SoftLayer クラウドでマッピング機能と地理空間解析機能を使えるようにする

Esri の ArcGIS マップ・アプリケーションを使用する

クラウド・ベースのインフラストラクチャーは、ハードウェア・リソースの管理、コストの削減、インフラストラクチャーの最適化などに対応した次世代の IT プラットフォームになりつつあります。クラウド・インフラストラクチャーに関係する主要な特性には、地理空間技術との内在的な関係があります。具体的に言うと、地理空間専門家のタフな要求を満たすための動的なリソース割り当て、関連分野の技術、そしてテラバイト規模の空間データについて解析を行うために必要な大量の計算処理キャパシティーです。この記事では、GIS と地理空間解析について概説し、Esri の製品である ArcGIS と Esri のマップ・アプリケーションを紹介します。さらに、このアプリケーションを SoftLayer クラウドにデプロイする方法を説明します。

この記事は、IBM SoftLayer Cloud 用に更新されました。

Marwa Mabrouk, ArcGIS for Server Product Manager, Esri

Marwa Mabrouk は、GIS の世界的なリーダー的立場にいる Esri の製品マネージャーとして、サーバー・ベースの製品を重点に取り組み、クラウド・コンピューティングとビッグ・データを GIS と空間解析に導入しています。彼女はこれまで 14 年以上、GIS の新しい分野の開拓に時間と関心を注いできました。業界のオンライン・マップ・オファリングにおける初のホスト型 Web サービスの開発を主導した後、技術リーダーとしてクラウドに Esri の管理サービスを確立しました。彼女はケンタッキー州ルイスビル大学でコンピューター・サイエンスの修士号を取得し、カリフォルニア州レッズランド大学で MBA を取得しました。



Victoria Kouyoumjian, Senior Business and Technologies Strategist, Esri

Victoria Kouyoumjian は Esri でこれまで 15 年以上、地理空間分野に取り組み、その間に先端技術における多くの変化を目にしてきました。開発者向けソフトウェア・ソリューション・スイートの製品マネージャーとしての数年間の経験を経て、現在は Senior Business and Technologies Strategist として、クラウド・コンピューティングやビッグ・データ、そしてオープンソースなどの新しい技術傾向と地理空間コミュニティーにおけるその影響を専門に取り組んでいます。また、世界的な独立研究機関である Gartner と Forrester、そして情報技術分野の大手企業とも協力して働いています。彼女は、『The Business Benefits of GIS: An ROI Approach』(2008年) の共著者です。会社を代表するゲスト・ブロガーとして貢献し、急速に成長しつつあるクラウド・コンピューティング、ビッグ・データ、オープンソースがメインストリームへと進出するなか、これらの技術に関する執筆活動とプレゼンテーションを頻繁に行っています。



2014年 11月 06日 (初版 2012年 11月 01日)

地理情報システム (Geographic Information System: GIS) は、インテリジェントな空間解析を目的として、誰もがデータを保管、操作、可視化して地図上に表示することを可能にします。データのパターンを明らかにし、そこに見られる関係と傾向を特定することのできる GIS を使って予測モデリングを行うことで、近い将来のビジネスやコミュニティーに影響を与える可能性のある事態を理解し、その事態に今すぐ備えることができます。

GIS がアプリケーションにもたらす付加価値と、地理空間解析の新しい手法としてのクラウドがこの分野にもたらす価値を理解してください。

GIS とは?

地図は情報を伝達します。写真や絵画と同じように、地図では概念や意図を視覚的に強調することができます。地図には履歴を記録し、変化をモデル化し、未来を描き出す力があります。地図によって表現されたパターンと傾向は、言語や文化の壁を超えて理解できるため、重要な意思決定を行う際の強力なツールの 1 つとなり得ます。

GIS には多くの定義がありますが、この記事での GIS の定義は、空間解析、クエリー、ジオプロセシングを目的に空間データを保管し、それらのデータにアクセスするためのダイナミック・マッピング・システムを提供する技術です。

地図にはさまざまな種類があり、地図を使って解決する問題にもさまざまな種類のものがあります。例えば、都市計画、コミュニティーへのサービス提供、公共インフラの管理、ビジネスの開拓および展開、緊急対応オペレーションの改善などは、どれもが地図を使って解決するのが望ましい問題の例として挙げられます。GIS により、ユーザーは大量の情報を収集して伝達し、可視化という手段でユーザー・データの中に潜む関係とパターンを容易に明らかにすることができます。GIS マップは、地物 (地理フィーチャー) を記述する公式の GIS 情報モデルに基づき、マップ・レイヤーの概念の上に作成されます。このモデルは、Web 上にデプロイすることも、デスクトップ・アプリケーションに対して、あるいはサーバーを介して、さらにはモバイル機器に対してデプロイすることもできます。

GIS は従来、オンプレミスのソフトウェアおよびハードウェアの環境に保管されたローカル・データを使用して実装されていましたが、現在は次第にクラウド・インフラストラクチャーを介して提供されるようになっています。クラウド・プラットフォームの出現により、急速に一般の人々が GIS のデータを利用および共有できるようになりつつあるなか、今では誰もが地理空間解析および GIS を利用することができます。情報は至るところで利用できることからその価値が高まっているため、より多くのユーザーとコミュニティーにインテリジェントなマップを提供するプラットフォームは、マップそのものに付加価値を与えるだけでなく、マップ・オファリングを生成するために使用されてきた、基本となる GIS にも (例えば Web マッピング・アプリケーションを通じて) 付加価値を与えます。


地理空間解析の実際

Web 開発者にとっての地理空間解析の価値がよくわかるようにするために、地理空間技術を活用した Web マッピング・アプリケーションの一例を見て行きましょう。

Esri の Operations Dashboard for ArcGIS は、さまざまなコンテンツをマップのコンテキストで表示する Web アプリケーションです。このアプリケーションは、あらゆるタイプのユーザー ― 技術者、コンシューマー、組織の上層部 ― がそれぞれの状況に応じたデータをフィルタリング、集約、表示するための機能を提供する一方、これらのユーザーがあまりにも詳細な情報による情報過多で圧倒されることがないようにします。これにより、その情報が持つ意味やそこから理解できる内容を、わかりやすいダイナミック・マップ形式で伝えることができます。このアプリケーションでは、GIS の強力なシステムを使用して、ビジネス、顧客、さらには、市民、有権者にメリットをもたらす重要な意思決定を行うことが可能です。

図 1 に示す Operations Dashboard Web アプリケーションでは、都市で起こった事件 (インシデント) や出来事 (イベント) に対して地理空間のコンテキストを提供しています。バスの路線、人口動態、主要な公共施設、気象、交通量などのフィーチャーは、イベント (出来事) やインシデント (事件) に関連しており、このデータを可視化することにより、その都市の職員は以下のことが可能になります。

  • マップからリアルタイムで事件 (インシデント) や出来事 (イベント) を把握することができます。
  • 傾向を追跡し、事件の数が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを確認することができます。
  • 任意のブラウザーから 24 時間アクセスできる 1 つの共通操作画面で作業することができます。
図 1. GIS 対応の操作ダッシュボードの例
GIS 対応の操作ダッシュボードの例

この Web マッピング・アプリケーションは、デスクトップ上の Web ブラウザーからでも、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器上の Web ブラウザーからでも使用することができます。アプリケーションのユーザーは、マップのコンテキストで以下の情報を表示することができます。

  • 都市全体に散在する各種ソースから発生する最新のイベント (出来事) およびインシデント (事件) の情報 (例えば、IBM Intelligent Operations Center (IOC) ソリューションから得られるデータや、ArcGIS GeoEvent Extension for Server から生成されるリアルタイムのデータ、その他)
  • イベント (出来事) による影響を受けた人口動態/人口の情報
  • 重要な一般施設 (近隣の学校や保育施設など)、重要な緊急対応施設 (避難所や病院など)、重要なインフラ設備 (地下鉄など) に関する情報
  • インシデント (事件) とパフォーマンス指標から概算された移動時間
  • Twitter や YouTube 動画フィードなどのソーシャル・メディア・データ

ここからは、このマッピング・ダッシュボードを開発するために使用されたコンポーネントのそれぞれに目を向けます。

ArcGIS for Server

Esri ArcGIS for Server は、GIS サービスを作成、管理、配布する機能を Web を介して提供し、デスクトップ、モバイル、および Web マッピング・アプリケーションをサポートします。さらに、ArcGIS for Server がユーザーに提供するスケーラブルな GIS サーバー・プラットフォームは、小規模なワークグループをサポートするために 1 台のマシンにデプロイすることも、エンタープライズ・アプリケーションをサポートするために複数のサーバーに分散させることもできます。

ArcGIS for Server は、開発者、GIS 専門家、モバイル作業者だけでなく、GIS の使用経験がまったくない知識労働者でも GIS サービスを簡単に利用できるようにします。ArcGIS for Server では、ユーザーが空間データ (画像を含む) を一元管理することで、コンテンツ全体を把握します。

マップサービス

マップサービスとは、ユーザーが ArcGIS for Server を使用して Web にマップを公開する手段です。ユーザーは、Web アプリケーション、モバイル・アプリケーション、ArcGIS for Desktop、ArcGIS Online、そしてその他のクライアント・アプリケーションでマップサービスを利用することができます。マップサービスの一般的な用途の一例は、ArcGIS Online または Bing Maps が提供するベースマップ・タイルの上に運用 (ビジネス) データを重ねて表示することです。マップサービスは、以下をはじめ、他にもさまざまな用途に使用することができます。

  • ダイナミック・マップを提供する
  • タイル化したキャッシュ・マップを提供する
  • フィーチャーを提供する
  • ネットワーク解析機能 (経路探索機能、ジオコーディング機能など) を提供する
  • KML によるマップまたはフィーチャーを提供する
  • 画像データまたはラスター・データを提供する
  • モバイル機器向けマップを提供する

マッピング API

ArcGIS マッピング API は、広範な種類のプラットフォームや言語で使用することができます。Web の場合は、最近の HTML5/JavaScript API が第一の選択肢となります。モバイル・プラットフォームの場合は、Android、iOS、Windows Phone に対応した Esri SDK があります。従来のデスクトップや、これら以外のプラットフォームの機器の場合は、.NET、Java、Mac OS X、Qt に対応した SDK があります。Esri API と SDK を採用している IBM ソフトウェア製品には、Maximo、TRIRIGA、i2、SPSS があります。

これらの異なる言語から、開発者は各自のお気に入りの言語と、その言語が持つ強みを活用して、マッピング Web サービスや地理空間解析 Web サービスを利用することができます。さらに使いやすさを向上させるために、Esri からは数多くの構成可能なアプリケーション・テンプレートや、開発者でなくてもカスタムの Web マッピング・アプリケーションをすぐに作成できるようにサポートするアプリケーション・ビルダーが用意されています。これらの各種 API を使用すれば、ArcGIS for Server マップサービスを利用するための機能が組み込まれているため、Web アプリケーションや、デスクトップ・アプリケーション、モバイル・アプリケーションなどの開発が容易になります。

マッピング・コンテンツ

ArcGIS Online は、組織が地理情報をセキュアかつ構成可能な環境で管理できるようにするための完全なクラウド・ベースのコラボレーティブ・コンテンツ管理システムです。ArcGIS Online の機能として提供されているマップサービスおよびジオサービスを利用すれば、開発者は自身のアプリケーションの中で多種多様なベースマップを利用できるようになります。ArcGIS マッピングの API と SDK には、ArcGIS Online マップを活用するための機能が組み込まれているため、開発者は独自のコンテンツのコンテキストを提供するために、ベースマップを背景として使用することができます。

例えば、開発者が JavaScript による Web アプリケーションに世界中の道路を表すベースマップを追加するために ArcGIS API for JavaScript と ArcGIS Online のベースマップを使用することができます。

var map;
require(["esri/map", "dojo/domReady!"], function(Map) {
    map = new Map("mapDiv", {
      center: [-56.049, 38.485],
      zoom: 3,
      basemap: "streets"
    });
});

さまざまなタイプのマップサービスを使用したサンプル、空間解析を可能にするウィジェット、そしてアプリケーション・テンプレートの完全なリストについては、開発者とユーザーがこれらに関する知識を広げるのに役立つ情報が ArcGIS for Developers サイトに豊富にあります。このサイトには、アプリケーションを構築するために必要なすべての要素についての情報と、既存のアプリケーション・テンプレートをカスタマイズして活用する方法が掲載されています。


Esri マップのアプリケーションに戻る

Esri マップ Web アプリケーションで使用される地理空間解析機能の 1 つは、道路網に基づくサービス・エリアと、道路区間ごとの自動車での推定所要時間を計算する機能です。この解析では、ArcGIS for Server が、ある位置から一定の時間内 (例えば、分単位) で到達できる道路網のすべての地点を計算します。5 分のサービス・エリアをリクエストした場合には、ArcGIS for Server は指定された中心点から到達できるすべての道路と、各道路で自動車が 5 分以内に到達できる距離を計算して、該当するエリアを表すポリゴンをマップ上に表示します。このサンプル ArcGIS API for JavaScript は、クライアント・サイドでの実装がいかに簡単であるかを実際に示します。ArcGIS for Server サービス・エリア Web サービスが公開されると同時に、JavaScript アプリケーションはこのサービスをタスクとして直接使用できるようになります。以下のコード・スニペットには、サンプルのこの部分をハイライトしたものです。

リスティングを見るにはここをクリック

map = new Map("map", { 
  basemap: "streets",
  center: [-122.447, 37.781],
  zoom: 15
});

map.on("click", mapClickHandler);

params = new ServiceAreaParameters();
params.defaultBreaks= [5];
params.outSpatialReference = map.spatialReference;
params.returnFacilities = false;

serviceAreaTask = new 
ServiceAreaTask("http://sampleserver3.arcgisonline.com/ArcGIS/rest/services/Network/USA/NAServer/Service Area");

サービス・エリアは、ArcGIS で利用できる地理空間解析の一例です。ArcGIS では多くの空間解析ツールが Web サービスとして使用できるようになっています。これらの Web サービスのそれぞれでは、空間の側面を計算に欠かせない部分として考慮に入れた、極めて複雑な操作に対処することができます。

この記事の例では、アプリケーションを JavaScript による Web アプリケーションとして実装します。このアプリケーションでは、機能を有効にするために複数の Web サービスを使用します。マッピング機能のために使用するのは、Esri の ArcGIS Online で実行される ArcGIS API for JavaScript とマップサービス、そして ArcGIS for Server です。さらにこのアプリケーションでは、ArcGIS for Server のマップサービスを使用して、事件 (インシデント) および出来事 (イベント) の周辺の一般施設、人口動態、緊急対応施設、交通情報、気象情報を表示します。

図 2 に、ArcGIS for Server と Esri マップ Web アプリケーションのデプロイメント・アーキテクチャーを示します。

図 2. デプロイメント・アーキテクチャー

ArcGIS for Server は、各種のデータセット・タイプとフォーマットに基づいてコンテンツを公開することが可能です。例えば、ArcGIS for Server は、(地理空間コンテンツ用のファイル・フォーマットをした) ジオデータベース・ファイルに含まれるデータセットを公開することができます。データセットが頻繁に更新されるために同期が必要な場合には、そのデータセットをリレーショナル・データベースに保持することを推奨します。さらに高度な機能を提供するために、そのリレーショナル・データベースを Esri の ArcGIS for Server 用エンタープライズ・ジオデータベースとしてオプションで使用可能にすることができます。ArcGIS for Server は、IBM DB2、IBM Informix、Oracle、SQL Server、PostgreSQL などの多種多様な RDBMS をサポートしています。さらに、IBM Netezza および Teradata などのデータウェアハウス・データベースを読み取り専用でサポートしているほか、次のリリースである ArcGIS for Server 10.3 では SAP HANA のサポートも導入される予定です。

上記のアーキテクチャー図には、ArcGIS Desktop を使用する地理空間データ・アナリストの図も示されています。ArcGIS for Desktop を使用することで、アナリストは地理空間コンテンツを作成および管理できるだけでなく、非常に高度な空間解析を行うこともできます。


IBM SoftLayer 上での ArcGIS for Server のデプロイメント

ArcGIS for Server は 1 台のマシンとしてデプロイすることも、複数台のマシンを使用した構成で構築することもできます。後者の方法で構築すれば、キャパシティーに対する要求の増大に対応したり、冗長構成によって高可用性を実現したりする上で役立ちます。ArcGIS for Server アーキテクチャーは、クラウド環境に極めて効率的にデプロイすることができます。このセクションではその一例として、ArcGIS for Server を IBM SoftLayer 環境にデプロイする方法を説明します。

IBM SoftLayer は、世界中のさまざまな場所で使用できる IBM のパブリック・クラウドです。IBM SoftLayer では、GIS のマッピング機能や解析機能を使用したいと思っているユーザーが、クラウド・インフラストラクチャーの機能を簡単に使用できるようになっています。SoftLayer には、ベアメタル・サーバーや QuantaStor ストレージ・アプライアンスをプロビジョニングする機能など、独特の機能があることから、ユーザーがクラウド環境において最も CPU インテンシブなタスクや最も I/O インテンシブなタスクを実行する場合でさえも、SoftLayer が素晴らしい選択肢となります。

この後のステップに進むにあたっては、SoftLayer のアカウントと ArcGIS for Server のライセンス (試用版も利用可能です) が必要になります。SoftLayer では、ベアメタル・サーバー、仮想マシン、またはその両方をプライベート・クラウド内でプロビジョニングする機能を提供しています。ユーザーが自ら構築する場合、ベアメタル・サーバーと仮想マシンとの間で、コストとパフォーマンスのトレードオフ、機能、管理のしやすさを慎重に検討する必要があります。

この後のステップには、ベアメタル・サーバーまたは仮想サーバーのいずれかに適用されるセットアップが含まれています。イメージの作成に言及している箇所が見つかる場合がありますが、その部分はオペレーティング・システムのサポートに関する 2、3 の制約を伴うものの、ベアメタル・サーバーと同様に仮想サーバーにも完全に適用されます。ベアメタルの構成がイメージの作成をサポートしていない場合には、以前に作成されたイメージをベースに新しいマシンをプロビジョニングする作業の代わりに、新しいベアメタル・サーバー上に手作業でソフトウェアをインストールする作業が、セットアップに含まれることになるはずです。

  1. SoftLayer ポータルを使用して、新しいマシンを要求します。それには、「Device List (端末リスト)」 > 「Order Devices (端末を注文)」の順にクリックします。
    図 3. SoftLayer の製品やサービスを注文する
    SoftLayer の製品やサービスのウィンドウ

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    図 3. SoftLayer の製品やサービスを注文する

    SoftLayer の製品やサービスのウィンドウ
  2. プロビジョニング対象とするマシンのタイプを選択します。選択肢には、ベアメタル・サーバー、ベアメタル・インスタンス、仮想サーバー、パブリック・クラウド・インスタンスがあります。
    • ベアメタル・サーバー: フル・カスタマイズが可能です。仕様に従って正確に構築するには、2 時間から 4 時間程度かかります。
      1. CPU タイプを選択します。
      2. ベアメタル・サーバーの詳細な仕様を構成します。マシンのオペレーティング・システムには、ArcGIS for Server でサポートしているオペレーティング・システムを使用する必要があります。例えば、Microsoft Windows Server 2012 R2 または RedHat Enterprise Linux 6 などです。CPU、RAM、ストレージ、バックアップ機能、等々に関する選択肢は数多くあり、このステップでユーザーの詳細な要求に合うようにベアメタル・サーバーをカスタマイズすることができます。例えば、ストレージ・ベイの構成は、SSD またはハード・ディスクによる RAID または JBOD 構成にすることができます。
        図 4. ベアメタル・サーバーを構成する
        ベアメタル・サーバーを構成する
    • ベアメタル・インスタンス: 選択肢は非常に少なく、ほぼ即座に使用可能です。
    • 仮想サーバー: 従来のシングル・テナント仮想マシンであり、選択肢は限られていて、ほぼ即座に使用可能です。
    • ユーザーの要求に従って仮想サーバーを構成します。構成項目には、データ・センターの場所、CPU、RAM、ストレージ、等々があります。ベアメタル・サーバーの構築する場合と同様に、マシンのオペレーティング・システムには、ArcGIS for Server でサポートしているオペレーティング・システムを使用する必要があります。例えば、Microsoft Windows Server 2012 R2 または RedHat Enterprise Linux 6 などです。
      図 5. 仮想サーバーを構成する
      仮想サーバーを構成する

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      図 5. 仮想サーバーを構成する

      仮想サーバーを構成する
    • パブリック・クラウド・インスタンス: マルチテナントであり、ほぼ即座に使用可能です。

ArcGIS for Server のインストールのカスタマイズ

  1. インスタンスの準備ができたら、リモート・デスクトップまたは ssh でインスタンスにアクセスします。
  2. セットアップ・ファイルをローカルの任意の場所にダウンロードして、ArcGIS for Server セットアップ実行可能ファイルを実行し、ソフトウェアをインストールします。ArcGIS for Desktop と ArcGIS for Server の両方をインストールして、ライセンス・ファイルを使って使用を許可することもできます。

    適切なバックアップ・ソリューションを構成済みであれば、他のステップを実行する前にバックアップを作成しておくのが望ましく、仮想マシンまたはサポートされているベアメタル・サーバーの構成を使用しているのであれば、他のステップを実行する前にイメージを作成しておくのが望ましいです。

  3. バックアップまたはイメージが正常に作成されたら、イメージから 2 台目のサーバーを構築するか、ソフトウェアを作成して 2 台目のベアメタル・サーバー上にインストールします。このプロセスは、空間 (マップ) データをコピーすることから始めます。

    空間データは、以下のいずれかの場所に配置することができます。

    • マシンに直接接続されているローカルのディスク上。ArcGIS for Server がデプロイされているマシンを 1 台稼働させることを計画しているのであれば、どのような場合でも、ここに配置すれば十分なはずです。
    • すべてのマシンに共通のリモート共有ドライブ上。複数台のマシンによる分散構成で ArcGIS for Server をデプロイする場合や、個別の ArcGIS for Server の複数のサイトから共通のデータセットにアクセスする必要がある場合には、このセットアップが必要です。
    • IBM DB2、IBM Informix、Oracle、SQL Server、または PostgreSQL などのリレーショナル・データベース内。この記事では、これらのデータベースの構築については説明しませんが、データベースが構築されれば、ArcGIS for Server から容易に利用することができます。

    パフォーマンスが重要な場合や、非常に大きなデータセットには、SoftLayer の iSCSI や QuantaStor のストレージ・オプションを使用することを検討してください。

  4. 予定の場所に空間データをセットアップします。ArcGIS for Desktop を起動し、空間データをセットアップした場所から MXD ファイルをロードします。MXD ファイル (つまり、マップ文書) とは、使用する空間データセットへの参照と、データセットの表示方法の設定が含まれたファイルのことです。空間データがリモートの場所にある場合には必ず、その空間データをデプロイしたマシンと、その空間データにアクセスするマシンの両方のポートを開いてください。また、Windows オペレーティング・システム上で実行される場合は、Windows ファイウォールがこれらのポートを開いていることを確認します。

    ArcGIS for Server のマシンを利用できない場合であっても、継続して利用できるネットワークの場所を使用するようにしてください。これにより、仮想化環境や複製された環境を構築する場合に、構成して実行する準備ができているイメージから、新しいマシンが起動されることが保証されます。

    図 6. 空間データをセットアップする
    空間データをセットアップする

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    図 6. 空間データをセットアップする

    空間データをセットアップする
  5. マシン自身のローカルに接続する場合には、http://localhost:6080/arcgis/manager にアクセスして ArcGIS for Server Manager を起動します (それ以外の場合は、接続先のマシンのホスト名か IP アドレスを指定します)。そして、「Create New Site (新規サイトの作成)」を選択します。
  6. ユーザー名とパスワードを設定して、管理者アカウントを割り当てます。

    ArcGIS for Server 構成ファイルは、以下のいずれかの場所に配置することができます。

    • マシンに直接接続されているローカルのディスク上。ArcGIS for Server がデプロイされているマシンを 1 台稼働させることを計画しているのであれば、どのような場合でも、ここに配置すれば十分です。
    • すべてのマシンに共通のリモート共有ドライブ上。複数台のマシンによる分散構成で ArcGIS for Server をデプロイする場合には、このセットアップが必要です。

    ArcGIS for Server マシンが使用不可能になっても引き続き使用できるネットワーク上の場所が使用されていることを確認します。これにより、仮想化環境や複製された環境を構築する場合に、構成して実行できる状態のイメージから、新しいマシンが起動されることが保証されます。

  7. ArcGIS for Desktop によって、この新しいセットアップの ArcGIS for Server サイトに、先ほど選択した場所に置かれているデータと MXD を使用してマップサービスを公開します。それには、「File (ファイル)」 > 「Share As (共有)」 > 「Service (サービス)」の順にクリックします。
    図 7. マップサービスを公開する
    マップサービスを公開する

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    図 7. マップサービスを公開する

    マップサービスを公開する
  8. この時点で、次のイメージの作成に取り掛かれます。新しく作成するイメージには、このイメージで公開するサービスに対応する名前を指定してください。イメージを作成したら、SoftLayer Customer Portal で 2 つのイメージを確認できるはずです。それには、「Devices (デバイス)」 > 「Manage (管理)」 > 「Images (イメージ)」の順に選択します。
    図 8. SoftLayer でイメージの管理を選択する
    イメージの管理を選択する

仮想化環境でカスタマイズしたイメージからインスタンスを起動する

インスタンスは、事前に構成済みのサービスを組み込んだイメージから起動することができます。この場合、イメージから起動するインスタンスのそれぞれには、その構成済みサービスの定義が含まれることになるため、起動したインスタンスをすぐに使用することができます。ArcGIS for Server Manager にログインすると、サイトを作成するよう促されるのではなく、ログインするよう促されます。

  1. ArcGIS for Server Manager にログインすると、そこでは前に公開したのと同じサービスがすでに実行中になっています。これは、単一マシンによるサイト構成を復元する場合に有効な方法です。
  2. 複数台のマシンによるサイト構成では、同じイメージを使用してインスタンスを追加するか、あるいはインスタンスのうちの 1 つを回復するという方法を使用してください。複数台のマシンによるサイト構成を構築する場合には、イメージから新しいインスタンスを起動します。インスタンスが起動したら、リモート・デスクトップでインスタンスにアクセスすることができますが、今回は URL http://localhost:6080/arcgis/admin を指定して (リモートでログインする場合は、ログイン先のマシンのホスト名か IP アドレスを指定して) 管理 API にログインします。ArcGIS for Server Manager にログインするときと同じアカウントを使用してログインし、「Supported Operations (サポートされている操作)」から「deleteSite (サイトの削除)」を選択します。
    図 9. 複数台のマシンによるサイト構成の場合
    「ArcGIS Server Administrator Directory (ArcGIS Server 管理者ディレクトリー)」のスクリーンショット

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    図 9. 複数台のマシンによるサイト構成の場合

    「ArcGIS Server Administrator Directory (ArcGIS Server 管理者ディレクトリー)」のスクリーンショット
  3. サイトを削除することで、そのマシンは別のサイトと結合できるようになります。この場合に結合するサイトは、最初のインスタンスのサイトです。ArcGIS for Server Manager を起動してログインし、「Join Existing Site (既存のサイトの結合)」をクリックします。
  4. メイン・サイトが含まれる最初のインスタンスの IP アドレスを入力します。その後は、サイトを結合するための操作を完了します。ここで行った操作が有効に機能するには、インスタンス上のファイアウォールが、ArcGIS for Server で使用するポートを確実に開いているようにします。簡単なデフォルト・セットアップの場合、ArcGIS for Server で使用するポートは tcp/6080 と tcp/4000-4003 です。
  5. 新しいインスタンスが最初のインスタンスと結合すると、この 2 つが同じサイトで実行され、クラスターが形成されることになります。2 つのインスタンスが結合されていることを、いずれかのマシンまたは両方のマシンの ArcGIS for Server Manager で確認するには、「Site (サイト)」タブを表示してサイド・メニューから「Machines (コンピュータ)」を選択します。
    図 10. 新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する
    新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する

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    図 10. 新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する

    新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する
  6. この手法を使用して、実行中のクラスターに、必要に応じてさらにインスタンスを追加することができます。また、インスタンスを置き換える必要が生じた場合にも随時、この手法を使用することができます。さらに、ArcGIS for Server の REST ベースの管理 API を使用して、以上の手順で説明した変更を行えるように簡単な自動化をイメージに組み込むことも可能です。
  7. サーバー・マシン上で Windows を実行している場合は、いずれかのサーバー・マシンへの Web アプリケーションのデプロイは IIS Web サーバーを使用して行うことができます。Web アプリケーションが Linux 上で実行される場合は、Apache や nginx といったサーバー上にデプロイすることができます。どちらにデプロイするかは、デプロイメントのアーキテクチャーおよび対処する要件に依存します。

まとめ

地理空間解析とマッピングの機能は、アプリケーションを変容させる力を持っています。これは、ユーザー・エクスペリエンスの観点や使いやすさの面のみならず、機能がもたらすメリットの面についても言えることです。位置の影響を情報の一部として理解し、情報の解析時に位置情報と地理情報を考慮に入れることで、今まで情報の中に隠れていて把握するのが困難であった新しい洞察を得ることができます。通常の解析を行うことに加え、それを位置および地理フィーチャーの解析で拡充することができれば、部分的な洞察は完全な理解へと変わります。この記事で取り上げた Esri マップ Web アプリケーションは、単純にデータをリッチなマップに可視化することで新しい洞察をもたらす一例です。

さらに、クラウドで ArcGIS for Server を利用することには、さまざまな機能が使えるようになると同時に、リソース使用量が常に管理され、デプロイメント要件に応じて最適化されるという重要な側面があります。ArcGIS 10.2 for Server は、クラウド環境で効率的に実行されるように作成されており、そのアーキテクチャーは、分散型の仮想環境またはベアメタル環境においてユーザーが最高のパフォーマンスとスケーラビリティーを実現できるように設計されています。ArcGIS for Server のマッピング機能と地理空間解析機能を活用するアプリケーションの構築をサポートするには、ArcGIS for Server を IBM SoftLayer クラウドにデプロイすると効果的です。

自身が開発するアプリケーションでマッピング機能と地理空間解析機能を利用したいと思っている開発者は、クラウド環境で必要となる機能を提供してくれる非常にリッチなプラットフォームを Esri 製品のなかで見つけることができます。

謝辞

  • Julio Olimpio 氏 ― Esri の IBM 戦略アライアンス・マネージャー
  • Michael Belikoff 氏 ― Esri のシステム・アナリスト (ISSO)
  • Wolfgang Kulhanek 氏 ― リード・クラウド・アーキテクト、IBM エクゼクティブ IT スペシャリスト

参考文献

  • ArcGIS の API と SDK を使用するとともに、ArcGIS for Server および ArcGIS Online を利用するアプリケーション・テンプレートを使用して、極めて迅速に強力なマッピング・アプリケーションを作成する作業を始めてください。
  • モバイル・プラットフォームに焦点を当て、iOSAndroidWindows Phone 用の API を使用して、モバイル端末に特有のアプリケーションを作成してください。
  • ArcGIS Desktop ではデータ・スペシャリストがデータの管理と作成を行えるだけでなく、非常に高度な解析によって追加のデータを生成することもできます。
  • コストがかからずに始められる ArcGIS for Developers の Plans を介して、Esri で提供している各種の API とコンテンツを利用することで、今日から開発を始めてください。
  • ArcGIS for Server を使用して開発するために、EDN (Esri Developer Network) を介して提供される完全なソフトウェア・スイートを利用してください。年間契約のサブスクリプションで利用できる EDN は、Esri ArcGIS の製品および開発用ツールのライセンスをコスト・エフェクティブな方法で提供します。ArcGIS for Server と ArcGIS for Desktop には、トライアル・ライセンスも用意されています。Web、デスクトップ、モバイル、サーバーのいずれを対象とした開発者にとっても、ArcGIS for Developers と EDN には、自分の環境やクラウドに簡単にデプロイできる GIS アプリケーションおよび GIS ソリューションを作成する上で必要なリソースが用意されています。

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