IBM SmarterCloud Enterprise のデータを復旧する

IBM Cloud のバックアップ/リストアの方法を探る

「データ」を復旧できることは、ほぼすべてのソリューションで不可欠の要件です。これは、設計から開発、テスト、そして本番での稼働に至るまで、ソリューションのライフサイクル全体を通して当てはまることですが、パブリック・クラウド環境では、さらにその重要性が増してきます。パブリック・クラウド環境では、従来のような社内でのデプロイメントやホストされたデプロイメントに比べ、サービス・レベル・アグリーメントの定義が曖昧になりがちだからです。この記事では、IBM Cloud リソースのさまざまなレベルでデータを復旧するのに利用できる、IBM SmarterCloud Enterprise で提供されている機能を調べます。さらに、クラウドにデータをデプロイする際に検討しておくとよい、その他のサービスと手法についても探ります。

Mitchell DeKeyrel, Technical Solution Architect, IBM

Mitchell DeKeyrel は IBM に 13 年以上勤務するテクニカル・ソリューション・アーキテクトです。これまで、大規模なラボ環境および本番データ・センターでのインフラストラクチャーおよびシステム管理で 5 年の経験を積み、IBM CIO Enterprise Content Management Solution の主任アプリケーション・アーキテクトとして 7 年間、IBM CIO オフィスに勤務しました。彼は業界全体でのエンド・ユーザーの要件を理解および解釈して、業界の動向に基づく ECM アプリケーション変更のロードマップを設定してきました。また、ECM 分野のサブジェクト・マター・エキスパートと協力し、他の戦略的アプリケーションおよび IBM 製品との統合の機会を特定してきました。現在は、IBM の GTS 部門でクラウド・サービス・イネーブルメントに取り組んでいます。



Andrew Jones, Senior Cloud Solution Architect, IBM

Andrew R. Jones photoAndrew R. Jones は IBM で 22 年を超える経験を持つシニア・ソリューション・アーキテクトです。彼は過去 16 年、クラウド・コンピューティング、通信、ワイヤレス技術、ネットワーク・コンピューターにおける IBM のミドルウェア・ソリューション実現のために、顧客やビジネス・パートナーへの協力を行ってきました。彼は IBM Master Inventor であり、IBM 認定 IT アーキテクトでもあります。



Ryan Sumner, Cloud Deployment Leader, IBM

Ryan Sumner はこれまで 13 年以上、IBM のインフラストラクチャーおよびアプリケーション・スペシャリストとして、オペレーティング・システム、ミドルウェア、サーバー、およびストレージに関する顧客との実際の経験を生かして、顧客、ビジネス・パートナー、そして IBM で働く人々が「IBM Cloud で」ホストされた信頼性の高いソリューションを計画、構築、実行する手助けをしてきました。彼は現在、IBM Global Technology Services のクラウド・デプロイメント・リーダーを務めています。



Dominique Vernier, IT Architect, IBM

Dominique Vernier photoここ数年、Dominique Vernier は Java 技術とクラウド・アーキテクチャーを中心とした業務を行っています。また彼は非常に長く情報技術に従事しており、メッセージング、データベース、SOA、EAI、クライアント/サーバー、C/C++、既存フレームワークなどに関して幅広い知識を得ています。また彼は、通信、CRM、ロジスティクス、保険などの業界にも幅広い知識を持っています。彼はステート・エンジンとリソース管理に関する 4 件の特許と共同特許を持っています。現在は South-West Europe Cloud Center of Excellence で、プライベートおよびパブリック・ソリューションのための Smart Business Development and Test Cloud に従事しています。


developerWorks 貢献著者レベル

George Contino, Cloud Enablement and Deployment Leader, IBM

George Contino は 9 年を超える IT およびプロジェクト管理の経験を持つアドバイザリー・アーキテクトです。この 4 年間は、IBM ストレージ・クラウド・ソリューションをお客様やビジネス・パートナーが実現するための取り組みに専念してきました。彼は現在、IBM の GTS 部門で Cloud Managed Services Enablement and Deployment チームに所属しています。



2012年 8月 30日 (初版 2011年 11月 04日)

ソフトウェア・ソリューションを設計するときには、設計、開発、テスト、そして本番環境での稼働に至るまで、そのライフサイクル全体を通してデータを復旧できることが極めて重要な点となります。これは、自社運用のクラウド環境でも重要なことですが、パブリック・クラウド環境では、さらにその重要性が増してきます。パブリック・クラウド環境では、従来のような社内でのデプロイメントやホストされたデプロイメントに比べ、サービス・レベル・アグリーメントがそれほど明確に定義されないのが通常だからです。

この記事では、IBM SmarterCloud Enterprise 環境に用意されている、IBM Cloud リソースのさまざまなレベルでデータを復旧するのに利用できる機能を紹介します。さらに、クラウドにデータをデプロイする際に検討しておくとよい、その他のサービスと手法についても探ります。

まずは、IBM Cloud の基本を復習しましょう。

IBM Cloud の基本

この記事を十分に理解するためには、データの復旧に関する以下の基礎知識が必要です。

  • インスタンスとイメージとの違い
  • 一時ストレージ、永続ストレージ、オブジェクト・ストレージの概要
  • プロビジョニングおよび関連付けの仕組み
  • ストレージの使用方法
  • バックアップのタイプ

インスタンスとイメージとの違い

IBM SmarterCloud Enterprise での「インスタンス」とは、イメージをベースに実行されている仮想マシンのことです。インスタンスには、その構成コンポーネントとして仮想 CPU、メモリー、およびローカル (一時) ストレージが関連付けられます。インスタンスのローカル・ストレージにはオペレーティング・システム、ソフトウェア・アプリケーション、データ、そしてインスタンスに追加された構成などが格納されます。

「イメージ」とは、実行中だったインスタンスを保存した表現のことであり、停止したインスタンスに基づいています。したがって、スナップショットとは混同しないでください。スナップショットは、実行中のインスタンスとそのメモリー内の状態を含めたコピーです。

一時ストレージ、永続ストレージ、オブジェクト・ストレージの概要

今度は、IBM SmarterCloud Enterprise で使用できるストレージのタイプを理解してください。IBM Cloud には、以下の 3 つのタイプのストレージがあります。

  • 「一時ストレージ」は、仮想マシンに組み込まれたストレージです。一時ストレージのライフサイクルは、それが組み込まれている仮想マシンに結び付けられます。仮想マシンを削除すると、一時ストレージも削除されるため、そこに格納されているデータも削除されます。
  • 「永続ストレージ」は、インスタンスの作成プロセス中に命令によってインスタンスに関連付けることができるストレージです。永続ストレージのライフサイクルは、仮想マシンに結び付けられてはいません。仮想マシンを削除しても永続ストレージは削除されないため、永続ストレージを新しい仮想マシンに関連付けて、再びその永続ストレージに格納されているデータにアクセスすることができます。
  • 「オブジェクト・ストレージ」は、IBM SmarterCloud Enterprise の「Additional Services Order」フォームを利用して要求することができるストレージで、Web API や CloudNAS を利用してインターネット経由で接続する Web ベースのストレージです。オブジェクト・ストレージのライフサイクルは、仮想マシンに結び付けられてはいません。仮想マシンを削除してもオブジェクト・ストレージのデータは削除されません。オブジェクト・ストレージのデータに再度アクセスするには、新しい仮想マシンからオブジェクト・ストレージに再接続するだけです。

以下の表に、この 3 つのタイプのストレージと、それぞれに関連するインスタンスおよびストレージ・デバイスでのアクションによるデータ・ライフサイクルへの影響を示します。

ストレージのタイプ別データ・ライフサイクル
ストレージ・タイプ/ アクションインスタンスのリブートインスタンスの削除ストレージの削除
一時ストレージデータは維持されますデータは失われます適用外
永続ストレージデータは維持されますデータは維持されますデータは失われます
オブジェクト・ストレージデータは維持されますデータは維持されますデータは失われます

プロビジョニングと関連付け

永続ストレージ

現在、1 つのインスタンスに関連付けることができる永続ストレージ・ユニットは最大 3 つまでです (図 1 を参照)。インスタンスのプロビジョニング時に関連付けられるのは 1 つの永続ストレージ・ユニットのみですが、動的に 3 つまで (プロビジョニング時に 1 つ関連付けている場合は、あと 2 つ) 関連付けることができます。動的にインスタンスに関連付けられた永続ストレージ・ユニットは、同じく動的にインスタンスから切り離すことができます。永続ストレージ・ユニットに対して動的に関連付けや切り離しを行える機能は、SCE API (Application Programming Interface) を通じてしか利用することができず、SCE ポータルから利用することはできません。

図 1. インスタンスあたり最大 3 つまで永続ストレージ・ユニットを関連付けられる様子
インスタンスあたり最大 3 つまで永続ストレージ・ユニットを関連付けられる様子

もう 1 つ、理解しなければならない重要な点として、1 つの永続ストレージ・ユニットを複数のインスタンスに同時に関連付けることもできません。永続ストレージ・ユニットはブロック・デバイスであるため、その永続ストレージ・ユニットを割り当てられたホストがロックを制御します。

図 2. 1 つの永続ストレージ・ブロックに関連付けて、その永続ストレージ・ブロックをマウントできるのは、一度に 1 つの仮想マシンのみである様子
1 つの永続ストレージ・ブロックに関連付けて、その永続ストレージ・ブロックをマウントできるのは、一度に 1 つの仮想マシンのみである様子

永続ストレージ・ユニットをプロビジョニングまたは作成するには、ポータル・インターフェースを使用することも、IBM Cloud API を使用することもできます。ストレージ・ユニットのプロビジョニングにかかる時間は、要求するストレージのサイズとタイプ、そしてその特定のクラウド環境 (あるいはデータ・センター) の現在のアクティビティーによって変わります。

raw フォーマットの永続ストレージの場合、このストレージがバックエンド・システムで実際にセクターを使用する方法の性質上、プロビジョニングの所要時間が短くなります。このタイプの永続ストレージには、ファイルシステムもデータもないことから、バックエンドのストレージ・サブシステムでの容量の割り当てにかかる時間はほんの数秒です。

永続ストレージ・ユニットのプロビジョニングを解除できるのは、その永続ストレージ・ユニットがインスタンスに関連付けられていない場合のみです。前述のように、動的にインスタンスに関連付けられた永続ストレージ・ユニットは、同じく動的にインスタンスから切り離すことができます。その一方で、インスタンスのプロビジョニング時に永続ストレージ・ユニットを関連付けた場合には、その永続ストレージ・ユニットのプロビジョニングを解除する前にインスタンスのプロビジョニングを解除する必要があります。

オブジェクト・ストレージ

オブジェクト・ストレージは、複数の IBM SmarterCloud Enterprise インスタンスによって使用可能な、完全にエラスティック (弾力的) なストレージ機能を提供するので、ストレージの使用量をコミットする必要がありません。また、オブジェクト・ストレージを使用する場合、データを分離するために作成するアプリケーション名の数に制限はありません。アプリケーション名は、従来のストレージ方式で言うところのストレージ・プールと見なすことができます。オブジェクト・ストレージでは、それぞれのアプリケーション名を作成することに加え、オブジェクト・ストレージに関連付けられた子アクセス・アカウントを必要なだけ作成することができます。

図 3. 割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに関連付けられた 1 つの子アカウントを使用して、そのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 1 つのインスタンスが関連付けられている様子
割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 1 つのインスタンスが関連付けられている様子
図 4. 割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに関連付けられた 2 つの異なる子アカウントを使用して、そのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 2 つのインスタンスが関連付けられている様子
割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 2 つのインスタンスが関連付けられている様子

オブジェクト・ストレージには、ネイティブのファイル・ロック機能がないことを理解することが重要です。各アプリケーション名の下に作成されたそれぞれの子アカウントは、ストレージを利用するためのディレクトリーをそれぞれ独自に持っています。上記図 4 では、同じアプリケーション名を使用していますが、子アカウント 1 (Child account 1) からは子アカウント 2 (Child account 2) のデータを見ることはできません。同じ子アカウントの資格情報を用いて、2 つのインスタンスを同じアプリケーションに関連付けようとすると、データ同期の問題が生じることになり、ほとんどのケースでデータ破損という結果になります。

図 5. 割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに関連付けられた 1 つの子アカウントを使用して、そのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 1 つの仮想マシンだけが関連付けられる様子
割り当てられた 1 つのオブジェクト・ストレージ・アプリケーションに 1 つの仮想マシンだけが関連付けられる様子

永続ストレージ

現在、永続ストレージ・ブロックのサイズは最大 2TB に制限されています。また、1 つの仮想インスタンスに関連付けられる永続ストレージ・ユニットも 1 つに制限されますが、NFS/GPFS や SAMBA のようなファイル共有技術を使用すれば、仮想インスタンスは永続ストレージ・ユニットを共有することができます。

このようなソリューションを使用すれば、上記のサイズ制限や、ストレージと仮想マシンの関連付けについての制限を克服することができます。例えば、クラウド内に複数のファイルサーバーをプロビジョニングして、それぞれのファイルサーバーに 2TB の永続ストレージ・ユニットを関連付けることも可能です。同様に、各ファイルサーバーが NFS を使って永続ストレージ・ユニットを他のサーバーにエクスポートすれば、1 つのインスタンスしか永続ストレージ・ユニットを直接マウントすることができないという制限からは解放されます。

図 6. インスタンス間での永続ストレージ・ユニットのネットワーク共有
インスタンス間での永続ストレージ・ユニットのネットワーク共有

オブジェクト・ストレージ

この記事で既に説明したように、オブジェクト・ストレージには多くの VM インスタンスからアクセスすることができますが、最小使用量に関するコミットは必要ありません。オブジェクト・ストレージを使用するには、API を利用したコーディングをするか、CloudNAS と呼ばれるアプリケーションを利用します。ここでは、オブジェクト・ストレージにアクセスするこれらの手法のそれぞれを調べてみましょう。

Web ベースの REST API を利用してオブジェクト・ストレージにアクセスするアプリケーションの開発

IBM SmarterCloud Enterprise のオブジェクト・ストレージは、RESTful な Web サービスを使用して、すべての管理やアクセスを行うことができます。REST API を使用すると、自分のアカウントにログインしたり、ファイルのアップロードやダウンロードを行ったり、子アカウントを作成したり、使用状況を監視したりすることができます。これにより、さまざまなアプリケーションからオブジェクト・ストレージとのインターフェースを取ることや、共通の使いやすいインターフェースを使用してクライアントのフロント・エンドとのインターフェースを取ることができるようになります。この API を利用するための開発者向け API リファレンス・マニュアルは、単なる API リファレンスにとどまらず、Web ベースの API を使用するための包括的なガイドになっています。このドキュメントは IBM SmarterCloud Enterprise へログインした後、SCE アセット・カタログで入手することができます。

CloudNAS を利用してオブジェクト・ストレージを使用する

CloudNAS ソフトウェアを使用すると、Windows ベースのサーバーでローカル・ドライブにアクセスするかのように、あるいは Linux サーバーでローカル・マウント・ポイントにアクセスするかのように、ローカルでストレージにアクセスすることができます。CloudNAS を使用する場合、上記図 5 で説明したように、ある特定のアプリケーション名や子アカウントで CloudNAS を実行させられるのは 1 つのインスタンスのみであることを理解しておくことが重要です。インスタンス間でデータを共有したり、コラボレーション作業のためにデータを共有したりするという要件がある場合、仮想インスタンスが CIFS などのファイル共有技術を使用してオブジェクト・ストレージを共有することが可能です。

図 7. インスタンス間でのオブジェクト・ストレージのネットワーク共有
インスタンス間でのオブジェクト・ストレージのネットワーク共有

IBM SmarterCloud Enterprise のクライアントは、顧客が所有する設備と SCE 環境との間に VPN を張ることができます。この構成では、クライアントのアカウントに対して単一のプライベート VLAN (Virtual Local Area Network) もプロビジョニングされます。VLAN は、VLAN の背後にプロビジョニングされるインスタンスに対してネットワーク分離層を提供します。この VLAN にインスタンスをデプロイした上でオブジェクト・ストレージを利用する必要がある顧客は、オブジェクト・ストレージのインバウンド・トラフィックとアウトバウンド・トラフィックに対してゲートウェイとして機能するインスタンスを構築する必要があります。そのためには、パブリック・インターネットに面する VLAN とプライベート・ネットワークに面する VLAN の両方にまたがるインスタンスをプロビジョニングします。

パブリック VLAN とプライベート VLAN の両方にまたがって使用されるインスタンスをプロビジョニングする場合には、IBM SmarterCloud Enterprise 環境内でのデプロイメントがセキュアになるように、ファイアウォールを構成することを強くお勧めします。

IBM SmarterCloud Enterprise のリリース 1.4 では、パブリック VLAN とプライベート VLAN の両方にまたがるようにインスタンスを構成できるようなりました。この機能についての詳細は、記事「IBM SmartCloud Enterprise についてのヒント: 別々の VLAN にまたがる」を参照してください。

図 8. VLAN 内のインスタンス間でのオブジェクト・ストレージのネットワーク共有
VLAN 内のインスタンス間でのオブジェクト・ストレージのネットワーク共有

バックアップ・タイプ

バックアップには以下の 2 つのタイプがあります。

  • オンライン・バックアップ: オンザフライで行われるため、アプリケーションを停止しなくても首尾一貫したバックアップを作成することができます。
  • オフライン・バックアップ: オンライン・バックアップに比べて実装するのが遥かに簡単です。ただし、バックアップを作成するにはアプリケーションを停止しなければなりません。

重要なポイント: IBM Cloud でのバックアップ・ソリューションの実装は、それぞれの IBM Cloud コンシューマーの責任として委ねられていることです。そのために、IBM Cloud プラットフォームにはバックアップ・ソリューションの実装に役立つ各種のネイティブ機能が用意されています。


IBM SmarterCloud Enterprise の組み込み機能

IBM SmarterCloud Enterprise には、インスタンス (一時ストレージ) に格納されているデータでも、永続ストレージに保管されているデータでも、オフラインでバックアップを取れるようにするための機能が用意されています。まずは、インスタンスのバックアップ機能を紹介してから、永続ストレージのバックアップ機能について説明します。

インスタンスのイメージを取り込む

IBM Cloud API とイメージ・カタログ

IBM Cloud で使用できる API には、以下の 3 つのタイプがあります。

  • RESTful
  • Java
  • コマンドライン

この 3 つすべての API で、インスタンスからイメージを作成することができます。

IBM Cloud では、以下のイメージ・カタログを用意しています。

  • パブリック・カタログには、IBM または IBM ビジネス・パートナーがサポートしているすべてのイメージが含まれます。
  • プライベート・カタログには、ユーザーのすべてのプライベート・イメージ (特定のユーザーのインスタンスから取り込まれたイメージ) が含まれます。
  • エンタープライズ・カタログには、ユーザーが同じ IBM Cloud アカウントの他のユーザーと共有するためにプロモートしたユーザー・イメージが含まれます。

注: プライベート・カタログとエンタープライズ・カタログはデータ・センターに固有のものです。データ・センター内で作成されたイメージは、そのデータ・センター内でしかインスタンス化することはできません。

IBM SmarterCloud Enterprise には、インスタンスのイメージを作成するための機能が提供されています。この機能は、カスタマイズしたインスタンスを特定の時点の状態に維持する手段となります。イメージを取り込む利点は、顧客がそのインスタンスに変更を加えた場合 (ユーザーの追加、ポリシーの設定、ソフトウェアのインストール、ソフトウェアの構成など)、変更後のインスタンスをイメージとして保存できるところにあります。そのイメージを使用して新しいインスタンスをプロビジョニングすれば、顧客が変更およびカスタマイズした内容がすべて維持されることになります。

イメージ関連の機能として IBM SmarterCloud Enterprise のリリース 1.4 で導入されたアンチ・コロケーション (anti-colocation) 機能は、バックアップまたは冗長仮想マシンを作成するために使用することができます。仮想マシンの複製をインスタンス化する場合、この機能を使用すれば、既存の仮想マシンの物理ノードとは別の物理ノードにインスタンス化されることが保証されます。仮想マシンをバックアップして、その仮想マシンのイメージから作成したインスタンスをプロビジョニングした後、アンチ・コロケーション機能を使用して別の物理ノードで 2 番目のインスタンスをプロビジョニングすれば、一方の仮想マシンやノードで問題が発生したとしても、もう一方のインスタンスには影響が及びません。

イメージを取り込む

IBM Cloud プラットフォームでイメージを取り込むには、2 つの方法があります。

  • ポータルを使用する方法
  • API を使用する方法

: IBM Cloud のイメージを取り込むプロセスでは、イメージを取り込む対象である実行中のインスタンスを一時的に停止します。イメージは、実行中のインスタンスではなく停止状態のインスタンスの表現であり、インスタンスの「スナップショット」ではありません。

ポータルからイメージを取り込む場合:

  1. ポータルで「Control panel (コントロール・パネル)」タブをクリックし、「Instances (インスタンス)」サブタブを選択します。
    図 9. 「Instances (インスタンス)」サブタブ
    「Instances (インスタンス)」サブタブ
  2. インスタンスを選択して「Create private image (プライベート・イメージの作成)」をクリックします。
    図 10. プライベート・イメージの構成
    プライベート・イメージの構成
  3. 名前と説明を入力して、「Submit (送信)」をクリックします。これで、イメージが作成されてプライベート・カタログに保管されます。取り込みプロセス中はインスタンスが停止され、その後、再起動されることを忘れないでください。

コマンドライン API からイメージを取り込む場合:

  1. 今度はコマンドライン API について見てみましょう。ここでは、ic-save-instance コマンドを使用します。
    図 11. ic-save-instance コマンド
    ic-save-instance コマンド
  2. ic-save-instance コマンドを実行します。
    図 12. ic-save-instance コマンドの実行結果
    ic-save-instance コマンドの実行結果

新しいイメージがプライベート・カタログに生成されます。一時ストレージに保管されていたデータはすべて、このイメージに含まれます。

これと同じ操作は、Java または RESTful API からも実行することができます。

プライベート・イメージのプロビジョニング

ポータルでは、すべてのプライベート・イメージを一覧表示できるだけでなく、もちろんイメージを再プロビジョニングすることもできます。

  1. ポータルの「Control panel (コントロール・パネル)」に進み、「Instance (インスタンス)」サブタブを選択します。
  2. Add instance (インスタンスの追加)」ボタンをクリックします。
  3. 「Add instance (インスタンスの追加)」ウィンドウが開きます。このウィンドウで、プライベート・カタログである「My Images (マイ・イメージ)」と、イメージが置かれるデータ・センターを選択します。
    図 13. プライベート・イメージのプロビジョニング
    プライベート・イメージのプロビジョニング

他のあらゆるイメージについても、同じようにプロビジョニング・プロセスを続けることができます。

永続ストレージ・ユニットを複製する

IBM SmarterCloud Enterprise では、永続ストレージ・ユニットを複製するための機能を提供しています。要するに、ある永続ストレージ・ブロックの内容を新しい永続ストレージ・ブロックにコピーできるということです。永続ストレージ・ユニットを複製する機能では、以下の点に注意してください。

  • 複製するストレージ・ユニットは、インスタンスに関連付けられていない状態でなければなりません。
  • 複製を行えるのはデータ・センター内に限られます。
  • 複製プロセスによって新しく作成されるストレージ・ユニットのサイズは、元の (複製される) ストレージ・ユニットと同じです。

ストレージ・ユニットの複製の作成

永続ストレージ・ユニットの複製を作成するには、IBM Cloud ポータルまたは API のいずれかを使用することができます。

ポータルから永続ストレージ・ユニットの複製を作成する場合:

  1. 「Control panel (コントロール・パネル)」タブで「Storage (ストレージ)」サブタブを選択します。すると、このサブタブに、既存のストレージの一覧が表示されます。
    図 14. 既存のストレージ・ユニットの一覧
    既存のストレージ・ユニットの一覧
  2. 複製するストレージ・ユニットを選択し、「Clone Storage (ストレージの複製)」をクリックします。これによって表示される下記画面でストレージの名前を入力してから先へと進み、フォームの内容の送信までを終えます。
    図 15. ストレージ・ユニットの複製操作の構成
    ストレージ・ユニットの複製操作の構成ウィンドウ

API から複製ストレージを作成する場合:

コマンドライン API には、ic-clone-volume コマンドが用意されています。このアクションは、RESTFul API や Java API を使って実行することもできます。

図 16. ic-clone-volume コマンド
ic-clone-volume コマンド

コマンドライン・インターフェースで必須パラメーターを指定します。

図 17. ic-clone-volume コマンドの実行結果
ic-clone-volume コマンドの実行結果

ポータルにステータスが表示されます。

図 18. 正常に複製された永続ストレージ・ユニット
正常に複製された永続ストレージ・ユニット

オブジェクト・ストレージのデータ保護ポリシー

IBM SmarterCloud Enterprise のオブジェクト・ストレージを利用すると、複数のストレージ・ノードを利用することができます。ノードにはオブジェクトのコピーが格納されます。「Additional Services Order」フォームを利用してオブジェクト・ストレージの登録を行う際には、保持する必要があるオブジェクトのコピーの数を決定し、オブジェクトのコピーを格納するノードを選択します。これにより、ビジネスの要求を満たすデータ保護ポリシーを定義することができるようになります。オブジェクト・ストレージのアカウントが設定されると、ストレージ・プール・レベルでデフォルト・ポリシーが設定されます。顧客が直接ポリシーを変更することはできません。データ保護ポリシーを調整したり、場所の追加や削除を行ったりするには、新しい「Additional Services Order」フォームを送信する必要があります。

複数のノードのデータ保護ポリシーがある顧客の場合、顧客のポリシーの中で最も近いノードにオブジェクトが正常にアップロードされてから、他のすべてのノードにデータを非同期で複製します。

注: 複製が完了するまでは、すべての読み書きのリクエストに対するサービスはオブジェクトの完全なコピーが格納されているノードから提供されます。

データ保護ポリシーに含まれているノードを変更したい場合には、カスタマー・サポートに要求を提出する必要があります。

注: データ保護ポリシーに対してノードの場所の追加や削除を行う場合に必要なのは、新しい「Additional Services Order」フォームを完成させて送信することのみです。


IBM Cloud のバックアップ/リストア機能の代わりに使用できる手段

バックアップおよびリカバリー・ソリューションは、サービスとしても、スタンドアロン製品としても数多く存在しています。IBM SmarterCloud Enterprise では、このようなソリューションを使用できないわけではありません。

どのソリューションを選択するにしても、そのソリューションが機能的要件と非機能的要件を満たすことを確認するだけでなく、IBM Cloud インスタンスで使用しているオペレーティング・システムをサポートすること、そして使用許諾条件を満たすことを確認する必要があります。

永続ストレージ・ユニットをアクティブなインスタンスに関連付けると、そのストレージ・ユニットのデータはローカル・ストレージや一時ストレージと同じように、アプリケーションからアクセス可能になることに注意してください。バックアップ・ソフトウェアまたはサービスは、実行中のインスタンス上の他のデータと同じように、永続ストレージ・ユニットのデータにアクセスすることができます。インスタンスに関連付けられていない永続ストレージ・ユニットにアクセスするには、前述した手法、つまり IBM Cloud の機能を使って永続ストレージ・ユニットを複製する以外に手段はありません。

代わりのバックアップ/リストア機能としては、以下のソリューションを検討することをお勧めします。

  • IBM BCRS (Business Continuity and Resiliency Service: ビジネス・コンティニュイティー & レジリエンシー) は、ビジネス・オペレーションの継続性を確実にするのを支援するとともに、法規制の遵守、システム可用性の改善、データ保護、そして IT 運用リスク・マネージメント・ストラテジーの統合を支援します。この製品では、リモート・データ保護サービスを使用して、リモートからインスタンスを (インスタンスにインストールされたエージェントを介して) IBM データ・センターにバックアップすることができます。
  • インスタンスのデータを別の場所へコピーするには、IBM Tivoli Storage Manager や、その他のサード・パーティー製品などを使用することができます。
  • インスタンスのオペレーティング・システムによって提供される基本的な機能と併せて、独自のソリューションや顧客が開発したソリューションを利用することもできます。このようなソリューションには、ある場所から別の場所へ (例えば、ローカル・ストレージから永続ストレージへ) データをコピーしたり、インスタンス間でデータをコピーしたりすることができる、cprsync のようなコピー・コマンドを使用したソリューションを含めることができます。
  • オブジェクト・ストレージ用には、スナップショット機能を提供し、ユーザーが管理するファイル復旧機能を実現するサード・パーティー製のゲートウェイ製品がいくつかあります。例えば、現在 IBM Cloud で入手することができる Twinstrata CloudArray は、クラウド・ストレージ機能と、使用するのが簡単なデータ保護技術を提供します。

どのソリューションを選択するかによっては、IBM Cloud 環境内でデータのバックアップが行われる場合も、外部の他のサーバーやサービスにデータがバックアップされる場合もあります。ソリューションがインスタンスのネットワーク接続を介してデータを外部にコピーする場合には、データ転送料金がかかることに注意してください。


データベース

データベースは、バックアップ/リストア・ソリューションに対して独特の要件を課すことがあります。通常は、データベース・システム自体にも製品の一部として 1 つ以上のバックアップ/リストア・メカニズムが用意されています。また、データベース用のバックアップ/リストア機能を提供するサード・パーティーのツールもあります。

オンライン・バックアップ (データベースはアクティブな状態を維持したままバックアップを取ることができます) とオフライン・バックアップ (データベースを停止する必要があります) には、それぞれに利点と欠点があるため、データベースのバックアップ/リストア・ソリューションでは、この両方のバックアップ機能を提供することが考えられます。大抵の場合、クラウド環境ではどちらのバックアップも問題なく機能しますが、念のため、データベース管理者に連絡して、データベース作成時に行われた選択が、使用するバックアップ/リストア・ソリューションで問題になるかどうかを確認してください。例えば、データベース管理者がデータベースを選択するときに、データベースのログ・ファイルには永続ストレージを使用し、実際のデータ・テーブルにはローカル/一時ストレージを使用するように選択したとします。その場合、この 2 つのストレージ・システムのパフォーマンス特性は異なることから、バックアップ/リストア・ソリューションに影響する可能性があります。さらには、IBM Cloud の永続ストレージ・ユニットの複製機能を使用して顧客のバックアップ/リストア・ソリューションを作成し、それによって付加的なメリットをもたらすことも可能です。


まとめ

この記事では、IBM SmarterCloud Enterprise のバックアップ機能とデータ復旧機能の基本を紹介し、IBM Cloud のインスタンスとイメージを扱う場合に、データを内部あるいは外部でバックアップおよびリストアするさまざまな方法を学び、理解するための出発点となる情報を提供しました。

参考文献

学ぶために

製品や技術を入手するために

  • IBM SmarterCloud Enterprise に用意された製品イメージを調べてください。

議論するために

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