レベル: 中級 高安 啓至, オートノミック・コンピューティング担当技術理事, IBM
2006年 9月 15日 オートノミック・コンピューティング担当のDE高安が、これから長い旅となるオートノミックへの道を案内していきます。
はじめに
みなさん、こんにちは。IBMの高安です。技術理事としてオートノミック・コンピューティングに携わっています。2002年に大きなイニシアティブが発表されたオートノミック・コンピューティングは、今後一層具体的な先進事例の確立や、標準化にむけての取り組みが進んでいくことと思います。オートノミック・コンピューティングの旅が長い道のりとなるでしょうから、このコラムが、みなさんの長旅の道しるべとなり、この技術がIT業界に大きな変革をもたらすことを願ってやみません。
オートノミック・コンピューティング・ツールキットの発表
IBM、は去る2月16日(US現地時間)、ITの自己管理機能を開発するソフトウェア群「オートノミック・コンピューティング(AC)ツールキット(注1)」を発表しました。このツールキットは、オープンソースの統合ソフトウェア開発環境「Eclipse(注2)」を採用し、オートノミック・ソリューションの設計・検証を行うソフトウェア開発者を支援する、様々なツール、サポート等を初めてパッケージ化したものです。最新のTivoli製品がJavaベースに書き換えられたように、今後、オートノミック・ソリューションがオープン標準ベースで開発され、どのプラットフォームにも簡単に移植され、開発のスピードを上げていきます。ACツールキットには、オートノミック技術の中核を担う以下の4種類のコンポーネントが含まれます。
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Autonomic Management Engine(オートノミック管理エンジン:AME): イベントを監視、分析し、最終的には管理対象のサーバー上で修正アクションを実行。他のACツールキットと組み合わせて、AMEが自己管理システムの制御ループを完成する。
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Integrated Solutions Console(統合ソリューション・コンソール:ISC): 業界標準の技術に基づくWebベースのポータルを運用管理者に提供。設定、構成、ランタイム監視、制御などお客様のIT環境で必要となる作業を一貫したルック&フィールで行えるポータルで運用担当者ごとのパーソナライズが可能。
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Solution Installation(ソリューション・インストール:SI): この展開技術は、業界で取り組むオートノミック・コンピューティングにおいて、自己構成機能の中核となるコンポーネントの一つ。OS、ミドルウェア、ISVパッケージ、お客様アプリケーションといったソフトウェア導入パッケージに、ハード/ソフトの相互依存関係と前提条件を記述し、導入時にはこれらを自動チェックし、結果をリポジトリーに登録し、最終的には変更管理プロセスの自動化を実現しようとするもの。この技術によりプロビジョニングがさらにオートノミックに近づく。
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Problem Determination(問題判別:PD): ネットワークを含めた複雑なIT環境における問題を検知、分析、関連付け、自動的に問題の根本原因を診断するためのツールと基盤を提供。昨年OASIS(注3)に提出した共通ログフォーマットコモン・ベース・イベント (Common Base Event)および、それを生成するGeneric Log Adapter (GLA)と相互関連を分析するLog and Trace Analyzer (LTA) が含まれる。
このツールキットは第一弾で、年内に新たな特長や機能を備えた次期リリースが発表される予定です。既存の製品やサービスと組み合わせ、早期に予測レベル、適応レベルといったオートノミック・ソリューションを開発することが可能となります。
オートノミック・コンピューティングに関するブループリントに基づいた技術
このツールキットは、去る2003年4月にIBMが標準化にむけて、オートノミックの実現に必要な技術を体系化して発表した「オートノミック・コンピューティング(AC)ブループリント(注4)」に基づいています。IT環境内でのダイナミックな状況変化を監視(M)、分析(A)し、それに反応して計画(P)・実行(E)するための制御ループ構造を構築するためのものです。これらのツールはIBMのオートノミック製品開発に使用されるとともに、様々なお客様、ITベンダーがシステムの自己構成、自己修復、自己最適化、自己防御を実現するために利用できます。
今回発表のツールキットは、それらのアーキテクチャーに準じたランタイム、ツール、シナリオ、各種ドキュメンテーションが含まれており、オートノミック・コンピューティング環境を構築するのを支援します。ぜひとも一度、お試しください。
標準化を目指し、業界をリードするIBMの取り組みはなお続きます。今後のオートノミックの動向にぜひご注目ください。
注1) オートノミック・コンピューティング・ツールキットについて詳しくは:http://www.ibm.com/developerworks/autonomic (英文) 注2) Eclipse: オープンソースの統合ソフトウェア開発環境の一つ。Java開発者を中心に急速に普及しており、ソフトウェア開発の共通プラットフォームの標準になると予想されている。IBMが1999年から進めていた開発ツール研究プロジェクトの研究成果をソフトウェアの形にしたもので、2001年11月にオープンソース化され、誰でも無償で入手・改変・再配布できるようになった。 注3) OASIS:OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards):e-ビジネスの開発推進や適用などを推進する標準化協議会 注4) オートノミック・コンピューティング・アーキテクチャーに関するブループリント (G588-2505-00):http://www.ibm.com/jp/autonomic/pdf/acwp_j.pdf (PDFファイル:750KB) ※オートノミック・コンピューティングについて http://www.ibm.com/autonomic/jp/
著者について  | 
|  | 1970年、日本IBM社に入社。お客様担当SEとして大型汎用機によるOLTPシステム、中小型機による分散処理システム、PCオフィスシステムなどのシステム構築に携わる。その後、ITアーキテクトとしてSIプロジェクトの高性能、高可用性基盤設計を担当。長野オリンピックのチーフ・アーキテクト、シドニー・オリンピックのパフォーマンス・アーキテクトを歴任。2001年、Distinguished Engineerに任命。2002年から日本IBMのオートノミック・コンピューティング・ドメインリーダーを担当。 |
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