IBM SmarterCloud Enterprise でマッピング機能と地理空間解析機能を使えるようにする

Esri ArcGIS と Esri マップ

クラウド・コンピューティングは、リソース管理、コスト削減、そしてインフラストラクチャー最適化に対応した次世代の IT プラットフォームになりつつあります。クラウドに伴う主要な特性には、地理空間技術との内在的な関係があります。具体的に言うと、地理空間専門家のタフな要求を満たすための動的なリソース割り当て、関連分野の技術、そしてテラバイト規模の空間データで解析を行うために必要な強力な計算能力です。この記事では、GIS と地理空間解析について概説し、Esri の製品である ArcGIS と Esri のマップ・アプリケーションを紹介します。さらに、このアプリケーションを IBM SmarterCloud Enterprise にデプロイする方法を説明します。

Marwa Mabrouk, ArcGIS for Server Product Manager, Esri

Marwa Mabrouk は、GIS の世界的なリーダー的立場にいる Esri の製品マネージャーとして、サーバー・ベースの製品を重点に取り組み、クラウド・コンピューティングとビッグ・データを GIS と空間解析に導入しています。彼女はこれまで 14 年以上、GIS の新しい分野の開拓に時間と関心を注いできました。業界のオンライン・マップ・オファリングにおける初のホスト型 Web サービスの開発を主導した後、技術リーダーとしてクラウドに Esri の管理サービスを確立しました。彼女はケンタッキー州ルイスビル大学でコンピューター・サイエンスの修士号を取得し、カリフォルニア州レッズランド大学で MBA を取得しました。



Victoria Kouyoumjian, Senior Business and Technologies Strategist, Esri

Victoria Kouyoumjian は Esri でこれまで 15 年以上、地理空間分野に取り組み、その間に先端技術における多くの変化を目にしてきました。開発者向けソフトウェア・ソリューション・スイートの製品マネージャーとしての数年間の経験を経て、現在は Senior Business and Technologies Strategist として、クラウド・コンピューティングやビッグ・データ、そしてオープンソースなどの新しい技術傾向と地理空間コミュニティーにおけるその影響を専門に取り組んでいます。また、世界的な独立研究機関である Gartner と Forrester、そして情報技術分野の大手企業とも協力して働いています。彼女は、『The Business Benefits of GIS: An ROI Approach』(2008年) の共著者です。会社を代表するゲスト・ブロガーとして貢献し、急速に成長しつつあるクラウド・コンピューティング、ビッグ・データ、オープンソースがメインストリームへと進出するなか、これらの技術に関する執筆活動とプレゼンテーションを頻繁に行っています。



2012年 11月 01日

地理情報システム (Geographic Information System: GIS) は、インテリジェントな空間解析を目的として、誰もがデータを保管、操作、可視化して地図上に表示することを可能にします。データのパターンを明らかにし、そこに見られる関係と傾向を特定することのできる GIS を使って予測モデリングを行うことで、近い将来のビジネスやコミュニティーに影響を与える可能性のある事態を理解し、その事態に今すぐ備えることができます。

この記事の最初のセクションでは、GIS がアプリケーションにもたらす付加価値を紹介するとともに、地理空間解析の新しい手法としてのクラウドがこの分野にもたらす価値を検討します。

地図は情報を伝達します。写真や絵画と同じように、地図では概念や意図を視覚的に強調することができます。地図には履歴を記録し、変化をモデル化し、未来を描き出す力があります。地図によって表現されたパターンと傾向は、言語や文化の壁を超えて理解できるため、重要な意思決定を行う際の強力なツールの 1 つとなります。

GIS には多くの定義がありますが、この記事での GIS の定義は、空間解析、クエリー、ジオプロセシングを目的に空間データを保管し、それらのデータにアクセスするためのダイナミック・マッピング・システムを提供する技術です。

地図にはさまざまな種類があります。地図を使って解決する問題にも、例えば都市計画、コミュニティーへのサービス提供、公共インフラの管理、ビジネスの開拓および展開、緊急対応オペレーションの改善など、さまざまなものがあります。GIS により、ユーザーは大量の情報を収集して伝達し、可視化という手段でユーザー・データの中に潜む関係とパターンを容易に明らかにすることができます。GIS マップは、地物 (地理フィーチャー) を記述する公式の GIS 情報モデルに基づき、マップ・レイヤーの概念の上に作成されます。こうして作成された GIS マップは、Web 上にデプロイすることも、デスクトップ・アプリケーションに対して、あるいはサーバーを介して、さらにはモバイル機器に対してデプロイすることもできます。

GIS は従来、オンプレミスのソフトウェアおよびハードウェアに保管されたローカル・データを使用して実装されていましたが、現在は次第にクラウドで利用されるようになっています。クラウド・コンピューティングの出現により、急速に一般の人々が GIS のデータを利用および共有できるようになりつつあるなか、今ではほとんどの人々が地理空間解析および GIS を利用することができます。GIS はその普及とともに価値が高まっていることから、より多くのユーザーとコミュニティーにインテリジェントなマップを提供するプラットフォームは、マップそのものに付加価値を与えるだけでなく、マップ・オファリングを生成するために使用されてきた、基本となる GIS にも、例えば Web マッピング・アプリケーションを通じて付加価値を与えます。

地理空間解析とマッピング

地理空間解析とマッピングの機能は、アプリケーションの形を変える力を持っています。これは、ユーザー・エクスペリエンスの観点や使いやすさの面のみならず、機能がもたらすメリットの面からも言えることです。位置の影響を情報の一部として理解し、情報の解析時に位置情報と地理情報を考慮に入れることで、今まで情報の中に隠れていて把握するのが困難であった新しい洞察を得ることができます。通常の解析を行うことに加え、それを位置および地理フィーチャーの解析で拡充することができれば、部分的な洞察は完全な理解へと変わります。Esri マップ Web アプリケーションは、単純にデータをリッチなマップに可視化することで新しい洞察をもたらす一例です。

さらに、クラウドで ArcGIS Server を利用すれば、そのような機能が使えるようになると同時に、リソース使用量を常に管理して、デプロイメント要件に応じて最適化するという重要な側面があります。ArcGIS 10.1 for Server は、クラウド環境で効率的に実行されるように作成されており、そのアーキテクチャーは、分散仮想環境においてユーザーが最高のパフォーマンスとスケーラビリティーを実現できるように設計されています。ArcGIS Server のマッピング機能と地理空間解析機能を活用するアプリケーションの構築をサポートするには、ArcGIS Server を IBM SmarterCloud Enterprise にデプロイすると効果的です。

自身が開発するアプリケーションでマッピング機能と地理空間解析機能を利用したいと思っている開発者は、クラウド環境で必要となる機能を提供してくれる非常にリッチなプラットフォームを Esri 製品のなかで見つけることができます。ArcGIS Online と ArcGIS Server を利用した ArcGIS マッピング API とアプリケーション・テンプレートにより、開発者は非常に強力なマッピング・アプリケーションの構築に極めて迅速に取り掛かることができます。一方、モバイル・プラットフォームにフォーカスし、モバイル機器に固有のアプリケーションを構築することを目指している開発者は、モバイル対応の ArcGIS API を活用することができます。これに加え、ArcGIS Desktop ではデータ・スペシャリストがデータの管理と作成を行えるだけでなく、非常に高度な解析によって追加のデータを生成することもできます。

開発者は今日からすぐに、Esri が EDN (Esri Developer Network) を介して提供する各種の API、製品、コンテンツを使い始めることができます。年間契約のサブスクリプションで利用できる EDN は、Esri ArcGIS の製品およびツールのライセンスをコスト・エフェクティブな方法で提供します。開発の対象が Web、デスクトップ、モバイル、あるいはサーバーのどれであろうと、EDN には、開発者がそれぞれの環境やクラウドに簡単にデプロイできる GIS アプリケーションや GIS ソリューションを構築するために必要なリソースが揃っています。


地理空間解析の実例: Esri マップ

Web 開発者にとっての地理空間解析の価値がよくわかるようにするために、地理空間技術を活用した Web マッピング・アプリケーションの一例を見て行きましょう。

Esri マップ Web アプリケーションは、さまざまなコンテンツをマップのコンテキストで表示します。このアプリケーションは、ユーザーがそれぞれの状況に応じたデータをフィルタリング、集約、表示するための機能を提供する一方、あまりにも詳細で過剰な量の情報を組織の上層部の人間が扱わずに済むようにし、その情報が持つ意味やそこから理解できる内容を、わかりやすいダイナミック・マップ形式で伝えます。このアプリケーションでは、GIS の強力なシステムを使用して、ビジネス、顧客、さらには、市民、有権者にメリットをもたらす重要な意思決定を行うことが可能です。

Esri マップ Web アプリケーションは、都市で起こった事件 (インシデント) や出来事 (イベント) に地理空間のコンテキストを提供します。IOC (IBM Intelligent Operations Center) によって生成されたイベント (出来事) やインシデント (事件) に関連するバスの路線、人口動態、主要な公共施設、気象、交通量などのフィーチャーを可視化することにより、その都市の職員は以下のことが可能になります。

  • マップからリアルタイムで事件 (インシデント) や出来事 (イベント) を把握することができます。

  • 傾向を追跡し、事件の数が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを確認することができます。

  • 任意のブラウザーから 24 時間アクセスできる 1 つの共通操作画面で作業することができます。

この Web マッピング・アプリケーションは、デスクトップ上の Web ブラウザーからでも、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器上の Web ブラウザーからでも使用することができます。アプリケーションのユーザーは、マップのコンテキストで以下の情報を表示することができます。

  • 都市全体に散在する各種ソースからの情報を基に IBM IOC が提供する最新のイベント (出来事) およびインシデント (事件) の情報

  • イベント (出来事) による影響を受けた人口動態/人口の情報

  • 重要な一般施設 (近隣の学校や保育施設など)、重要な緊急対応施設 (避難所や病院など)、重要なインフラ設備 (地下鉄など) に関する情報

  • インシデント (事件) とパフォーマンス指標から概算された移動時間

  • Twitter や YouTube 動画フィードなどのソーシャル・メディア・データ

このサンプル・アプリケーションを確認するには、IOC (IBM Intelligent Operations Center) のダッシュボードを見てください。

ここからは、このマッピング・ダッシュボードを開発するために使用されたコンポーネントのそれぞれに目を向けます。

ArcGIS Server

ArcGIS Server は、GIS サービスを作成、管理、配布する機能を Web を介して提供し、デスクトップ、モバイル、および Web マッピング・アプリケーションをサポートします。さらに、ArcGIS Server が提供するスケーラブルな GIS サーバー・プラットフォームは、小規模なワークグループをサポートするために 1 台のコンピューターにデプロイすることも、エンタープライズ・アプリケーションをサポートするために複数のサーバーに分散させることもできます。

ArcGIS Server は、開発者、GIS 専門家、モバイル作業者だけでなく、GIS の使用経験がまったくない知識労働者でも GIS サービスを簡単に利用できるようにします。ArcGIS Server では、ユーザーが空間データ (画像を含む) を一元管理することで、コンテンツ全体を把握します。

マップサービス

マップサービスとは、ユーザーが ArcGIS Server を使用して Web にマップを公開する手段です。インターネットやイントラネットのユーザーは、Web アプリケーション、モバイル・アプリケーション、ArcGIS Desktop、ArcGIS Online、そしてその他のクライアント・アプリケーションでマップサービスを使用することができます。マップサービスの一般的な用途の一例は、ArcGIS Online、Bing Maps、または Google マップが提供するベースマップ・タイルの上にビジネス・データを重ねて表示することです。マップサービスは、以下をはじめ、他にもさまざまな用途に使用することができます。

  • ダイナミック・マップを提供する

  • タイル化したキャッシュ・マップを提供する

  • フィーチャーを提供する

  • ネットワーク解析機能を提供する

  • KML によるマップまたはフィーチャーを提供する

  • 画像データまたはラスター・データを提供する

  • モバイル機器向けマップを提供する

マッピング API

ArcGIS マッピング API は、JavaScript、Microsoft Silverlight、および Adobe Flex で使用することができます。これらの異なる言語から、Web 開発者は各自のお気に入りの言語と、その言語が持つ強みを活用して、マッピング Web サービスや地理空間解析 Web サービスを利用することができます。さらに使いやすさを向上するために、アプリケーション・テンプレートも用意されています。

ArcGIS Mobile では、開発者がモバイル機器用に作成された API を利用することもできます。これらの各種 API には、ArcGIS Server マップサービスを利用するための機能が組み込まれているため、Web アプリケーションやモバイル・アプリケーションを簡単に開発することができます。

マッピング・コンテンツ

ArcGIS Online は、組織が地理情報を安全かつ構成可能な環境で管理できるようにするための完全なクラウド・ベースのコラボレーティブ・コンテンツ管理システムです。ArcGIS Online の機能として提供されているマップサービスおよびジオサービスを利用すれば、開発者は自身のアプリケーションの中で多種多様なベースマップを利用できるようになります。ArcGIS マッピング API には、ArcGIS Online マップを活用するための機能が組み込まれているため、開発者はベースマップを独自のコンテンツの背景/コンテキストとして使用することができます。

例えば、開発者が JavaScript による Web アプリケーションに世界中の道路を表すベースマップを追加するために ArcGIS API for JavaScript と ArcGIS Online のベースマップを使用することができます。

さまざまなタイプのマップサービスを使用したサンプル、空間解析を可能にするウィジェット、そしてアプリケーション・テンプレートの完全なリストについては、ArcGIS Web Mapping リソース・センターで、それぞれのマッピング API を参照してください。各マッピング API に関する開発者とユーザーの知識を広げるのに役立つ豊富な情報源として、このリソース・センターにはアプリケーションを構築するために必要なすべての要素についての情報と、既存のアプリケーション・テンプレートをカスタマイズして活用する方法が掲載されています。

Esri マップのサンプル・アプリケーションについて

Esri マップ Web アプリケーションが提供する地理空間解析機能の 1 つは、サービス・エリアの計算です。この解析では、ArcGIS Server が、ある位置から一定の時間内 (例えば分単位) で到達できる道路網のすべての地点を計算します。つまり、5 分のサービス・エリアをリクエストした場合には、ArcGIS Server は指定された中心点から到達できるすべての道路と、各道路で自動車が 5 分以内に到達できる距離を計算して、該当するエリアを表すポリゴンをマップ上に表示します。

サービス・エリアを表示するこのサンプル ArcGIS API for JavaScript は、クライアント・サイドでの実装がいかに簡単であるかを際立たせます。ArcGIS Server サービス・エリア Web サービスが公開されると同時に、JavaScript アプリケーションはこのサービスをタスクとして直接使用できるようになります。

サービス・エリアは、ArcGIS で利用できる地理空間解析の一例です。ArcGIS では多くの空間解析ツールが Web サービスとして使用できるようになっています。これらの Web サービスのそれぞれでは、計算に欠かせない部分として空間の側面を使用する、かなり複雑な操作に対処することができます。

この記事の例では、Esri マップ Web アプリケーションを JavaScript による Web アプリケーションとして実装します。このアプリケーションでは、機能を有効にするために複数の Web サービスを使用します。マッピング機能のために使用するのは、Esri の ArcGIS Online で実行される ArcGIS API for JavaScript とマップサービス、そして ArcGIS Server です。IBM IOC からインシデント (事件) とイベント (出来事) に関する情報を取得するために、Esri マップ Web アプリケーションは REST サービスにもアクセスします。さらに、ArcGIS Server のマップサービスを使用して、事件 (インシデント) および出来事 (イベント) の周辺の一般施設、人口動態、緊急対応施設、交通情報、気象情報を表示します。

図 1 に、ArcGIS Server と Esri マップ Web アプリケーションのデプロイメント・アーキテクチャーを示します。

図 1. デプロイメント・アーキテクチャー
デプロイメント・アーキテクチャー

ArcGIS Server は、各種のデータ・セット・タイプとフォーマットに基づいてコンテンツを公開することが可能です。例えば、ArcGIS Server は、geodatabase ファイルからのデータ・セットを地理空間コンテンツに応じたファイル・フォーマットで公開することができます。データ・セットが頻繁に更新されるために同期が必要な場合には、そのデータをリレーショナル・データベースに保持し、そのリレーショナル・データベースを Esri の ArcGIS Server 用エンタープライズ・ジオデータベースとして使用可能にすることを推奨します。

上記のアーキテクチャー図には、ArcGIS Desktop を使用する地理空間データ・アナリストの図も示されています。ArcGIS Desktop を使用することで、アナリストは地理空間コンテンツを作成および管理できるだけでなく、非常に高度な空間解析を行うこともできます。


IBM SmarterCloud へのデプロイメント

ArcGIS Server は単一のコンピューターとしてデプロイすることも、複数台のコンピューターを使用した構成でセットアップすることもできます。後者のセットアップは、キャパシティーに対する要求の増大に対応したり、冗長構成によって高可用性を実現したりする上で役立ちます。ArcGIS Server アーキテクチャーは、クラウド環境に極めて効率的にデプロイすることができます。このセクションではその一例として、ArcGIS Server を IBM SmarterCloud Enterprise 環境にデプロイする方法を説明します。

SmarterCloud は、世界中のさまざまな場所で使用できる IBM のパブリック・クラウドです。SmarterCloud では、GIS のマッピング機能や解析機能を利用したいと思っているユーザーが、クラウド・インフラストラクチャーの機能を簡単に使用できるようになっています。以下に説明する手順を開始する前に、SmarterCloud のアカウントと ArcGIS Server のライセンス (試用版も利用できます) を取得しておく必要があります。

これから説明する手順では、次の作業を行います。

  • SmarterCloud での準備を整える

  • ArcGIS をカスタマイズする

  • カスタマイズしたイメージからインスタンスを起動する

SmarterCloud での準備を整える

  1. SmarterCloud カタログを使用してインスタンスを起動します。このインスタンスには、オペレーティング・システム (例えば、64 ビット版 Microsoft Windows 2008 R2) が含まれている必要があります。インスタンスが起動したら、リモート・デスクトップでインスタンスにアクセスして、セットアップ・ファイルをローカルの任意の場所にダウンロードします。このインスタンスのローカル・ディスクには、FTP でアクセスするのが賢明です。

  2. ArcGIS Server セットアップ実行可能ファイルを実行してソフトウェアをインストールします。ArcGIS Desktop と ArcGIS Server の両方をインストールして、ライセンス・ファイルを使って使用を許可することもできます。この先のステップを実行する前に、イメージを作成しておくことをお勧めします。

  3. イメージを作成するには、すべてのプログラムを終了してから、デスクトップ・インスタンスに置かれている Autolog.bat を実行します。

  4. SmarterCloud 管理コンソールの「Control panel (コントロール・パネル)」タブで、「Instances (インスタンス)」を選択します。ArcGIS をインストールしたインスタンスに進み、そのインスタンスを選択してから、「Create private image (プライベート・イメージの作成)」リンクをクリックします。

    図 2. SmarterCloud 管理コンソールからプライベート・イメージを作成する
    SmarterCloud 管理コンソールからプライベート・イメージを作成する

ArcGIS Server イメージをカスタマイズする

  1. イメージの作成が完了したら、構成済みサービスを組み込む 2 つ目のイメージのセットアップに取り掛かります。それにはまず、空間 (マップ) データをコピーします。空間データは、以下のいずれかの場所に配置することができます。

    • ローカルの C ドライブ。サーバーの VM を常に 1 つしか実行しない場合は、ここに配置すれば十分です。

    • すべてのコンピューターに共通のリモート共有ドライブ。複数台のコンピューターによる分散構成でサーバーをデプロイする場合には、このセットアップが必要です。

  2. 予定の場所に空間データをセットアップします。ArcGIS Desktop を起動し、空間データをセットアップした場所から MXD ファイルをロードします (MXD ファイルとは、使用する空間データ・セットへの参照と、データ・セットの表示方法の設定が含まれたファイルのことです)。空間データがリモートの場所にある場合には必ず、その空間データをデプロイしたコンピューターと、その空間データにアクセスするコンピューターの両方のポートを開いてください。また、Windows ファイウォールがこれらのポートを開くこと、そしてサーバー・コンピューターが使用不可能になっても引き続き使用できるネットワーク上の場所が使用されていることも確認します。これにより、構成して実行できる状態のイメージから、新しいコンピューターが起動されることが保証されます。

    図 3. 空間データをセットアップする
    空間データをセットアップする
  3. http://localhost:6080/arcgis/manager にアクセスして ArcGIS Server Manager を起動します。「Create New Site (新規サイトの作成)」を選択します。ユーザー名とパスワードを設定して、管理者アカウントを割り当てます。ArcGIS Server 構成ファイルは、以下のいずれかの場所に配置することができます。

    • ローカルの C ドライブ。サーバーの VM を常に 1 つしか実行しない場合は、ここに配置するので十分です。

    • すべてのコンピューターに共通のリモート共有ドライブ。複数台のコンピューターによる分散構成でサーバーをデプロイする場合には、このセットアップが必要です。

    サーバー・コンピューターが使用不可能になっても引き続き使用できるネットワーク上の場所が使用されていることを確認します。これにより、構成して実行できる状態のイメージから、新しいコンピューターが起動されることが保証されます。

  4. ArcGIS Desktop で、新しくセットアップした ArcGIS Server サイトに、ネットワーク上に配置されたデータと MXD を使用してマップサービスを公開します。それには、「File (ファイル)」メニューから「Share As (共有)」をクリックして「Service (サービス)」を選択します。

    図 4. マップサービスを公開する
    マップサービスを公開する
  5. この時点で、次のイメージの作成に取り掛かれます。新しく作成するイメージには、このイメージで公開するサービスに対応する名前を指定することができます。再び、ArcGIS Desktop インスタンスに置かれている Autolog.bat を実行してください。その後、インスタンスを選択して「Create private image (プライベート・イメージの作成)」を選択します。

  6. 管理コンソールの「Control panel (コントロール・パネル)」タブを表示すると、「Images (イメージ)」セクションに、作成した 2 つのイメージが表示されているはずです。

    図 5. 作成した 2 つのイメージ
    管理コンソールの「Control panel (コントロール・パネル)」タブの「Images (イメージ)」セクションに表示されている、作成した 2 つのイメージ。

カスタマイズしたイメージからインスタンスを起動する

  1. インスタンスは、事前に構成済みのサービスを組み込んだイメージから起動することができます。この場合、イメージから起動するインスタンスのそれぞれには、その構成済みサービスの定義が含まれることになるため、起動したインスタンスをすぐに使用することができます。一度、ArcGIS Server Manager にログインすると、以降はサイトの作成ではなく、ログインを求めるプロンプトが出されるようになります。

  2. ArcGIS Server Manager にログインすると、そこでは前に公開したのと同じサービスがすでに実行中になっています。これは、単一コンピューターによるサイト構成を復元する場合に有効な方法です。

  3. 複数台のコンピューターによるサイト構成では、同じイメージを使用してインスタンスを追加するか、あるいはインスタンスのうちの 1 つを回復するという方法を使えます。複数台のコンピューターによるサイト構成をセットアップする場合には、イメージから新しいインスタンスを起動します。インスタンスが起動したら、リモート・デスクトップでインスタンスにアクセスしますが、今回は URL http://localhost:6080/arcgis/admin を指定して管理 API にログインします。ログインするには、ArcGIS Server Manager にログインするときと同じアカウントを使用することができます。ログインした後、「Supported Operations (サポートされている操作)」から「deleteSite (サイトの削除)」を選択します。

    図 6. 複数台のコンピューターによるサイト構成の場合
    複数台のコンピューターによるサイト構成の場合
  4. サイトを削除することで、そのコンピューターは別のサイトと結合できるようになります。この場合に結合するサイトは、最初のインスタンスのサイトです。ArcGIS Server Manager を起動してログインしたら、「Join Existing Site (既存のサイトの結合)」をクリックします。

  5. メイン・サイトが含まれる最初のインスタンスの IP アドレスを入力します。その後は、サイトを結合するための操作を完了します。この操作が正常に完了するためには、インスタンス上のファイアウォールが、ArcGIS Server で使用するポート 6080 と、ポート 4000 から 4003 で開いている必要があります。

  6. 新しいインスタンスが最初のインスタンスと結合すると、この 2 つが同じサイトで実行され、クラスターが形成されることになります。2 つのインスタンスが結合されていることを、いずれかのコンピューターまたは両方のコンピューターの ArcGIS Server Manager で確認するには、「Site (サイト)」タブを表示してサイド・メニューから「Machines (コンピュータ)」を選択します。

    図 7. 新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する
    新規インスタンスと最初のインスタンスの結合を確認する
  7. この手法を使用して、実行中のクラスターに、必要に応じてさらにインスタンスを追加することができます。また、インスタンスを置き換える必要が生じた場合にも随時、この手法を使用することができます。さらに、ArcGIS Server の REST ベースの管理 API を使用して、以上の手順で説明した変更を実行できるように単純な自動化をイメージに組み込むことも可能です。

  8. Web アプリケーションのデプロイは、いずれかのサーバー・コンピューター上で IIS Web サーバーを使用して行うことも、別のサーバー上で行うこともできます。どちらにデプロイするかは、デプロイメントのアーキテクチャーおよび対処する要件に依存します。


この技術を利用する方法

今すぐ ArcGIS 10.1 for Server を入手して、この記事で説明した手順に従って IBM の SmarterCloud にデプロイすることができます。開発者は、お近くの Esri オフィスに ArcGIS 10.1 for Server の評価版コピーをリクエストすることもできます。ArcGIS Server のシステム要件とサポートされている環境を確認するには、ArcGIS Resources に記載されているシステム要件をチェックしてください。

さらに、米国内の開発者は、オンラインで EDN (Esri Developer Network) のライセンスを購入することもできます。このライセンスには、ArcGIS for Server、Data & Maps for ArcGIS、ArcGIS Runtime、そしてオプションで ArcGIS for Desktop が含まれます。

詳しい情報を調べるには、ArcGIS リソース・センターが絶好の出発点となります。ここには、サポートされている任意の環境で ArcGIS Server をデプロイして構成する方法に加え、使用可能な API とアプリケーション・テンプレートに関する情報も、開発者向けに用意されています。ユーザーはこのリソース・センターから、コミュニティーに接続したり、フォーラムを利用したり、ブログを閲覧したりすることができます。さらに、広範な動画も揃っていて、チュートリアル、製品概要、重要なイベントでのプレゼンテーションを見ることができます。

この記事の執筆に貢献してくれた以下の両名に感謝いたします。

  • Esri IBM Strategic Alliance Manager の Julio Olimpio 氏

  • Esri Senior Solution Engineer の Sajit Thomas 氏

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

議論するために

  • developerWorks コミュニティーに参加してください。ここでは他の developerWorks ユーザーとのつながりを持てる他、開発者によるブログ、フォーラム、グループ、ウィキを調べることができます。

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