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オートノミック・コンピューティングの最新動向: 日本でオートノミック・コンピューティングが加速

オートノミック・コンピューティング採用の傾向

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レベル: 初級

Brent Miller (bamiller@us.ibm.com), Senior Technical Staff Member, IBM

2005年 2月 22日

オートノミック・コンピューティングはIT業界全体で、そして多くの国々で動きが加速していますが、特に日本での進展には目覚ましいものがあります。この記事では、オートノミック・コンピューティングに関連した最近の日本での出来事を検証し、日本のIT市場でのオートノミック・コンピューティングの概要と、なぜ日本でオートノミック・コンピューティングに熱い目が向けられているかを解説します。

はじめに

developerWorksの新しいコラム・シリーズ、オートノミック・コンピューティングの最新動向にようこそ。

オートノミック・コンピューティングの最新動向は、オートノミック・コンピューティングをめぐる最先端の話題を紹介するものです。このコラムでは、オートノミック・コンピューティングを採用している人達が、まだ採用していない人達よりも有利になるような話題を中心に取り上げます。オートノミック・コンピューティングの最新動向では、こうした情報を鋭く、つまり率直かつ簡潔に、そして事実と、(願わくば)考えさせるような意見と共に紹介します。

オートノミック・コンピューティングの最新動向の目的は、オートノミック・コンピューティング技術の講義をすることではありません。またオートノミック・コンピューティング機能を持った製品の展開方法を説明することでも、あるいはアーキテクチャー上の仕様の詳細を解説することでもありません。developerWorksは、既にそうした情報で一杯です。では、オートノミック・コンピューティングの最新動向からは何を期待するのでしょう。私は、オートノミック・コンピューティングに関する前向きな話題を、可能な限り紹介して行きたいと思います。例えば、オートノミック・コンピューティングの成熟度レベル5に至る道筋に関する話題、オートノミック・コンピューティング技術における人の役割、自己管理機能の埋め込みなど、を考えています。また、オートノミック・コンピューティングにおけるIBM®の最新開発状況と、それがオートノミック・コンピューティングを採用する人達にとって何を意味するのか、等についても触れて行きます。では、始めることにしましょう。

この記事では特に、オートノミック・コンピューティングに対する日本での高い関心について、最近大きな話題となった出来事を中心に解説します。最初に日本のIT市場を簡単に調べ、次に、なぜ日本でオートノミック・コンピューティングへの関心が高まっているのかを分析します。




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最近の出来事

2004年11月、IBMと、大きな影響力を持つ日本のIT大企業である富士通とが、オートノミック・コンピューティングの標準に関して合意したとの発表を行いました。この出来事は頂点と見るべきでもあり、またきっかけでもあります。つまりこれは、両社がオートノミック・コンピューティング技術と、オートノミック・コンピューティング構築の基礎となるオープン・スタンダードの開発と推進に対して、共通の関心事項を議論した結果なのです。そしてまたこの発表は、日本におけるオートノミック・コンピューティングに関してさらなる関心を呼び、この一週間後にフォローアップの発表が行われることにもなったのです。

IBMと富士通による、標準化における協業に関する合意のプレス発表によると、

富士通とIBMは30日、自律型システム(自律型コンピューティング)の技術の標準化において協業することで合意しました。今回の協業は、新世代の社会基盤システムの実現に向けて行うものです。 今日のITシステムは、社会基盤としての重要性が増す一方で、技術や製品が複雑化する傾向があるために、平常時はもとより異常時や増設時においても、人手による管理に代わるものが強く求められています。自律型システム技術は、ITシステムの運用に関して人間の介在を極力減らして効率的かつ安定した運用・管理を実現し、社会基盤として求められる、より高度な信頼性や柔軟性、使いやすさを備えたシステム、すなわち新世代の社会基盤システムの構築と運用の実現に求められている技術です。(中略)
両社は標準化団体等を通じて、これらの技術がオープン・スタンダードとして業界全体で活用できるように推進していきます。業界全体にとっては、標準技術の採用により、少ない開発・検証コストで、相互運用可能な自律型ITシステムを構築することができるようになります。ITと経営、社会との関係がますます密接になる中で、両社は今回の協業により、さまざまな状況変化を迅速に感知し的確に対応できる、社会基盤としてふさわしい高度なITシステムの実現を加速していきます。

巨大IT企業である2社がオープン・スタンダードで協業するという発表は、オートノミック・コンピューティング技術にとって非常に重要なものであり、大きな注目を集めましたが、この話題は単発的なものではありません。2004年12月6日東京発のプレス発表によると、さらに数社かがオートノミック・コンピューティング技術への支持と、IBMのオートノミック・コンピューティング構想への参加を表明しています。この発表では次のように言っています。

日本アイ・ビー・エム株式会社(以下 日本IBM)は、新たに7社を含む計10社のビジネス・パートナーが、日本IBMが2001年より推進しているオートノミック・コンピューティング技術の適用に取り組んでいることを本日発表します。これら10社は、それぞれのIT環境における自律管理機能の実現のために、IBM(R)が本年10月29日に発表した「オートノミック・コンピューティング・ツールキット」を採用しました。(中略)
IBMは、業界で初めてオートノミック・コンピューティングを提唱してから3年間、大幅なコストと時間の節減、セキュリティーの向上、ダウンタイムの短縮、エンド・ユーザーの満足度向上、生産性向上などの利益を企業に提供してきました。オートノミック・コンピューティングは、オンデマンド・ビジネスを実現する鍵であり、ITインフラの自己管理度を高めることのできる応用技術です。オートノミック・コンピューティングにより、複雑なITシステム管理要件を簡素化し、経営者は実際のビジネスの問題や革新に集中できるようになります。

この発表では、エヌエスアンドアイ・システム・サービス、キヤノンシステムソリューションズ、CSIソリューションズ、住商情報システム、ニイウス、日本情報通信、日本ビジネスコンピューターの7社が、様々なオートノミック・コンピューティング技術の実装を進めることに合意しています。この7社は、既にIBMオートノミック・コンピューティングのビジネス・パートナーであることを表明している3社に加わる形となります。これらの3社は、新日鉄ソリューションズ、東芝ソリューション、日立ソフトであり、既にオートノミック・コンピューティング機能や、オートノミック・コンピューティング・ツールキットからの標準を展開しています。

IBMと富士通との間での、オートノミック・コンピューティング標準での協業に関する合意を中心とした動きを見ると、オートノミック・コンピューティング技術を支持する一連の企業は、まるで仮想的「日本におけるコンピューター企業要録」の大部分であるかのようです(もちろん日本IBMを含めて、ですが)。

なぜ、強い影響力を持つ日本のIT企業の多くの間で、オートノミック・コンピューティング技術がそれほどの関心を呼んだのでしょうか。この記事の後の方で、いくらかの理論を提示したいと思いますが、その前にまず、日本のIT市場の背景について説明しましょう。




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日本のIT市場

手元にあるデータによると、日本でのIT業界は、(当然ながら)日本企業、つまり富士通、NEC、日立、などが大きなシェアを占めています。

最近のニュース記事によると、パーソナル・コンピューターの市場では、アメリカの企業がシェアを拡大しつつあるとのことです(参考文献)。先に挙げた企業のうち何社かはPC市場でも競争していますが、彼らの関心事はPCだけではありません。実は、日本の大企業の多くに関して注目すべきなのは、非常に多角化している、ということです。

ここに挙げた企業の多くは、実に様々なITシステム・コンポーネントを生産しています。つまり、様々な種類のPC、サーバー、ストレージ・デバイス、そしてアプリケーションやミドルウェアを含むソフトウェアなどです。

IBMのオートノミック・コンピューティング・アーキテクチャーは、こうしたシステム・コンポーネントのすべてを対象にしており、オートノミック・コンピューティング技術は、コンピューター・システム全体に渡って適用可能なものです。したがって、様々な種類のIT製品やサービスで競い合う企業が、オートノミック・コンピューティングの提供する価値を活用することに関心を示すのは自然なことと言えます。ここで挙げた日本のIT大企業の多くはそのモデルに当てはまるため、日本においてオートノミック・コンピューティングに熱い目が注がれるのも、驚くことではありません。




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日本のIT市場におけるオートノミック・コンピューティングの機会

日本におけるオートノミック・コンピューティング関連の機会や価値というのは、アメリカやヨーロッパ、その他の地域と別段異なるわけではありません。おそらく、オートノミック・コンピューティングのもたらす価値の可能性が、日本では特に反響を呼んでいるのか、あるいは、日本企業はオートノミック・コンピューティングのアーキテクチャーや技術を使用することに対して、すぐにでも得るものがあると見ているのでしょう。あるいは単に、メディアの騒ぎに過ぎないのかも知れません。しかしここで、先に引用した最近のプレス発表でハイライトされた、オートノミック・コンピューティングの領域の幾つかを検証してみようと思います。

世界的なIT技術標準化団体には、数多くの日本企業が参加しています。先に触れた富士通、NEC、日立は、3社ともOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)とDMTF(Distributed Management Task Force)[5]のメンバーです。どちらの標準化団体も、オートノミック・コンピューティングに関連したものです。

実際、先に要約を挙げたIBMと富士通による発表は、オートノミック・コンピューティング標準における協業に関するものでした。オープン・スタンダードはオートノミック・コンピューティング・アーキテクチャーにとって極めて重要なものであり、世界各国の企業が、オートノミック・コンピューティングに関連した多くの標準化団体に参加していますが、オープン・スタンダードは、特に日本のIT企業の間で好意的に受け取られているようです。

日本の産業とオートメーションは深く結びついています。消費者向けの商品から、エレクトロニクス製品や自動車に至るまで、日本は生産オートメーションの先頭を走り続けています(参考文献)。歴史的に、オートメーションは日本の製造業に強い競争力を与えてきたのです。

したがって、オートノミック・コンピューティング・アーキテクチャーで実現されているような、ITシステムの自動管理という概念を日本の企業が強く支持するのは、驚くに当たりません。IT専門家は、オートノミック・コンピューティング技術を利用することによって、自分たちの選択した課題やプロセスを自動化できるようになるのです。しかも一般的に日本の産業界では、オートメーションは価値あるものと見なされています。

IBMと日本企業とのオートノミック・コンピューティングにおける協業に関する最近の一連の発表は、その反映と言えるでしょう。システム管理の重要な一面を自動化する例、つまり問題特定の自動化の例に関して、各社は次のように言っています。

  • ニイウス株式会社 執行役員 理事 外處 理氏: 「オートノミック・コンピューティング技術を採用して以来、根本原因の解析を効率化でき、また問題特定のプロセスを改善することができました。」
  • 新日鉄ソリューションズ株式会社 システム研究開発センター システム基盤技術研究部長 大城 卓氏:「CBEの技術により、標準化されたI/Fを通じた情報の入出力を行う汎用的なツールの開発が可能となりました。私どもは、各種ハード・ソフトから収集したデータを統一された形式で蓄積し、長期的な分析や将来の予測を行う「システム診断ツール」の開発を進めています。このツールにより、問題判別や予防保全の効率化と精度向上を狙います。」

このコラムで各社の声を取り上げたのは、日本でのオートノミック・コンピューティング技術採用の加速を裏付けるものと考えられるためです。

ITシステムの自動管理はオートノミック・コンピューティングに固有のコンポーネントです。そしてオートノミック・コンピューティング技術の基礎をオープン・スタンダードとすることは、IBMが掲げるオートノミック・コンピューティングのビジョンの根幹です。オートノミック・コンピューティングの持つ、こうした側面が、(他の地域以上に)特に日本で盛り上がりを見せている理由と言えるようです。




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まとめ

オートノミック・コンピューティングは、以前にもまして広く知られるようになっており、IT業界での採用も進んでいます。IBMはオートノミック・コンピューティングに関して、世界中の多くの企業とパートナー関係を結んでいます。その中でも、この記事で焦点を当てた最近の出来事や、最初の方で触れた話題からも分かるように、特に日本では強い関心を呼んでいるようです。

オートノミック・コンピューティングに対する関心が日本で非常に高いのは明らかですが、これは他の地域でもオートノミック・コンピューティング技術やアーキテクチャー採用の動きが加速される前兆と見るべきなのでしょうか。日本で、あるいは他の地域での動きを注意深く見守ることにしましょう。IBMは、これからもオートノミック・コンピューティング・アーキテクチャーや製品、そしてオートノミック機能を持った製品/ソリューションの開発を続けます。そうした中で、日本やその他の地域で、オートノミック・コンピューティングに関する関心が高まっていることは心強い限りです。



参考文献



著者について

Brent A. MillerはIBMのオートノミック・コンピューティング・アーキテクチャー・チームの一員であり、自己修復アーキテクチャー開発のリーダーです。IBMでの勤務は21年にわたり、プリンター開発、モバイル・クライアント、モバイル・ソフトウェア、パーベイシブ・コンピューティングなどに従事してきています。




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