力を促すプロンプトが出されます。このパスワードは、仮想マシンのインスタンスをプロビジョニングしたときに入力したパスワードです。
  3. ログインに成功すると、Jazz Team Server のセットアップを行うためのメッセージが表示されます。ファースト・パスの手順に従ってください。
  4. 開発者向けに 2 つのライセンスが組み込まれています。セットアップ・プロセスでは、これらのライセンスを割り当てることができます。ユーザー・レジストリーには、「Tomcat User Database (Tomcat ユーザー・データベース)」を選択してください。
  5. 「Project Area Management (プロジェクト・エリア管理)」にナビゲートします。初期状態では、プロジェクトはありません。「Project Area Management (プロジェクト・エリア管理)」セクションへのリンクをたどると、図 7 のような画面が表示されます。
    図 7. Rational Team Concert の「Project Area Management (プロジェクト・エリア管理)」セクション
    Rational Team Concert の「Project Area Management (プロジェクト・エリア管理)」セクション
  6. Create Project Area (プロジェクト・エリアの作成)」をクリックします。プロジェクトの名前、要約、説明を入力します。
  7. Deploy predefined process templates (定義済みプロセス・テンプレートのデプロイ)」リンクをクリックします。
  8. 「User Management (ユーザー管理)」セクションで、Rational Team Concert にユーザーを追加します (図 8 を参照)。ユーザーを作成してから、作成したユーザーをプロジェクトに追加します。
    図 8. Rational Team Concert の「User Management (ユーザー管理)」セクションのスクリーンショット
    Rational Team Concert の「User Management (ユーザー管理)」セクションのスクリーンショット
  9. Rational Team Concert の e-メール設定を構成します。
    1. e-メール・サーバーをセットアップした後、「Server (サーバー)」 > 「Configuration (構成)」 > 「E-mail Settings (E メール設定)」の順にナビゲートし、e-メール・サーバーに関する値を入力します (図 9 を参照)。
      図 9. Rational Team Concert の「E-mail Settings (E メール設定)」の構成
      Rational Team Concert の「E-mail Settings (E メール設定)」の構成
    2. Enable E-mail Notification (E メール通知を使用可能にする)」を「true」に設定します。「SMTP Server (SMTP サーバー)」には、「localhost」と入力します。「E-Mail From Address (E メールの送信者アドレス)」の e-メール・アドレスの最後の部分には、サーバーの完全修飾ドメイン名を使用します (例えば、idcuser@vhost0297.site1.compute.ihost.com)
    3. Save (保存)」をクリックします。
  10. ユーザーを追加します。
    1. 「Project Management (プロジェクト管理)」 > 「Project Name (プロジェクト名)」の順にナビゲートします。
    2. Members (メンバー)」ヘッダーの下で、ユーザーをプロジェクトに追加します。招待状を生成するには、メンバー名が示されている行にマウスを重ねると表示される「Invite to Join Team (チームへの参加に招待)」アイコンをクリックします。すると、図 10 に示す「Invite to Join Team (チームへの参加に招待)」ウィンドウが表示されます。
      図 10. Rational Team Concert のチーム・メンバーへの招待
      Rational Team Concert のチーム・メンバーへの招待

この Web ユーザー・インターフェースはさまざまな目的に役立ちますが、開発者として Rational Team Concert を使用する場合、または Rational Team Concert を管理する場合には、Eclipse クライアントを使用してください。


まとめ

この記事では、アプリケーション・ライフサイクル管理ツールを使用して、開発プロセスの範囲を広げる方法を説明しました。この説明を通して、クラウド環境が皆さんの開発作業にもたらす集中化、標準化、および自動化のメリットを完全に理解していただけたことを願います。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

議論するために

コメント

developerWorks: サイン・イン

必須フィールドは(*)で示されます。


IBM ID が必要ですか?
IBM IDをお忘れですか?


パスワードをお忘れですか?
パスワードの変更

「送信する」をクリックすることにより、お客様は developerWorks のご使用条件に同意したことになります。 ご使用条件を読む

 


お客様が developerWorks に初めてサインインすると、お客様のプロフィールが作成されます。会社名を非表示とする選択を行わない限り、プロフィール内の情報(名前、国/地域や会社名)は公開され、投稿するコンテンツと一緒に表示されますが、いつでもこれらの情報を更新できます。

送信されたすべての情報は安全です。

ディスプレイ・ネームを選択してください



developerWorks に初めてサインインするとプロフィールが作成されますので、その際にディスプレイ・ネームを選択する必要があります。ディスプレイ・ネームは、お客様が developerWorks に投稿するコンテンツと一緒に表示されます。

ディスプレイ・ネームは、3文字から31文字の範囲で指定し、かつ developerWorks コミュニティーでユニークである必要があります。また、プライバシー上の理由でお客様の電子メール・アドレスは使用しないでください。

必須フィールドは(*)で示されます。

3文字から31文字の範囲で指定し

「送信する」をクリックすることにより、お客様は developerWorks のご使用条件に同意したことになります。 ご使用条件を読む

 


送信されたすべての情報は安全です。


static.content.url=http://www.ibm.com/developerworks/js/artrating/
SITE_ID=60
Zone=Cloud computing, Rational
ArticleID=828005
ArticleTitle=Rational ツールを使ってクラウド・アプリケーションを開発する
publish-date=08022012